ジャッジ〜島の裁判官 奮闘記〜 ドラマのみどころ・スタッフからのメッセージ

ドラマのみどころ・スタッフからのメッセージ

【ドラマのストーリー】

  鹿児島県の南に浮かぶ大美島、その地方(家庭)裁判所支部に、三沢恭介(西島秀俊)が支部長として転勤してくる。妻の麗子(戸田菜穂)と娘と共にであったが、どこか夫婦のかわす表情はぎこちない。恭介の前任地は大阪地裁、高度な専門知識を要求される知的財産を扱う部署で、激務の日々を送っていた。その代償として妻は娘を連れ実家に帰り、家庭は崩壊しかけていたのだ。恭介はこの転勤を機にやり直そうと、なんとか妻を説得し島につれて来たのだ。

  支部長・恭介は、この島のたった一人の裁判官となった。家事、少年から民事、刑事まで、全てを一人で担当する。今までとはまったく勝手の違った日々が始まる。久々の刑事事件の法廷に現れた島の弁護士・平(寺田農)は、被告の前科すら間違えた。離婚調停の当事者は直接、支部長室まで怒鳴り込んでくる。この調停を巡っては家裁調査官の谷川(的場浩司)とも対立したあげく、思わぬ失態を演じてしまう。また東京の弁護士事務所所属でありながら、なぜか島の企業の民事再生を手がける弁護士・畑夏海(浅野温子)も、恭介にとって気になる存在となる。

  なんとか島のペースを慣れ始め、さらに夫婦の仲も取り戻せたかと思ったのもつかの間、娘がイジメにあっているのが判り、その原因が恭介を愕然(がくせん)とさせる…。

【脚本家のことば】

…脚本家 中園健司

  このドラマの主人公は、若き裁判官です。裁判官というと、堅苦しく感じられる向きもあるかもしれませんが、南の島の裁判所を舞台に、分かりやすく、爽やかな後味の人間ドラマが展開します。

 弁護士や検察官を主人公にしたドラマは数多く作られていますが、裁判官を主人公にしたドラマは、おそらく本邦初ではないかと思います。それは、裁判官が「自分の判決について言い訳はしない」を旨としており、裁判官の肉声を聞くことが困難であること、また、裁判官は「事件」を扱うにもかかわらず、捜査はせず、法廷での「証拠」に基づいてのみ審理をするので、ドラマの主人公になりにくかったこともあるでしょう。

 しかし、今回、私たちはその困難にあえて挑みました。数多くの法廷を傍聴し、判決文を読み、様々な法曹関係者の方々からお話をうかがいました。このドラマはもちろんフィクションですが、そういった綿密な取材に裏打ちされています。

 とかくヴェールに包まれた感のある裁判官ですが、法服を脱げば、裁判官だって人の子であり、夫であり、父親です。

  若き裁判官・三沢恭介の仕事と家庭での成長物語を、その奮闘する姿を、南の島の大自然の映像とともに、どうぞお楽しみください。

【放送開始にあたって】

…チーフプロデューサー 古川法一郎

  裁判官とは何者か?

  多くの人々は「よく知らない」と答えるしかないと思います。その「知らない」人物にいかに血肉を与えるか、普通に喜び、怒り、あせりや悩みを感じていることに共感してもらえるか、これがこのドラマの最大の課題でありテーマでした。

  西島秀俊さん、家族の前ですら裁判官の顔でいた主人公が、いかに自分の顔を取り戻していくか。母親からは「子供の時から不器用で愛想が無い」と言われ、常に感情を表情に現すことを抑制せざるを得ない職業である裁判官役に、本当に真摯に取り組んでくれました。

  戸田菜穂さんは、仕事一辺倒で家庭を顧みなかった夫との関係を、完全に修復しないまま島へ来た妻という微妙な役柄を、しなやかな演技でみせてくれます。

  夫婦の娘役の桝岡明ちゃんの名演技は多くの人々の胸を打つと思います。なにしろ彼女は既に大阪局制作のドラマに主演作(「誰がパパやねん!」関西ローカル)があるのです。

  名優・寺田農さんには、法廷への遅刻常習犯のテゲテゲ(いいかげん、という意味の島言葉)弁護士を、気持ちよさそうに演じてもらいました。

  浅野温子さんには、主人公と同時期に島に来た東京のエリート弁護士役として、時に主人公と違う立場、時に同じ思いを分かち合う仲間として、ドラマを重層的にする役割をお願いしました。

 また奄美大島在住の新進歌手・中孝介さんには、とても魅力的なテーマ曲を提供してもらいました。タイトルは「路の途中」、心に染み入る素晴しいボーカルです。エンディングでたっぷりとお楽しみください。

【企画にあたって】

…ディレクター 篠原圭

  裁判とは、法廷とは、そして裁判官とは――。

  いま、法廷の傍聴が静かなブームになっているそうです。 世の中のルールや常識を揺らがせる事件が相次ぎ、確固とした法律で争いに決着をつける法廷の場が注目されているのかもしれません。

  しかし、まだまだ多くの人々にとって法廷は縁遠い所です。どんな人がどんな気持ちで裁判に関わっているのか。単なるサスペンス劇の舞台装置としてではなく、法廷の主人公である裁判官の心情を追いながら、被告・原告など当事者はもちろん勿論、法廷に関わる様々な人たちも描いた上で、今までと違う枠組みの裁判ドラマができないか。そんな思いから出発した企画です。

  気がつけば、市民が裁判官と並んで法壇に座り、共に評議をする、裁判員制度の施行まで1年余り。法廷はそんなに遠い場所ではなくなろうとしています。

  主人公の裁判官・三沢恭介は、現代日本のさまざまな争いやそれにかかわる人間と向き合います。裁判官である彼の最も大切な仕事は、その争いにピリオドを打つことです。そうすることで当事者たちの人生に明日が来るのです。

  裁判官を主人公にした新しい裁判ドラマ、裁判官・三沢恭介の奮闘にどうかご注目ください。

【演出にあたって】

…ディレクター 本木一博

  実は私、大学は法学部の出身です。やっと入った大学の講義の初日、「民法総論」という初歩中の初歩の講義で、いきなり法学に挫折してしまった根性無しであります。どうせ落ちこぼれさ…と、ひがみ根性丸出しの不毛な大学生活を経て、「輝かしい法曹界」ならぬ「騒がしい放送界」でアタフタと生きてきました。

  ところが今回、法曹界で働くみなさんにお会いしてみると、そのお人柄のなんと円やかな事!人の話を聞くのがなんと上手いこと!仕事に生きる使命感と誇りに満ちあふ溢れているのです。純粋に、「人間の出来が最初から違うのだ…」と、20年近く前のひがみ根性は霧散しました。そして、時には会議室で、時には居酒屋でと、色々な事をお話した中で実感したのは、この人たちだって「自分と同じ人間なんだ…」という当たり前の事実です。

  そんな「等身大の人間像」を持った裁判官を描きたいと思っています。

  しかも舞台は「奄美大島に良く似た大美島」!※「大美島」はドラマ上の設定です。

  澄み切ったコバルトブルーの海! 世界自然遺産にもという生き物あふれる森、テゲテゲでおおらかな島の人たち…無条件に楽しくなってきます。

  過日、「奄美大島に良く似た大美島」での取材中、「ルリカケス」という世にも美しい天然記念物の鳥が舞い降りてきました。役場の人も興奮して携帯で写真を撮りまくるという大僥倖(ぎょうこう)!!

  きっといいドラマになる前触れだと思います。お楽しみに!!!

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