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★こちらのページは2022年2月で更新を終了いたしました。

よるドラ「のほほん」 演出のはなしep.6「ドラマの舞台"アサガヤ"を散策し、あの町中華へ」

第6話ご視聴いただきありがとうございました。早いもので、あとは最終回を残すのみとなりました。終わってしまうのがなんだかさみしい、そんな後ろ髪引かれ気味の演出担当の新田です。第3話に続きお邪魔いたします。

今さらなのですが、今回のよるドラ「阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし」は、お2人が書いたエッセイというノンフィクションをもとに、作家のふじきみつ彦さんがフィクションとして再構築したドラマです。なので、実話と虚構がないまぜとなった、独自の物語世界ということになります。
木村多江さん、安藤玉恵さんのお芝居があまりに素晴らしすぎるので、これはドキュメンタリーなのではないか、と思われがちですが決してそうではありません(笑)。

名古屋制作ということもあり、ロケ場所も虚実がないまぜになっています。
様々な場所が混ざりあってひとつの「アサガヤ」という町が出来上がる。ドラマの制作過程ではよくやることなのですが、準備段階で、このドラマ版「アサガヤ」の地図も作りました。

終わってしまうさみしさをまぎらわすために、地図を頼りに散策するとこんな感じ・・・
アサガヤ駅前の雑居ビルにはおばさまたちの聖地「ブーカス」、線路沿いの道をちょっと入ったあたりに頼りないマスターがゆるーく迎えてくれる喫茶「いとし」がある。
駅を背にバスロータリーの右手にミホさん行きつけのスーパー「SAY YOU」があり、そのまま真っすぐ駅前商店街を進むとエリコさんがいつもお寿司を買う「Yorker-Do」の入り口があり、さらに進むといつも明るい奥さんがいる「七万煎餅」がある・・・
そして、
アーケードが切れてもまだ続く商店街を進み、姉妹の住むハイム安澤も目前に迫ったあたりに町中華の名店「朝來」があります。(以上あくまで架空の散策です、念のため、笑)

阿佐ヶ谷に実在する中華料理店にまつわるエピソードは原作の中でも特に印象深いものでした。(原作ファンの多くの方もそうだと思われますが。)ドラマにおいてもこのお話だけは避けては通れないと思い、6話のクライマックスに据えることにしました。

nohohon1214_02.jpg nohohon1214_01.jpg

ご覧いただいた方がどのように感じられたかがすべてであると承知の上で、あのシーンへの私なりの思いと、裏話を少し。

撮影も終盤に差しかかり、ますます出演者、スタッフの意気もばっちり。いい意味での静けさが現場を支配していました。それは、多くを語らずとも、参加したひとりひとりがそのシーンの持つ意味を理解し、それぞれの持ち場でベストの仕事をしてくれるという心地の良い静けさです。
移動ショットのためのレールを引き、準備を終えた頃、大将役の宇崎竜童さんがロケセットに入るなり一言「一応さ、台詞は全部しっかりと入れて来たつもりだけどね」 

普段は寡黙な大将が、堰を切ったように奥さんへの想いを2人に語りだす。台本5ページに渡る長い台詞はベテラン俳優であっても怯むくらいの分量で、おそらくその緊張感たるや相当なものだったと思います。なのに!自らハードルを上げるようなそのお言葉・・・
さすが、ロックンロールを地で行く生き方の竜童さんならではの「持って行き方」だなあと感銘をうけました。

竜童さんのその心意気を受け、スタッフに「一発本番で行きたいんだけど」と相談したところ、みなふたつ返事で「いいっすよ」。

かくして、あのシーンはテストなし、すべてワンテイクで撮影は進められました。
レールの上に台車が乗り、カメラが据えられる。その台車のレバーを握るのは、助監督の北野隆。彼はこの番組のすべてのスケジュールを調整し、現場も仕切るというウルトラ級の働きぶりで番組の屋台骨を支えてくれた人。
「よーいスタート」の掛け声とともにお芝居がはじまる、竜童さんの台詞、その呼吸に合わせてカメラを乗せた台車がゆっくりと動き出す。その瞬間に現場の役者、スタッフの気持ちが集約されて行く。とても静かで、とても居心地の良い現場でした。なぜかって?演出の私は何もしないでただその様を見ているだけで良かったからです(笑)。

胃袋も心も満たしてくれる町中華「朝來」。ロケ場所としてお借りした名古屋市内の中華屋さんも素敵なご夫婦が切り盛りされていて、知る人ぞ知る名店。あまりの料理のおいしさにエキストラのみなさんが芝居を忘れて完食してしまうほど。

そんな名古屋の中華屋さんからうれしい知らせが。姉妹の大好物「にら玉」が新メニューに加わったとのこと・・・
阿佐ヶ谷と名古屋、現実と物語がこのようなカタチで交差するとき、ささやかな幸せを感じます。


 第1話から第6話までの一挙再放送は【総合】で以下の日程を予定しています。

 第1話~第3話 16日(木) 夜11:35~
 第4話~第6話 17日(金) 夜11:35~

放送終了後は、NHKプラスで1週間の見逃し配信も予定しています。
最終回まで、のほほ~ん♪

阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし

 asagaya_p.jpg

【原作】「阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし」阿佐ヶ谷姉妹 著
【脚本】ふじきみつ彦
【音楽】髙城晶平(cero)・ 王舟
【語り】きたろう
【出演】木村多江 安藤玉恵 / いしのようこ 中川大輔 楠見 薫 山脇辰哉 / 宇崎竜童 研ナオコ ほか

【制作統括】三鬼一希 櫻井壮一
【プロデューサー】堀内裕介
【演出】津田温子 新田真三 佐藤譲

 

投稿者:スタッフ | 投稿時間:14:00 | カテゴリ:阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし

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