スタッフブログ

「夏目漱石の妻」#8 シューベルトのピアノソナタ第21番

演出の柴田です。

「夏目漱石の妻」をご覧いただきありがとうございます。

みなさんのご感想、いつも大変うれしく拝見しています。

 

さて今回は問い合わせの多かった、シューベルトのピアノソナタ第21番についてです。

 

この曲は、「夏目漱石の妻」では「夫婦」のテーマとして使われています。

 

憧れを秘めたかのような優しい旋律で始まる冒頭。しかしそれもやがて地の底からのきにも似た低音によって断ち切られて静寂の間となる。また穏やかな主題が復活します。が、その旋律も転調して長調から短調へ、時に嵐の様な激しい表情も見せながら変奏を重ねてゆき…、最後、再び元の穏やかな主題へとゆっくり戻ってゆく。

 

まるで鏡子と金之助、この夫婦が重ねていった人生の年輪、そのもののように感じます。

初めての出会い、その時二人が感じたであろうドキドキする将来への希望や不安、やがて訪れる挫折、そして大きな成功、でもそこから生まれるすれ違いや倦怠、亀裂、二人で様々なものを生み出し、やがて少しずつ色々なものを失っていく…、様々なことを経て、それでも、共に歩んでいく二人。

 

明と暗、安らぎと不安が、繊細な合わせ鏡のようになって進んでゆくこの曲こそ、「夫婦」というものの本質と変遷を見事に表現していると思いました。

丁度「夏目漱石の妻」の企画を立ち上げ始めた頃の話です。

以来、この曲を心の中で通奏低音のひとつとしながら、このドラマを作っていきました。

 

ピアノ演奏は、田部京子さん。

 

natume0801.png

natume0802.png

この名曲は実に多くのピアニストが録音しておりその表現方法も様々ですが、僕には、田部さんの演奏が最もこの曲の繊細にして大胆な表情を余すところなく表現しているように思えます。

それでこのドラマのために今回、田部京子さんに新たに演奏をお願いし、新録音が実現しました。かつての田部さんのCD録音より少しだけテンポを落とした、じっくりと味わい深く弾き込まれた今回の録音、絶品です。

 

ちなみにシューベルトが亡くなったのが1828年。漱石がロンドンに留学したのが1900年から3年間。当時はシューベルトのピアノソナタがあまり脚光を浴びていなかった時代ですが、でも、留学中の漱石が、どこかでこの曲を聴いていたとしたら…とついつい想像をふくらませたくなってきますね。

 

「夏目漱石の妻」いよいよ最終回の再放送を残すのみとなりました。

最後まで、どうぞじっくりとお楽しみください。

土曜ドラマ『夏目漱石の妻』の公式HPはコチラ

投稿者:スタッフ | 投稿時間:13:14 | カテゴリ:夏目漱石の妻

新着記事

新着ブログ

月別から選ぶ

2017年

開く

2016年

開く

2015年

開く

2014年

開く

2013年

開く

2012年

開く

2011年

開く

2010年

開く

2009年

開く

2008年

開く

放送終了番組

開く
ページトップへ