
「折れない心、チャンスはあなたを見放さない。」
「行けえっ!」沙矢子(藤原紀香)は叫んだ。年の瀬の中山競馬場、ターフでは有馬記念がクライマックスを迎えている。自分の馬「チャンス」は信じられない伸びを見せ追い上げている。沙矢子の隣では一緒にチャンスを育て、苦労をともにした二人の仲間がいる。
証券会社のキャリアウーマンだった沙矢子はサラブレッド・チャンス号と出会うことで絶望のどん底から仲間たちとここまでやってきた。波乱に満ちたチャンスとの日々、そして、日本の金融界の支配を目指す藤本(市川亀治郎)との対決。金融と競馬、全く違う世界を舞台にストーリーは深く交錯しながら展開する。
誰もが夢や希望を口にする事が少ない現代社会で夢を諦めず不屈に生きる人々の人間模様を美しく愛しいサラブレッドたちとともに描くヒューマンドラマ。
原作者プロフィール
小林 慧(こばやし・けい)
昭和24(1949)年、岐阜県美濃市出身。
幼少のころ両親が離婚、母方に育てられる。
苦学の末、新聞社(経済部)に入社。以後独立して経済の世界に生きる。
豊富な株式市場への知識と、競走馬を深く愛する想いから 処女作となる小説「チャンス」を書き下ろす。
三十代後半、仕事で大きな壁に直面したとき、何より必要なものはスキルではなく自分自身の哲学なのだと強く感じた時期がある。哲学が大げさならば、揺るがない世界観、というようなものだろうか。経験に応じスキルは磨かれはしたが、一方のそれを意識して育ててくることを忘れていた、あるいは怠っていたと気づき、青ざめた。しかし同時にそこからの模索こそが真の意味で「仕事と対峙する」ということなのではないか、と思い至った。ちょうど主人公・沙矢子の年齢と同じ頃だ。――沙矢子はどう闘うのか。
あれから今もまだ、あがきながら書き続けている自分自身を叱咤するように、沙矢子にはより多くの荷物を背負わせ、追い込み、逃げずに激しく闘わせたかった。そしてドラマを書き終えた時、彼女は私にとって心強い、新たな同志になっていた。
仕事を続けていく限り、次から次に新たな壁はやってくるだろう。この先、怯んだり、逃げようと一瞬でも感じた時、きっと私は沙矢子と一緒に格闘した日々のことを思い出すに違いない。
−25℃の厳冬のモンゴルから+38℃の猛暑の千葉県・競馬学校まで、馬に関わるロケ地はどこも過酷でした!しかし馬たちの優しい瞳に見つめられ、走る芸術品のような馬体を撫でていると、朝4時30分からのロケでも、優しい気持ちになれるから不思議なものです。気がつけば、現場の全員が馬の虜になってしまいました。
土曜ドラマ「チャンス」は、藤原紀香さんをはじめとした豪華キャストの皆さん、スタッフ、そしてたくさんの馬たちが、一つの大きな馬群となって走り続けた、人馬一体のエンターテインメントドラマです。心の傷を背負いながらも、厳しい金融の世界で戦い続けるビジネスウーマン、女性の心をもつゲイバー主人、過去の名声という呪縛にもがく有名カメラマン、競走馬を支える人たち・・・。一頭の栗毛の馬に、それぞれが自分の夢をつなぎます。人生のセカンドチャンスを賭けて・・・。
ものの本によると、CHANCEの語源はラテン語のCASUSという言葉からきているのだそうで、もともとの意味は「サイコロの落ち方」「サイコロの目の出方」だとか。だから英語のチャンスには、「好機」のほかに、「不確かさ」「確率」「リスク」「偶然」などの意味もあるとのことです。今、一つ目のサイコロが投げられました。6週に渡り、どんな目が出てくれることでしょうか。お楽しみに!
土曜ドラマ「チャンス」はユニークなドラマです。金融の世界と競馬の世界。どちらも一つだけで充分ドラマの題材となる深い世界です。欲張りなことにこのドラマはその両方を舞台にストーリーが展開します。今回のドラマのもう一人の主役は言うまでもなく「馬」です。走ることのために血統を繋いできたサラブレッドの世界。一頭の競走馬がレースでゲートインするまでには実に様々な人々が関わっています。馬主、調教師、騎手、厩務員、獣医、装蹄師、そして牧場の人々。疾走する競走馬の姿が美しく感動的なのはそんな数多くの人の夢と想いを乗せているからなのだと思います。
ドラマの撮影に関しては実に多くの競馬関係者の皆様に支えていただきました。スタッフも「競馬中継では見られない映像!!!」を目指して頑張りました。レースシーンの迫力ある映像に加え、競走馬たちの厩舎での暮らしぶりなども楽しんで頂けると思います。
最後にこのドラマは、是非、女性の皆さんにも楽しんでいただきたい作品です。困難からチャンスをつかみ走り続ける主人公、沙矢子の頑張り。そして、愛おしい馬たちの姿はきっと皆さんの心に残ると思います。