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BS2 毎週土曜日 24:30〜25:10(日曜0:30〜)
BShi 毎週日曜午後11時00分〜11時40分 再放送 金曜午後4時00分〜4時40分
2005年 10月 22日放送 (第239回)
テーマ:「“特撮”」
キュレーター:山崎貴  ゲスト:ピエール瀧
イントロ 作品レビュー ベストセレクション ナビゲーターズ・アイ
セレクション作品
「続・燃えよ魚鱗拳〜失われた聖髭〜」
秋山高廣
「The Trains」
ひらたたかひろ
「88」
前野健一
「池」
吉野耕平
Selection#1
続・燃えよ魚鱗拳〜失われた聖髭〜  Fish Scale Fist
秋山高廣  Takahiro AKIYAMA
 
アチョー! 敵の半魚人と戦うアクションシーンをCGで描ききった、特撮カンフー・アクション。
監督は秋山高廣(アキヤマ・タカヒロ)さん。いい加減な中国風のでたらめ語を最後まで貫き通して熱演した時本さん、久保さんと共にスタジオ来場です。

当初は友情物語を撮る予定が、いつの間にかカンフーになっていったというこの作品。絵コンテもなしに思いつきでどんどん撮ったあげく、31分もの長尺になった。本場顔負けのカンフー・アクションは、久保・時本両氏のリー・リンチェ(a.k.a.ジェット・リー)に対する愛の結晶。それを語る姿は火傷しそうなほど熱い! ほっこりキャラの時本さんが、実演する時には目がマジになるのです…。人生をかけてきたというカンフーを、シャドウ・ボクシングの要領でやっていったアクション映像に、秋山さんが、久保さんの助けも20%ほど借りながら、4ヶ月もかけてCGを乗せていった。

秋山「合成する時は、周りの景色とかを測らないといけないんですよね。寸法を測って、それをパソコンに、その寸法を元にデジタルセットみたいなものを作り上げるっていうようなわけで、全てにおいて手間がかかりますね」

詳しくはナビゲーターズ・アイをどうぞ。

::: point of view :::::::

【将来性】山崎 貴
__相当無茶なことしてるんですよ(笑)。まあうまくいってるとこうまくいってないとこ、いろいろあるけど、技術っていうのはやればやるほどついてくるものなんで、これから先どんどんすごいことになってくんじゃないかなと思いまして、続けられたら将来性。

あのぐだぐだ感はちょっと捨てがたいものがあるんだけど、エンタテイメント目指してるみたいなんで、やっぱりもうちょっとシナリオできっちりしておけば、もっとよくなってくるんじゃないかな。

カンフーのこういう自主制作はたくさんあると思うけど、ほとんど全編に渡ってキャラクターがCGで普通に出てきて、特別なことじゃなく、すごい普通の感覚でCGが使われてるというのが、今までとは違う新しい世代を感じさせましたね。

【仲良し】ピエール瀧
__あの3人、仲いいんだろうなあ。4ヶ月そんなものに付き合ってくれるなんて、相当いい友達じゃないですか。会社行ったりプロになると、技術CGはこの人、監督はこの人、とか別れちゃったりするんで、このまんまのチームでずっと作り続けていったらどうなるかなという興味も込みで、‘仲良し’にしました。

ばかですね〜(笑)。部屋で布団に寝てるところがすごい面白かったですね。普通カンフーだと屋敷とか道場で寝てたりするのが、普通に友達んちのワンルームじゃん(笑)。でも見入っちゃいました。わざわざハンディ(カメラ)でやらなくていいのにガクガクって合成になってるとことか、すごい面白くて。カット割のパッパッて展開も普通に出来てて、くだらないんだけど見れましたねえ。素晴らしいと思います。

【オリジナリティ/将来性】中谷日出
__魚人間と真っ向から戦うというこのシュール・ナンセンスな感じを、中途半端だとマズイと思うんだけど、やりきってる感じが心打たれますね。31分全編ほとんどCG合成の展開をする。これをやり続けること自体がオリジナリティ。真似する人いないと思うんですよね。将来性に関しては、作品を重ね、経験を重ねるごとに、どんどんよくなるタイプの作品なので、これはもう将来性アリということなんですね。

画角とか展開をもうちょっとこだわって経験を積めば、さらによくなっていくと思うので、カメラの専門性を、カメラマン別につけてやってもいいかなっていう気はしました。絵コンテは多分描いた方がいいと思いますよ(笑)。だって合成ですからね。

ふんどしメッセージシートみたいなのが、風になびいてフレームアウトしてはまた新しいのが出てくる。あれも普通の発想じゃないですよね。(山崎:ずっと自己表現してるでしょ、ふんどしで。全編に渡ってふんどしで、笑)
 




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Selection#2
The Trains  ザ・トレインズ
ひらたたかひろ  Takahiro HIRATA
 
一見普通に電車が走っている風景。と思いきや、これがただの電車じゃなかったんです。
作者のひらたたかひろさんは、プログラマーの傍ら精力的に映像制作に取り組んでいます。通り過ぎる山手線がどんどん小さく、多くなっていく奇妙な展開。しかもそのうち、この電車が通り過ぎる音が「カエルの歌」を奏でるようになる…。しかしこの山手線のファニーな形はどうして生まれたのでしょうか?

ひらた「まず始めに8ミリフイルムで撮影して、8ミリフィルムのコマを落としていったら、どうなるのかなと思ってやってみたら、電車がどんどんどんどんみじかくなっていって、これおもしろいなと思って、これがきっかけで、やってます」

なんともアナログな手法だったのですね。その詳細は、音の謎と併せてナビゲーターズ・アイで解明されます!

::: point of view :::::::

【サプライズ】山崎 貴
__最初に見た時にすっごい驚いた。もちろん技術力も素晴らしいんですけど、やっぱりアイデアというか見せ方…、単純に電車が小さくなっていくっていうのが驚きだったんですよ。うわあ、これおもしれえなあと思ってたら、それがカエルの歌になっていって、さらに輪唱になった時なんかもうひっくり返るくらいびっくりしたんで、僕としては‘サプライズ’という感じ。よくこういうのってやりっぱなしになっちゃうんですけど、三段落ちくらいにちゃんとオチが用意されてて、面白さが増していって、作品としてまとまってるっていうところも素晴らしいなあと思いましたね。日常の風景の一シーンがどんどん変容していくっていうのがすごい。技法として特撮を使ってるっていうところがいいのではないかなあと思いましたけどね。

【ツボ】 ピエール瀧
__自分が気持ちいいと思うところがはっきりしてていいですよね。環境の中からほんの一瞬切り取ると、なんかそれが音色みたいになるという。(切り取った)それをシンセサイザーみたいに使うことをサンプリングって言うんですけど、その感じが非常にはっきりしていて。だから多分普段あの人も、歩いてる時とかにコロンとか音がすると「あ、今の音!」とかいうタイプの人だと思うんですよ(笑)。その、普段から気にしてそうだな、一瞬切ると別のものに聞こえそうだな、普段の音を長く短くとかっていう考え方が音楽的で、僕としてはツボだったなと。

今のシークエンサとかのソフトとかもそうなんですけど、曲を作る時にああいう帯をいっぱい貼ってるんです。で、それをこっちから‘せーの’で流すと、オルゴールみたいにそれを全部演奏するっていうシステム。それと近いことを、映像のシークエンス画面でも応用できるなっていうようなところから入っていったと思うんですけど。

【技術力】中谷日出
__8ミリフィルムの実写を加工しただけでこれだけの映像表現が出来るという、これはまさに彼の持っている技術力がその裏付けにあると思うんです。これから彼が3DCGを使ったりして展開することによって、またさらにイメージの世界が広がっていくと思う。新しいテクノロジーも入れながら、さらに技術力を磨いて欲しいですね。

まさにミュージック・ビデオ的な視点を持った、これ実験作品だと僕は思うんですよね。その実験がワンシーンでこれだけ見せれるっていうのは、作者の力量をすごく感じますよね。もう実験やりきってほしいだけですね。やめないでひたすら追求したらすごいものになると思うな。
 




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Selection#3
88  ダブルエイト
前野健一  Kenichi MAENO
 
怪獣の恐怖に立ち向かうため、人類の常識を遥かに超えた超生命体ダブルエイトが立ち上がる! 
作者の前野健一(マエノ・ケンイチ)さんは、宮城県仙台市でカフェと古本屋を経営している39歳。作品を作る上で欠かせないのも資料。前野さんの自宅には、特撮関連の本がなんと800冊以上! そして今も増え続けているのです…。中学生の時、ウルトラマンの円谷プロダクションに初めて訪れた前野さん。おみやげに買ったポスターが巻かれていた一枚の原画が彼の人生を変えます。
 前野「これを見て、ああっ、画面では光り輝く光線! それが原画ではほら、黒い線で、エアブラシで多分描いてるんだと思うんですけど、こういうものが、画面では光り輝く素早いビームになる、という驚きがありましたね。それでかなり引き込まれました」

スタジオでもその少年のような目が輝きだし、自作のフィギュアやこれまで作ってきた10作品の解説を始めると、その熱い口調はもはや弁士。『88』に出演した、自分の年齢の半分ほどの若い劇団員を説得された時も、さぞや驚かれたでしょうに、快く引き受けてくださったとのこと。

最初のウルトラマンが始まった昭和41年に生まれたという前野さん。特撮にかける情熱はもはや宿命でしょう。前野作品は全て、日本で唯一レンタルしている古本屋が仙台にあります。そして今日も、家族が寝静まった深夜、前野さんの怪獣作りが始まるのです。

::: point of view :::::::

【ツボ】【いやし】山崎 貴
__ザッピングしてる編集の感じとか、他にない感じでツボにはまりましたね。展開も、最後‘ほっおーそうきたか!’と。普通のものが始まったようでいてとんでもないものになっていくのが非常に良かったと思います。オリジナリティですよね。この人しか作れないっていう世界観というか、いい感じに脱力してなごむ感じというか。他にない力を持った作品だと思うんです。

【インパクト】【いやし】ピエール瀧
__本来なら作品だけで判断しなきゃいけないんでしょうけど、本人のキャラ見ちゃったので、…(笑)。‘インパクト’が作品で、‘いやし’はキャラです!

途中まですごいハラハラして見てたわけですよ、いろいろ。“レンズふけよ”とか、“…その芝居!” とか、いろいろ思って見てたんですけど、ツッコミながら見てた自分も最後に展開で逆に僕つっこまれたんで、この先どうなるのかなっていう、単純に興味が…。ちょっと見守りたい気がします。

【インパクト】中谷日出
__とっても古くてなおかつとっても新しいものを見せつけられたような、すごく新鮮な感じが残りました。そこにインパクトを感じましたね。「市民映像作家」とあえて名前をつけさせていただきますけど(笑)、これからも映像文化を育ませていただきたいな、と。

正直言って僕、最初はこれダメだと思って(笑)。でも見てるうちに、なんか心配な反面興味が非常に湧いてきて、誰が作ってる?とか、あの演じてる子たちは何なんだ?とか、熱演でいいんだけど中途半端に上手いぞ!とかね。その辺がなんともいえない間で。それで最後のツッコミが入って来る…、今後に何かを匂わせる不思議な読後感を得ましたね。
 




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Selection#4
池  The Pond
吉野耕平  Kohei YOSHINO
 
これは彼女が見た夢なのか…? 意識はやがて鮮やかな色彩がいっぱいの池の中へと入っていく、なんとも不思議な世界。
関西の名門、大阪大学大学院。しかも理学部。ここで植物生態生理学を研究しているのが、作者の吉野耕平(ヨシノ・コウヘイ)さんだ。研究の傍ら吉野さんは、自然界の美しいモノを写真におさめる事が日課で、撮影した写真を作品作りの素材にしていく。作品『池』では、実は登場人物の2人の人間以外、ほぼすべてCGは使わず写真素材を使っているのだ。
 吉野「プロでない僕が、作る時間とか締め切りの追われない自分が、一生懸命限界までやってみる義務があると思うんですね。これでいいやと思うまで作れるようにやってます」

自然を観察することから作られる吉野作品。新しいビジュアルの世界を生み出すかもしれません…。その世界が作り出される秘密は、ナビゲーターズ・アイでどうぞ!

::: point of view :::::::

【いやし】山崎 貴
__技術的にも珍しい技術を使っているということと、人の夢をそのまま取り出してきたみたいな、夢の再生装置みたいな感じがしたんですよ。それが見た後に心地よい感じが残って、なかなか珍しい作品だと思いますね。美術館に行って、ちょっとしたものを見て、暮らしがちょっと良くなったみたいな感じ(笑)。すごくきれいですよね。こういうものを真夜中にテレビとかで見ると、きっとすごい新鮮な気持ちになるという感じがする。もう美術館に並んでいるようなアート作品だと思うんですけど、見て、なんかいい気持ちになりました。見ながらそのまま夢に入っていきたいみたいな感じがしますね。

【ビジュアル】ピエール瀧
__写真で構成してある感じとか、植物のことをやってたり、ちょっと日陰の側のイメージが好きだったり、作品の中でも澄んでる水とか、風にそよぐ水草とか…。ちょっとした動きのある静寂みたいなものが多分すごく好きなのかなあと。多分あのパキッとしてる(クリアな画像の)ようなのはデジカメが元だと思うんですけど、それがすごくマッチしてて、すごく透明感があって、ビジュアルにはこだわりがあるのかなあと思いました。

【ビジュアル】中谷日出
__作者ならではの新しいビジュアル表現にチャレンジしてらっしゃる姿をお見受けするんですよね。現代版のニュー・シュールレアリスムみたいなものをこれから組み立てていかれるような、そのイズムまでも感じるようなこの映像表現にけっこうインパクト受けたんですよね。違う世界でやってらっしゃる研究が、映像にすごく生きてる感じする。それがすごく楽しみですよね。

出てくるシーン全てが、夢がテーマの特撮作品っていう感じがすごくするわけ。澄み切った、この世ではない世界観を作るのがすごく上手ですよね。色もビビッドに彩度を上げてきてるのが、天国な感じ。空気がしーんっていう、ちょっと身を律させるような雰囲気はあるね。この人やっぱり夢に対する思いっていうのがすごく強くて、それが自分の持ってる特撮力とうまく噛み合わせようっていう意識で、前向きに取り組んでらっしゃる気がする。その辺の力量をすごく感じます。
 




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