2008年 これまでの放送
02月28日放送 (第318回)
喜屋武:すごく世界観とかがきれい。奥のほうは未来都市っぽくなっていて、でも恐竜とかナゾの生物が横切って「何かな?」と思ってると「このオチ!?」みたいな。ちょっとびっくりですね(笑)。
ジョージ:会場の中からも笑いが聞こえてきてましたよね。
中谷:ショートムービーのポイントはやっぱり企画力だと思うんですね。ストレートにグーッとね、トラック・インでまっすぐ向かっていって、ポイントをグッと見せる。そのへんの企画がいい。だから、見せ方としてはうまいなと思いましたね。
ラレコ:ショートコンテンツのまとまり方としては、トントンと落とす感じで、優秀だなぁと思いますね。
ジョージ:オチはいかがでしたか?
ラレコ:オチはね、男は好きですよね(笑)、こういうオチ。僕のホクロもガーってカメラでよっていただけると、オチがあるかもしれない (笑)。
サエキ:キャラの表情がすごくいいというか、変わってますし、色使いもよかったと思います。だけれど、僕、この作品を10回以上見てるんですけれど、どうしても展開がよく分からない。すごく短いんだけれど、前にどうなっていたかが思い出せないんですよね。ストーリー性というか、もうちょっと練ったほうがいいのかなって。
ジョージ:自分の中でちょっとモヤモヤしているところが?
サエキ:そうですね。何回見ても分からないんですよね。
ラレコ:僕の想像なんですけれど、おそらく作者の方は、ものがどんどんメタモルフォーゼしていく、どんどん変わっていくさまと戯れたかったという気持ちがあったんじゃないかと思うんですよ。それはアニメーションの楽しみとして基本的なところ。最後に大きな桜の花がバーンと出てきますよね?多分あれ、写真取り込みか何かの絵をベースに使っていると思うんですよ。でも、それまでずっと色鉛筆を使って絵本的な調子できているので、最後も色鉛筆ともっと格闘して、自分の線で表現してほしかったと思いますね。
ラレコ:僕、これすごく好きなんですね。裏切りのテンポが気持ちよかったのと、最後にズドンとズボンが落ちることで、500円玉の束の重さを表現してるっていうのが「あぁ、あれ重いよね」っていう共感を持って見られたっていうのが、魅力的でした。
ジョージ:喜屋武さん、いかがでした?
喜屋武:私、この方のホームページ見たことあります。
中谷:あ、ほんと?
喜屋武:ホームページもちょっと不思議な雰囲気で、どんな方なんだろうと思ったんですけれど…、堀岡さんは存在がシュールですね。
中谷:存在がシュール…(笑)。
サエキ:きっと主人公の少年が、少年時代の堀岡さんなんじゃないでしょうかね?
ジョージ:僕は、作品を通して作者を強く感じられるものが大好きなんですね。においっていうか、脂というか、センスというか、全部がこの作品につまっているのを感じましたね。
ジョージ:コマ撮りの作品を見てもらいましたが『にらめっこ』。
中谷:企画書のレベルだと、この作品すごく面白いですよ。でも、作品として作っていくときに構成や演出が入るんだけれど、それがちょっとずつ足りないんですよね。後ろの背景の絵もちょっと動くとか、粘土の動きと解説者のコメントがしっかり合うようにすれば、すごくよくなる。
ジョージ:企画はちゃんとできてる。
中谷:うん、よくできてる。
ジョージ:もうちょっと磨けば、もっといい作品になる!
ラレコ:僕、これすごい好きです。すごく正しいな、健康的だなって思いました。というのは、「とりあえず脱いどけ」的なものもすごく正しいと思うし(笑)。
中谷:「とりあえず脱いどけ」ですよね!
ラレコ:ええ!そうですよね!そりゃぁもう。昔、8mmカメラってありましたよね。これを学生に渡すと、必ずこういったものを作るんですよね。例えば、アニメーション作るには絵を描けなきゃいけないとか、クレイアニメもクレイのモデリングから始めなきゃならないとか、敷居が高いんです。でも、こういったものは、自分の肉体と友達がいれば作れるんですよね。あのー、1人で作るのは、けっこうきついと思うんですよ、これ(笑)。
喜屋武:悲しいですよね(笑)。
ラレコ:やっぱ友達がすごく必要で。
ジョージ:笑いながら作るんですね。
ラレコ:そうですね、笑いながら(笑)。自己表現としての映像、というよりも、コミュニケーションツールとしての映像っていうのをすごく感じましたね。
喜屋武:若さゆえの過ちというか(笑)。「坊やだからさ」みたいな感じですね。すごく楽しいですね。みんなノリがよくて。
中谷:普通、ビデオカメラで撮る場合、コマ抜きすればいいんですよ。でもわざと止めながら撮ってるのは、結果的に変な動きになるわけ。動きの流れが途切れちゃうから。それがいいんですよね。
ジョージ:あと、作者たちの「ウォー!」とか、「カレーライス!」とかの叫び声。作品にすっごくパワーを注入したというか、そういうものを感じましたね。
ラレコ:やっぱ肉声っていうのは心打たれますよね。
ジョージ:中澤さん、この作品は5人で作ったと聞いたんですけど、今日は1人で来ているんですか?
中澤:あ、いや、実は『I'm A Human Being Bomb』の吉川くんも一緒に作りました。
喜屋武:え〜!
中谷:仲間なの!?あ〜そうなんだ。
ジョージ:この作品のアイデアは誰のアイデアだったんですか?
中澤:主に僕が。ほんとに思いつきで、こういうシュールなパロディーをちょっとやってみたいなっていうので。
喜屋武:未来的だなって思ったんですよ。そんなものをパッと思いつきのパロディーで作れるっていうのはすごく才能を秘めてるんじゃないかなと思います。ただ、もったいなかったのは、ADの方が間違えて入ってくるところが、ちょっと演技がくさいというか。入ってきて、もっと「あっ!」ってなるんじゃないかなと思います。
中谷:僕も、あのADのシーンは要るのかな〜って、ちょっと考えちゃいますね。
ラレコ:完成度がある程度高いところまでいっているので、ほころびが目立っちゃうっていうのがありますね。もっと細かいところをつめていってもよかったのかなって思います。
坂口:メインキャラクターの“マヨ”なんですが、モデルが私になっていて、「目立ちたがりやでお気楽気ままなマヨネーズ」になっています。
石井:いちばん最初に考えたキャラクターがマヨネーズとドレッシングの2人だったのですけれど、これって、ノートの落書きから始まったんです。そこからキャラを増やしていったんですよ。
喜屋武:何か面白いと思います。ストーリーとして、何個も作品を作れそうな、すごく広がりそうなものを感じました。ラレコさんの『やわらか戦車』みたいに、キャラクターとして作ってもいいんじゃないかなっていうくらい、かわいらしかったです。
ラレコ:サイレントになっていたんですけど、サイレントにする理由があまりないような気がしたんですね。キャラクターが思っていることを、フキダシの中の映像で見せるのではなく、もっと動きで表現するとか、サイレントにする理由が必要だな、と思いましたね。
金子:自分は、教育テレビみたいなものが好きで、それをイメージしたものを作ろうと思いまして。魚偏の漢字がちょっと暴れるアニメーションなんですけれど、偏の面白い動きで漢字の勉強もできたらな、みたいな。そういう感じで作りました。
中谷:金子さんはすごくまじめな方なので、どうしても文字を大事にしようとしているから、最初に漢字がボーンって見えちゃうんですよね。絵が見えて、後でゆっくり見たら文字がある、ぐらいな感じでもよかったのかなって思う。すごくかわいくて、リズムもいいので、そこだけがちょっと惜しいな。
金子:ありがとうございます。
ジョージ:まじめですか?
金子:よく言われます(笑)。
ラレコ:演出的な工夫として、例えば湯飲み茶わんにはり付いていた漢字が海に泳ぎ出して、最後に湯飲み茶わんに戻るとか。日常生活の中で共感を持てるようなものとリンクさせてみるとか、そういう工夫が必要なんじゃないかなと思います。
ジョージ:吉川さん、ギター持ってます。っていうことは音楽はもちろん大好き?
吉川:好きです。
ジョージ:作品の中で、演奏してたのは?
吉川:はい、僕です。ギターとベースを僕が弾いて、ボーカルも下手ですけど歌って。
ジョージ:どうして自分ですべてやってやろうと思ったんですか?
吉川:もともとパンクが好きで、「全部自分でやってやる!」っていう気持ちになったんで、全部やりました。
サエキ:この作品は、やはり音から先に作ったんですか?
吉川:そうです。先に音を自分で作曲して、それに合わせて3DCGを作っていきました。
サエキ:さっき、ラレコ先生に聞いたんですけれど、ラレコ先生も曲先らしいんですよ。
ラレコ:そうですそうです。
サエキ:歌作りでいうなら“詩先(しせん)・曲先(きょくせん)”、つまり詩を先に作るか曲を先に作るかっていうのがあるんですけれど。ビジュアルを曲先で作っていくという潮流が、デジスタの動向でも大きく出てきているんじゃないですかね。
ジョージ:多いんじゃないですかね。
中谷:確かに。
サエキ:PVの作りですよね。だからオヤジは添え物なんですよね。
吉川:そうですね、オマケです(笑)。
サエキ:ストーリー作りからすると、オヤジから考えるんですけれど、これはバンド中心に考えられていて、オヤジはオマケになっている、という考え方なんじゃないでしょうかね?
ラレコ:ひとつだけ残念だったのが、もっとボーカルで声を張ろうよ、と(笑)。もっとグアッと声を荒げてほしかったですね。
喜屋武:この作品はもう、クオリティーが高すぎて。完全にプロの仕事ですね。
サエキ:あとは歌!なんかもう、すごくて。あの歌い回しがね、個性的というか夢に見そうというか。かなりオリジナリティーがある歌と歌手だなと思いました。
ジョージ:作者の高嶋友也さんとボーカルの古都さん、2人は大学の映像サークルで知り合ったんです。この作品、パソコンで描いた絵をプリントアウトして作った紙人形を、ビデオカメラの前で動かして、撮影したんですよ。
喜屋武:え!?それだけなんですか?
ジョージ:そう、ビデオカメラの前で紙人形を動かして撮影するんですよ。
サエキ:こういう作品見ること多いんですけれど、こんなローファイなやり方ないですよね?
中谷:でも、誰もがこの作り方で、あんな感じの作品を作れるかというのは疑問で、作品を「こんな雰囲気にしたいんだ」っていうイメージがないと、できないと思うんですよね。曲も含めて。
ラレコ:デッサンとかがきっちりしている絵というよりは、ちょっとくずした、味のある絵ですよね。その絵と、あの動きのバランスがすごくうまく取れてると思うんですよ。すごいきっちりしている絵を紙人形にして動かしても、動きと絵がうまく合わない。それをすごく分かってらっしゃる方だと。
中谷:なんか、タッチが懐かしいですね。
サエキ:実は観光ビデオみたいになっていて、これを見た後に山形に行ってみたくなるんですね。観光地に行ったときの、ひなびた気持ちがよみがえるんですよ。決してパーッとした明るさじゃないんですけど。「なんかこんな瞬間あるよな」っていうものがふんだんに盛り込まれていて、そういう意味で懐かしい気持ちになる。
ジョージ:外国にいる友達に、「山形ってどういうところ?」って聞かれたら、まぁ、インターネットで調べたら、美しいところとか食べ物もおいしいところって分かるんだけれど、このビデオだと「山形って面白いところなんだよ」っていう見せ方にもなると思うんですよ。
ラレコ:少年たちがやっていた『男の料理』ってあったじゃないですか?たかはしさんのこの作品はその熟年版だな、と。例えば、木の後ろからスッと出てきた、「誰だよ!?」っていうお2人がいたり(笑)。
喜屋武:出てきて歌われた瞬間に、すごくツッコミを入れたくなりました(笑)。私がツッコミを入れたいということは、『男の料理』と一緒というか。すごく楽しいノリでやっているんだろうなと思いました。
ラレコ:そうですね。












