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デジタル・スタジアム
BS2 毎週土曜日 24:30〜25:10(日曜0:30〜)
BShi 毎週日曜午後11時00分〜11時40分 再放送 金曜午後4時00分〜4時40分
2006年 03月 11日放送 (第249回)
テーマ:「インタラクティブ」
キュレーター:竹中直純  ゲスト:篠原ともえ
イントロ 作品レビュー ベストセレクション ナビゲーターズ・アイ
セレクション作品
「球魂」
チームいよだま
「Sensorium.net」
渡辺圭介
「ThermoPainter」
岩井大輔+佐藤宏介
「Incompatible BLOCK」
藤木 淳
Selection#1
球魂  Kyu-Kon
チームいよだま  Team IYODAMA
 
バーチャルリアリティで楽しむ次世代スポ根ゲーム。
いきなり9回裏の大ピンチから始まるこの作品は、スクリーンに映る打者に対して実際にボールを投げる野球ゲーム。体験者はツーアウト1・3塁のピンチを防ぐピッチャーとして4番打者と対戦します。投げたボールはストライクかボールかを判定されるだけでなく、ある条件の投球をした時に魔球に変わり、勝負の運命を左右します。

作者のチームいよだまは、大学院の研究室でつくられた8人の熱血ユニット。伊豫田旭彦(イヨダ・アキヒコ)さんが企画を考案し、メンバーのチームワークで魔球を実現しました。スタジオに伊豫田さん、益田さん、杜さんがご来場。早速「号外です!」と言いながらチラシを配り始めました。実はこれも作品の一環。このバーチャル試合の逆転劇がまさに報道されてるような演出です。

伊豫田「作品に出会ったプレーヤーの方が実際にボールを投げて優勝する。そしてこの新聞を受け取って、おうちに帰ってお母さんにこの結果を伝える、というところでこの作品は完結するんです。ヒーローになって帰るんです」

星飛雄馬のような、絶体絶命のシチュエーションで魔球を投げるヒーローになりたい、そんな願望を可能にしたこの作品。実際は大変な技術です。中でも苦労したのは、実際にものを投げ込めるスクリーンというものが存在しないため、スクリーンの材質や切れ込み、厚みを工夫することによって、まるで球が吸い込まれるような状況を作り出したこと。映像中の審判やバッターは、もちろん研究室メンバー内での撮影しました。そして繰り出される様々な種類の魔球の秘密はナビゲーターズ・アイで!今後の目標はインターネットを使って、遠隔地で親子がキャッチボールを出来るような装置だとか。楽しみですね!

::: point of view :::::::

【インパクト】竹中直純
__子供の頃に漫画とかアニメで魔球ブームのようなものがあって、それをそのまま再現出来るということが非常に大きいインパクト。遊んでみると、消える魔球は出来ないかなとか、砂を巻き上げるとどうかなとか、膨らみますね。球の中の加速度センサーは扱いが大変なんですけど、例えば手で握った時の温度センサーなどの要素を入れて、いろんなバリエーションを球で表現できるようにしてほしいなと思います。

野球という設定がしっかりしていて、エンターテインメントとしてちゃんと成立してるっていうのがいいなあと。たくさんの技術を複合的に使っていて、いろんなものを組み合わせてきちんと動く状態にしているというのが素晴らしいですね。日本人だけかもしれないけど、野球の特定のシチュエーションって、生活とか人生に投影出来るようなもの。それをちゃんとうまく使ってるのも面白い。

【完成度】篠原ともえ
__ゲームセンターとかに置いてありそうなくらい、ちゃんとゲームになっていて、子供がやったら面白いんだろうなっていうイメージが湧く。しかも投げてハートが出たりとか、あれは若い方じゃないと思いつかない遊び心だと思うんですよ。いつかゲームセンターにぜひとも置いてほしいと思います。

実は野球全然知らないんですよ(笑)。でも汗かくくらい楽しかったし、野球ってこんなに面白いんだっていうのを、このゲームが教えてくれました。

【いやし】中谷日出
__動的ないやし。体感した、投げた、入った、そのパーンと入る感じとか、ストライクの感じとか、すごくタイミングがいいんですよ。体感感覚が優れてるので、みんなが気持ちいいと感じるわけ。よく出来てないと、同じものでもなんか気持ち悪いっていう、正反対の状況になるんですよね。その雰囲気は全然なかった。まさに僕はいやされる。

体験して純粋に楽しめる。ストーリーの設定も盛り上がるよね。我々もハマったでしょ。演出がいい。さりげなく映像表現も凝ってて上手い。後ろの観客にしても、いるだけで緊張しますよね。(篠原:あとニュースがちゃんと流れたの面白かった)
 




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Selection#2
Sensorium.net  センソリウム・ネット
渡辺圭介  Keisuke WATANABE
 
生き物のように駆け巡るデータ。ネットワーク社会を再認識させるヴィジュアル・サウンド・インスタレーション。
オフィスのように整然と並んだ16台のコンピュータ。そのLAN接続されたコンピュータに色を表す英単語を打ち込むと、音響を発する光のラインが生まれ、コンピュータ間をまるで生き物のように行き交います。色は全部で8種類。打った数だけ生まれる光は、接続された四方のコンピュータのいずれかを選んでランダムに移動し続けます。そして一定の寿命が尽きると大きな音響を発して消滅。データを常にやりとりしているネット社会の存在を肌で感じさせてくれる作品です。

作者の渡辺圭介(ワタナベ・ケイスケ)さんは、都内の大学で助手を勤める27歳。昨年『独りロックンロール・マシーン』でセレクション入りしています。今回インスピレーションを得たのは、大学の演習室を訪れた時。整然とならんだ90台のコンピュータを目にし、それらの間を移動するデータをビジュアル化するアイデアが閃いたのです。しかし制作過程では試行錯誤の連続。試作第1号は、データの移動を波紋の広がりのように見せたプログラムをいざ作ってみると、出来上がりは光の点滅にしか見えなかった…。その失敗を受けて考えだされたのが線で見せるデザイン。周囲へ向かって流れていくようにすることでネットワークの存在を実感できるインスタレーションが完成したのです。

渡辺「普段は普通の空間なんだけど、作品を展示することによって、異空間になる…、それが面白いんじゃないかと思います」

>> 『独りロックンロール・マシーン』 #224竹中直純セレクション GST/千秋

::: point of view :::::::

【ビジュアル】竹中直純
__試行錯誤の末に出てきたものだけに、例えば色をタイプした後に出て来るタメの部分とか、気持ちいいように作ってある。そこが非常に完成度も高いし、ビジュアルとしても優れていると思いました。もともとネットワークのやりとりの中では、本当にこういうデータがやりとりされてるわけです。自分が入れた「red」のパケットが16個の中に飛んでいくという原始的な感じが体感できますよね。通信ネットワークって高度なことやってるみたいだけど、実はその上に「おかえり」と言いたいような気持ちが乗っている。それがうまく表されていると思います。一度出したデータがどこで消えるかということに関してもちゃんと取り決めがあって制御されてるんですけど、こういうふうに作品として成り立たせようとする過程で、自然にそういう概念が入ってきている。非常に合理的で、その点も素晴らしい。

インターネットって何ですかって言われた時に、なんかよく分かんないですよね。この作品は全然違う形で「こんなに繋がってる」ということをちゃんと表現できているツール。あと入れたものが自分と違うとこに飛んでいって、基本的には分かんないところで音が鳴ったり絵が出たりしてる。そういうサラウンドの感じが非常に新しかったので選びました。

【いやし】 篠原ともえ
__いやされました。あの光が流れて行くのがとてもきれいで、色が重なっていく度に、飛んでいっちゃう時とか、愛着がだんだん出てくる。曲も心を落ち着かせる時に聴くような音楽みたいで、コンピュータを触ることでイライラするのではなく‘いやされる’という感覚があった作品でした。線が生きてるみたいだった。

大勢でやった時に、色が重なって虹みたいに見えた瞬間があったんですよ。それがなんとも言えずきれいで。音も重なって音楽に聞こえたり。みんなでただただ楽しむっていうのが魅力なのかな。

【完成度】中谷日出
__コンセプトから表現まで非常に高レベルな水準で、非常に完成度が高い。特に僕が感心したのは、スピード感を考え線の表現をしているので、体感感度がすごくいいという点。スラーっと行く感じとか、映る感じ、前に出て来る感じ、非常に上手く表現しているし、細かくて完成度が高いですね。

閉じられたローカルネットワークの空間というと、どうしてもビジネス効率を求めるあまり仕事の楽しさがなくなるわけですよ。それにこうやってちょっと遊び心ある、きれいな設定がされるというのは、職場環境にとってもすごくいいことだと思う。
 




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Selection#3
ThermoPainter  サーモ・ペインター
岩井大輔+佐藤宏介  Daisuke IWAI+Kosuke SATO
 
温度で絵を描く、一瞬のアート。
熱を利用してスクリーンに絵が描けるインスタレーション。スクリーンの上に暖かいものをあてると様々な色が浮かび上がり熱の発散と共に消えていきます。温度に反応するので、暖かいものであればどんなモノでもOK! お湯を使えばカラフル書道も楽しめます。

作者、岩井大輔(イワイ・ダイスケ)さんは大阪の大学院生。佐藤宏介教授が指導する研究室で赤外線カメラに出会ったことから、この作品が生まれました。熱が伝わりやすく逃げにくい、という理想的なスクリーンを求めて、ガラスやプラスチックなども試しながら、行き着いたのはシンプルな紙。さらにドーム型のスクリーンを使ったバージョンも持ってきてくれました。近い将来立体のディスプレイが出てくることを見越して、曲面のタッチパネルにチャレンジしたものです。色の種類、濃淡、消えていくタイミングや長さも調節できるという完成度の高さ。パッケージの美しさにも賞賛の嵐が…。

岩井「展示する時に子供が触れるものっていうのを作ろうと思っていたので、なるべく低いもので平置きのものを、と考えまして、あとは熱がこもるので、熱が出るように穴を空けたりして、結局こういう形に…」

指で描いたり、息を吹きかけたり、ドライヤーや、お湯に浸した毛筆など、スタジオも大きく盛り上がった、イマジネーション広がる一品でした。

::: point of view :::::::

【おしゃれ】竹中直純
__おしゃれっていうのは余裕の部分…実用ではなくて、ちょっとあれば嬉しいなっていうようなものに感じたんです。まだサイズやコストの問題があると思うけど、丸いものを小さくして部屋の片隅に置いておくと、普段はライトなんだけど、誰かが来た時に触ると、「あれ? なんか変わる」っていうようなこととか、そういう何気ない感じ。もちろん実用方面でゲーム化したり、もっと役に立つようなことを考えてもいいと思うけど、そっちの余裕の方向を追求してもいいんじゃないかなと思いました。

コンピュータで絵を描くってことは、もともと筆とかペンとかを真似して作られてるわけだけど、コンピュータ上で太いペンを選んだ時って、どこにもこの世の中にない感触でしょ。この作品では、さっきドライヤー使った時に、それがそのままここにあってすごい楽しかった。コンピュータで独自のツールが出来て、それがこっちに帰ってきたような気がしてすごく楽しかったです。

【オリジナリティ】篠原ともえ
__今までありそうでなかったというか、曇りガラスにハーッて絵を描くみたいな、子供心を呼び覚ましてくれるような感覚になったし、科学館とかにあるゲームコーナーにほんとありそうなゲームだなと思ったので、それを開発したのはすごいなあと。すっごく楽しかった。

コンピュータで描くと、もっと濃い線が出るんですけど、この場合温度ですから、繊細なタッチまできれいに画面に出るんですよね。グラデーションがつくのがすごく面白かったです。何時間でも遊べますね。

【将来性】中谷日出
__この作品の向かう方向性、ビジネスも含めていろんな可能性が見えて来る。一番感動するのはドライヤーとか吐息なんだけど、精度がもっともっとよくなれば、フッという吐息でもっと面白いものが描けると思うんですよね。絵を描くのは運動行為だけど、ただの運動行為だけじゃなくて、生きてることの体温、体感、その感じで絵が描けるっていうのは、全然違った表現になると思う。まさに情熱だもん。消えていくっていう時間軸もあるじゃないですか。将来性がそのくらいあるっていうこと。

これはパフォーマンスのツールとしてもすごくいいですよね。大きなスクリーンに出してVJだって簡単に出来ちゃう。
 




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Selection#4
Incompatible BLOCK  インコンパチブル・ブロック
藤木 淳  Jun FUJIKI
 
崩すときが快感。3D積み木ソフト。
地面でも空中でもどこでも好きなところに積み木を置けて、空間全てに色をぬることができます。上達すれば、動物や風景など好きなお絵描き積み木が3Dで楽しめます。しかし、シンプルなようで意外に複雑な面も…。

作者の藤木淳(フジキ・ジュン)さんは、九州・福岡でインタラクション・デザインを研究する大学院生。インタラクティブの可能性を求め、これまでネット型対戦ゲームや音に反応するCGアート、はたまた画面を見ながら動くことで仮想の迷路を体験できる実験的なゲームなど、多彩な作品を作り続けています。そんな藤木さんが作り出したのは、二次元と三次元が交錯する積み木ソフト。不思議な感覚で楽しめる積み木遊びには、あるこだわりがありました。

藤木「見かけに反しない! 見たまんまの位置に置いたら、それがちゃんと三次元化されているっていうことを大事にしたかったんです」

この作品は三次元のデータをベースに作られています。しかし操作をするのは一方向から見た二次元の画面。直感的に配置した積み木がどんな角度から見ても納得できるよう、藤木さんは綿密なプログラムを組みました。そしてもう一つ、藤木さんが作品づくりでこだわったのがこれ! 

藤木「積み木はもちろん作って楽しいんですけど,作るだけじゃなくて、壊すのもやっぱり楽しみのひとつではないかと…」

積み木のもうひとつの楽しさをうまく作品にとりこんだ藤木さん。計算とアイデアをうまく積み重ねることによって作られていたんですね。

::: point of view :::::::

【技術力】竹中直純
__技術という点では、もう問題ないと思う。例えばマウスの左ボタンと右ボタンの機能を変えるとか、キーボードを押しながら操作するとモードが変わるとか、そういうインターフェースの部分は、技術というよりは気がつく部分なんです。コンピュータソフトは、その気がつく部分がかなり大きな割合でユーザの体験が気持ちいいかということを占めているので、後はそこをたくさんやることで、ソフトとしての完成度もどんどん上がってくる。人間と関わる部分は一番面倒な部分なんですけど、そこをやってもらうことで、体験が一枚も二枚も上に行くようなものになると思います。

実は以前これよりバージョンが古いものを応募してくれたんです。今回それをバージョンアップしてきてくれたのは、もう単純に嬉しかったですね。通常のソフトウェアのようにバージョンアップを重ねてるから、よりプロダクトに近い。僕らが何か感想を言うとそれがきちんとフィードバックされる可能性を残してるんです。非常に技術力もあるから、どんどん磨いていってほしいですね。

【将来性】篠原ともえ
__実際の積み木じゃ出来ないことがこの中では出来るんですよね。それがすごく面白かった。今は四角いブロックだけど、そのうち丸いものだけで作るとか、人形ツールで人形をポッと置いていろんな角度から見れたりするとか、いろんな可能性、いろんな未来が詰まってるソフトだなと思いました。やってみてほんとにすごく楽しかったので、将来発売したら買いますね。

【リテラシー】中谷日出
__英語で読み書き能力っていう意味なんだけど、最初の読んだり書いたりする基礎を身につけるためのソフトとして非常に有効なんじゃないかと思うのね。子供たちが空間感覚を身につけるためにあるような積み木という玩具をデジタルにした。なおかつ錯視、いわゆるイリュージョンまで体験できる余地を残している。あえて失敗した部分を見せるとか、最後にガラガラって崩れるのも、「崩れちゃうんだよね」って記憶することもすごく大事なんですよ。いろんな意味でよく考えられてる。まさにリテラシー!

工学的なセンスと美学的なセンスを一緒に持ち合わせた人なので、これはかなり将来期待が出来る。貴重な人材ですよ。
 




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