第1話をご覧くださった皆さま、ありがとうございました。
番組プロデューサーのすざきと申します。
デリケートな題材ですし、見る人に解釈を委ねるようなところもあったかと思います。皆さんはどのように感じられたでしょうか。
今夜のスタッフブログは、
第1話に登場したゲストの役者さんたちをご紹介したいと思います。
まずは、アオイが初めて経験した出産シーン。
夫と娘が見守る中、男の子を出産した武藤さん役・深谷由梨香さん。小劇場界の女優として活躍する深谷さん、今回はご自身の出産の経験も活かしながら、まさに体当たりで臨んでくださいました。
顔合せの時には、夫役の坂口辰平さん、子役の古川凛ちゃんに積極的に話しかけ、肝っ玉お母さんぶりを発揮していた深谷さん。
この分娩シーンは、言わば長丁場でした。リハーサル、お芝居の撮影本番、そして本物の赤ちゃんのカットを撮影する日、計3日に及んだのです。その3日とも、深谷さんは分娩台の上で、常にテンション、フルスロットル状態。
そのパワフルさを皆さんも目撃したと思いますが、一番最初のテストから、最後まで、常にあのテンションでした。「母って、すごいな」と思いました。
一方、産婦人科の“影”の側面とも言える、アウス(人工妊娠中絶)に臨んだ女性・寺田さん。
演じたのは斎藤ナツ子さん。見る人の印象に強く残ったのではないでしょうか。
この役柄をどう演じるか、悩んだという斎藤さん。
シーンは、「透明なゆりかご」スタジオ撮影の初日に収録されました。
その前日、セット内にてリハーサルが行われ、出演者、指導のお医者さんや看護師さん、スタッフ、一同がはじめて分娩室のセットに集まりました。初めて見る医療器具がズラリと並び、各部が緊張とともに手探りする中、まずこのシーン全体の流れをざっくり掴もうと、段取り確認が行われました。
とりあえず分娩台には助監督スタッフが座り、斎藤さんは傍らで立って見学。ただ、流れ確認のためセリフだけ、しゃべってもらうことに。
流れが進み、監督の合図を受けて、斎藤さんのセリフ。「…先生、男の子ですか、女の子ですか」その時、斎藤さんの目から涙がこぼれて、頬を伝っていくのを僕は確かに見ました。
まだ段取り確認に過ぎないのに、彼女は寺田さんになりきっていた。そして、本番での寺田さんの静かな存在感は、皆さんがご覧になった通りです。
その時、この作品を手がけるにあたり、生半可な気持ちでは到底つくれないなと強く感じました。いや、そんなことはプロとして当たり前で、どの作品の時だってそうなんですが、なんというか、この作品は特に、そうなんだなと、あらためて身の引き締まる思いがしたのです。
第1話のメインゲスト、田中さんを演じる安藤玉恵さん。
未受診妊婦の女性の生きざまを、体現してくださいました。
自分が「あぁ、なんか、田中さんぽいなぁ」と感じたのは、このカットです。
不倫相手には逃げられ、絶望の中でベッドに寝そべって、無為に過ごす田中さん。片足でもう片方の足を掻いたりして。
実は安藤さん、このシーンを撮る前、スタッフのセッティングタイムの間もずっとセット内のベッドに寝そべっていました。何をしているのか尋ねたら「こうやって目つぶって照明さんがカンカン作業している音とか聞きながら、田中さんの人生について考えていたんです」。それを聞いたチーフ演出の柴田が、もともと座っているつもりで考えていたこのカットを、寝そべって撮ることを思いつき、このような感じになりました。
その田中さんと長年不倫した挙句、子どもを産ませてしまった男性。
演じるのは奥田洋平さん。朝ドラファンの方なら「ひよっこの工場長の人」と言えば、ピンと来るかも知れません。
台本上の台詞は少ない役柄だったのですが、衣装合せの時に「もともと田中さんとはどういう関係だったのだろうか」と、奥田さんとざっくばらんに雑談しました。それを聞きながらいろいろ想像をめぐらしている様子だった奥田さん。
実際の撮影ではアドリブもまじえながらリアルに演じてくださり、田中さんとの愛憎入り混じる関係性が生々しく浮かびあがりました。
・・長々と書いてしまいましたが、最後はこの一枚で締めたいと思います。
安藤玉恵さんと奥田洋平さんが、撮り切った時の記念写真です。
安藤さんと奥田さん、清原さんと水川さんも交えての笑顔を見ながら、「田中さんにこのあと、幸せが訪れるといいな・・」と、なぜか、ドラマの中の“田中さん”に向けて、ちょっと祈るような気持ちになりました。(現実と虚構をちょっと混同してますね…自戒)
「透明なゆりかご」第2回は、「母性ってなに」。
ゲストは、平岩紙さん、蒔田彩珠さんほか。
27日(金)夜10時。ぜひご覧ください。
ドラマ10「透明なゆりかご」番組公式HPはこちら
投稿者:スタッフ | 投稿時間:23:20 | カテゴリ:透明なゆりかご