スタッフブログ

『サギデカ』舞台裏より #6 劇中歌「夜中の逃走」のこと

今日のスタッフブログは、「サギデカ」の劇伴音楽を手がけた谷口尚久さんからお送りします。

1話で登場した「夜中の逃走」、加地(高杉真宙さん)が少年の頃からずっと聞いていたドラマ上とても重要な曲ですが、藤岡正明さんの歌声とともに多くの反響をいただいています。

 sagideka6-1.jpg

 

  ×  ×  × 

 

はじめまして。劇中の音楽を担当した谷口尚久です。

 

劇中歌「夜中の逃走」が、いよいよ次回の第3話で、ふたたび登場することになりました。

それに先立ち、この曲の成り立ちについて少し話をさせて頂こうと思います。

 

まず、今回のドラマの最初の打ち合わせで話題になったのが、この曲についてでした。

撮影スケジュールの都合上、早い段階で必要だったのはもちろんですが、

それ以上に、この曲がドラマにおいて持つ意味が大きいというのが、その理由です。

 

制作スタッフのみなさんの間では、既に濃密な打ち合わせがなされており、

楽曲のコンセプトは明確でした。

それは、心の叫びとでも言うべきエモーショナルさ。

一方、加地颯人が心の支えにしているという設定でもあります。

少年の頃に耳にし、ライブハウスに何度も通い、大事に聴き続けているという曲。

つまり、躍動する疾走感と子守唄のようなバラード的要素という二律背反する命題を満たさなくてはなりませんでした。

sagideka6-5.jpg

 

次に、脚本の安達奈緒子さんを交えた打ち合わせで、曲の最終イメージを伺いました。

その夜、安達さんはひとつのストーリーとでも呼ぶべき原案を送って下さいました。

それは確固たる世界観がある、哀しく苦しい言葉の固まりでした。

 

それらを解きほぐして、歌詞を作りました。

歌詞に関していつも思うのは、作詞とは誰かの想いを先回りして表現することだということです。

誰かとはリスナーのことです。

今回であれば、とある地方バンドが作った曲が、加地青年に共振したという点が重要でした。

加地自身のことを歌っているわけではないのに、自分のことが歌われていると感じられる表現。

そして更には、主人公の今宮にも共鳴するものであらねばなりません。

そんなゴールを目指していると、自ずと自分でも共感出来る歌詞となりました。

 

 

「夜中の逃走」

 

どこまで走ればいいの

どれだけ逃げればいいの

 

真夜中の道

キラリ手招きしてる

価値のないコイン

裏は無垢のサイン

 

どうせくれないなら

くれなくて良かった

齧りかけたパンは

黄金色に腐っていく

 

掴んだら離せなくなるから

 

どこまで走ればいいの

どれだけ埋めればいいの

一瞬の手触り 永遠の手探り

 

確かめたいから言うよ

ただ広げた手に零してよ

この空の下 どこか

いつの日にか 誰か

 

希望なんてないと

言い切れるはずだったら

笑い方も今頃は

こんなんじゃなかったはず

 

拒んでもつきまとってくるから

 

どこまで走ればいいの

どれだけ堕ちればいいの

一瞬の手触り 永遠の手探り

 

終わらせたいから待つよ

ただ広げた手に還してよ

いつの日にか 誰か

 

明けない夜の果て

それでも諦めきれず

薄明かり信じたくなってしまうのはなぜ?

 

どこまで走ればいいの

どれだけ逃げればいいの

一瞬の手触り 永遠の手探り

 

確かめたいから言うよ

ただ広げた手に零してよ

この空の下 どこか

いつの日にか 誰か

 

sagideka6-2.jpg

 

 

しかし大変なのはそこからでした。

この歌詞をもとに曲を書いてみるのですが、頭の中にあるイメージがなかなか形に出来ません。

結局、5案ほどスタッフのみなさんに聴いて頂き、最後に作ったものが選ばれました。

そこに至るまで、いったい何曲作ったのか自分でも分からないくらいです。

 

ロックバンドの曲ですから、楽器はギター・ベース・ドラムスのみ。

曲のデモは、ドラムスだけコンピュータで作成し、他の楽器や歌は自分で演奏しました。

そのデモを元に、ボーカリストを探してもらいました。

最終決定したのは藤岡正明くん。

素晴らしい歌声で、パズルの最後のピースがハマりました。

 

録音にあたって、バンドメンバーを集めようとすると、

旧友であるドラマーの赤間慎くんが、偶然にも藤岡くんのサポートをしていることが分かりました。

録音当日まで藤岡くんには内緒でブッキングしていましたが、スタッフの情報共有が優秀すぎてバレてしまいました。笑

ギターには、親友であり音楽仲間の永田太郎くん。

ベースは自分で弾くことにしました。

 sagideka6-3.JPG

 

録音当日は、みんなでいっせいに演奏できるスタジオを用意してもらい、

フリーテンポで数回演奏した最終テイクを採用しました。

編集は一切せず、サビのハーモニーだけダビングして完成。

大音量でアンプを鳴らして演奏するのは気持ち良かったです。

 

このドラマを観ていて思うのは、それぞれの人が自分だけのストーリーを生きていて、

それらが交錯しながら影響し合い、ストーリーが変わっていくということです。

それぞれの人々が、日々、連綿と続く毎日を乗り越えて「今」があるということです。

この曲が成立する過程でも同じことが起きたんだと、今、振り返って思います。

願わくば、視聴者のみなさんの毎日にも、この曲がささやかな彩りを添えますように。

 

では、次回のサギデカも楽しみにしていてください!

 

谷口尚久

 

 ×  ×  × 

 

そして番組ホームページにて、

「夜中の逃走」フルバージョンを公開中です!! 

 

『サギデカ』第3回は「掌中の娘」。

14日(土)夜9時。どうかお見逃しなく!

 

そして、今日12日(木)夜11時50分から

『ネトバズ』にて、第2回「流転する老人たち」の再放送もあります!

こちらもぜひ!! 

 

 

番組ホームページはこちら

投稿者:スタッフ | 投稿時間:18:00 | カテゴリ:サギデカ

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