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『また、桜の国で』放送を終えて

オーディオドラマ担当のFです。『また、桜の国で』全15回の放送が終了しました。

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常日頃、フィクションで歴史を扱うこと、とりわけ戦争を描くことの難しさを感じています。史実は厳然として存在する、しかし敢えてそれを含む事象を物語で提示することの意義は何なのか、という疑問がつきまとうのです。歴史書やドキュメンタリーや報道によって、過去や現在のリアルな世界を窺い知るための手がかりは、数多提供されてもいます。

 

仮に物語が史実に従属し切るならば、それは、知るきっかけとしての意味はあっても、確定した事実の絵解きに過ぎなくなるでしょう。一方、史実を物語の都合で費消する、平たく言えば感動のための材料としてだけ扱うことは、最も戒められるべき行為です。そうした逡巡の中でも、優れたフィクションに魅力を感じるのは、歴史もまた大きな物語であり、常に書き換えられていく可能性に開かれていることと関係があると思います。それは善きにつけ悪しきにつけ、どちらの意味においてもです。

 

単純に割り切れない矛盾の只中に置かれた個人が、何を見て、どう生きるのか。その状況を追体験させてくれるのが、俯瞰的な歴史叙述ではなく、個人に焦点を当てたフィクションに触れる醍醐味ではないでしょうか。主人公とともに、じわじわ迫り来る開戦の重圧や、時に耳を塞ぎたくなりかねないような悲劇を、多くの方と一緒に共有し得たことの意味は小さくないと信じます。

 

棚倉慎に会いたかった。彼の生きた軌跡を皆さんと心に刻みたかった。それが、制作者としての偽らざるシンプルな出発点でした。

 

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【井上芳雄さんからのコメント】

今回、ラジオドラマに初めて挑戦させてもらいました。その作品が、「また、桜の国で」だったことをとても嬉しく、光栄に思います。

今、棚倉慎という、ポーランドと日本の間で必死に生きた人間を演じられたことに、とても大きな意味があると思うからです。

今まで舞台で共演させてもらった方との再会、初めましての方との出会いもあって、充実した収録の時間でした。

少しでも聞いて下さる皆さんの心に、引っかかり、残るものがありますように。

 

棚倉慎に逢わせてくれた井上芳雄さん、ともに物語世界を生きて下さったキャストのみなさん、大切な物語と登場人物たちを預けて下さった須賀しのぶさん、そして長丁場におつきあい下さったリスナーの皆様、さらにフィクションの彼方に生きていた、あの時代の無数の人々に想いを馳せながら、このリポートを閉じたいと思います。

 

これからの「青春アドベンチャー」にも、ご期待下さい。

 


 

番組へのご意見、ご要望などございましたら、メッセージ・フォームまでお願いいたします。

 

ご好評を頂戴している「聴き逃し」配信は、放送翌日の正午から一週間です。

 


 

 

青春アドベンチャー『また、桜の国で』(連続15回)

~たとえ憎悪と暴力が世界を覆い尽くしても、この想いは消えない。~

 

【NHK FM】

8月28日(月)~9月15日(金) 平日の午後10時45分~午後11時

【原作】須賀しのぶ

【脚色】藤井香織

【音楽】山下康介

 

【出演者】

井上芳雄 中川晃教 坂本真綾 鈴木壮麻

亀田佳明 栗原英雄 菅生隆之 豊田茂

水野ゆふ 秋山エリサ 長谷川敦央 谷田歩

山本道子 粟野史浩 梶原航 林次樹

山本与志恵 佐古真弓 石橋徹郎 今泉舞

藤村真優 杉村透海 山崎智史 青木柚

山田瑛瑠 小嶋一星

投稿者:スタッフ | 投稿時間:11:44 | カテゴリ:オーディオドラマ

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