2007年 これまでの放送
08月02日放送 (第299回)
清水:この作品は、雲の間からファーって光が出てくるところとか、光の色がとっても好きです。それと、作者の方が、楽譜を読めないのに自分でピアノを弾いたっていうのが、好きですね。
中谷:あれは感動しますよね。
ジョージ:なんか、やってくれたっていうか、全部やりましたね、本人。
中谷:僕はこの作品、3DCGならではの表現が、ふんだんに使われていていいなと思いますね。特に、都会の作りこんだ表現の中に花びらが、ワァーっと降りそそぐ感じとかね。3DCGでよくここまで出来るようになったな、と思う。あと、本人の絵作り感ていうか、すごく絵心がある人が作ってる。空気遠近法、スモークを入れることによって、すごく自然な雰囲気が生まれてくるっていうところとか、作者の力がないとああいう表現はできないので、素晴らしいと思いましたよ。
森本:そうですね。やっぱり音楽と映像のシンクロ率っていうか、ミュージッククリップのように、全体を通した流れが気持ちよかったですね。流れで入っていきながら、重いテーマを突きつけられる、みたいなところのメリハリもいいなと思いました。
ジョージ:やっぱり音楽、大きいですね!なんか、グァーッて盛り上げていって、肝心な所で、あの花びら。ブワーッて。
森本:いきなり冒頭でね、「ああ、何かが始まる」って予感がするじゃないですか。カメラアングルもすごく低くて。そういう意味では、映画的。そこら辺のつかまえ方も、うまいなと思いますよね。
清水:やっぱりこの作品は、衝撃のキャラクター達ですよね。(一同笑)
ジョージ:特に、誰ですか?
清水:特に、あの…(でんでん太鼓を持つようにして)でんでんでんでんでんでん、っていう(笑)。キャラクターがとても印象に残ってます。
ジョージ:そう、そうですね。
清水:でも、それ以外も、とってもきれいなんですよね。不思議の世界みたいな色づかいがとってもきれい。
中谷:テーマはキャラクターですよね。「森の息」というか、「福井智子の息」というかね。やっぱり、キャラクターに対する思いというか、お話に対するその思いの強さが、作品の全面に表れている。すごく自分も出たい!っていう思いを、作品の中に最高に込めてね。見る人のどぎもを抜かせてくれる、この感じっていうのは、見てて幸せになれますよね。「ああ、やりたいんだぁ」っていう感じが(笑)。
森本:そうですね。本人がやりたい感じというか、すごい出てますよね。イメージの世界をここまで作るっていうのは本当に大変なんですけど、妄想の世界っていうか、その人の頭の中っていうか、それをこういう風に「こういう事だったんだ!」っていうのを見せてもらってうれしいですよね。
ジョージ:やっぱり、いろんなキャラクターがいて。妖怪っていうんですか、ちょっとコワ〜イけど、ちょっとかわいいっていう所、ありました。でも、本人のキャラクターが出てきたときに、「おいおいちょっと待って!他のものと、なんかちょっと違うんだけど、でもそれ…許しちゃう。」っていうのは、作者が「世界観」、「空気」を持っているから出来たと思うんですよ。
森本:作品は本人の性格とかが、すごく反映されるので、ご本人と会うと「ああ、なるほどな」って、たぶんみんなが思ったと思うんですけどね(笑)。「ああ、この人だったら、こういう風につくられるのはよく分かる」って。人間性が出ていて、いいですよね。
中谷:あの竜とね、本人のキャラクターを見比べた人は、絶対同じアニメーションじゃ出てこないな、と思うんだけどさ、同居してるとこがすごいよね。
森本:「そうなんです、もう」ってね。言い切ってますからね。
ジョージ:統一感があるんですよね、それがまた。
中谷・森本:まあ、あるっていうか、ないというか…。
清水:この作品がたぶん、一番スマートというか。印象としてはすごく「かっこいい作品」っていう印象で残ってるんですけど、よく考えてみると、電車の遮断機と戦っていた(笑)っていうところが、ちょっと面白くもあり。
中谷:映像表現をする制作能力の領域でも、いろいろあると思うんですよね。彼はショートストーリーっていうか、CM的なインパクトを中心に展開する。カメラアングルにしてもスピード感にしても、そういうのにたけてる人だと思う。そういう方向でどんどん力を伸ばしてくれればいいなと思うよね。そういう部分はすごい才能がありますよね。
森本:才能、そうですよね。やっぱり緩急が、気持ちいいのでね。ここまで、こう、削ぎ落としている作品を久々に見て、感動しますよね。やっぱり今ね、作り込みが多いんですよね、みんな、作品見てて。その中で、ここまで、要素を少なくするっていうのも、それもすごい勇気だし。
ジョージ:「少なくする」ことは、結構勇気が必要なんですか?
森本:引き算のほうが、勇気がいるんですよね。足し算はね、ごまかそうとしちゃうんですよね。足すことでごまかせるんですよ。でも、この作品は削ぎ落として本質だけがそこに残ってるっていうか。そのぐらいのインパクトがありますよね。
ジョージ:足すことでごまかすっていうのは、「こういうところがちょっと欠けているから…」
森本:そうそうそう。「ここ突っ込まれたくないから、違うものの要素を入れて」。
中谷:「こっち見せておけば、そっちはちょっと、文句言われないだろう」とか。
森本:そうそうそう。そういう作品が多い中でね、逆にこうやって少なくするっていうのは本当に自信があるからですよね。
ジョージ:CGのクオリティーはもちろん、作者の腕が、すごいなって感じました。でも「戦い」の、エッセンスも忘れてない。腕もあって、最低限でやってるっていうのは確かにいいけど、やっぱり、バスケットボール選手と、自分を止めようとしている遮断機!でも最終的にそれはダンクで乗り越えられて。ある意味、ハリウッド的なエンディング。なんか、主人公が「やったぞぉ!」「できたぁ!」って。
森本:熱いですね。
中谷:たぶん、バスケット…?
ジョージ:バスケやってたんですよ。
森本:そうかそうか。やっぱりね。
ジョージ:僕、こういうストーリー好きなんですよ。こういうタッチの、ミュージックビデオも好きなんですよ。最終的には、土に戻る。あの、映像の早回しによって、なんか、時間の流れっていうものがすごく強く感じられるんですけど。そういう、時間の価値観の違いっていうものを、人によって本当に「違うんだな」って感じさせてくれた作品なんですよね。気づかせてくれたっていう作品でもありますよね。
清水:この作品はスタジオで、コマ撮りを使った作り方をやってるじゃないですか。ああいう風に撮ったんだなと思うと、また面白く感じます。でも、この作品で私が好きだったのは、このストーリーと、語りの言い方ですね。「車の時間と自分の時間がずれて、道路も渡れない」っていうところとか、そのシーン、シーンで語られる言葉と、映像がとっても面白かったです。
中谷:家庭用ビデオカメラの1機能(コマ撮り)を見つけて、それで撮り切ったっていうのが、すごく面白いんですよ。「誰でも出来るんじゃん」っていうところがあるけど、やっぱり、加藤さんの監督としての視点というか、ストーリー作りっていうのが、加わらないと、あれだけのものは出来ないんで。やっぱり、イマジネーションていうのはすごく大事だって再発見しましたね。
森本:ビデオカメラの機能をちゃんと使って、それを作品に仕上げてるので、あの不思議な感じがよく出てると思いますよ。
ジョージ:時間の、価値観の違いって、人それぞれじゃないですか。この作品でもすごくそれを感じたんですけど。たとえば、日本を離れると、この国の時間についての考え方は日本とは違うんだって感じる時あるじゃないですか。そういうものもね、改めて感じさせてくれた作品。
森本:具体的に、表現したときにこうなりますっていうのは、「ああ、なるほどな」って思わせるところだと思う。そこはやっぱり、作品としてちゃんとできているんじゃないかと思います。この作品の雰囲気を「よくあるよね」と思うかも知れないけど、この作者にとっては、もしかしたらこの作品が初めてなのかもしれないし。そこが大事だと思うんですよ。「よくあるから、もうこれはやんなくていいや」っていうことじゃなくて、自分もやってみた時に、「ああ、みんなはこういう風に作っているのね」という所と、自分がそこにどんだけ「いるか」ってことですね。そこが大事なんじゃないかなと思うんですよね、もの作りはね。
中谷:僕、あのビデオ見た瞬間にね、昔のものを見たような気がしたって言ったじゃない。(ジョージ:ああ。 森本:うんうんうん。)加藤さんが現れたらまた、昔の人が現れたような気がして。なんかね、ワープしてきたのかなって思うぐらい不思議な感じでしたね。





