大阪ラブ&ソウル

"在日コリアン"の青年と"ミャンマー難民"の女性が大阪で恋に落ちた――

 日本有数のコリアンタウンを抱える大阪と、韓国・済州島を舞台に、恋人たちの"ラブ(愛)"と、在日コリアンの"ソウル(魂)"が激しくぶつかり合う。在日外国人との"多文化共生"を模索する日本の現状をあぶり出し、"国籍"とは何か…?"生きていく場所"とは何か…?を問う、大阪発ならではの愛と絆の物語です。

【放送日時】

2010年11月6日(土)

NHK総合 夜 9:00〜10:13 放送

【作】 林 海象

【音楽】 村松崇継

【演出】 安達もじり

【出演】 永山絢斗 ダバンサイヘイン 南果歩 石倉三郎 三林京子 岸部一徳 ほか

平成22年度文化庁芸術祭参加

スタッフ
写真
 

[作] 林 海象(映画監督・脚本家)

 1957年、京都府生まれ。86年自ら製作・監督・脚本を手がけた映画「夢みるように眠りたい」でデビューし毎日映画コンクール・スポニチグランプリ新人賞などを受賞、一躍脚光を浴びる。主な作品に、「二十世紀少年読本」、「私立探偵濱マイク」シリーズなどがある。京都造形芸術大学教授。NHKでは、FMシアター「アリラン」の脚本、ドラマ「夕陽ヶ丘の探偵団」の演出があるが、テレビドラマの脚本の執筆は今回が初めてとなる。

 

◆ 脚本執筆にあたって

 大きな戦争が終わった頃に、私の父と母は韓国からこの日本に渡ってきた。その時の父と母の気持ちはどういうものだったのだろう? と私は思う。そういう気持を一度は物語で書いてみたいというのが、この脚本を書くにあたっての出発点だった。この物語に登場する金田一家と私の家族の生い立ちは違う。でも心だけは一緒だ。私の父の心はこのドラマに登場する金田暉雄であり、私の心は兄の金田正夫であり、弟の金田哲浩である。人間は問題を抱えて生まれてくる生物であり、その問題を克服する可能性を持つ生物でもある。そのことをこのドラマでは描いてみたかった。「生まれた処や皮膚や眼の色で、いったいこの僕の何がわかるというのだろう」というTHE BLUE HEARTSの歌詞のようなドラマを書いてみたいとずっと思っていた。この物語の登場人物たちには国籍も民族もない。ただそこには人がいるだけだ。私は自分の魂をこめてこのドラマを書きました。そんなラブ&ソウルが皆様に届きますことを祈って。

 

[音 楽] 村松 崇継

 1978年、静岡県生まれ。96年高校在学中にピアノソロアルバム「窓」でデビュー。国立音楽大学を卒業後、「突入せよ あさま山荘事件」「夕凪の街 桜の国」「クライマーズ・ハイ」など映画音楽の作曲やミュージカルの編曲など多方面にわたる活躍ぶりを見せている。NHKでは、連続テレビ小説「天花」「だんだん」、土曜ドラマ「氷壁」など。

 

◆ 作曲にあたって

 この物語の父親・金田暉雄と、息子・金田哲浩。その世代間には大きな価値観の相違があります。親には一番わかってもらいたいのに、理解してもらえない。それでも自分の信念を持ち、強くパワフルに、迷いながらも重要なことに気付きながら成長していく主人公……ふと振り返れば、自分の若かりし頃もそうであったのかもしれないと思います。今回音楽の制作にあたっては、そうした主人公の"葛藤"と、若いパワーで純粋に誰かを愛することを通じての"成長"を表現することに力を注ぎました。この物語世界に、さまざまな感慨を覚え、また、強い思い入れをもって共感できたので、この作品に出合いその制作に携われたことに感謝しています。よく音楽は国境や世代の垣根を超えると言いますが、この音楽が作品の持つ感動やテーマを、一人でも多くの方々に届ける架け橋になればと願っています。

 

[制作統括] 越智 篤志 チーフ・プロデューサー

◆ 放送にあたって

 「なぜ今?なぜ大阪?」。私たち大阪局のスタッフがドラマを作る時、常に問われるテーマです。でもこの「大阪ラブ&ソウル」には、その答えと魅力がたっぷりと詰まっています。まず「なぜ今?」か。今年は韓国併合から100年目にあたります。また、今年9月28日には日本政府による「ミャンマー難民」定住のための受け入れが開始され、11月7日にはミャンマーで20年振りの総選挙が行われます。様々な問題を抱えつつも、ともに21世紀を生きていく、日本とアジアの人々の今後の関係を、じっくりと考えるまたとない機会です。このドラマでは、その大きなテーマを、若いカップルの視点で優しく、また激しく問いかけていきます。そして「なぜ大阪?」。それは、このドラマを企画した青木チーフ・プロデューサーの文章を、お読み下さい。

 

[制作統括] 青木 信也 チーフ・プロデューサー

◆ 制作にあたって

 「おせっかいで、世話好きで、困っている人を放っておけない人たち」これは、私が抱く大阪人に対するイメージです。そんな大阪人が持っている温かい人情が、このドラマの大きな鍵になります。「大阪ラブ&ソウル」に登場する在日外国人たちは、在日コリアンであれ、ミャンマー難民であれ、皆が大阪弁をしゃべります。彼らは、「おせっかいで、世話好きで、困っている人を放っておけない人たち」と日常的に交わり合いながら、その土地で暮らし続けて、次第に「大阪人」へと変貌してゆくのです。今、日本では、多様化する在日外国人との「多文化共生」のあり方が問われています。この大阪を舞台にした「愛と魂の物語」が、ほんの少しでもそのヒントになれば良いなと思っております。

 

[演 出] 安達もじり ディレクター

◆ 演出にあたって

 このドラマには、時代に翻弄され、いろんな「別れ」を経験した人物が登場する。引き裂かれる「痛み」。その心の傷があるからこそ、「家族は一つでありたい」と強烈に願っている。このドラマでは、「誰にも人の絆を引き裂く権利はない」という当たり前のことを宣言すると同時に、理不尽なことに翻弄されることの方が多い厳しい現実を乗り越えていく"覚悟"と"強い絆"を育んでいくことこそが「家族になる」ことだ、ということを若い二人の葛藤と成長を通して描きたい。「そこには国籍もなく民族すらもない」。今の時代にともに生きて、たまたま出会い、絆を育んでいくことができる。それがいかに幸せなことか――。

 

[在日コリアン考証] 鄭 甲寿 
[四・三事件考証] 文 京洙 
[ミャンマー難民考証] 田辺寿夫 / 中尾恵子 
[大阪ことば指導] 村上かず 
[韓国語指導] 全リンダ 
[バンド指導] 黒岩研二 
[ブルースハーモニカ指導] 清川"ソーボク"健太 
[ボイストレーナー] 河合一美 
[擬 斗] 中村健人 
[タイトル写真撮影] 小倉優司 
[ポスターデザイン] 松川祥広 / 木村忠司

[デスク] 菓子 浩 / 大久保 篤 
[制作主任] 末永 創 
[演出スタッフ] 桑野智宏 / 原田氷詩 / 白田一生 
[制作スタッフ] 片山哲治 / 吉川忠伸 / 仲田真紀子 
[デスク補] 原田直子 
[台本リサーチ] 安 梨香 
[編 集] 狩森ますみ 
[記 録] 武田朝子 
[総合コーディネート] ぺ・スイル / ウォン・ナヨン 
[キャスティングコーディネート] ホン・ソンファ 
[車 両] 有谷邦彦

[技術統括] 森本祐二 
[技術デスク] 根来伴承 
[技 術] 山下 昭 
[撮 影] 岡本哲二 / 武田篤史 / 白波瀬 優 
[照 明] 笠原竜二 / 松本 豊 / 西島 亮 / 久保祐二 / 磯田和宏 
[音 声] 大成友二 / 藤 善雄 / 幸村康行 
[映 像] 安川政行 
[特 機] 板野元宣 
[音響効果] 吉田直矢 
[M A] 上垣知子

[美術統括] 青木聖和 
[美 術] 石村嘉孝 / 三浦 洋 
[美術コーディネート] イ・ジェイル 
[美術進行] 田村正之 
[装 置] 坂口大吾 / 堀ノ江 良 
[装 飾] 村田好隆 / 横田浩之 
[園芸・造園] 堤 正和 
[持道具] 穴田順也 
[衣 装] 横山智和 / 真柴紀子 
[メーク] 藤井快美 / 谷口あゆみ 
[かつら] 辻野里美 
[書 画] 加藤 整 
[視覚効果] 権田知彦

[番組広報] 安達 勝 
[スチル撮影] 土田卓実 / 村岡暢哉 
[編成リソース] 藤谷薫子 
[台本印刷] 池本一郎 
[H P] 田中俊平 / 前田貢平