演出にあたって…赤羽博
「ヤア、牧村ムッシュ!」
『アッ!!これは村上ムッシュ!』
「お待たせしました」
『どうでしたか?私の包丁さばき、村上ムッシュの包丁をお借りして調理したものですから緊張してしまいました』
「とても上手でしたよ」
『ありがとうございます。村上ムッシュにそう言われますと、とっても光栄です』
「イエイエ、本当にお上手でしたよ。ベリー・グッドです」
『フランス語の方はいかがでしょうか?』
「私の方が少し上手かなア(笑い)」
『参ったなア、二週間でマスターしなければならなかったものですから。イヤァ、フランス語は大変だ』
「でも柔道の方は仲々でしたよ」
『イヤ、あれもあの時腰を痛めていて。アッ・・・いけない。言い訳はいけませんネ。村上ムッシュが一番嫌いなこ
とでした』
「イエイエ。ところで牧村ムッシュ、あなたも私と同様、波乱万丈の人生でしたネ」
『そうですね。私も早くに両親をなくし、一人で生きてきましたから』
「大変でしたね」
『でも、フランス料理に出会えて幸福でした。それにいろんな人に出会い、そして助けて頂きました。ありがたく
思っています。人生は誰に出会えたかで決まりますね』
「そうですネ。ただそれに気付く人と気付かない人がいます。あなたの場合、それに気付く感性をお持ちになっ
ていた」
『村上ムッシュに比べたら、まだまだ・・・』
「人生、一番辛く苦しい時、生まれてきた意味、その答えが浮かび上がってくるものです」
『そうですネ。その通りです。私はフランス料理のシェフとして生きてこられた事、本当に感謝しています。それと
幾度もお客様の笑顔に救われました。おいしい料理と食べている人の笑顔は素敵ですネ』
「そうですネ。笑顔が一番です」
『それでは私達も笑顔になるよう参りましょうか?』
「参りましょう、参りましょう。天鴎ホテルへ・・・・」
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