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Spyglass
スパイグラス
村上史明
Fumiaki MURAKAMI |
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過去を覗き見る望遠鏡。 この作品は360°動く望遠鏡を覗くと、そこに見える映像風景もぐるり360°見えるというもの。手元のハンドルでズームも可能。作者の村上史明(ムラカミ・フミアキ)さんは、テクノロジーと人の心をテーマに作品を作り続けるアーティスト。以前制作した作品でも、虫メガネを覗くと、まるでタイムスリップしたかのような昔の駅の風景が見えるという、「覗く」という行為が重要な要素になっていた。幼い頃お母さんにつれられ、よく海や山に遊びに行ったという村上さんは、今回の作品を制作するにあたってまず、昔訪れたことがある思い出の風景をカメラで撮影した。望遠鏡で覗いた海や森は、村上さんの原風景だったのだ。そして撮影した写真をパソコンに取り込み、360°の空間に配置。こうすることで、望遠鏡がどの向きに向いても、そこから覗いた風景が見えるようにした。更に、映像はあえて白黒にして、昔の思い出のようなノスタルジックな風景に…。過去を覗ける望遠鏡。思い出の中に浸ることが出来るタイムマシーン。何てロマンチックなんでしょう。 村上「届くようで届かない風景。子供の頃遊んだ原風景なんですけど、それを覗くことが出来る作品ですね」
::: comment :::::::
__ここにはない空間をここに再現する技術「バーチャル・リアリティ」の一種じゃないかと思う。覗いてる間だけ仮想の空間を好きなだけ眺めることができて、ふっと目を離すと、また元の自分がいる。そういう感覚が面白いですね。造形がまたいい。手にとった時のひんやりした感じとか、ズームをあげていく時のカリカリした音とか、自分が動き回ってそれに反応してちゃんと視覚が変わってくるので、すごく体感的な作品だと思います。
今まで見てきた作品は、これまで誰も見たことがない装置だった。でも、この作品の違うところは、望遠鏡というモチーフは誰でも知っていて、これで何をすればいいか自ずと明らかだということ。もう覗くしかない。そういう、記号としてちゃんと上手に望遠鏡というものを使っているなあと。
映画『ブレードランナー』に鏡を拡大していくシーンがあって、それはどんどん拡大していくとその中にいろんなストーリーが隠れてる。そういうふうに風景だけじゃなくてストーリーを隠していくことも出来るかなという気がしました。
篠原ともえ __見た感じ、確かに懐かしいっていう感覚があったんです。だからこそあの白黒。見た感じで懐かしいって、体感するのは難しいじゃないですか。色のトリックでそういう魔法がかかっているというのは素晴らしいなと思いました。
中谷日出 __全天球型の映像装置って最近は出てきていて、それはバーチャル・リアリティなんだけど、これはその世界を覗き見るって感じ。それも自分の思い出の原風景を覗いてみて、実際寄れる。そのコンセプトはすごいいいんですよね。自分の思い出の原風景をこの中に入れて見たいもの。60年代のあの時にぐっと寄って見たいって感じが人間誰でもあると思うんですよ。それがここで具現化されてるのがいいね。
覗いて寄っていった時に、もっとシームレスに、隔たりなくダーッと寄りたいんですよ。そのテクノロジーはあるので、多分出来ると思う。それをやっていただければすっごい感情移入できますよね。木の肌合いまで分かるくらいまで、どこまでも寄っちゃって見たいなと。過去の自分のあの世界に触れるような気持ちになる。 |
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