「氷壁」表紙へ このドラマについて キャスト 毎週のあらすじ よくある質問 掲示板 展示室
*


このドラマについて

山岳小説の傑作、井上靖の「氷壁」。
 その設定を現代に置き換え、世界最難関の高峰K2を舞台に、スケール感あふれるラブサスペンスドラマとして甦らせる。
 K2山頂直下、親友のザイルパートナーが謎の滑落死を遂げる。亡き友の名誉を守るため、真実を追求する一人の男の前に、友を死に駆り立てた謎の人妻が現れる。果たして敵か味方か──。
 山に憑かれた男たちの友情、葛藤、サバイバルを賭けた大企業の思惑を絡めながら、山男と、山男を愛してしまった女の、美しくも哀しい愛の物語をスリリングに描く。


ドラマのあらすじ

 世界的なトップ・クライマーの奥寺(玉木宏)がついに最難関の高峰K2に挑む。ザイルパートナーは友情で結ばれた北沢(山本太郎)。用具を取り揃えた大手スポーツメーカー・ヤシロの全面バックアップを受け、日本を代表する二人のクライマーがK2マジックライン登攀に挑む。

*

 K2登攀の途中、奥寺は北沢から、北沢の妹・ゆかり(吹石一恵)の気持ちを告げられる。北沢もまた奥寺からヤシロの八代社長(石坂浩二)の妻・美那子(鶴田真由)への気持ちを問いただされる。K2で二人は次第にお互いの心をさらけ出していく。日本に残った八代と美那子もK2にそれぞれの思いをはせていた。「K2から生還したら美那子さんをください。」八代は、出発直前に北沢から妻・美那子への気持ちを告白されていた。

 登攀4日目。奥寺たちはついにマジックラインの核心・トラバース区間に到達する。標高8000m。極端な低酸素の中、二人の体力は消耗していく。翌日、急峻な岩溝“三日月のガリー”に達した二人の前に70メートルもの垂直の氷壁が聳え立つ。低温のためベース・キャンプとのトランシーバーが交信不能になった直後、雪崩が襲い北沢は足を骨折。そこは雪崩の巣だった。復旧したトランシーバーで奥寺はアタック中止を伝える。K2登攀は失敗した。どう生還するかが次の問題だった。奥寺は、雪崩の巣を避け、北沢とともに氷壁をいったん登り、ノーマルルートへ出て下山する方法を選ぶ。最後の力を振りしぼってロープを氷壁に張り、奥寺は北沢を先行させ氷壁を登り始める。しかし、北沢は滑落してしまう。

 その死は大きな謎に包まれていた。帰国後、ヤシロを代表した智之(武田真治)は、滑落は北沢の操作ミスが原因とマスコミに話す。それを否定した奥寺は、ヤシロの用具・カラビナに不具合があったと発言し、大騒ぎになる。

 社長の八代は北沢の操作ミスを主張し、信用毀損で奥寺を訴える。友の名誉を守るため、奥寺は北沢の妹・ゆかりや、母・秋子(吉行和子)とともに、法廷で戦うことになる…。




現代によみがえる傑作山岳小説「氷壁」

 ドラマの原案は、井上靖さんの小説「氷壁」。

 昭和31年に発表され、現在も山岳小説の傑作として名高い作品です。

 原案の持つ魅力を現代によみがえらせるため、今回のドラマ化に当たっては、時代設定を2005年の現代に置き換えるとともに、遭難事故の起きる山も、日本の前穂高からヒマラヤのK2に変えています。

 小説が発表されて40年以上。山に魅せられた人々を取り巻く状況は時代とともに移り変わってきました。

 山に魅せられた男たちと、彼らを取り巻く人々の愛とサスペンスを描く土曜ドラマ「氷壁」。その背景にある登山をめぐる時代の変遷を紹介します。


■遭難事故の起きる山を「前穂高」から「K2」に

 日本の海外渡航自由化は昭和39年(1964年)。昭和30年代には、ヒマラヤ等、海外の山に挑戦するクライマーは今ほど多くありませんでした。そのため多くのクライマーたちは国内の難ルートを征服することを競っていました。時代が変わり、トップクライマー達が夢とロマンを追い求める場所は「前穂高」からヒマラヤへ、世界第2の高峰「K2」へと移りました。

 そして登山スタイルも変化しました。昭和30年代には、国家の威信をかけた大規模で組織的な登山が主流でしたが、最近では、少人数で無酸素の「アルパインスタイル」と呼ばれる登山方法で8000メートルの山に挑む登山家も出てきました。彼らは極限の状況で登山をしており、生と死の間で光り輝く超人たちです。今回のドラマでは、主人公の魅力をより高めるために、設定を「アルパインスタイル」の登山家に変えました。そして、K2は「山の中の山」と呼ばれ、彼ら「アルパインスタイル」の登山家にとって憧れの山なのです。


■遭難事故の原因を「ナイロンザイル切断」から「カラビナの破損疑惑」に

 井上靖さんの小説では「ナイロンザイルの切断」が遭難事故の原因になっています。実はモデルとなる事件があります。世に言われる「ナイロンザイル切断事件」です。昭和30年代に起きたナイロンザイル切断事故が元となって、「安全神話」を誇っていたナイロンザイルも使い方や状況によっては切れることが明らかになりました。したがって、現在ではナイロンザイルは「鋭い岩角によって切れることがある」という前提のもとで使用されており、「ザイルの切断」で登山家側がメーカーを訴えることは滅多にないそうです。そこで、登山家たちが「命を預ける道具」としてザイル同様に重要なカラビナの破損疑惑に変更しました。


■原案小説のモデルとなった「ナイロンザイル切断事件」について

 今回のドラマの原案である井上靖さんの小説「氷壁」は、実際に起こった事件をもとにして書かれています。

 1955年(昭和30年)1月2日、厳冬期の前穂高岳東壁の頂上直下の岩場を登攀中にナイロンザイルが切断し、クライマーの若山五朗さんが墜落死しました。

 当時、ナイロンザイルは、それまで使われていた麻ザイルに比べて軽量で扱いやすく、強度的にも優れている革命的な新素材ロープとして名高かったのですが、1954年12月29日から1955年1月3日までに同様のナイロンザイル切断事故が穂高岳山域で3件連続し、ナイロンザイルの「安全神話」が疑問視されるようになりました。

 その後、若山さんの実兄・石岡繁雄さんが実験を行い、1トンの力で引っ張っても切れないナイロンザイルが鋭いエッジを持つ90度の岩角では容易に切断することを確認しました。ところが、登山用具の専門家である大学教授の指導で行われたザイルメーカーによる実験では、ナイロンザイルは麻ザイルに比べて数倍の強さを示しました。それは岩角に丸みがつけてあったためですが、その結果、「ナイロンザイルは本当に切れたのか」という大論争が起こりました。そして、若山さんと一緒に登攀していた石原国利さんが所属する山岳会が中心となり、ザイルメーカー、登山用具の専門家、その実験データをそのまま掲載しナイロンザイルの誤解をまねく性能を登山家たちに示した『山日記』の監修者・日本山岳会を相手に真実を求める闘いが始まりました。それは長期にわたり、大変困難を極めました。

 1975年6月5日に登山用ザイルの安全基準が、PL法の精神を先取りした形で世界で初めて制定されました。執念ともいえる遺族たちの闘いが幕を閉じたのは、事件発生から実に約20年後のことでした。

 今回、土曜ドラマ「氷壁」では、事故の原因を「ナイロンザイルの切断」から「カラビナの破損疑惑」に変更しました。しかし、井上靖さんの小説のモデルであり、実際に登山家たちの尊い命が失われてしまった「ナイロンザイル切断事件」は、忘れてはいけない重大な出来事であると言えるでしょう。




「土曜ドラマ」新たなスタート…西村与志木(NHKドラマ番組部長)

 “心に残る骨太な土曜ドラマ”

 NHKにおける「土曜ドラマ」という名称は今から30年前、1975年から始まったシリーズドラマに冠せられたものです。「男たちの旅路シリーズ」や「松本清張シリーズ」など数々の名作を生み出してきたドラマ枠でした。

 その「土曜ドラマ」が装いも新たに、土曜の夜10時から再び登場いたします。多くのドラマファンに、そして今までドラマに興味のなかった人たちにも是非見ていただきたいシリーズです。その第一弾の「氷壁」は井上靖の名作を現代に置き換え、ニュージーランドロケを敢行した意欲作です。この後、真保裕一原作「繋がれた明日」など原作のある作品、オリジナル作品を問わずNHKドラマが総力を上げて制作する作品群が続きます。

 「心に残る骨太な土曜ドラマ」に是非、ご期待ください。



脚本家のことば…前川洋一(脚本家)

 登山家は何のために山を登るのか、当初まったく理解できませんでした。あんなにしんどい思いをして、命の危険まで冒して、しかも見返りは何もないのです。しかし、取材を進めるうちに、なんとなくわかってきました。彼らは生きている実感を味わうために山へ行くのではないかと。

*

 このドラマの主人公はそんな山男の一人です。頭の中はいつも山のことばかり。せっせとアルバイトをして貯めた金をすべて山につぎこむような、今どき珍しい無垢な男です。

 そんな山男がある事故をきっかけに、山から下りて、俗世間の中で生きて行かなければならなくなります。世間の荒波に揉まれて、彼は果たしてどうなってしまうのか?そこには意外な結末が待ちかまえています。

 主人公の一途な生きざまと、彼を取り巻く人間模様が織りなすドラマチックな展開をじっくりとお楽しみください。



制作にあたって…佐野元彦(チーフ・プロデューサー)

 2006年1月から始まる土曜ドラマの第一弾は、「氷壁」です。井上靖氏の傑作山岳小説を原案に、大人の人間模様を、毎週1時間で、たっぷりとお見せいたします。K2山頂で起きた滑落事故。生き残ったクライマー・奥寺は、裁判の渦に巻き込まれていく。山岳アクションサスペンスから、二転三転の法廷劇へのダイナミックな展開の中、深く、激しい愛の物語が描かれていきます。

*

 このドラマの登場人物は誰一人として、「ただの悪人」はいません。家族や会社など、自分が守るべきもののため必死に闘って生きています。そんな人と人との避けようのないぶつかり合いを、脚本家の前川洋一さんは、厳しく、かつ愛情をもって描いてくださいました。そして、密度の高い人間ドラマを演じてくださるのは、素晴らしい俳優の皆様です。クライミングに本格的に取り組んだ玉木宏さんと山本太郎さん、社長夫婦を演じる石坂浩二さんと鶴田真由さんをはじめ、本当にステキな方々にお集まりいただきました。「大人の、大人による、大人も楽しめるドラマ」として、「氷壁」は土曜ドラマの幕開けにふさわしい感動ドラマになると確信しています。



*

ニュージーランドロケによる
迫真のK2登攀シーンを
…青木信也(チーフ・プロデューサー)

 今回のドラマを制作するにあたって、大きなポイントとなったのが、K2登攀シーンの撮影でした。どれだけ本物のクライミングに近づけることができるか。どれだけスケール感溢れる迫力のある映像を作り上げることができるか。そこが上手くいかないと、主人公の奥寺恭平や北沢彰の魅力も半減してしまいます。

 そこで私たちが撮影場所として選んだのがニュージーランドです。カラコルム山脈に似た山々と巨大な氷河を有するサザンアルプス山脈は、まさにK2登攀シーンを撮影するのにぴったりの場所です。しかし、私たちが撮影を行った9月はまだ雪深い早春。突然襲ってくる大吹雪や、氷点下の低温をしのぎながらの過酷な撮影になりました。撮影現場もヘリコプターを使わなければ行けない場所ばかり。そんな厳しい状況下で、現地の屈強な山岳ガイドたちのサポートを得ながら、玉木宏さんと山本太郎さんはまさに体当たりでクライマー役に挑みました。その頑張りには大きな拍手を送りたいほどです。ニュージーランドの雄大な大自然を背景に、これまでのテレビドラマでは見たことがないような迫真のK2登攀シーンが描かれます。日本人とニュージーランド人による総勢50名ちかい撮影クルーが全力で取り組みました。どうぞご期待ください。



見えないザイル…長沖渉(チーフ・ディレクター)

 8000メートルの極限の世界にたちはだかる巨大な氷壁で、宙吊りになる二人のクライマー。ザイルを切れば、自分は助かる。切らなければ二人とも死ぬ。あなたならどうしますか?

 このドラマの原点です。

*

 ザイルで結ばれた奥寺恭平と北沢彰。この二人の結びつきには「友情」という言葉では語り尽くせない深い絆があります。それは常に「死」と隣合わせのぎりぎりの世界にいるからで、山に魅せられた二人にはこの非日常が究極の生きがいになっているのです。その二人に磁石で吸い寄せられたように魅かれていく人妻、八代美那子。親子ほど年の違う夫と幸せな家庭をもちながら、なぜ美那子はこの男たちに恋をしてしまうのか?夫婦、親子、兄弟、友人、そして、恋人たち。それぞれ人間は「見えないザイル」で結ばれているが、いつか、このザイルは「死」という現実に切られる運命にあります。だが、生に執着して、自ら断ち切る決断を迫られる時もある。そして、もう一度結ぼうともがき苦しむ時もある。それが人間であり、社会です。

 「氷壁」・・・それは人間社会の縮図なのです。そんなドラマにしたい。




【放送予定】総合・デジタル総合
第1回 1月14日(土) 午後10時〜10時58分
第2回 1月21日(土) 午後10時30分〜11時28分 ※放送時間が変更になっております。
第3回 1月28日(土) 午後10時〜10時58分
第4回 2月4日(土) 午後10時〜10時58分
(2月11日はトリノ・オリンピックのため休止)
第5回 2月18日(土) 午後10時〜10時58分
第6回 2月25日(土・終) 午後10時〜10時58分

【スタッフ】

原案:井上靖「氷壁」
脚本:前川洋一
音楽:村松崇継
主題歌:リベラ「彼方の光」

【キャスト】※詳細なキャスト紹介を準備中です。
玉木宏 鶴田真由 山本太郎 武田真治 吹石一恵 高橋克実 伊武雅刀 吉行和子 石坂浩二 ほか




表紙 | このドラマについて | キャスト | 毎週のあらすじ | よくある質問 | 掲示板 | 展示室

お問い合わせは お問い合わせフォーム から。すべてのメールにお返事出来ない場合がございます。

ドラマの再放送情報・最新情報は NHKドラマホームページ へどうぞ。

Copyright (c) NHK(Japan Broadcasting Corporation) All Rights Reserved.



*