2009年07月13日 (月)「ふたつのスピカ」折り返し地点をむかえて


こんにちは。プロデューサーの橘です。

 

今日は、前回持ち越した分について書きたいと思います。

 

第4回は、折り返しの話ということもあって、ドラマ版「ふたつのスピカ」のテーマ性がかなり色濃く出ています。

 

本来、ドラマのテーマなんてものは、言葉で語ることには意味がなく、物語の中で自然に感じていただくのが一番いいに決まっているのですが、せっかくこうやって制作者の言葉を伝えられる場があるので、そういう部分も織り交ぜて書いてみたいと思います。

 

◇アスミが水ロケットを打ち上げるシーン

 

もしかして、全話中一番好きなシーンかもしれません。これは原作にはないドラマ版のオリジナルシーンなのですが、前回のブログに書いたアスミと友朗のシーンと同じように、こういうシーンが見てくださる方にとって心に残るシーンであって欲しいと願っています。

 

脚本の松居さん、ディレクターの山本と打ち合わせをしながら、もしかしたらドラマのセオリーとしては、去って行く桐生を追いかけるアスミ、果たしてアスミは間に合うのか!・・という点を強調し物語が展開されるべきかもしれないと話し合ったことを覚えています。

 

でも、そのドキドキであったり、桐生と会って涙涙のお別れをするということではなく、そういった部分があっさりしてでも、残されたアスミが桐生の手紙を読んだ後、一人水ロケットに空気を入れる、涙をこらえ、これでもか、これでもかと空気を入れる姿をしっかり描く、それが、僕らが作りたい、作るべきドラマなのではないかと話したのを覚えています。

 

前回、ドラマ版「ふたつのスピカ」のキーワードとして「憧れ」「勇気」「責任」と書きました。

 

じゃあ、テーマは何かと問われれば「夢をかなえるのに必要なもの」そして「本当の仲間とは?」の二つになります。そして、僕らの中で裏テーマとして意識していたの、現実には夢や願いというのは、叶わないことの方が圧倒的に多い。そうやってうまくいかない時にどうふんばるか、どう前に進むか、ドラマ版「ふたつのスピカ」ではその部分を大切にしようといつも話し合ってきました。

 

水ロケットを飛ばした後の府中野とのシーンを含め、このシーンは、第4回のクライマックスシーンではありませんが、ドラマ版「ふたつのスピカ」の思いが詰まっていると思います。

 

ちなみに、このシーンにかかっているのが、前にも書いた僕らが「spica」と呼んでいる曲です。決して華やかな曲ではないけれど、僕らが目指したドラマ版「ふたつのスピカ」の世界観がそのまま表現されていると思っています。

 

 

◇佐野の最後の授業、松居さんのセリフ、アスミの涙。

 

佐野が最後の授業でアスミ達に語る言葉。これは全7話を通じて僕らが伝えたい思いを凝縮した言葉です。何度も何度も松居さんには書き直してもらいました。ダラダラ長いのも説教くさくて興ざめするかもしれない、けれど視ている人に届かなければ意味がない。

 

友朗との回想シーンで「夢は叶わなければ意味がない」と言ってJASROを去った佐野が、アスミ達に残す言葉は何か。最終的には以下のようになりました。

 

「夢や憧れを持つことは素晴らしいことだ。だが、その夢や憧れが大きければ大きいほど、リスクも大きく、実現させるのは難しい。だから負けないでほしい。周りと思いっきりぶつかって、強くなってほしい。残念ながら、ここにいる全員が宇宙飛行士になれるわけではない。ただ、今、自分たちの周りに、本気でぶつかりあえる、夢を語り合える仲間がいることを誇りに思え。そして、そんな大切な仲間に、容赦なく勝て。以上。」

 

この「容赦なく勝て」という言葉を書いてくれた松居さんには心から感謝しています。本当に素晴らしいセリフだと思います。

 

一つこぼれ話をすると、このシーンの撮影中、佐野先生の言葉を聞いたアスミ役の桜庭ななみさんが泣いているのを見て、その時の表情が素の桜庭ななみに近いなと思ったので、後で聞いてみたんです。そしたら、やっぱり素の桜庭ななみとして感動してしまった部分があると言っていました。

 

誰もが宇宙飛行士になれるわけではないという物語上の設定は、彼女たちの人生で言えば「誰もがスターになれるわけではない」という現実に置き換えられます。アスミの「みんなで宇宙に行きたい。けれど周りを蹴落とさなければいけない」という言葉は、「みんなで仲良く共演したい。けれど、周りはライバルだ」という彼ら自身が置かれていると状況とそっくりです。

 

その意味で彼らにとって、この物語はどこかリアルであり、彼らの現在進行形の成長が、視てくれる同世代の人達に共感してくれるものを産んでくれればいいなとは、撮影が始まる前から思っていました。佐野先生の言葉を聞いて、出演者のみんな(それはクラスメート役の子たちも含めて)が、何かしら感じてくれればいいなと願っていたのです。だから、桜庭さんの言葉はうれしかったです。

 

佐野先生役の田辺さんも、同じようなことを考えてらっしゃって、撮影の間、雑談している時に「役者の先輩として共演者の彼らに何か言ってあげたいという気持ちはある。しかしそれは、甘い言葉で中途半端に応援するのではなく、佐野という役を通じて、厳しい現実をしっかりと伝えた上で負けないで欲しいというエールを送りたい」というようなことをおっしゃっていて(これは番組が始る前のPR番組のインタビューでも言っていました)、本当に素晴らしい方だなあと思ったのを覚えています。

 

第4回の田辺さんの好演が、物語全体を素晴らしいものにしていることは言うまでもないですが、佐野の最後の授業を通じて、視ている皆さんにも何か伝わるものがあれば幸いです。

 

 

◇佐野をアスミ達が見送るシーン

 

最後のことば「宇宙は夢なんかじゃなく、現実だ。君たちの頭の上には常に宇宙が広がっている。それを忘れるな。」

 

これは、実は田辺さんから頂いたアイデアです。

 

宇宙というのは定義上、地上から100キロより上を言うそうです。考え方によってはたかだか100キロ。それを遠くの世界のように考えすぎてはいけない。叶わないと思ったら夢は叶わない、いつかかなえるんだという気持ちを忘れてはいけない、そんな思いを込めて田辺さんが考えてくださったセリフです。

 

田辺さん、素晴らしいアイデアを本当にありがとうございました!

 

以上です。今回は長くなってしまいすいません。

自分なりに、番組に込めた思いをまっすぐに書かせてもらいました。

いつも読んでくださってありがとうございます。

 

ドラマの方はいよいよ後半戦。残り3回、最後までどうぞよろしくお願いいたします!

 

投稿者:スタッフ | 投稿時間:13:59
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