

幼い頃、無理やり育ての親から引き離され、巨大財閥ヘシングループの後継者"ホン・テソン"として総帥、ホン会長の寵愛を受けて育てられたシム・ゴヌク(キム・ナムギル)。しかしDNA鑑定で本人ではないと判明すると野良犬のように容赦なく捨てられた。自分の人生を滅茶苦茶にしたヘシングループへ復讐を果たすため、長く緻密な計画が秘かに始まった。
ヘシングループ会長の末娘ホン・モネ(チョン・ソミン)は、偶然に出会った妖しい魅力を秘めた謎の男に心を奪われてしまう。謎の男こそ、成長したゴヌクであった。ゴヌクとの出会いを運命だと信じるモネと、ゴヌクを危険視するモネの姉、長女ホン・テラ(オ・ヨンス)。姉妹とゴヌクを巡る危険な恋の駆け引きが始まる。
一方、シン会長夫人が主催する美術展示会の準備に没頭するアートコンサルタントのムン・ジェイン(ハン・ガイン)は、グループの次男、御曹子ホン・テソン(キム・ジェウク)に狙いを定めていた。目的は、憧れのセレブ生活を手に入れること!
しかしモネのついたウソによってゴヌクのことをテソンと思い込んでしまったジェインは、偶然を装いゴヌクに近づいていく。
"ホン・テソン"という名を奪われた男、"ホン・テソン"という名を与えられた男、そして"ホン・テソン"に近づく女。3人が出会ったとき、ついに運命の歯車が激しく動き出す・・・。

正直に告白します。私は、この作品を担当するまで、いわゆる「韓流ドラマ」というものを見たことがありませんでした。あの「冬ソナ」ですら。「韓流ブーム」の隆盛を横目で見ながら、「ジャンルの異なるドラマ」という風に考えていました。同時に、「韓流ドラマにハマっちゃった」というフレーズもよく耳にしたものです。「そんなものかな」という程度の認識でひたすら日本のドラマを作り続けてきたわけです。
ところが、このドラマに仕事として関わることになりました。1話目を見るにはかなりの努力を強いられました。まず、俳優さんのことが全くわからない。誰が主役でヒロインはどの女優さん? そもそもこれは何のお話? 偶然の出来事多すぎ? 多少イラつきながらもお仕事ですから、2話、3話と見続けます。しかし、4話を過ぎたあたりからワタシの様子が変。主人公キム・ナムギルのクールだが微妙な心情を漂わせる存在感、ハン・ガイン演ずるムン・ジェインの可愛さとしたたかさ、オ・ヨンスが発する大人の女性の色香。ありとあらゆるシチュエーションでラブストーリーを紡いでゆく脚本力とイ・ヒョンミン氏の演出力。当初は17回という話数の長さにうんざりしていたのが、いつの間にやら「終わって欲しくない!」と思い始めている自分にショックを覚えた。連続ドラマを見ながら、こんな気分になるのはいつ以来だろう? わたしはすっかり「赤と黒」にハマってしまいました。
実はコレ、典型的な韓流ドラマのハマり方だそうです。韓流ドラマファンのみなさんはもとより、食わず嫌いの方、韓流未体験のドラマファンに、この秋おススメの一品です。
韓流ドラマはブームの時代を経て、いま確実にジャンルとして定着し、進化を続けています。K-POPの隆盛と相まって国際競争力という意味では日本のドラマを凌ぐ勢いです。ソウルに出かける度に韓国ドラマ界の勢いをひしひしと感じます。そのソフトパワーの原動力とはいったい何でしょうか。
放送局の柔軟な編成(韓国キー局には期首という概念がありません)。1話60分×16話〜20話というストロークの長さ。質の高い俳優の演技、演出家の個性などがあげられるでしょう。反面、あざとい設定、過剰な音楽、どろどろな展開など荒削りな要素も否定できませんが、むしろそれらですら、次第に魅力の一つになってゆく不思議さ。
「赤と黒」は、緊張感に満ちた復讐劇の体裁を取りながら、様々な愛の形がめくるめく展開するラブストーリーであり、根っ子の部分には家族愛という要素がしっかりと描かれています。これらは韓流ドラマに共通するプロットであり、われわれ日本人にも共感できるソフトパワーのエッセンスなのかもしれません。どうぞお楽しみください。
日本の皆様、こんにちは。日韓共同制作ドラマ『赤と黒』の演出を担当したイ・ヒョンミンです。まず、日本で最も影響力のある放送局・日本放送協会(NHK)にて本作品が放送されることを、大変嬉しく思います。又、制作から放送にいたるまで、本当に多くの方々が沢山の愛情を注いで下さいました事を心から感謝申し上げます。
実は、私にとって"自分の作品がNHKで放送される"という事は、特別な意味があります。韓国の公営放送であるKBS(Korean Broadcasting System)で、アシスタントディレクターとして働いていた1995年に、『燦爛たる黎明(さんらんたるれいめい)』という大河ドラマの日本ロケで、NHKのドラマ番組部を訪問したことがありました。その時、皆様方のご協力によって、日本での撮影を無事に終えることができた貴重な想い出を今でも忘れることができません。NHKとの二回目のご縁は、『冬のソナタ』でした。プロデューサーとして参加する事となった私は、日本で『冬のソナタ』が大勢の方々に愛される過程を見守ることができました。その当時「いつかドラマ監督として、NHKとご一緒したい」と思い巡らせていたことを覚えています。10年前の願いが、今ようやく成し遂げられるのです。
私のドラマを支持して下さる日本の視聴者の皆様方に、この場をお借りして改めて御礼申し上げます。作品制作により一層頑張れるのも、ドラマを愛して下さる視聴者の皆様がいてくださるからです。本当にありがとうございます。
『赤と黒』の制作コンセプトはストーリーからではなく、主人公となるシム・ゴヌク(キム・ナムギル)からスタートしました。私がもし俳優だとして、最も美しい若き時代に演じてみたいキャラクターがあるとしたら、それは、まさに『赤と黒』の主人公のようなキャラクターでした。主人公ゴヌクは、小説「赤と黒」のジュリアン・ソレルや、映画『太陽がいっぱい』のトム(アラン・ドロン)など、若くてセクシーな男性主人公らと非常に似ています。本能的な強烈さと、現代的なセクシーさを兼ね備えた主人公ゴヌクは、韓国のTVドラマでは珍しいキャラクターです。
シム・ゴヌクの復讐心理劇としてスタートした『赤と黒』の制作時、最も焦点を置いていたことは、「悪い男に見える」ゴヌク自身が、二転三転とストーリーが展開されていくなかで「どのようにして、視聴者の共感を得ることができるだろうか?」ということでした。ゴヌクは、チェ・ソニョンという女性を殺害したのだろうか? だとしたらなぜ、そんなことをしたのだろうか? ヘシングループに復讐を誓うゴヌクには過去にどんなことがあったのだろうか?
一方、セレブに憧れ、御曹司ホン・テソンの関心を引こうとするヒロイン、ムン・ジェイン(ハン・ガイン)。そんなジェインを利用することにするゴヌク。しかし、ジェインの欲望が深くなればなるほど、彼女が傷つけば傷つくほどゴヌクの気持ちは揺らいでゆく。それは、彼女の存在が復讐の邪魔となるからか? それとも、ジェインに対する特別な感情なのか?
『赤と黒』の登場人物とストーリーは、露骨で刺激的であります。映画ではない、テレビドラマという枠組みの中で、出来る限り、躍動感とリアリティーを失わないように努めました。誰もが心の中に秘めている"欲望"を、ドラマの登場人物たちを通して感じ取って欲しいと思っています。そして日本の皆様に、日韓共同制作ドラマ『赤と黒』を楽しんで頂けることを願っております。
【国際共同制作】
アジア・コンテンツ・センター/グッド・ストーリー(韓国)/NHK
【出演】キム・ナムギル キム・ジェウク ハン・ガイン
豊原功補 三浦孝太 麻由 ほか
【監督】イ・ヒョンミン
(「冬のソナタ」プロデューサー・「雪の女王」「ごめん、愛してる」監督)