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「映像の世紀」デジタルリマスター版 第4集「ヒトラーの野望」 スペシャル・レビュー
「映像の世紀」デジタルリマスター版 第4集「ヒトラーの野望」

「映像の世紀」デジタルリマスター版 第4集「ヒトラーの野望」

  • 2015年9月12日(土) 午後3時20分(75分)
  • 2015年11月20日(金) 午前9時00分(75分)
  • 2016年1月1日(金) 午前4時00分(75分)

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著名人レビュー

東京大学教授 瀬地山 角(せちやま・かく)さん
東京大学教授 瀬地山 角(せちやま・かく)さん

「映像の世紀」デジタルリマスター版 第4集「ヒトラーの野望」
スペシャル・レビュー

これ以上のドキュメンタリーを見たことがありません。個人的にはNHK史上最高の番組だと思います。識者のコメントを一切入れず、ひたすら当時の映像のみで事実を語るので、1995年制作のシリーズですが、20年たった今も全く古びていません。22世紀にも貴重な史料として残ることでしょう。「百聞は一見にしかず」といいますが、写真百枚より迫力のある動画をぜひ体感してください。BGMもおすすめです!


「ヒトラーが生き返った!」というのが最初の印象でした。私たちはヒトラーについて学ぶとき、写真や解説を読みます。でもそういう学び方ではアカン!ヒトラーの発言を日本語に訳されたものを読んでも、このすごさは理解でけへん!そんな衝撃を受けた回でした。
ヒトラーの演説はドイツ語なんてわからなくても「すごい!」ということが、動画を見るとよくわかるのです。そして教科書には出てこない民衆の熱狂の声と重なることで、その恐ろしさをはじめて実感できます。文字になった日本語訳ではダメなのです。

こんなことを書くと、「どうせあの絶叫するシーンでしょ」という方もいらっしゃるでしょう。ところがヒトラーが首相に就任したときの演説は、実に静かな調子で始まります。各回が74分というこの番組で、盛り込みたい映像は他にも山ほどあったはずなのに、演説開始前にだまって聴衆が静まるのを待つヒトラーのカットを長めに入れているのが印象的でした。
だからこそ低く抑えた調子で始まった演説が、前政権下で失業者の数が「100、200、300万……」と増えたことを述べるあたりから、ぐっとトーンがあがるところの盛り上がりを実感できるのです。そして最後はもう歌舞伎役者のような見ぶりと叫び。もちろん内容には賛同できませんが、演説としては見事としかいいようがなく、これが不満を抱えた大衆の心を捉えたのは想像に難くありません。未来の教科書では、タブレットからこの映像が流れることでしょう。
関東大震災後のデマによる朝鮮人虐殺もそうですが、自らの地位が脅かされかねないと感じたとき、民衆は時としてより弱い立場にあるものを攻撃のシンボルにして、自分を守ろうとします。そのターゲットとなるのは、典型的には「劣った」人種です。

そこに政治が乗っかると、人種差別は公然と行われます。そうした差別に共通するのは、ナチスのように、差別する側が「私たちこそがおびやかされている」と主張する点です。ヘイトスピーチの論理もそれとまったく同じ。選挙によって合法的にこのナチス政権が生まれたのであれば、私たちはどうすればそれを防げるのか。この回が突きつける問いのように思えます。

瀬地山 角(せちやま・かく)
東京大学大学院総合文化研究科教授

1963年生まれ。専門はジェンダー論。日本テレビ「世界一受けたい授業」の東大生100人へのアンケートで東大の人気No.1に選ばれた講義は、400人の教室で立ち見が出る。抱腹絶倒の講演で日本全国を行脚中。

番組内容

「映像の世紀」デジタルリマスター版 第4集「ヒトラーの野望」

1995年に放送し大きな反響を呼んだシリーズ全11回をデジタルリマスタリングし、鮮明で臨場感あふれる映像によみがえらせた。第4集は第2次世界大戦への道程を描く。映像の力をプロパガンダとして巧みに利用し、国民の熱狂的な支持を集めることに成功したヒトラーの戦略と野望に焦点を当てる。同時代のアメリカ、ソ連、日本の思惑と行動を織り交ぜながら、世界を戦争に巻き込んでいくナチス・ドイツの狂気を描いてゆく。

出演者ほか

【語り】山根基世

チャンネル

  • 2015年9月12日(土) 午後3時20分(75分)
  • 2015年11月20日(金) 午前9時00分(75分)
  • 2016年1月1日(金) 午前4時00分(75分)

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