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デジタル・スタジアム
BS2 毎週土曜日 24:30〜25:10(日曜0:30〜)
BShi 毎週日曜午後11時00分〜11時40分 再放送 金曜午後4時00分〜4時40分
2005年 12月 09日放送 (特別番組)
テーマ:「体験!デジスタ・ミュージアム2005」
キュレーター:  ゲスト:千秋/岩井俊雄/ゴラン・レヴィン/ジュリアン・メール
イントロ 作品レビュー ベストセレクション ナビゲーターズ・アイ
セレクション作品
「モルフォビジョン
〜ゆがむ家 [2005]」
岩井俊雄+NHK放送技術研究所
「Messa di voce [2003]」
ゴラン・レヴィン+ザッカリー・リーバマン&フレンズ
「Sound Flakes [2004]」
師井聡子
「Demi-Pas [2002]」
ジュリアン・メール
 
「Freqtric Drums [2005]」
馬場哲晃
「モルフォタワー [2005]」
児玉幸子
「TENORI-ON [2005]」
岩井俊雄+ヤマハ株式会社
Selection#1
モルフォビジョン〜ゆがむ家 [2005]  Morphovision-Distorted House
岩井俊雄+NHK放送技術研究所  Toshio IWAI+NHK Science & Technical Research and Laboratories
 
「見ること」そして映像の本質に迫る岩井俊雄注目作!

展示されているのは、ガラスケースの中にたたずむミニチュアの家。体験者がタッチパネルのスイッチをおすと、その家が目の前で変形してゆがんで見える。

モルフォビジョン」とは、高速回転する物体に特殊な光を照射することにより、目の前で堅い立体物が柔らかく変形したり、バラバラになったりといった視覚的イリュージョンを作り出すシステムだ。家のミニチュアを高速回転させ、タッチパネルの操作で照射する光のパターンを選び、変形を様々に変えることができるが、中には、物体をアニメーションのようにグニャグニャに変形させてしまうものも。これら視覚効果は物体の高速回転とシンクロして、物体上をスキャンする光を照射し、その光の形状をリアルタイムに変えることで実現しているという。CGのように合成された立体映像ではないだけに、このリアリティは衝撃的だ。

★作者は、ご存じ世界を舞台に活躍するアーティスト岩井俊雄さん。我々が眼で世界を「見る」ということや、映像の本質を問い直すきっかけになるのでは、と考えているとのこと。本作品は、NHK放送技術研究所の深谷崇史さんが共同で研究開発を担当しているが、今後さらに研究を押し進め、映像や放送での新しい表現手法へと進化していくことが期待されている。

 
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Selection#2
Messa di voce [2003]  メッサ・ディ・ボーチェ
ゴラン・レヴィン+ザッカリー・リーバマン&フレンズ  Golan LEVIN + Zachary LIEBERMAN & FRIENDS
 
人間の声をリアルタイムに視覚化する

作品名の『Messa di voce』とはイタリア語で‘声のする場所’という意味。
体験者が発声すると(喋る、叫ぶ、歌う、何でも!)、それがリアルタイムで視覚化され、背後のスクリーンにその映像が投影されるというインタラクティブ作品だ。あらゆる声のニュアンスに呼応して、複雑で微妙な差異まで実に豊かな表現性を持つグラフィックスへと変換されていく。ビジュアルの要素は、まさに遊び心に富みかつ洗練された世界。抽象的コミュニケーションやインスピレーション、風刺、譜面化といったテーマが展開されていく。

ビデオ追跡システムによって体験者の頭の位置を感知するので、まるで口から声のボールが出てきたり、白炎を吐き出しているかのように見えることも。
さらにこの作品で特筆すべきは、単に音声を描写して終わりではなく、一旦スクリーンに投影された映像は、体験者の身体と相互関係を持つひとつの素材となり、リアルタイムに戯れ合うことができるという点。音声、ビジュアル、そして体験者自身が一体化してひとつの世界(環境)を構築するというわけだ。

制作の根幹には、作者が深い関心を寄せている音声美学、あるいは音声の象徴性がある。スクリーンには言葉が全く出てこないにもかかわらず、実に深遠な言語世界を表現するパフォーマンス。話し言葉や話すという行為、そして我々の周りを取り囲む言語環境、それらの持つ意味性や効果について問題意識を喚起する作品なのである。

>> Messa di voce 公式サイト(動画あり)

この他『Manual Input Sessions』『Scrapple』などスペシャルライブの詳細はコチラから >>

 
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Selection#3
Sound Flakes [2004]  サウンド・フレークス
師井聡子  Satoko MOROI
 
水中に漂うカラフルな‘音だま’たち

子ども用のビニールプールに取り付けられたカラフルな蛇口をひねると、それぞれの蛇口から水が滴り、'sound flakes'(='音だま')と呼ばれる模様がプールに流れ出すという作品。

各々の蛇口にドレミの音階が割り振られており、流れ出した 'sound flakes' はその音色を保ったまま水の中を漂う。手元にある柄杓を使って水をかき回すと各々が共鳴し合う仕組みになっていて、かわいらしい音の響き合いを楽しむこともできそうだ。金魚すくいさながらにすくってみると、'音だま' はアニメーションになって動き出す!…子どもたちはもちろん、チャーミングで不思議な体験におとなにも大人気だ!

★「作品という‘環境’によって、そこに居合わせる人と人との間に、笑顔やちょっとした協力というコミュニケーションが発生することが、表現において最も楽しいこと」という師井聡子さんの作品は、常にセンスよく暖かみのあるインターフェイスが用いられ、親しみやすさに溢れている。

>> 師井聡子公式サイト

 
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Selection#4
Demi-Pas [2002]  
ジュリアン・メール  Julian MAIRE
 
CGでもアニメでもない不思議な質感を持つ、21世紀の幻灯機

どこか懐かしさすら感じさせるこの映像の秘密は、作者自ら考案した独自の上映システムによるもの。手作りのレンズが3つもついた特殊なプロジェクターと、アニメーションを作り出す20個のカートリッジ、「モジュール」と呼ばれる立体的なスライドだ。よく見てみると、何とそこには精巧なミニチュアのセットが作られている! それをプロジェクターの光源の前にセットし、その場でミニチュアのパーツを動かしスクリーンに投影することでアニメーションを作り出しているのだ。だから当然同じものはない!そしてもう一つの仕掛けは、何枚も透明なプレートを重ね合わせて作られたカートリッジそのものにある。それぞれのプレートに順番にピントを合わせることで、動きのある映像を生み出すことができるのだ。

物語は郊外の工場で働く男の何気ない日常を描いたもの。例えば、主人公の男が工場での作業を終えて帰宅し一人で自分の食事を作るシーン。出来上がったスープのようなものは、なにかドロっとしたものをかき混ぜているように見えるが、実は作者のジュリアンさんが自分でフィルムに塗られたゼラチンをかき混ぜているもの。洗車のシーンでは、フィルムに実際の水を吹きかけていたりします!その他、「モジュール」の特徴的なものとして、
1)公園を歩く人:モーターで回転するようになっており、歩いているように見える。人や背景は、実写を透明プラスチックにプリントして、レーザーでカットしている。
2)電動ノコギリ:実際に電動で動かしてフィルムを切断。など。

★作者のジュリアン・メール氏曰く「いわゆる映像表現は、静止画ひとコマずつを連続してみせながら、あたかも動いているように見せているが、実世界というのは止まってはいない。だから、映像でもその場で何かが起きている感じを表現したかった」とのこと。一人で奮闘しながら上映するのはなかなか大変な作業だが、まれに失敗することもあるらしく、「スープのシーンでは、スプーンを持つ右手を機会の中に落としてしまい、仕方なく左手でかきまぜた」こともあるのだそう。

>> アルスエレクトロニカ2004特集(サイト内)

いわば、現代に蘇った魔法の幻灯機とも言えるこの作品。
間近で楽しむことのできる、またとないチャンス!
スペシャルライブの詳細はコチラから >>

 
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Selection#5
Freqtric Drums [2005]  フレクトリック・ドラムス
馬場哲晃  Tetsuaki BABA
 
触覚を通じて音楽をより楽しむ新感覚の楽器

人間がドラムセットになってしまうという、馬場哲晃(ババ・テツアキ)さんの作品。箱に繋がった線には、人間の体には影響がない程度のわずかな電気が流れていて、その先には指輪が繋がっている。演奏者は赤い線の指輪、楽器になる人は黒い線の指輪をはめ、その人同士が触れあうと、電気が流れてスイッチが入り、音が出る仕組み。楽器側の指輪は10個もあり、それぞれに違う音が割り当てられているので、他の指輪をした人に触れると、また別の音が出る。

★作者の馬場哲晃さんは、プロレスが好きで、自分のスーパースターであるアントニオ猪木さんや武藤敬司さんとの握手会にもよく出かけるらしいが、その度に「なぜ握手するのか、不思議な気持ちを抱いていた」そうだ。「目でも耳でもない触覚を使って何か作品を作ったら面白いんじゃないかな」という思いが作品を作るきっかけになったのだそう。

*その他デジスタにノミネートされた馬場哲晃作品
  >>『fureru furereba furerutoki』    >>『ちゃっとツナゲテ』


::: comment から :::::::

クワクボリョウタ:手を叩くって、根源的な楽器だと思うんですよ。それとデジタルな技術をくっつけたところが面白いなあと。あと、やってると必然的に他の人とのコミュニケーションが生まれるので、場が盛り上がるので面白い。
篠原ともえ :楽器ってカタいイメージがあるけど、人が楽器になるっていうのが初めてだから、未来の楽器って感じ。ライブとかでお客さん混ぜてパフォーマンスしてみたいですよね…これ楽しい〜。
中谷日出 :楽器を弾くのも楽しいんだろうけど、楽器になるのもこんなに楽しいものかなと。その中の1つとしてパーツとして存在する私、みたいなことで貴重な体験をしたなと思うね。とにかく反応がいいのに驚きますね。上手い人がやれば確実に弾けるよね。
 
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Selection#6
モルフォタワー [2005]  MorphoTower
児玉幸子  Sachiko KODAMA
 
磁性流体による有機的でダイナミックな造形を間近で体感する

黒い液体が生き物のように鉄の塔を這い上がり、有機的な質感の彫刻となる作品。「表面の質感がダイナミックに変化する有機的な塔」がコンセプトのこのシリーズ。液体はとがることもあれば、毛むくじゃらのようになったり薄く鳥肌が立つようになったり、様々な表情を見せる。

液体の正体は、磁性流体と呼ばれる物体。磁力に反応しやすい鉄分などの微粒子を散りばめた液体だ。磁力線に沿って液体が引っ張られるので、トゲトゲが出来たりするもので、この作品では、電磁石の電圧をコントロールすることによって、この液体を吸い付いたり離れさせたりし、あたかも生きているかのように見せている。液体だけに、同じく磁力に反応する砂鉄などよりもなめらかで美しく変形できるわけだ。

★作者の児玉幸子さんは、これまでも磁性流体によるダイナミックな造形を体感する数々のインタラクティブ・インスタレーションの作品で国際的に高い評価を受けているアーティスト。今年2005年には、初めての映像作品も発表している。「素材とデジタル技術の融合によって、生活空間にドキドキわくわくするようなモノを作り出したいと考えている」という児玉さん、モルフォタワーは、これからも光の演出や入力デバイスの異なるシリーズ展開を図っていくとのこと。

>> 磁性流体のアートプロジェクト


 
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Selection#7
TENORI-ON [2005]  テノリオン
岩井俊雄+ヤマハ株式会社  Toshio IWAI+YAMAHA Corporation
 
「DAF東京」2005の開幕を飾る『TENORI-ON』ライブ !

正面のパネルには、LEDランプがずらりと並び、その一つ一つが音を出すスイッチとなっている。16×16に並んだスイッチは、縦が音階、横が時間軸。左から右に向かって好きな音階を並べていくと、フレーズができあがる。それをいくつも重ねていくと、たちまち楽しい音楽を生み出すことができるというもの。視覚的に簡単に作曲と演奏ができ、また一台で非常に高度で複雑な音楽を作り出すこともできる、楽器の弾けないノンミュージシャンからプロフェッショナルまで意識された作品だ。またステージ上で演奏することを考慮し、LEDは裏面にも配置されている。

本来、楽器は形と音と演奏方法が一体化しているもの。『TENORI-ON』は、全く新しいインターフェイスと、光を音と結びつけることによって、電子楽器やデジタル楽器で失われつつあるこの3つの関係を復活させている。デジタル時代にふさわしい楽器を作り出すこともこのプロジェクトの目的というのもうなづける。まさに未来を予感させる新しい楽器なのだ。

★これまでも毎回斬新な作品でパフォーマンスを披露してきた岩井俊雄氏。一貫してこだわってきたテーマは「音」と「光」だ。
1997年に発表された、半透明のガラス玉を基盤の上に並べていくとメロディが出来上がっていく『音楽のチェス』、そのアイデアを、手軽に楽しめる携帯電話用のソフトとして発展させたのが、『携帯版テノリオン』[2001]。いずれも仕組みの妙のみならず、圧倒的な美しさを持つ作品だ。

そして、最新作『テノリオン』は、それらのアイデアをもとに岩井氏が主にデザインとソフトウェアを発展させ、そこに電子回路や設計などハードウェアを中心に担当するYAMAHAのチームが加わりコラボレーションという形で開発が続けられている。このまさに21世紀型音楽インターフェイスは、国際的なアートフェスティバル「アルス・エレクトロニカ」でも今年高い評価を受けている。

 
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