やけに弁の立つ法律考証会議

やけに弁の立つ法律考証会議

「やけ弁」の法律考証を担当する弁護士たちによる解説コラム。その名も「やけに弁の立つ法律考証会議」。初回は番組のスクールロイヤー考証を担当する神内聡さんによる「スクールロイヤー」解説です。

「スクールロイヤーについて」

…弁護士 神内聡

2018年4月14日公開

本番組のスクールロイヤー考証を担当しています、神内です。
私は私立高校の社会科教師と、子どもの権利や教育問題を専門とする弁護士を兼業しています。
弁護士資格を持つ医師や公認会計士は結構いますが、弁護士資格を持つ教師は日本ではまだ珍しいかもしれません。私は今年は高校2年生の担任と現代社会の授業を主に担当しながら、教育委員会や学校法人のスクールロイヤーを担当しています。

ところで、この番組のテーマでもある「スクールロイヤー」ですが、皆さんはどんなイメージの弁護士を想像しますか?
スクールロイヤーは、いじめの問題を解決する際に教師をサポートしたり、いじめを予防するための教育を子どもたちに実施するために、学校に派遣される弁護士のことを指します。
実は、こうしたスクールロイヤーと呼ばれる弁護士をすでに導入している地域もあるのですが、今年度からは全国10か所の地域で文部科学省の予算の下でスクールロイヤーが導入されることになりました。

やけに弁の立つ法律考証会議

これまでも弁護士は学校相手の裁判を担当したり、自治体や学校法人の顧問弁護士を担当したり、教育委員になったりと、様々な形で学校と関わってきました。しかし、本当に子どもの利益を守り、教師の負担を軽減する役割を担ってきたかと言えば、そうとも限りません。スクールロイヤーはそんな現状を改善するために導入されることになった、弁護士の新しい仕事の1つとも言えます。

この番組の主人公である田口弁護士は、週2日学校に勤務するスクールロイヤーです。実は、これまでのスクールロイヤーや、今年度から文部科学省が導入したスクールロイヤー制度では、弁護士が学校に定期的に派遣されるのではなく、事件が起きたら派遣されるスタイルをとっており、田口弁護士のようなスタイルではありません。田口弁護士は、このスクールロイヤー制度と私のような教師も兼ねる弁護士の「中間」ともいえるスタイルで、これからのスクールロイヤー制度の拡充の中で、実際に導入されていく可能性があります。

スクールロイヤーは普通の弁護士と違う知識や考え方が必要になったりします。それは、学校をめぐる法律問題では、子ども、保護者、教師、管理職、教育委員会…と、あらゆる登場人物の利害と価値観が対立し合っているからです。
例えば、いじめが起きた時、被害者とその保護者が加害者に対して同じことを望んでいるかと言えば、そうとは限りません。また、担任の先生と教育委員会の解決の方向性が同じとも限りません。そして、学校関係者だけでなく、弁護士、文部科学省、教育評論家、マスメディア、政治家…と、それぞれの人がいじめ問題への価値観を投げかけます。学校教育はほとんどの人が経験するものです。だから、どんな人もそれぞれ学校に対する「想い」を持っているのです。

やけに弁の立つ法律考証会議

また、教師と弁護士は普段使っている知識や考え方が全く違っています。私は教師と弁護士の2つの仕事をしていますが、どちらの考え方で問題を解決すればよいか、いつも悩んでいます。この番組では、そんな教師と弁護士の考え方の違いが様々な場面で出てきます。田口弁護士と三浦先生の対立は、私自身が教師と弁護士の仕事をする中での葛藤そのものなのです。

番組をご覧の皆様には、今の日本の教育現場で起きている問題をどのように解決していけばよいか、ぜひ一緒に考えていただけると幸いです。スクールロイヤーの可能性にぜひ期待して下さい。

神内聡(じんない あきら)

都内私立高校に勤務する社会科教師でありながら、弁護士資格も持つ日本唯一の「学校内弁護士」。著書に「学校内弁護士―学校現場のための教育紛争対策ガイドブック」など。

 

やけに弁の立つ法律考証会議 一覧

「再び利益相反と田口の選択」(5月26日)
「重大ないじめ事案への学校の対応とスクールロイヤーの役割」(5月19日)
「校則と不登校~日本の教育制度の不合理さと『現場不在』の議論」(5月12日)
「利益相反とは?」(5月5日)
「教師の長時間労働と部活動について」(4月28日)
「教師が生徒にできること~体罰と指導のはざまで」(4月21日)
「スクールロイヤーについて」(4月14日)

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