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★こちらのページは2022年2月で更新を終了いたしました。

「透明なゆりかご」舞台ウラより #8 

皆さんこんばんは。
第8回『妊婦たちの不安』、放送が明日に迫って来ました。

今夜はそれに先立ち、ドラマのメイン舞台である由比産婦人科のロケセットについて、美術チーフのデザイナー・小林よりご紹介します。

   ×  ×  ×  

「透明なゆりかご・美術の世界」ロケ編

海沿いにバイパスを挟んで建つ、ごく普通の建物(市の福祉会館)。
制作部が探し出したこの場所を由比産婦人科の外観ロケセットにする事は直ぐに決まりました。
生命が誕生した海沿いにあり、その佇まいに時間や時代を超えた普遍性を感じました。
このドラマは1997年の設定ですが、生まれる命と消えゆく命という永遠のテーマを扱っています。
ここが由比産婦人科が建つ最も適した場所であることに、即決でチーフ演出のS監督と意見が一致しました。

b1.jpg元の建物 b2.jpgセット設営途中

福祉会館を産婦人科医院にする。ここからが美術の腕の見せ所です。
この場所、この建物に魅せられたのですから極力この佇まいを活かした設えをしました。
看板を付け、ファザードの庇の上に手摺を設置して建物に厚みを付け、
建物前のスペースにレンガの花壇を作る事で無機質な外観に生命感、季節感、海風で揺れる空気感を表現しました。
自転車置場も白く塗られた木製で温かみを持たせています。

b3.jpg   b4.jpg セット完成

ドラマ冒頭で外壁がピンク色に塗られています。この色味を決めるのには苦労しました。
何色かサンプルを作ったのですが、なかなかS監督のOKが出ません。
後々アオイが塗る水色のライン、ヒヨコの黄色、陽介がぶちまけるペンキの色などとのバランスを考え、
日本の伝統色を元に調合してやっとOKが出ました。

b5.jpg   b6.jpg

由比産婦人科の看板ロゴは、奇をてらわず普遍的ではあるが優しさを感じる丸ゴシック体とし、青色にしました。
青田アオイだから青色、ダジャレの様な理由ですが半分本当です。
安達さんの脚本を読んだ時何故か青色を感じたのです。
アオイの私服やメモを取る為のペン、自転車、カバン、病院のカーテンやブラインド、必然偶然含め多くのシーンに青色が散りばめられています。
2話に出てくる場面でアオイが自転車で千絵の家へ向かう途中の坂道にある家の屋根や雨樋、しずちゃんのコットの車輪も青色です。
しずちゃん自身も青い光を浴びてました。青色に透明感を感じたのかも知れません。

b7.jpg 青い自転車と青い屋根 

 由比産婦人科ロケの最終日、最終カットOKが出た後すぐにセット部分は壊され撤収されます。由比産婦人科がなくなります。
大道具さんが作業する傍らで、清原果耶さんがセットに向かい手を合わせて何か話かけていました。
その姿は命のカケラを集めたケースに話しかけるアオイの姿に重なりました。  

 

   ×   ×   ×  

「透明なゆりかご・美術の世界」、来週はスタジオ編もお届けします。

 

そして第8回『妊婦たちの不安』は、あす7日(金)夜10時から放送予定です。どうぞお見逃しなく。

ただし、予定変更の可能性があります。テレビ番組表や公式ツイッター(https://twitter.com/nhk_dramas)でお知らせして行きますので、宜しくお願いいたします。

 

 

 

 

 

投稿者:スタッフ | 投稿時間:18:00 | カテゴリ:透明なゆりかご

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