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土曜ドラマ「ひきこもり先生」スタッフインタビュー②

「ひきこもり先生」制作統括のSです。スタッフインタビューの第2弾は音響効果チーフの山田正幸さん。音楽や効果音など「音」の設計について語ってもらいました。

unnamed-yamada.jpgS :山田さん、よろしくお願いします。今回、映像や俳優の演技と並んで、haruka nakamuraさんの感情豊かで美しい劇伴音楽が印象的です。今回haruka nakamuraさんに音楽をお願いしたのはどんな思いからだったのでしょうか?

山田:ひきこもり先生は、学校が舞台なので、劇伴のメイン楽器はピアノを考えていました。学校に置いてあるピアノが登場人物の心情によって、ひたすら鳴り続ける・・・そのようなイメージを考えたときにふっと思い浮かんだのが、Harukaさん。昨年11月にサカナクションさんのETV「シュガーシュガー」の選曲家劇場というコーナーで、harukaさんのCD楽曲を使う機会がありまして、そのあたりから徐々にharukaさんの音楽が頭の中にあったのだと思います。ひきこもり先生の台本を1月に頂いたときに、「これは!」と思い、音楽を作ってもらおうと考えるに至りました。楽曲も重要な要素なのですが、私はそれよりも「縁」も大事かなと思います。

unnamed3.jpgS :その台本を読んだとき、「ひきこもり先生」には、どのような音楽が相応しいと思ったのでしょうか?

山田:普通、ドラマ5本シリーズですと、いろいろな楽器を使って楽曲を作ってもらうことが多いのですが、今回はHarukaさんのピアノメインでドラマ全体を網羅することを目指しました。ひきこもり先生の劇伴音楽の特徴としては、物語の導入や展開など、いわゆる「転がし音楽」というようなものがないことです。すべて、主人公「陽平」の秘めた熱・温かさ、娘への懺悔、生徒の孤独、つながりたい気持ち、心の傷 トラウマ、大人の事情等、台本上で「心情があふれ出ている箇所、気持ちが動くところ」を、Harukaさんに、音楽であぶりだして頂いている感じです。

S :haruka nakamuraさんとは具体的にどのようなお話をされたのでしょうか?

山田:どの曲も素晴らしく個人的には思い入れがあるのですが、テーマ曲のいきさつをご紹介します。NHKでは、作曲家の方に、発想の手助けとなるような音楽メモをつくります。西谷監督は、harukaさんとの顔合わせで、「重い話題をとりあげますが、それだけではない、感動のあるドラマにします」と宣言されていました。私はその言葉をかみ砕きながら、harukaさんにお伝えしたのが、「誰かがいることで・・・。救いたい。命をすくう。心の底から、ただ、寄り添う。走る。」といった主人公陽平の秘めた熱・愛情。おそらくharukaさんも、思いは一緒だったのではと思います。第1話のラスト、第2話のラスト、台本片手にharukaさんが書き上げたのが(と勝手に想像していますが…)ここぞというところにかけるテーマ音楽。英語が適正かどうかはわかりませんが、「Besides you」という名前の曲です。このテーマですが、前奏がかかると何故かそばに立ってくれる陽平の顔が浮かんできて、泣けてしまう、そんなパワーのある曲です。

unnamed2.jpg石塚監督からは、「土着な感じ!ニーノ・ロータの“道”みたいに大きく、」という要望が。時には聖歌のような、時にはシャーマンのような声をもつbaobabの舞香さんの歌声と、田辺玄さん達とのバンドサウンド、harukaさんのピアノで、テーマ曲が疾走していく・・・ひきこもりの話なのに、ものすごく熱い曲になりました。第1回の橋の上、第2回の走るシーン、それぞれテーマのバリエーションがかかります。陽平の「生きよう」の声に絡むピアノの駆け上がる感情ラインであったり、背中を叩いて「走れ」の声と共に始まるバンドの疾走感が、征二君の走るテンポにぴったり合っています。しかしこれは、映像素材も何もない時にharukaさんがイメージだけでつくった曲。作曲家の方々は、台本読みながら完成形の映像がみえているのではないでしょうか。

yamada1.jpgS :音楽も含め、今回のドラマ全体の「音」の設計としては、どのように考えましたか?

山田:音の設計ですが、作品全体の臨場感を大事に考えています。視聴者が、その場で見ているような感覚に陥るシーンには、劇伴をつけていません。第1話で言ったら、公園のシーン。ブランコの音だけで二人の距離を表現しています。最近ブランコが新しくて、キーキーと鳴る物を探すのに苦労しました。陽平さんが次にどういう行動をとるか、視聴者が惹きつけられているシーンは、視聴者と一緒にじーっと見ているイメージです。劇伴音楽は良くも悪くも、展開を予見させたり、裏の心情を出してしまう効果があります。なので、登場人物の心情があふれ出てきた瞬間に「ここぞ!」とばかりにharukaさんの音楽がかかるということを大切にしました。

yamada99.jpgS :今回の音作り、音楽作りで一番難しかったところ、悩んだところはどこですか?

山田:第3話のいじめの回は相当悩みました。いじめという描写で視聴者には直感的に不快感を与えつつ、そこで葛藤する登場人物の流す涙があり、且つスクールカーストもわかりやすく伝えるという点では要素が多く、私自身も悩みぬきました。「学校にこなくていい」という言葉はある意味STEPルームの生徒にとって救いの言葉ですが、一方の学校からみれば問題発言。どちらにとるかで音楽の方向が180度変わります。引きこもり先生全般に言えることですが、陽平、生徒、学校、どの側の目線で心情を表現するかということについては、監督、プロデューサー陣と、いつも以上に議論したのではと思います。ネタバレになりますので、ここでは語れませんが、第5話のラストは、本当にたくさんの思いがつまっています。おそらく、私だけではなく、関わった方々の思いが、結実しているのはと思います。是非ご期待ください。

yamada2.jpg

S :最後に、音響効果とは、一言でいうと、どのような仕事ですか?

 山田:昔先輩に言われたことの受け売りですが、「ヒューマン・インターフェイス」だと思っています。人と人をつなぐ役割があるということでしょうか。脚本家の発想、役者の演技、監督の考え、作曲家の奏でる音楽、自然界で発する音、それらをつないでひとつのコンテンツに詰め込むといったところかと思います。

S :ありがとうございました。

投稿者:スタッフ | 投稿時間:18:34 | カテゴリ:ひきこもり先生

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