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『紺碧のアルカディア』作者・並木陽さんの「あとがき」

オーディオドラマ担当Fです。昨夜の放送で青春アドベンチャー『紺碧のアルカディア』が完結しました。

作者・並木陽さんによる「あとがき」をお届けします。

※物語の結末に触れる内容ですので、未聴の方はご注意お願いいたします。

なお、最終回の「聴き逃し」配信は、今日11月2日(土)正午から1週間です。

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【作者・並木陽さん「あとがき」】

人々の信念や欲望が交錯し、混迷を極めた第四回十字軍。西欧の国々が当時文化的により成熟していたはずの東ローマ帝国を倒してしまったというこの事件は、その後の世界の力関係に大きな影響を与えます。前作『暁のハルモニア』の舞台「三十年戦争」と同様、世界史上の重要な転換点の一つであり、ぜひ描いてみたい題材でした。

昨年の『暁のハルモニア』の放送前後に本作を構想し始めたのですが、前作の主人公ヨアヒム・ハインツェルにいつしか本当の友人に対するような気持ちを覚えていた私は、彼を失って自分でも思いがけないほどの深い喪失感に見舞われていました。フェリチータとテオドラには物語の最後まで生きていてもらいたい。破壊と略奪の渦巻くこの悲劇を何とか生き抜いて、各々の務めを果たしてもらいたい。彼女たちを救う方法を探して第四回十字軍に関する資料にあたる中で、コンスタンティノポリスの市民を助けようと私的に行動したヴェネツィア人も存在したことを知り、そこにこの物語の希望を見出しました。

余談ですが、本作の舞台となった十三世紀初頭、コーカサスのグルジア王国は最盛期を迎えていました。当時の君主は高名なタマラ女王。かつて花總まりさんが演じて下さった『斜陽の国のルスダン』の主人公ルスダンの母親です。第四回十字軍によるコンスタンティノポリス占領後、タマラ女王は東ローマ帝国の皇族を支援して亡命政権トレビゾンド帝国を打ち立て、この国は後に、テオドロス・ラスカリスが建国したニカイア帝国の好敵手となります。また、作中でルーム・セルジュークとエルズルムにも少し言及しましたが、こちらはルスダン女王の夫ディミトリ王子の故郷でした。東地中海からコーカサスへ、世界のつながりを感じていただけたらと思います。

「アルカディア」は未だ見つからずとも……。東地中海にたくましく生きた二人の女性と、彼女たちを取り巻く人々の物語が、皆様のお心に残れば幸いです。

 

斜陽の国のルスダン』の原作、『暁のハルモニア』の脚本に続く並木陽さんの青春アドベンチャー三作目。今回も前作と同様、いわゆる「あて書き」で脚本を作り上げていきました。花總まりさん坂本真綾さん、井上芳雄さんをはじめ、実在、創作を問わず、並木さんが描き出した個性あふれる登場人物たちに命を与えて下さったキャストの皆様、そして、『紺碧のアルカディア』の世界へ想像力を羽ばたかせて下さったリスナーの皆様とも、よろしければ、また新たな作品世界への旅をご一緒できる機会があることを願いつつ、カーテンコール代わりのブログ記事を閉じます。

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青春アドベンチャー『紺碧のアルカディア』(全10回)

~待っているがいい、愛しい黄金の都よ……おまえは私のものだ!~

 

【作】並木陽

【音楽】日高哲英

 

【出演者】

花總まり 坂本真綾 井上芳雄 霧矢大夢

石川禅 伊礼彼方 栗原英雄 原康義

チョウヨンホ 丸山厚人 鍛冶直人 板垣雄亮

吉田舞香 櫻井優輝 木下祐子

 

 

投稿者:スタッフ | 投稿時間:09:41 | カテゴリ:オーディオドラマ

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