
「クルマを売ることは、乗る人の未来を一緒につくること…!」
まだ企業が男性中心社会だったころ…昭和49年。大企業の女性社員から自動車販売会社に転職し、様々な困難を乗り越えてトップセールスへとかけのぼり、外車のセールスに転じてのちに社長にまでなる女性の一代記です。団塊の世代である高校の同級生5人の男女との恋模様とともに、彼らの人生を追うことで戦後日本経済の中心となった自動車業界の流れも描いていきます。
…岩谷可奈子(エグゼクティブ・プロデューサー)
このドラマは昭和49年、オイルショック1年後から物語がスタートします。最近、「昭和」を振り返る映画やドラマが多く見られますが、実はこの昭和49年から50年代は、ドラマ制作にあたって「魔の時代」です。次々と新製品が作られては廃棄されていった時代で、場面を再現するモノがほとんど残っていないのです。ドラマに登場するクルマだけではありません。画面に映る事務用品や家電製品、衣裳、メイクひとつひとつにスタッフの力が注がれています。皆さんに「ああ、こんな時代があったなあ」と懐かしくご覧いただけるでしょう。
仕事や家族のありようが急速に変化していったこの30余年主人公・久子は、ときに前のめりになりつつも、人とつながることを信念に働き続けます。格差社会といわれる現代、「働く」ことイコール「生きる」ことだった団塊の世代の人生を追うことで、いま一度「一生懸命働くこと」のすばらしさを感じていただければ幸いです。
…山本むつみ(作)
久子はいつも走っています。前のめりに、時にはがむしゃらに。
ひたすらに疾走しながら人生を切り開いていく先に何があるのか、それを見届けるために、私も久子と共に物語の世界を走り続けてみました。
カーセールスの現場からは、とどまることのない時代の流れが見えてきます。経済の大きなうねり、女性の働き方の変化、様変わりする家族の姿、切り捨てられ忘れ去られるものたち……。日常を生きるということは、時代の風にさらされ揺さぶられ、なおも踏みとどまっていくことだと気付かされました。
どの時代も、働くことは楽ではありません。思うにまかせないことばかりです。それでも、時には、かすかな希望がキラッと瞬くことがあって、立ちつくしそうになる背中を、もう一歩先まで行けと押してくれます。
希望を力に変えて、久子は走り続けます。その道のりに、みなさまの人生を少しだけ重ね合わせてご覧いただければ、書き手としてこれほど嬉しいことはありません。
…吉村芳之(演出)
かつてこの歌が新宿西口に溢れていた時期があった。このドラマはそんな時代の記憶を間近に持った人たちの群像劇である。ほんの30年程前のことであるがこの国の風景は何と様変わりしたことだろう。
走っている車、人々のファッション、口ずさまれる流行歌など本来時代と共に変わっていくものはもちろんのこと、街や建物の佇いといったものも微妙に変わってしまっている。人々が見たこともない江戸時代や戦国時代の方がまだ楽で、この中途半端な時代劇というのが我々現場の人間を悩ませた点だが、それがそのままこのドラマを楽しんで頂くポイントにもなっている。
加えて登場人物たちを歴史的事件の現場に立ち会わせるというのを、ひとつの売りにしようと目論んだので、スタッフの苦労は並大抵ではなかった。が、それらはあくまでも背景であって、その前で繰り広げられる登場人物たちの悪戦苦闘ぶりこそが我々が描きたいものであった。この30数年は今から考えるとまさに疾風怒濤ともいえる時代であったが、ご覧下さるみなさんも含め、その時間を懸命にover comeして来た人々への愛おしさを抱いて頂ければ我々のネライは果たされたと言える。
作…山本むつみ
音楽…栗山和樹
主題歌…「孤独の向こう」平原綾香
演出…吉村芳之 西谷真一(NHKエンタープライズ)
制作統括…岩谷可奈子(NHKエンタープライズ)