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『悠久のアンダルス』作・並木陽さんの「あとがき」

昨夜の放送をもちまして青春アドベンチャー『悠久のアンダルス』全10話が完結いたしました。

ただいま第6話から最終話まで「聴き逃し」配信中です。物語の後半戦、ぜひ何度でもお楽しみ下さい。

 

そしてラストシーンまでおつきあい下さった皆さまへ、作者・並木陽さんによる「あとがき」をお届けします。

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【作者・並木陽さん「あとがき」】

皆様、全十夜のアンダルシアン・ナイト、お楽しみいただけましたでしょうか?

今回は、十二世紀半ば頃のイベリア半島で、イスラム勢力圏が幾つもの小王国(タイファ)に分立し、キリスト教諸国ではレコンキスタが盛り上がっていた時代のお話でした。

 

これまでに私は、三十年戦争を題材にカトリックとプロテスタントの対立と調和への希求を描いた『暁のハルモニア』、第四回十字軍における西欧諸国と東ローマ帝国の戦いを描いた『紺碧のアルカディア』という二つのオリジナル作品を書かせていただきました。それに本作、アンダルスを舞台にイスラム教徒とキリスト教徒の共存の理想を追う人々を描いた『悠久のアンダルス』を加えて、同様の主題を扱った三部作と言えるものになったのではないかという気がしております。

 

ちなみに史実との関連については、イスラム教小王国(タイファ)の一つであるムルシア王国の最盛期を築き、「狼王」の異名で知られたイブン・マルダニーシュという王様が、アル=ディーブ(そしてその跡を継ぐラシーダとヒシャーム)の一応のモデルです。バルセロナ伯ラモンは、イブン・マルダニーシュと渡り合ったラモン・バランゲー四世を想定しています。ただ、私はいにしえのアンダルスで繰り広げられるこのお話を、歴史を忠実に描いたものというより、アラビアン・ナイトや昔語りのようなおおらかな物語にしたいと思っており、かなり自由に創作しています。歴史上の大事件や時代の転換点それ自体よりも、その中で生きていた人々の個人的な出来事、理想や夢、愛や絆、様々なしがらみや葛藤に焦点を当てたつもりです。

 

放送が終わってしまう時はいつも、登場人物たちとの別れが寂しくてたまらなくなります。ラシーダ、リカルド、ヒシャーム、アル=ディーブ、カトルンナダー、ラモン、カーシム、ハディージャ、フェデリコ、ニスリーン、ミゲル、ハサン、そしてマンスールとユースフ。キャストの皆さんによって命を吹き込まれたみんなのことが、私自身とても好きになってしまいました。できることでしたら、皆様のお心のどこかで、この物語のことをそっと覚えていていただけたら嬉しい限りです。

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オリジナル脚本による作品は言ってみれば、放送が世界初演。しかもオンエアーで聴いていただく場合は、物語の続きを知るために、一日待っていただかなくてはなりません。このテンポ感、今どきもどかしいとお感じになるでしょうか。あるいは慌ただしい毎日の中の、よきリズムにしていただけているかもしれません。

 

聴き逃し」配信も放送の当日から聴けるようになり、さらに皆さまのライフスタイルに合わせてお楽しみいただけるようになりました。

 

毎夜ひととき、想像力のアドベンチャー。また新たな物語世界でお逢いできる日を……!

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青春アドベンチャー『悠久のアンダルス』(全10回)

~灼けつく太陽、花咲ける都の伝説、忘れえぬあの熱き瞳~

 

【NHK FM】

7月27日(月)~8月7日(金) 平日の21時15分~21時30時 NHK-FM

(ネット同時配信&「聴き逃し」配信あり ※放送から1週間)

 

【作】並木陽

 

【音楽】日高哲英

 

【出演者】

朝夏まなと 伊礼彼方 相葉裕樹 咲妃みゆ

今井朋彦 遠山裕介 桜一花 横田栄司

瑞生桜子 梶原航 酒向芳 廣田高志

常住富大 大河原爽介 大西統眞 植原星空

 

 

投稿者:スタッフ | 投稿時間:10:09 | カテゴリ:オーディオドラマ

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