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デジタル・スタジアム
BS2 毎週土曜日 24:30〜25:10(日曜0:30〜)
BShi 毎週日曜午後11時00分〜11時40分 再放送 金曜午後4時00分〜4時40分
2007年 02月 15日放送 (第279回)
テーマ:「超新感覚ミュージック・ビデオ@愛知」
キュレーター:丹下絋希  ゲスト:堀越のり
イントロ 作品レビュー ベストセレクション デジスタアップデート
セレクション作品
「PIECE」
小柳祐介
「さとるくん」
池谷古都+高嶋友也
「OH HESSE」
山川 晃
「微生物の世界」
微生部II
Selection#1
PIECE  ピース
小柳祐介  Yusuke KOYANAGI
 
■ まさに超新感覚な2.5Dアニメーション

小柳祐介(コヤナギ・ユウスケ)さんは都内の芸術大学院で映像を研究する23歳。目の前で事件が起きても携帯メールを打ち続けるクールな人々を描き、現代社会を痛烈に風刺した作品『都市東京』でベストセレクションに輝いたこともある実力の持ち主です。作品づくりで心掛けているのは、社会的なメッセージを込めること。今回の作品では、世界中で起きている様々な問題を、地球を構成する‘かけら=ピース’にたとえました。

小柳「世界中で起きていることは、全く自分とは関係ないことではないっていうことを、ちょっとでも考えて欲しかった」

写真が何枚も重なったような、この独特の表現手法。そこにはテレビや新聞など、メディアを通じてでしか世界を知ることが出来ないもどかしさを込めました。

小柳「実際世界で起きていることは3次元的なことなのに、僕の頭の中では、2.5次元くらいでしか想像できてないのかなっていうのがあって。今回の技法とちょうど合っているのかなと」

そんな思いが込められた、2.5Dアニメ−ション。どうやって出来たのか、Mr.中谷に聞いてみましょう!

☆ナビゲーターズ・アイ☆
Mr.中谷「それではバイクを例に説明しましょう。一見立体的に見えますが、回り込んでいくと、実は平面なんです。小柳さんは元になった画像をバラバラのバーツに分解しました。プラモデルみたいです。次にタイヤは3枚、ボディーは5枚など、パーツごとに重ねる枚数を変えて、本物に近い厚みを表現します。パーツで構成されているので、タイヤを回したりも簡単に出来るんです。スペースシャトルなど、作品に登場する全てのものが、これと同じ方法で作られています。平面の画像を重ねることで、立体的に見せる。それでこの不思議な世界が出来たんですね」

サンキュー、Mr.中谷! そしてMr.中谷とジョージがゴキゲンでバイクや自転車を乗り回すアニメーションもつくってくれた小柳さん。会場も大いに湧きましたよ。ありがとうございました!

>>『都市東京』


::: comments :::::::

丹下紘希
__ゲーム感覚で戦争が勝手に起きてしまうような、そんな感覚をわざとへっぽこな、昔のゲームの音を使って見事に表現しているような気がするんですよね。(中谷:デジタルレトロね)

ちょっと平面的なペラッペラッとした感じ。こちらの角度から見るとちゃんと見えているんだけれども、正面に回ってみると実はペラペラみたいな。ちょっと角度を変えると全然違って見える。ひょっとしたら世の中はそういうもので構成されているんじゃないかというような感じも受けました。社会性みたいなことに対して、その若さで100%ぶつかっていくパッションは素晴らしいと思います。

‘2.5D’という、その着眼点ですよね。2Dでも3Dでもない、その“inbetween(=間)”を発見するということが面白いことだなと。

堀越のり
__ゲームを連想させるこういう音にすごく弱いんですね。まず音で引きつけられちゃって。で、見ていたらどんどん色んな形に変わっていくから、なんか面白いなーって。やっぱり戦争だとか環境破壊はよくないっていうことを言っているのかなと思います。

中谷日出
__なにしろテンポがすごくいい。このテンポに惹かれますよね。かなりリズム感のある作家が作っている感じがすごくします。メッセージが来ましたねえ。

ジョージ・ウイリアムズ
__モザイクの使い方がまた上手だなと。絵をぼやかすことによって、次に何がくるのかなって期待させるパワーもちょっと感じました。信念というか、物事をちゃんと考えているという強い気持ちがあるからこそ、作品にパワーを感じるんでしょうね。
 



元の画像をパーツごとに
分解する
タイヤ×3 ボディ×5
ハンドル右×2
ハンドル左×2
シャフト×5
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Selection#2
さとるくん  Satoru
池谷古都+高嶋友也  Koto IKEYA+Tomoya TAKASHIMA
 
■ 都市伝説が元になったミュージカルホラー

作品でも歌を歌っている池谷古都(イケヤ・コト)さん。そして、ギターも弾いている作者の高嶋友也(タカシマ・トモヤ)さん。2人は美術大学の同級生です。このストーリーのアイデアは、都市伝説が大好きな高嶋さんがインターネットで知った都市伝説がもとになっていますが、それを歌で語るという異色作。

高嶋「彼女に歌ってもらおうと思った時に、彼女の声がよくて。この一種独特でコクがあり、胡散臭い声が(笑)」

池谷「この世界観みたいなのがはじめにあって、それを聞いたので、面白そうだなと思って歌わさせていただきました」

確かに池谷さんの声は、作品の醸し出す雰囲気を決定づけていますよね。片や絵の方はと言えば…高嶋さんがポケットからスルッと取り出した紙の束が、なんと原画なのです。小さい! そして大きさもさることながら、枚数が少ない!

丹下「足し算していくよりも引き算していくものに味があるってことは多分にあるんですよね」

会場で目の当たりにした2人のライブ演奏も迫ってくるものがありました。その場で弾いてその場で伝えるライブをぜひやってほしいという、お願いみたいなアドバイスも飛び出し…。地方ごとの言い伝えを集めて、2人でどんどん歌にしていくと面白いかもしれません。期待しています!

::: comments :::::::

丹下紘希
__勝手にジャンルを決めると、昔話風ホラーとでも言おうかという感じなんですけれども…。例えば東北の方で田植え作業をしていて、夕暮れ時になってもう一度人数数えたら一人足りない…、というような昔話ってあるんですよね。それを現代版にしたような。ちょっとゾゾッと、ゾクッとするものがありますよね。

堀越:内容はおじいちゃんが死んじゃうことを予言したっていうことなんですか?)それも偶然起きたことなのかもしれないけど、そういうふうに関連づけている。さとるくんという、いたのかいなかったのか分からないような、ひょっとしたら心の中だけに現れていた存在なのかもしれないし。誰の心の中にも‘さとるくん’がいるかもしれないんですよね。

堀越のり
__これはさっきとまた違う感じですね。ちょっと懐かしさもあるような。原画も、ちっちゃいながらに哀愁が漂っていますよ。キャラクターもかわいいし。

中谷日出
__音楽も気になったけど、あの絵の雰囲気も。たぶんペン画だと思うんですけど、なかなかいいですよね。

ジョージ・ウイリアムズ
__もちろん絵から雰囲気は伝わってきたんですけど、でもあの歌い方とか曲ですよね。
 




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Selection#3
OH HESSE  オーエス
山川 晃  Hikaru YAMAKAWA
 
■ シュールな小学生集団アクロバット

山川 晃(ヤマカワ・ヒカル)さんは山形の芸術大学院で3DCGを研究する24歳。以前ベストセレクション入りした『Tope Con Giro』では、黙々とトランポリンを続けるサラリーマンを描き、高い評価を受けました。いわばマスゲームのような独特の映像。これまで、一貫して集団アニメーションにこだわってきました。

山川「スタジアムとか繁華街とか、ああいう人がごった返しているのを見るのが好きで…」

そんな山川さんが作品の中で表現したいテーマ、それは「シュール」。

山川「正確な動きをしつつ、淡々と、失敗もなく、目の前を通り過ぎて行くっていう姿が、自分にとってのシュール」

淡々とした動きの中、エスカレートしていく小学生の集団アクロバット。確かにこれは‘超現実’、まさに‘シュール’な光景です。1つのテーマにこだわり続ける山川さんのその姿勢、素敵です。

>>『TopeCon Giro』


::: comments :::::::

丹下紘希
__いわゆる画一された感じというか、個性とか感情とかがなくなっていく感じ。帽子を目深にかぶっていると顔がないみたいに見える、顔のない社会みたいな、そういう感じの怖さもすごく感じたんですよね。

現実を見ている彼の視点が、1人だけだったら別にたいしたことないんだけど、3人同じことしていたらちょっとヘンで、それが5人、6人に増えたらみたいな、そういうちょっと変わったところを見ているような気がする。虎視眈々と現実を観察しているような、そういう男のような気がしました。

この作品、実写で合成してみたらすっごい面白いだろうなあと思って。(中谷:これ実写だったら怖いでしょうね)(堀越:こわいですよ〜)相当怖いけど、見たい。

堀越のり
__誰も気づかないんですよ。下にいる大人も女の子たちも気づかないから、じゃあ上で何やってんの? って思えてきて…。みんなが誰にもアピールをしていないのか、それともアピールしているのに気づいてもらえないのか…。ただ何か決められていることをやっている感じが、すごく奇妙でした。山川さん本人も、うーん、シュールです。(丹下:存在がね、笑)

中谷日出
__子供が遊んでいる姿って、本来いちばん生命感があるはず。(一同:そう!)ところがこれ、全然生命感を感じないんですよね。それが怖いよね。

モノトーンの中にヴィヴィッドな赤を入れることで、そのモノトーンを有彩色に、いろんな色に見せる力を持たせているんでしょうね。そこがこの人の巧いとこだよね。

アーティストというのは、一つのテーマを一生かけて追求していくタイプの人がほとんどだと思う。この人はアーティスト・タイプの映像作家なんですよね。

ジョージ・ウイリアムズ
__うわぁ…、奇妙。ホラー映画とは違った心理的な怖さ。すごくリアルに入ってきたんですよ。デザイン的にもグレーをバックに、色の使い方もすごく上手に感じましたね。
 




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Selection#4
微生物の世界  The world of microbes
微生部II  Biseibu2
 
■ ミクロの世界を覗き見る

舞台上に登場したのは顕微鏡のような装置。それを覗くと見えるのは微生物。これって本物なんでしょうか?

怪しげなパフォーマンスを披露しながら会場に現れた4人が、作者の微生部II(八百悟志+小沢貴弘+西殿謙一+森 陽史)。微生物をモチーフに作品を制作するチームです。奇妙なかぶりものはアオミドロという微生物をモチーフに制作したもの。さすが微生部II。展覧会などでは、これをかぶって子どもたちと遊ぶそうです。それにしてもなぜここまで微生物にこだわりを?

「みんなやっぱり田舎モンで、田んぼとかが大好きで、虫とか動物が大好きで…実際に微生物を見てみたら、自分らが想像つかなかったくらいの魅力を持っていたので、作品づくりに至りました」

作品の素材は、どこにでもある田んぼや池の水。この水を顕微鏡に接続したカメラで撮影すると、いろいろな微生物がうようよしています…。これをパソコンに取り込んで切り取り、別の背景に合成すれば、好きなように動き回らせることが出来るんです。その背景にもこだわっていますよ。

「ゴミとか背景になるものをいっぱい組み合わせて道を作ったりして、そこにミジンコをブーッと通らせたり」

すでに気持ちは微生物。みなさん微生物に夢中なのがよーくわかります。これからも当分続きそうなプロジェクトですね。

「微生物の持っている、生き物本来のなんとも言えない、たまらない動きとか。キュキュキュッとか、クックックッとか。そういうのがやっぱ大好きですね」

うーむ、その微生物の魅力、たくさんの人に分かってもらえるといいですね。

::: comments :::::::

丹下紘希
__僕らは勝手に覗いているわけですが、ひょっとしたら今僕らも覗かれているかもしれない、僕らにも覗いている第三者がいるかもしれないという気持ちになる。あとはこの装置ですよね。普通の顕微鏡かなと思ったら、違う。これ自体が新しいメディアになっているという感覚。

微生物の世界での音楽があって、微生物たちが音楽を奏でているとしたら、こういう音楽になっていてもいいんじゃないかと。それと微生物たちの動きのハーモニーで見えてくるものって、いっぱいあるなあと思うんですよね。(ジョージ:微生物ロック!)

堀越のり
__見え方が、私がこの(顕微鏡の)中に入り込んでいる状態になっています。私が一緒に動いて泳いでいるように見えるんですよ。それがすごいですよ、この装置。

最初は本物みたい。動きはちょっと速いけど。あの体液みたいなやつの表現とか、ほんとにリアルで、ちょっと怖かった。

中谷日出
__微生物はコントロールできないものの1つだと思うのね。そのコントロールできない人たちに芝居をさせて、何かストーリーをつくっている感じがして、これはすごいぞって思いますね。

ジョージ・ウイリアムズ
__僕はこれにドラマを感じるんですよね。例えば微生物が道を切り開いて、さっきの大きいものから逃げようとしているのかな。ちょっとストーリーを感じる。

子供の頃に微生物がこういうふうに見えていたら、もしかしたら今頃、僕は生物学者になっているんじゃないかって思うんですよ。ユーモアというか、ちょっと心をくすぐってくれるようなエッセンスは、すごく僕にとっては大切で、それをすごく感じるんです。
 




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