「ふたつのスピカ」第6回、いかがでしたか?
プロデューサーの橘です。
第6回、いかがだったでしょうか?
第4回、第5回、第6回と、宇宙学校っぽさは少し薄れていますが、青春群像劇として僕たちが作りたかったドラマの全てが込められているといっても過言ではないです。
正直に言えば、第6回は、台本作りの段階からいいドラマになるのではないかという期待がありました。荒井修子さんの書いてくれた台本を読みつつ、自分の中でも映像的なイメージが広がっていったわけですが、それを遥か超えて、キャスト、スタッフ全員が素晴らしかった気がします。
荒井修子さんの脚本も素晴らしく、塚原ディレクターの演出、出演者の芝居も素晴らしく、また、細かいところまで含めた現場スタッフの仕事、そして編集段階でのスタッフのねばり、その全てが積み重なって、本当に素晴らしい回になったのではないかと思います。
見てくださった皆さんに、何か少しでも響くことものがあれば、うれしい限りです。
というわけで、今回も橘的第6回の”ツボ”をダイジェストでお送りいたします。
◇秋とさくらのシーン
お兄ちゃんが宇宙飛行士で妹が考古学者、この設定は原作にもありましたが、何かこの相反しているようで、どこか通じるものがある夢というのが、僕はにとってはすごく物語的でとても好きです。
秋とさくら(桜)、二人合わせて「秋桜(コスモス)」。コスモスとはギリシャ語で「宇宙」という意味もあるんですよね。
◇訓練中の拝島、アスミ
拝島の台詞が僕はとても好きです。
「努力した、才能もある、それでも掴めるかわからない。だからそれを夢というの。宇宙で何かを掴みたいなら、もっと強くなりなさい」
この「努力した、才能もある、それでも掴めるかわからない。だからそれを夢というの」という台詞は、とても重要なメッセージとテーマが込められています。
僕らが「ふたつのスピカ」というドラマで描きたかったアスミたちの姿というのは、単に「頑張れば夢は叶う」という簡単なメッセージを体現するためにあるのではなく、むしろどれだけ頑張っても叶わないことがある、いや現実の世の中では、圧倒的多くの人が夢はかなわない、そのことをどうしても描きたかったです。
みんなで一緒に宇宙に行けるわけではない、みんなの中から一人選ばれても尚、秋のように突然夢が絶たれてしまうことがある、そのことをきちんと描いた上で、鴨川アスミという一人の女の子がその中をどう前に進んで行くか、その姿に、僕たちは「これからの時代の希望と、次の時代に伝えたい大切なもの」を込めたいと思ったのです。
秋の死は、原作でも涙なしには読めないエピソードですが、単に物語上のドラマチックさのためだけでなく、秋の無念さからも何か感じるものがあるようにしなければいけない、そんなことを思ったりしました。
◇秋が星座に手を伸ばすシーン
もしかしたら、ドラマ版「ふたつのスピカ」のベストシーンで人気投票をしたら、このシーンがトップになるのではないかと思ったりします。
「なんで届きそうなものほど、手が届かないんだろう」
このシーンが秋の生前最後の姿なのですが、中村優一さんの芝居があまりにも素晴らしくて僕はちょっとびっくりしました。
第5回のダイジェストでも書いたのですが、鈴木秋というのは、ともすると完璧すぎて嘘っぽくなりがちなキャラクターなのですが、中村優一さんが鈴木秋という人物を演じる中で、鈴木秋は本当に精一杯生きていた気がします。
中村優一さんは、外見に似合わず真面目で(笑)、撮影前から、本当に真摯に鈴木秋という役に向き合っていました。
第6回の台本を渡してから数日後、台本読んでどうだった?と聞いたら、台本読んでからしばらく精神的に辛いです、と言っていて、その時は「何、役と混同してんだよ~」なんて言って茶化していましたが、ああ、そこまで鈴木秋は中村優一の中でリアルになっているのかとちょっと感動したのを覚えています。
彼は鈴木秋という役を通じて、命の大切さ、夢の重さなど、色んなことを考えたそうです。本当に彼にこの役をオファーして良かったと心から思っています。ありがとう、中村優一、さらば中村優一!
・・・と言いつつ、予告編にもあったように、最終回も鈴木秋はちょっと登場します(笑)。ファンの皆様、ご期待ください。
ちなみに、このシーンでかかっているのが僕の大好きな「spica」という曲です。いつもくどくてすいません。。そして、音響効果の石井さんの音のあてかたが抜群だと思います。音量調節のフェーダーを動かす石井さんの指に魂がこもっています。
◇クライド・トンボーのエピソード
脚本家荒井修子さんが考えてくれた最高のネタだと思います。
1930年2月18日に冥王星を発見したアメリカの天文学者クライド・ウィリアム・トンボー(1906 - 1997)。その後、冥王星が惑星から準惑星に変更されたのは、奇しくも彼の生誕100年目という年であり、同年打ち上げられた冥王星探査機「ニュー・ホライズンズ」には、彼の遺灰の一部が収められた。
たったこれだけの事実ですが、このエピソードを秋になぞらえ、最高のシーンにしてくれました。
◇秋の葬儀のシーン
さくらの「ねこふんじゃった」は、本当にせつないですね。あれはさくら役の菊里ひかりさんが自分で弾いています。
当初僕や塚原ディレクターの中では「ねこふんじゃった」がかかることで、思わずふき出してしまうというか、悲しいシーンが興ざめするのでは?という懸念があったのですが、菊里さんのピアノに救われました。菊里さん、ありがとうございます。
ちなみに、変顔写真もあまりにみんな面白い顔しているので、同じ心配があったのですが、それが逆にせつなさを増大させていて、本当にいいシーンになっています。
でも、いつか忘れた頃に一時停止して見て見てください。みんな、ひどい顔していますから(笑)。
◇第6回のアスミについて
アスミのことをあまり書いていませんでした。
第6回のアスミは演じるのもすごく難しかったと思います。
アスミ以外も、それぞれに秋の病気、死に対して向き合う回なので、シリアスなシーンが多いですが、その中でもアスミの葛藤や決意というのを桜庭ななみさんがよく演じきってくれたと思います。
NASA留学の後任に選ばれた時、うっかり心のどこかに喜ぶ気持ちがあったのではないか?本当に宇宙に行きたいからこそアスミは葛藤します。仲間に不幸があって、空いた椅子に自分は座っていいのか。強くなれというのは簡単だけれども、夢をかなえるということはそういうことなのだろうか?
こういったアスミの葛藤は、最終回でも引き続き描かれていく部分です。
それにしても、桜庭ななみさんは涙が似合います(笑)。元気一杯な表情とは別に、せつなそうにしている表情が何かいいなというのは、前から思っていたのですが、ギリギリのところでふんばる、涙をこらえて頑張る、そういった姿が本当に素敵です。
◇ラストのマラソン
まずゴルゴさんの演技があまりにも素晴らしくて感動しました。
原作でも大西先生というのは、ちょっと抜けている所と、ビシッと決める所のバランスが絶妙なのですが、ドラマの方でも、第3回の「サーモンスキャン」や数々の場違いキャラを演じつつ、その裏にある、熱く思いやりのある部分がゴルゴさんによって見事に昇華されている気がします。
あと、個人的には府中野が「近江」と叫ぶのが、かなりぐっときました。大東俊介さんもこういう切ない感じが似合うんだよなあ。このシーンの大東俊介さんは最高です。撮影現場でも、圭役の高山侑子さんが、この府中野の言葉に背中を押されたと言っていました。
よく現場で、高山さんと大東さんが、「ふっちーと圭は隠れ親友なんだ」と言っていて、僕はそれを聞いた時、何かすごいうれしかったんです。僕らが考えている以上に、役者の中でどんどん関係性が広がっていて、想像以上に絆が生まれている。あー、こいつら、本当に意味で仲間になっているんだなあって。
そして、府中野に背中を押された圭が走り出したものの、立ち止まって泣くシーン。
秋が死んでから、葬式の時でさえ泣けなかった圭が、初めて泣きます。みんなが走り出しても、最後まで立ち上がれなかった圭。大西先生の「1、2、3・・・」という声(僕はこのゴルゴさんの数える声ですらちょっとウルっとします)の中、府中野にも背中を押されてやっと走り出した圭が、1週走ったところで立ち止まる、そしてそれまでの思いがとめどなく溢れ出してしまって、号泣する。
本当に素晴らしい演技、素晴らしいシーンだと思います。圭ちゃんは、5人の中でも最も今時っぽいというか、これまでは元気一杯ムードメーカーという感じでしたが、だからこそこのシーンの圭ちゃんはせつなく、心打たれます。
この圭ちゃんの涙に、撮影現場でも涙を流すスタッフが多かったです。
以上、また長くなってしまいましたが、第6回のツボ・ダイジェスト(勝手に略してツボダイ)をお送りしました。
これはあくまで僕個人のツボでして、見てくださった皆さんには、それぞれのツボがあると思います。良ければ、そんな感想も掲示板に書き込んでやってください。
スタッフ、キャスト一同、いつも楽しみに読んでいますので、皆さんからの書き込みを心よりお待ちしています!
投稿者:スタッフ | 投稿時間:21:57 | カテゴリ:ふたつのスピカ | 固定リンク
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