2007年 これまでの放送

12月13日放送 (特別番組)

テーマ

アウォード2007前編 インタラクティブ/インスタレーション部門

ムービー
作品レビュー
作品1

クリエイター情報
作品タイトル タイトルtranslate  [ トランスレート ] クリエイター志村 信裕  <Nobuhiro SHIMURA>

鈴木:志村さんは意外なところからインスピレーションを得ていて、たとえば、今回の作品は“棚田”なんですが、作品は全然棚田じゃなかったりするんですよね(一部笑)。そういうところが見えるのがデジスタならではだな、と思うんですけど。着眼点と作品がけっこうズレていて、そこが結構不思議な人だな、と。僕は昨年の作品『遥水憬』も含めてそう思い続けていて、今回の作品も『translate』っていう、画びょうとか、そういう、“物”を見ているのではなくて、見ている人の感覚が変わるとか、もっと感覚のほうを見ているんじゃないかなというところが面白いと思いましたね。

中島:面白いなと思ったのは、画びょうっていうのは刺すもんであったり、洗濯バサミって言うのははさむという風にですね、我々の生活している中にある物体が、意味から入ってゆく物を、一回チャラにして、「きれいな形」とか、たぶん、言葉とか持っていなかったりすると、こういう風にすごく感じられるんじゃないかな、と思ってね。智恵がついてしまった自分のなんかこの、自分の心の中に溜まりきったアカがとれるようなね、そういう、気持ちよさがあるなぁ、と。原始の自分の感覚に戻れる、心のフィルターを通さないビジュアル体験やなぁ、と。なんか物の持っている意味というものを1回取り外すところがステキやなぁと思いましたね。

森本千絵:普段見ているものとの距離感がすごく面白いなと思って、宇宙みたいというか。体験して思ったのが、作品を上から見ているときに、下の作品の中で人が歩いて見ている事自体も含めて作品を見るのがすごく面白くて。それっていうのは、モチーフの選び方とか、ちょっとした動かし方の演出とかが結構利いているんじゃないかなと思うんです。

八谷:今日は画びょうと洗濯バサミと、マッチ棒が映ってましたけれど、他にいくつあるんですか?

鈴木:他に、僕が面白いと思ったのは、1円玉がすごく美しかったんですね。1円玉はけっこう始めから1円玉ってバレてしまうんですけれど、途中から、1円玉がはねかえって、しかも、音がないっていうのが。あと、クリップとか。

中谷:「積極的に押せない」って言うのは、生放送なんで、なかなか言いづらいかもしれませんが(一同笑)、あの、やや押せないっていう感じの意見の方は?

森本晃司:インタラクティブなんで、作品の中に入るのはOKなんだけれど、もうちょっと、触って動いたりとかすれば、もっともっと面白いな〜と思ったんで、なんか、実際に触れてっていうか、風を起こしたりとかすると、フワッと動いたりだとかがいいかな〜、とちょっと思いましたけれど。

丹下:でも、そこにいて、自分の視界の端っこでなんかが動いている感じとか、大きさの対比が全然違うじゃないですか。自分の存在が何なのか、ちょっとわかんなくなるっていうか、そういう感覚がすごく、インタラクティブな気がする。自分が変化するというか。

中谷:そういうとらえ方もありますね。

作品2

クリエイター情報
作品タイトル タイトルDON  [ ドン ] クリエイター牛 大悟  <Daigo USHI>

八谷:この作品は空気っていう、見えていない物を可視化しているっていうところが、いいな、と思って。空気砲自体は知識として、もちろん知ってたんですけれど、触っただけで壊れたりするとか、あとは、実際にあのとおりに空気が巻いていたりとかして、それを、エンターテインメントにしているというか、実験っていうよりは、それを使って、パフォーミングアーツだったり、自分たちもお客さんとして参加できるようなものとして作っているというというところを基準に、僕の回でベストセレクションに選びました。

季里:音をビジュアライズ化するっていうことはいろんなアーティストがずっとチャレンジしているわけなんですけれども、彼のチャレンジっていうのはこんなマッチョな巨体な装置から、すごく繊細な、煙の輪が出てきて、私は、なんか、この「ドン!」っていう音の姿が、ああいう丸い、か細いもののような気がして、で、つぶさなかったときにずっと上のほうにあがっていきますよね、そして自然消滅してゆくのが、なんか成仏した感が(一同笑)。

中谷:昇天したわけですね(笑)。

季里:なんか魂みたいなものを感じて、そこに命を感じて。巨大なものと、繊細な命みたいな対比がすごく面白いなと思いました。

土佐:すごく骨太で、物をちゃんと作っている面白さがあると思うんですけれど、コンピューター制御でプログラムを組んで演出を作っている、という意味では最近の花火も、打ち上げるときに1回コンピューターでシュミレーションするのと似ているなと思ったんですね。そういう意味だと、1回見ると…、僕、前にもこの作品見たことあるんですけれど、もう1回見たくなる、という演出、もっとドラマチックにやる演出があるんじゃないかなと思って。今はまだ、ものの面白さで終わっているところが、もうひと突っ込みすると、もっとエンターテインメントになるんじゃないかなと思いました。

中谷:えーと、時間もありますんで、これは反対だ。押せないっていう積極的な意見があれば?短めに(笑)。

竹中:僕はこれは道具だと思っていて、その道具、楽器ですよね。楽器でどういう音楽を演奏するかっていうのが作品なのかなと思っていて。演奏を作品として見た場合、偶然性にかなり左右される作品で、音が止まってみたり、煙を入れてみたりということはあるんですが、いつも同じ作品を演奏できるかと言われれば、偶然性にかなり支配されているので、そこに少し評価できない部分が残ると思いました。

MAYA:あの丸い輪っかの雰囲気ってのはいいと思うんですよ。ただ、あの機械をあんなふうに見せる必要があるのかっていうのはすごく疑問だったんですよ。ダイナミックだけれど、チープじゃないですか?だから、もしかして、あの穴だけが空いていて、壁になっていて、そこに映像が映っていたりした方が、いいんじゃないのって感じがして。

土佐:多分それはね、男心だと思うんですよね(一同笑)。なんか、撃ちたいっていうね。

MAYA:あのポリバケツを見せるのが?

中島:大砲とかね、城とかね。そんなカッコイイと思っているところがね(笑)。

MAYA:そうなんだろうね。

ヤノベ:逆に、要素が多すぎてね、曖昧になってしまった部分は否めないと思うのでね、そのへんが何かに絞り込めればね、もっと良いものになると思うのでね。

作品3

クリエイター情報
作品タイトル タイトルstring oscillation  [ ストリング・オシレーション ] クリエイター野口 久美子  <Kumiko NOGUCHI>

鈴木:このプログラミング、映像を作るセンスが光ってると思うんですよね。そこに、みんな引かれて見ていて、ワイヤーを通して、インタラクションするっていうこともすごい大事なんですが、それを作っている作者のセンスに僕は引かれたんですね。実力がある人なんじゃないかと思って。やっぱり、インスタレーションとしても、人を引き込む力があって、まだまだ発展しそうな期待が持てます。

MAYA:この人は、参加型の物を作る以前に、もう映像が美しいんですよ。参加型で偶然出来るっていうのを色々やるのもいいんだけれど、最初から映像を作るっていう風にいて欲しいなというのは、こういうのを見ていて、あんまり感じないじゃないですか。だからね、新鮮でした。

中谷:わかりました。この作品を、少し押せないという方いらっしゃいますか?

八谷:ビデオ審査したときには、すごくいい作品だな〜と思ったんですけど、今日はその時とセッティングが違うというか、ワイヤーのテンションが十分じゃなかったりとか。会場の都合もあるんですけれど、やっぱり作品として作っている以上は、どんな会場に持っていっても、例えば天井高がクリアーだったら、一応成立するように作ってなきゃいけないと思っていて、それでいうと、ワイヤーを1本揺らすとフレームが揺れちゃって、他のワイヤーも揺れちゃったりしたっていうのが、押せないというよりは、すごく惜しいというか。そこをもうちょっと、どこに持っていっても成立するように作ってあれば良かったな、と思ったのは事実です。




クリエイター情報

■視聴者投票の結果はいかに!?
視聴者の支持を最も得たのは679票を獲得した『string oscillation』
『string oscillation』にはキュレーター審査の結果に貴重な1票が足されます。

そのほか2作品の支持票は『translate』466票、『DON』543票です。
投票していただいたみなさん、ありがとうございました。

■運命のキュレーター審査
生放送という限られた時間の中、繰り広げられた熱い議論の結果、混戦のインタラクティブ・インスタレーション部門のキュレーター審査結果は…
 『translate』志村信裕…………………8票
 『DON』牛 大悟 ………………………3票
 『string oscillation』野口久美子………7票(視聴者票1票含む)

このようなキュレーター審査結果となり、デジスタ・アウォード2007インタラクティブ/インスタレーション部門のグランプリは『translate』志村信裕さんに決定しました!

■デジスタ・アウォード2007グランプリを受賞して
志村:去年のアウォードで、ファイナルステージにも上がれなかったことがとても悔しくて、今年、もしチャンスがあれば、やってやろうと思ってたんで…、ありがとうございます。

■総評・ヤノベケンジ
ヤノベ:今年の特徴は、かなりバラエティーに富んでいたと言えると思います。「デジタル・スタジアム」という名前以上に、アナログも、デザインも、いろんなものが混ざった異種格闘技の様相を呈していたように思います。その中でもこの『translate』はですね、作者の壮大な自然というモチーフから来るんだと思いますけれど、壮大なスケールが見えた優秀な作品だと思います。でも、やっぱり僕からしたら、まだまだこの作品も甘いところがあると思うんで、来年はもっと過激な、革命を起すような作品をね、まさにね「デジタル・コロシアム」(一同笑)と言われるぐらいな番組にしていただきたいと思いますんで、来年、もっと楽しみにしております。

PAGE TOP