今回は『精霊の守り人』に登場する各国の風土や文化のコンセプトについて語っていただきました。原作の世界観をベースに、実在する国の風土や文化を重ね合わせて、そこからどこにもない国をつくりあげていきます。そのプロセスやロケハン時にインスパイアされた裏話など、盛りだくさんな内容でお届けします。
■風が砂を舞いあげる草原の国、ロタ王国。
シーズン2の中心になるロタ国は草原の国。風と光と色があふれています。
当初モンゴルやカザフスタンのイメージと言っていたのですが、途中からモンゴルは違うなと思えてきました。ロケハンでネパールに行ったときに、中央アジアの国々は日本みたいにずっと1つの国ではなく、小さな民俗がたくさん集まって、1つの国をつくっているということを実感しました。だから、たまたまこのドラマの時代はロタ王国の王様が統制していて、ロタ王国が成立している感じかなと。「はっきりした国」というよりは、多様な文化を持つ人たちが集まって1つの国になったというイメージです。いろんな民族が出入りして充満しているということは世界の広さを代弁するのだと思います。ロタ王国はそういうコンセプト。ちょっと迷路に迷い込むような感覚ですね。なので、制服を着るような国ではなく、各民族のアイデンティティーやカラーが混じり合っています。ロタ王国は、新ヨゴ国に比べたら「多様性」がある雰囲気にしたかったのです。
■部屋にドアはなく、テント暮らし。
遊牧騎馬民族の武者が統制して国を治めたということもあって、ある意味オープン。遊牧民は部屋を持たないので、仕切りのないテントで暮らしています。これがシーズン2のロタ王国の世界観です。例えば、ツーラムの宿の個室や食堂も、ドアはありません。1つの大きな部屋を衝立で仕切って…という混沌とした感じです。脚本には「食堂」とありますが、道端や外でワイワイ食べていて、泊まった人もそこへ食べに行くとか、色々な格好の人がいて面白い感じ…それがロタ王国のイメージです。元々、北と南で全然違う人たちが住んでいて、今はヨーサム王が治めていて、さらに先住民であるタルの民がいます。彼らを押しのけて、追いやって住んでいるのですがタルの風習や文化は受けて入れています。祠をつくってみたり、街の賑わいのなかにもタルの民が占いをしていたり、と部分的に受け入れながらも征服している感じですね。
■さまざまな人種の遊牧民が交差する。
同じ遊牧民でも南の人たちは外国にふれているから、ちょっとまた違うイメージ。ひとくちに遊牧民といっても人種も色々で、さまざまな種族がいます。その中をバルサ達が点々と旅をするというのがシーズン2です。ロタ王国の家は、パオ、布張りの家、石造りなど色々な形式をつくりました。王城のイメージもツーラムと根本的なテイストは同じです。ガチッとした鉄の扉とかはなくて、ゆったりと布で仕切っています。境界がないので風通しがよく、布を多用する国民性です。調度品や衣服も、素朴で、なんとなくざっくりしていて、手づくり感あふれる工芸品的な感じにしました。
■シンプルな服に布を巻いて個性を表す。
ロタ王国の衣服は、ベースはとにかくシンプルで、ストンとしたワンピースです。そこに自分で布とか、ストール、アクセサリーとかのアイテムを加えていく。そういうことで、それぞれの民族からあふれるような個性を出そうということになりました。服のベースはアースカラーで、環境にまぎれる色。さし色として使われる色彩の種類は豊かで、楽しい雰囲気になっています。
『精霊の守り人』アイデアの結晶 「アスラエフェクトのスゴ技に迫る!」
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投稿者:スタッフ | 投稿時間:17:00 | カテゴリ:精霊の守り人