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【腐女子ブログ】清水拓哉制作統括に聞いちゃいました、制作裏話☆

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心揺さぶられるドラマの裏情報、ズバっと聞いちゃいました!
よるドラ「腐女子、うっかりゲイに告る。」、ついに残すところ後1回。1日(土)の第7回放送では、三浦さんの体育館壇上スピーチに、そしてクラスメートと純の行動に、はな子、涙腺崩壊…。全力で泣かせにかかってきたドラマの制作統括である清水CPにいろいろ教えてもらおうと思います。

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はな子:
そう言えば清水CPは大河ドラマ「いだてん」も兼務していますよね。

清水CP:
今回はたまたまそうなりました。2017年から上田Dの企画のサポートをしていたのですが途中で彼女がお子さんを授かり、「よるドラ」プロジェクトを離れる可能性が出た。でも本人があきらめずに頑張った結果「腐女子〜」が実現することになり、それは良かったのですが、上田自身は4か月は産休を取らざるを得ない。この企画のスピリットを分かっているのは手伝ってきた自分だけだと思ったし、何より僕自身が思い入れがありましたから、「いだてん」と兼任させてもらうことにしました。
よるドラは、大河や朝ドラ、ドラマ10や土曜ドラマなどと違って、ある種全体に受け入れられなくてもいいから、狭い層でもいいから、そこに強く響くものを制作しようという意図があります。テレビから離れてしまったネット世代の人たちに届くようにするためにはどうすれば良いのか。ネットに期待されていてテレビに不足しているものは何か。逆にテレビの強みは何か。そういうことを改めて考えて新しいものを生み出していこうという試みでもあります。兼務は大変でしたけどそれぞれの良さを実感できて良かったと思います。

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はな子:
上田Dが浅原ナオトさんの原作「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」を読んで共感し、即企画したドラマ。清水さんの原作を読まれた感想は?

清水CP:
原作を読んですぐ“これはイケるな”と。読んだ瞬間バッチリだって思いました。純文学っぽいイメージや雰囲気の世界に流れないで、青春エンターテイメント小説としてきちんとした物語構造で書かれている。これはドラマにしやすいです。登場人物たちの感情も丁寧に描かれて、その上、テーマの切実さ、重さがある。原作に忠実に作れば、しっかりとしたエンターテインメントになると思いました。それにしてもこの「過激」な原作の企画がよく通ったなあと思います。「下ネタ」にも聞こえるような台詞もたくさんありますし。実際に映像化するにあたっては表現で委縮しないよう心掛けましたが、内部から「NHKなんで」と怒られることもなくて、「このドラマにはそれが必要なんだ」とみんなで覚悟を決めて進んだ感じです。

はな子:
プロデュースで特に工夫したところはありますか?

清水CP:
チャレンジングな枠なので色々トライしましたが、視聴者の皆さんにとって「隠し味」のようなポイントもあります。カメラマンと編集マンに、ドキュメンタリー班の人たちにも参加してもらったことです。エンタメ色の強い序盤はドラマ専門の撮影・編集スタッフに牽引してもらい、純の苦悩のリアリティが勝負になる中盤以降には、普段ドキュメンタリーで現実の素材を扱っているメンバーに加わってもらいました。手持ちのカメラワークが臨場感を高め、キャストの葛藤を生々しく繊細に映しとっていると思います。ドラマ班とドキュメンタリー班が互いに刺激しあう良いコラボになったと思います。

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※脚本の三浦直之さん(中央)とキャストのみなさん

はな子:
出演されているキャストの方たちがみなさんハマり役。主演の純役・金子大地さんの目を見ていると、とても切なくなります。金子さんを選ばれた理由は?

清水CP:
金子さんとは実際お会いして、逸材だな、と。純の繊細でフラジャイルな感じが漂っていたのと、男性から見てもドキドキしてしまう色気を持ち合わせている人だって思いました。お芝居の幅広さはもちろんですが、根っこのところでいい人なんだろうと。純という役は人として不誠実なことをしているのですが、金子さんからはそれに負けない誠実さを感じました。

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はな子:
確かに!金子さん、「おっさんずラブ」(テレビ朝日ドラマ)の時と雰囲気が全然違います。それに純は、不倫をしていて、二股、それも相手は親友の好きな女の子という。なかなかに不誠実なことをしています…。

清水CP:
金子さんは“異性愛者である自分が純を演じていいのか”とても悩まれていました。画面に映ることで“セクシャルマイノリティっていうのはこういう人だ”という印象を植え付けかねない。ゲイであることを隠して生きる純を分からなきゃいけないけど、分かったとしてそれを表現出来るのか。常に謙虚に迷いながら演じてくれた姿勢からも彼の誠実さを感じましたし、そのプレッシャーとよく戦ってくれたなって思っています。

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はな子:
純の彼女役・三浦紗枝を演じる藤野涼子さんは、静の金子さんに対して陽な雰囲気がすごくマッチしています。藤野さんを選ばれた理由も気になります。

清水CP:
“金子さんに対しての紗枝はどういう人だろう?”ということから、日本のテレビドラマではあまりしないのですが、金子さんにオーディションに参加してもらい相手役を決めました。オーディションに参加される方はみなさんお芝居は上手だし、表現力も豊か。藤野さんはその中でもポジティブなパワーがピカイチ!
物語上、紗枝がドライブしながらひっぱる部分は多く、そこは大事なところ。一時は命を捨てようと思うくらい落ち込んだ純を救い出せるポジティブなパワーが強い人ですよね。藤野さんのお芝居からは、そんな明るい人柄や表情が出ていて素晴らしいと感じました。

はな子:
マコト役の谷原章介さんも、純の恋人役にピッタリすぎでした!

清水CP:
マコトは高校生と不倫をするダーティーな役。そんな役を引き受けてくれて、ドラマの重心になれる方なんてなかなかいないよなあ、と思っていました。
谷原さんはお芝居はもちろん素晴らしいですし、清潔感もあり、人柄も誠実な方。NHKの歌番組「うたコン」などで爽やかに司会をされているので断られるかと思ったのですが、快く引き受けてくださった。セックス描写については、どういう表現をするのか、どこまでやるのか、事前に細かく話し合っておかないとならないのですが “監督がやりたいことをやります”とおっしゃってくれました。

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はな子:
第1回冒頭が、純とマコトさんのベットシーンから始まったのは衝撃的でした!

清水CP:
スタートのインパクト狙いっていうのはもちろんありますが、同時に純にとって愛する人と結ばれる幸せな時間でもあります。原作にもそれはきちんと書かれていて、同性愛を描くからには真正面から赤裸々に表現しようと。その時点の純にとって大事にしているものからまず入ろうって話し合いました。
ただ、谷原さんはこのシーンの撮影からクランクインになってしまった。どんなシチュエーションであろうと濡れ場は役者さんにとってプレッシャーがかかる上に、それなりの期間付き合ってるカップルとして見せなくてはいけないから、谷原さん、金子さんは大変だったと思いますが、お二人のおかげで素晴らしいシーンからスタート出来たと思っています。

はな子:
「純」と呼ぶマコトさんの声にもシビれました。“声”と言えば、ファーレンハイト役の小野賢章さんの声も耳に残ります。

清水CP:
小野さんの声は、純が頭の中で想像するファーレンハイトの声です。実在感を三次元から引くという意味で、アニメの声優さんにお願いしました。俳優さんのお芝居の途中に声優さんの声が入ることってあまりないので違和感があるかもしれませんが、その違和感こそ大事にして欲しい。実際のファーレンハイトは何者なのか、ここは物語の大きな核ですからね。最終回で明かされます。

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はな子:
はい!いよいよその最終回となります。ドラマの見どころ、教えてください。

清水CP:
原作者の浅原さんもおっしゃっていますが、このドラマは“セクシャルマイノリティの人がどれだけ苦しいか分かって欲しい”というドラマではありません。それを“社会が受け止め、じゃぁどうしていくのか”という物語。そこにある種の冒険、スペクタルがあるドラマです。決して苦しみを分かっただけで終わらせるドラマではないので、純と紗枝がふたりなりの「恋愛」を経てどう成長していくのか、僕ら自身の希望みたいなものが現れてくると思います。最終回もエンターテインメントで魅せますので、QUEENの曲と一緒にぜひ楽しんでください。


【清水拓哉(しみずたくや)】
1978年神奈川県生まれ。2001年入局。演出作品は大河ドラマ「風林火山」「江」「八重の桜」、福岡発ドラマ「見知らぬわが町」、ドラマ10「サイレント・プア」、土曜時代ドラマ「悦ちゃん」など。大河ドラマ「真田丸」プロデューサーを経て、現在「いだてん」の制作統括。

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よるドラ「腐女子、うっかりゲイに告る。」
【放送予定】
2019年4月20日スタート<連続8回>
総合 毎週土曜 よる11時30分~11時59分
再放送:総合 毎週土曜 午前0時40分から1時9分(金曜深夜)
【原作】
浅原ナオト「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」
【脚本】
三浦直之
【音楽】
Akiyoshi Yasuda(★STARGUiTAR)
【出演】
金子大地、藤野涼子、小越勇輝/小野賢章、サラ・オレイン/安藤玉恵、谷原章介 ほか

投稿者:スタッフ | 投稿時間:19:30 | カテゴリ:腐女子、うっかりゲイに告る。

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