2010年01月14日 (木)「とめはねっ! 鈴里高校書道部」スタッフブログ(2)『第1回の「母の字」ができるまで』
皆さんこんにちは。ドラマ8「とめはねっ!」担当プロデューサーTです。
今回は撮影中のエピソードをお伝えしますっ!と書いてしまいましたが
第1回放送の後に、鈴里高校の5人が書いた「母の字」について、「あんな変な形の字で、なぜ負けにならないの?」という質問を沢山の方々からいただきました。
そこで今回は、撮影中のエピソードの前に、書道ドラマ「とめはねっ!」の“書”について、裏側エピソードをもうひとつお届けします。
ドラマの制作が決まり脚本作りも本格化していた昨年の2月、私たちスタッフは、書道指導の石飛博光先生と初めて打合せをしました。
既に原作コミックと第1回の仮脚本を読んでおられた石飛先生は、ドラマへの熱意と期待を大いに語って下さったのですが、ひとつだけ「悩み事」を打ち明けられました。それがまさに、第1回クライマックスシーンの「母の字」のことだったのです。
1人が一画ずつ順番に書き、5人のリレーで5画の字「母」を書き上げる勝負のシーンで、トップランナーを任せられた主人公・結希は、書き順を間違えて「一」の字を書いてしまいます。それを縁が大胆な発想で一画目に見立ててフォローするというシーンは、原作コミックの中でも大変重要なエピソードでした。
「習字と違って、書道では、型にはまった字を書かなくてもいい」ということを表現しているこのシーンを、石飛先生も「是非実現しましょう」と仰ってはいましたが、「果たして、どのような形の『母の字』にするか?」を考えあぐねておられたのです。
高橋英樹さん演ずる三浦清風は、名の知れた書の大家という設定です。その清風先生が「どちらも甲乙つけがたし! 引き分けじゃ!」と言うからには、ただトンチが効いているだけではなく、“偶然”にでも、高い評価を得られるような書体になったという設定にしなくてはならないと、石飛先生はこだわっておられたのです。
演出スタッフとの話し合いを撮影日のぎりぎりまで繰り広げた末に、石飛先生が思いついたのが、中国の「造像記」という古典文字でした。「造像記」とは、中国で石像を作る際に製作者の名前や製作年度、由来などを石に刻んだ銘文のことです。
結希が勢いよく書いた「一」の字に合わせて、縁も大胆で力強く二画目を書いたという設定にすれば、「造像記」にある「母の字」と似た書体にすることが出来る、と、石飛先生は思い至ったのでした。(6世紀に彫られた「賀蘭汗造像記」に、「母の字」があります。ネットの画像検索で、探してみてください!)
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撮影の当日。朝倉あきさんと池松壮亮君に、石飛先生は集中的に指導しました。
朝倉さんには「結希の性格らしく、起筆から力強く、太く大胆に」と----。
池松君には「結希の『一』の字に必至で合わせるように力強く。終筆も、跳ねて!」と----。
これはもう、書道指導であると同時に、まさに演技指導です!
その結果生まれたのが、ドラマのシーンで披露された独特な形の「母の字」でした。
ドラマの中で二画目を書いているときの縁の懸命な表情も、石飛先生の書道指導のたまものだったのです。
「とめはねっ!」では、第2回以降もスタッフこだわりの“書”が次々と登場します。
ドラマの楽しさはもちろんですが、画面に出ている“書”作品にも注目して見て下さい。
ではまた。
投稿者:スタッフ | 投稿時間:19:03
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