2009年 これまでの放送

03月06日放送 (特別番組)

テーマ

第9回デジスタ・アウォード 前編 映像部門

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作品レビュー
作品1
作品タイトル タイトルオオカミはブタを食べようと思った。  [ A wolf loves pork ] クリエイター竹内 泰人  <Taijin TAKEUCHI>

中谷:竹内くんは、最初のプレゼンテーションだったのでかなり緊張して、思うように自分らしさを発揮できなかったと思いますが、皆さんいかがですか?

季里:並べたものを取り込む、という作品は今までもありました。でも、それをさらにまた写真にして並べて撮る、という作品は今までに無かったですね。すごく身近にある風景で組み立てて、ちゃんと戻ってくるような話にしているところが私はすごくいいなと思います。そんなに新しい手法じゃないかもしれないけど、これを突き詰めていくと新しい方法が出来るんじゃないかなと思いました。

竹中:オオカミが、踏み切りで待つシーンがありますよね。第三者的な視点でオオカミを最後まで見ているんですけど、この見ている人が電車に注目することを予想して電車が出来ていくんですね。見ている人のことをすごく理解していて、それをあまり意識させないで作っている。彼には、映像に対する根っからのセンスの良さがあると思いました。

季里:この『オオカミはブタを食べようと思った。』が私の中ではネーミング大賞で、タイトル買いするとしたらこれですね。

中谷:鈴木さん、心の中を。

鈴木:はい。竹内さんとは以前、話をしたことがありまして。ものすごく大変なことを軽々とやっていて、全然苦に思っていないように見えるんですね。もちろんアニメーションって動くから、大変なこともする表現ですけども、軽々と大変なことをやってのけてしまうような不思議な空気を持ってる。だから僕はこのタイトルとかも、あまりピンとこなかったんですね。テーマとしては、もっと別なものがあるんじゃないか、と思う。ただ、子どもたちに対しても伝わるものを作りたいと言っているし、割と単純なことを考えているんだなとも思って。何を考えているのかちょっと分からないところが、面白いですね。

土佐:伊藤高志の名作を《気持ち悪い》と斬っていたのが印象的ですね。すごい世代が出てきたな、と。

八谷:彼は、伊藤高志が好きなんですよ。でも他の人が見たとき気持ち悪いって言っていたのがショックで、もっと一般的でかわいい作品を作ろう、と思ったんですね。

土佐:彼が作った『オオカミはブタを食べようと思った。』は、僕には気持ち悪いですよ。僕がすごい面白いなと思ったのは、彼はオオカミとブタという気持ち悪さにいくんだな、というところですね。

伊藤:彼は、構造的なアニメーションや、映像に対する考え方や、多層構造の見せ方というものには素晴らしいセンスがあると思うんです。しかし残念ながら、設定だったり、もともとのデザイン的なものであったり、単純に完成度が高いとかは別の次元で、ちょっと引力が無かったんですよ。淡々と作り続ける姿勢に対してはエールを送りたいし、シンクの上を泳いで渡るとか、階段にエレベーターを付けて上がったりとか、あふれてくるようなアイディアは大いに評価したいんですが、やはり作品としての引力が無かったです。でも応援はしたい。


作品2
作品タイトル タイトルケータイ狂想曲  [ cellphone caprice ] クリエイター烏田 晴奈  <Haruna KARASUDA>

中谷:『ケータイ狂想曲』を、推す方はいらっしゃいますか?

八谷:これは、インタラクティブに来てほしいですね。来年こっちに来て、みたいな。ゲームやインタラクティブアートに近くて、生で映像を変化させるような作品、そこに彼女の才能が生かせたら、すごくいいものが出来るような気がするんです。

伊藤:『ケータイ狂想曲』が今年インタラクティブに来ていたら、ファイナリストに残ったのかな?

八谷:あの形のままだとちょっと、っていうのはあると思うんです。でも、彼女の才能はもうちょっとインタラクティビティのあるもので生かせるんじゃないかと思いますね。

中谷:僕は、皆さんの反応はすごく意外ですね。やっぱり映像の世界で出てきたからこそ面白い感じがして、インタラクティブへ行ったら普通じゃないですか?

八谷:普通でしょうかね。インタラクティブアートの審査をしていると、音楽系の作品がいくつかあります。もうちょっと音楽のセンスがあれば、もっといい作品になるっていうのが多いんですよ、実は。

山崎:インタラクティブって、自動演奏に近いですよね。ランダムに用意したものが音楽的なものを鳴らすというようなものが多い。

竹中:ビートがあって、bpmがあって、それをずっと繰り返し、もしくはランダムで演奏するっていうパターンが非常に多いですね。その中で、この作品はそういうのをやすやすとくぐり抜けて音楽性を追求するところまで到達している。インタラクティブアートとして伸びる可能性がすごくある、と僕は思っていますね。

作品3
作品タイトル タイトルパンク直し   [ mending a puncture ] クリエイター岡本 将徳   <Masanori OKAMOTO>

中谷:『パンク直し』を推す、という方いらっしゃいますか?

クワクボ:はい!これは『パンク直し』を推すしかないと思っています。どこにでもあるものを宝に変えてしまう、そういう作品なので、見ていてすごく得したって思います。『PERFORATIONS』のように自分の内側を見せるよりは、外側を見せてくれたほうが、見ている側としてはすごく楽しくて、得したなと思いますね。

中谷:あの、新しくないと見ない、と言った箭内さん。

箭内:いやいやそこまでは。

中谷:何が新しかったですかね?

箭内:人が題材にしないものを取り上げたことは、ものすごく評価したいポイントですね。あとそれを、しっかりと観察したっていう…。ちょっと普通のことしか言えないですけど(笑)。でも僕は『パンク直し』に入れます。(森本・八谷「私も、僕も入れます」)

一同:おー!!

八谷:僕も『パンク直し』を推したいです。この作品は、大きな発明を一個してる気がしていて。取るに足りないことですらも、あれだけ突き詰めて丁寧に作っていくと、すごく見せられるものになるっていう発明ですね。これをまた別のモチーフでうまく作れるんじゃないかっていう期待があります。

土佐:『PERFORATIONS』は怒り狂いましたけど、『パンク直し』のときは泣きそうでした。質問されたらたぶん泣くなと思ったんですけど。あの親父を見て、継いでるというか。親子ではないけれど、キューンとくる感じがします。

作品4
作品タイトル タイトルPERFORATIONS クリエイター斎藤 俊介  <Shunsuke SAITO>

山崎:僕は『PERFORATIONS』が、この中で最も好きですね。彼が社会に出る最後に作った作品だから許される恥ずかしさとか、青くささのような気がして、非常に好きですね。

中谷:あのプレゼンテーションは非常に白熱した状況で、賛否両論あると思いますけど。

山崎:これに関しては、バトルしたい感じですね。

一同:お〜。

丹下:まずですね、僕はちょっと自責の念があるんですけど。プレゼンテーションの前に、しっかり話せよっていうのを強く言ったんですね。それで本人は話すことに対して、すごくがんばったと思うんですね。それで…。「簡潔にな!」っていうことを話すの忘れたっす(一同笑)。

山崎:吐露しろと、気持ちを正直に言えと。

丹下:自分がどこにあるかっていうことが、伝わればいいと思ったんです。そういう作品だと思うんですね。で、その迷ってることも言ってしまった、ということなんですけど…。

中島:僕は、いいと思うんです。けど、プレゼンテーションっていうもの自体、どうなんやろな(一同笑)。作品っていうものを見ていくときにね、才能を発掘してというか、今後を育てるという意味では見ないといけないところがあるんやけども。作品だけ見るとすごい力があるけど、評価が難しいなって思いましたね。

季里:結婚するか、大きな賞を取るか。そうすると今の迷いが断ち切れるんじゃないかな(一同笑)。

箭内:また新たな迷いが出てくるんじゃないかな(一同笑)。

中谷:土佐さん、そろそろいかがですか?

土佐:この3年で、最高に怒りましたね(一同笑)。悩むエンターテインメントってあると思うんですよね。だけど、太宰治もエンターテインメントですけど、ものすごい冷静に自分を見る客観性がある。でも、その客観性が彼には無いと思う。悩んでいるのはいいんだけど、それでみんなが共感してくれたから「お、俺いける。悩んでいける。」って。そこにとどまってしまうと、そこの先に行けないですよね。キュレーターたちは大人なんだから、「そこじゃないだろー!」って言うべきじゃないかなと思ったんですよね。

ヤノベ:でも、彼のオリジナリティーはそこにあるんじゃないかと思うんですよね、青さというか。自分のダメな部分をさらけ出すことによって、作品として昇華させているわけじゃないですか。もう徹底的に太宰でいけと(一同笑)。最後まで徹底すれば、それは表現として成立。

中島:本人は、客観性が無かったけれども、作品は、バランスを取った見せ方とか、冷徹にコントロールしている気がしたんですよ。この人は他の作品も見たりすると、実は相当なパワーがあって、一回悩みというものをやりたくなって、この『PERFORATIONS』作ったんじゃないかな。意外とベロだして、作ってるんじゃないかなって感じもしててね。客観性で言うと、意外と冷静に見ているかもしれないなっていうのがあってね…。別に彼を探るというコーナーではないけどねここは(一同笑)。

丹下:まじめなんですよ、たぶん。まじめすぎるのでそういうふうに陥っていると思うんですけどね。

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