ドラマのみどころ/制作から

【「上海タイフーン」 ドラマのみどころ】

凄まじいスピードで発展する中国。とりわけ国際経済都市、上海は超富裕層が出現し、かつての日本の高度経済成長期やバブル期をもしのぐエネルギーに満ちあふれている。まさに熱い街・上海を舞台に物語は展開する。

上海には、およそ4万人の日本人が暮らしているという。中小・大手企業の進出はもとより、注目すべきは30代女性起業家たちの活躍だ。彼女たちの中には、「上海にやってきた時、自己資金100万円以下、語学ダメ、知人ナシ、でも4年目で社長になっていました」という例が少なからずあることに驚かされる。

このドラマは日本で行き場を失った一人の30代の女性を主人公に、文化、習慣の違いにもまれ、複雑な競争社会に立ち向かい、切実に生き抜き、やがては国籍を超えた人間関係を得て、自分の「幸せのかたち」を見つける物語です。

【作者のことば…福田 靖】

「熱病のように」

 初めて上海を訪れたのが、この企画の取材で行った今年1月末。上海空港の大さに驚き、いきなり乗せられたリニアモーターカーに興奮し、目の前に現れた高層ビル群に圧倒され、車の多さとクラクションのけたたましさに目眩を覚えました。このドラマの主人公・野村美鈴が初めて上海を目の当たりにしたときの描写は、あのときの僕そのままです。
 取材は数日間という短い間でしたが、そのときの強烈な印象が熱病のように僕にとりついて、このドラマを最後のシーンまで書かせてくれたような気がします。とはいえ、僕にとっては初めての女性主役の連続ドラマ。しかも舞台は未知の街。中国人も含めた登場人物すべてに血を通わせることは本当に大変でした。また異文化に戸惑う主人公を描くとき、他者を見下した視線にならないよう、中国の人たちに対するリスペクトを常に忘れませんでした。
 苦労の甲斐あって面白い脚本が出来たと思います。何よりも中国人スタッフの方たちが感激してくださったことは大きな喜びです。そして何より気になるのは、視聴者の皆様に喜んでいただける作品になったかということ。でも、スタッフ・キャストの頑張りを考えれば、面白いドラマが出来上がったことは間違いないと確信しています。


【制作にあたって…制作統括・松平 保久】

「このドラマ面白いですね」

 昨年、上海ロケに行ったおりに多くの中国側スタッフから寄せられた感想です。
このドラマ実は物語の大半が上海を舞台に展開されます。ビジネスや生活習慣の違いなど時には中国人と日本人が対立する場面もあります。そういう部分を中国の方たちはどう受け止めるのか?若干の不安がありました。しかし「脚本家の方は上海に何年住んでいたのですか?」との質問も!「大丈夫!リアルな今の中国が描ける!」
内心ほっとしたのを覚えています。
今回、主人公のイメージをつかむため、上海で働く多くの日本人女性に取材しました。
バリバリの経営者タイプの方から、とてもユニークな方までみなさん多士済々。そんな彼女たちに共通していたのは、沸騰する上海経済のエネルギーと、異国で暮らすことの拭い切れない心細さの間で、しっかりと自分を見つめていること。それらは脚本の福田さんの手でみごとに美鈴、香、麻里たちに反映されています。
ヒロイン美鈴の一所懸命な奮闘を通して、上海に行ったことのある人にも、そうでない人にも、笑って泣いて感動できるドラマをお届けします。
ちなみに脚本家の福田さんは上海には6日間しか滞在しておりません。

【演出にあたって…演出・笠浦友愛】

「パラレルワールドの冒険」

 上海は不思議な街である。高層ビルが3千以上も並ぶハイパー都市である一方で、ビルの谷間には里弄(リーロン)と呼ばれる、まるで時間が止まったかのような長屋がノスタルジーをそそる。人々の顔も含め日本に似ているようで、何かが決定的に違う。
 このドラマは、ニューヨークやアフリカに行く勇気はない主人公・美鈴が、上海というパラレルワールドで再出発する物語です。「ゼロからやり直せなくても、三歩下がって失敗を取り戻したい」という甘い期待は、あの街が持つ厳しさによってたちまち吹き飛ばされてしまう。しかし、一度や二度の挫折は当たり前、前に進むしかないこの街の熱気の中で、いつしか彼女は周りを巻き込む台風の目となってゆく。
 1か月に渡る猛暑の上海ロケ。圧倒的な街のノイズと人の波。一滴ポツリと来た10秒後には土砂降りという天気の洗礼も味わった。木村多江さんらキャストもスタッフも、まさに主人公と同じ試行錯誤を繰り返して、やがて「何が起こるかわからない、心配してもしょうがない」と開き直っていった。
「人には無限の力がある」少し疲れた日本とは、どこかが違う上海での女たち友情と恋と再生の、熱い物語をどうぞお楽しみください。