ON AIR INDEX
これまでの放送
キュレーター&キャスト
ベストセレクション一覧
感想メール
メールマガジンの登録解除
携帯サイトの紹介
サイトマップ
 
HOME > onair >041120review.html デジタルスタジアム
ホーム
on air review
 
第202回  
タイトル 2004年 11月 20日放送
イントロ 作品レビュー ベストセレクション ピックアップ クリエーターズカフェ
 
作品レビュー
 
ノミネートNo.1
作品写真
Dog[LAB]01
France CADET
ノミネートNo.2
作品写真
音点字
福森みか
ノミネートNo.3
作品写真
煙舞
Jean-Marc PELLETIER
ノミネートNo.4
作品写真
ReVision
David Schwarz
   
ノミネート1  
作品写真
作品写真
作品写真
 
Dog[LAB]01 (ドッグ・ラボ・ワン)
France CADET (フランス・キャデット)
作品ノート
33歳のフランス人女性。科学問題を扱うアーティストとして活動する傍ら、美術大学でロボット系の授業を教えている。
芸術をやり始める前は科学を学んでいて、クローニングなど生命を人工的なものにする行為に興味を持っており、それが今回の作品を作るきっかけとなった。
あえてロボットをモチーフに選んだのは、簡単に動物同士の配合ができるから。そして、人間は作り物のロボットからも愛情や恐怖を感じると考えたから。

★今、全世界で議論を巻き起こしている遺伝子操作というテーマを、ロボットを使って風刺した作品。ロボットには、本物の動物の鳴き声や仕草など、様々な特徴を再現するデータがプログラムされている。世界初のクローン羊と同じ名前の「ドリー」は、犬に羊と牛を掛け合わせたもので、狂牛病にかかって脚や腰がガタガタ震えたりして苦しみ、あのクローン羊がたどった運命と同じように早死にしてしまう。現在全部で6体あるこのロボット達は、今後その種類がさらに増える予定。
コメント

▼立花ハジメ

「ロボットだから神様でも出来ないようなことが出来ちゃう。現実だったら、クローン羊のドリーとか頭が2つある犬とか、やっぱり深刻な話になっちゃうんだけど、ロボットだから、逆に深刻にならないで楽しめる。

僕は猫飼ってるけど、猫のロボットと実際の猫だったら、やっぱり本物の方が可愛い(笑)。でも組み合わせの妙というか、こういうロボットは、実際の猫などペットに劣らない可愛さとかせつなさみたいなものがある。シンセサイザーと一緒だよね。シンセサイザーも最初は本物のピアノの音をいかにして出すかという苦労があるんだけど、やっぱり‘ならでは’の音が出ないとダメ。過程として本物の猫みたいなロボットにするのはあるけど、これは‘ならでは’っていう存在になってるから。」

▼野田 凪

「このロボットが売られてたら欲しくなるし、選べる楽しさはあると思う。鳴き声や色にオリジナリティがあるし、面白いアイデアだなと思うのと同時に、遺伝子を掛け合わせるという発想は、ロボットで楽しむくらいにしてほしい(笑)。

問題提議はいいと思うけど、それを見た人は楽しい気持ちにはならないから、できればそういうのを見せずに伝えてほしい。“ロボットだから、犬とか猫を混ぜても楽しく可愛くロボットですよ”っていう、楽しい見せ方をしてほしい。2つの頭のものや狂牛病の以外はすごい可愛いと思います。私は自分のアートでも広告でも、表現には絶対にそういうもの(問題提議)は使いたくない。(立花:この作者もそんなに考えこまさせるようなタイプの人じゃない。もっと凪ちゃんぽい(笑)。あっけらかんと、こんなのも面白いかな、みたいな)」

▼中谷日出

「最初可愛いなって思うけど、だんだん何とも言えないせつなさに変わる。背景にあるいろんな社会の課題に直面することになって、特にその場で死んじゃったりすると何とも・・・可愛いだけに、せつなさも倍増。(周りの観客も)“可愛い!”って言う人もいれば“可哀想!”って言う人もいて、ほんとにいろいろ。1つのロボットを前に、それをどう受け取るかも、アートと人との関係。それぞれがそれぞれの受け取り方をして社会を考える、というアート。

欧米では数年前からバイオテクノロジーをテーマに、こういうアート作品がけっこう生まれていて、光るハツカネズミとか、(野田:本物ですか?)本物なんです。そういうものを発表すると、新聞で叩かれたりする。実際に動物を使ってそこまでやるのは疑問に思うけど、こういうロボットが進化していくことで、動物実験もロボットが出来るようになるかもしれないと考えると、こういう研究も表現も、先の我々や社会のためになっていくのかなと。ペットロボットには可哀想な気がするけど、明日が見える感じがするので、これをきっかけにみんなが問題意識を持って考えてほしい」
  
   
ノミネート2  
作品写真
作品写真
作品写真
 
音点字 (オトテンジ)
福森みか (フクモリ・ミカ)
作品ノート
37歳。今春美術大学を卒業し、現在はさまざまな展示会に作品を出すなど、アーティストとして活動中。創作活動を始めたのは33歳の時。たまたまメディアアートを紹介したテレビ番組を見たのがきっかけで、それまで10年勤めていた会社をやめ、アートの世界に飛び込んだ。
モチーフの点字に興味を持ったのは専門学校に入ってから。学校の課題をこなしていくうちに、見えることと見えないことの差に興味を持ち、盲学校などへ訪れるようになる中で自然と点字に触れ、自分が学ぶための学習道具として今回の作品を作り始めた。

★透明な玉を6つの穴の上に並べて点字を作ると、音でその文字の読み方を教えてくれるもの。点字を知らない人でも簡単に学習することができる。アルファベットバージョンもある。
コメント

▼立花ハジメ

「目が見える人は点字が読めなかったり、点字が読める人は点字がどこにあるか分かりにくかったりするわけだが、これは、目が見える人が点字を覚えるための道具として、きれいな作品。グラフィカルで、プラスチック度が高くて、良いです。

資料を見ただけでは、まあ遊びとしては面白いけど、点字を覚えるという意味ではどれぐらい現実的なのかな、と思ったけれど、実際に触ってみると、ほんとにすごく現実的だったのでびっくりしました」

▼野田凪

「この透明の玉がきれいだし、入れると光るから楽しくできる。音も出るので、すごく楽しく覚えられる。もし覚えられたら、実際に点字を触ってみて読みたくなりますよね。

(操作している時に)他の音が出ないように、(切り替えの)ボタンがあったらいいですよね。できればこれで喋りたいじゃないですか。(中谷:聞いた人が“あれ、何言ってるんだろ?”っていう感じになっちゃうと、誤解が生じますもんね)

自分が新しく興味の持ったことを作品にしてみるというのは、一番素直というか、ほんとにいい表現が出ると思う。そういう意味で、多分作者の方が、すごく興味があったからこういうカタチで素敵に表現できたのかなあと思います」

▼中谷日出

「点字っていうものは僕達から遠い感じがしたけど、実際に駅の券売機とかについてるのがすごく身近な感じがしてくる。そこがこのツールの最大なるポイント。この6つのポジションだけで全部表現できるわけだから、点字ってやっぱりすごく機能的なものなんですね。

デジタルならではの、デジタルの時代だからこそ出来るツール。ライフワークみたいなかたちで取り組むともっとバージョンを上げられると思う。遊びながらものを覚えられたり、スキルが上るって素敵なことでしょ。みんなのためになるような作品がたくさん増えるようになる、良いきっかけになると思う。

社会のテーマとか、いろんなことに対してアートを使ってチャレンジしていくということはすごく大事。(立花:やっぱり今考えざるを得ないでしょう。面白くするために入れるというよりは、面白いものには自然にそういう社会的要素が入ってる)教育的な部分と楽しい部分をうまく混ぜて展開する‘エデュテーメント’ってジャンルは、メディアアートでも大事な要素。何より本人がそういう意識を持って、自分が楽しむために、そしてそれが人のためになるという、両立したいい関係でこういうものが育っていくのは素晴らしいこと。自分で学ぶための道具というのは、ものづくりの原点のような気がする」

▼相沢礼子

「目の見えない方にも目の見える方にも普通に一緒に楽しめる作品ってことになりますね。(中谷:見た目がすごく美しいので、視覚的にまず“あ、いいなあ”って感じがしますよね)」
  
   
ノミネート3  
作品写真
作品写真
作品写真
 
煙舞 (ケムリ・マイ)
Jean-Marc PELLETIER (ジャンマルク・ペルティエ)
作品ノート
岐阜県の美術大学で講師をしている28歳。専門は画像解析と電子音楽。
お寺に行った時、夕日に照らされた線香の煙がいくつもの線に分かれ、また折り重なるように立ち上る姿に、どこかリズムが表現されているように感じ、作品にしてみようと考えた。

★線香から立ち昇る煙が生み出す音を楽しむという作品。立ち昇る煙をカメラで撮影して、太さ・角度・輪郭をコンピューターで解析。そのデータをもとにあらかじめプログラムされている音が選ばれ、再生される。煙がまっすぐ立ち上っていると笛の音、少し複雑になると風鈴の音、大きく乱れると海の音がする。
コメント

▼立花ハジメ

「音楽というよりは‘音像(オンゾウ)’。音像感と、あらためて見るこの煙の複雑さの組み合わせ具合ですね。(中谷:まさにハジメさんのアナログとデジタルの、何とも言えない融合ですよね)まさに。今は、あまりにも周りにデジタルなものが多くて、日常生活の中で車が一番アナクロな機械らしい機械だったりするようになっちゃってるから、バランスをとるために、よりアコースティックなものを必要とする。これもセンサーとかを使ってるデジタルなものなんだけど、この何とも言えない割り切れないアナログの煙との組み合わせが面白い。

煙の複雑さに比べると音が単調と言えば単調。シンプルだけれども、もっといろんなバリエーションが選べると楽しいかな。(今の音は)リラックスできそうだし、合ってることは合ってるけどね。煙の複雑さに比べると、ちょっと普通。

(音楽とグラフィック、ビジュアルは)基本的に関係はないんだよね。いい音に映像って別に必要ないし、いい映像に必ずしも音って必要ない。基本的には独立したもんだと思うけど、時としては音と映像があった方が1+1が2乗になることもある。そういう2乗になる時が楽しいから僕なんかは両方やってたりすることがあるけど」

▼野田凪

「私はいつもはちみつの匂いのお香を焚いてるので、これを家でもコンパクトに出来たり、その度にいろんな音が出たりすると楽しいなあ。欲しいですね。

中谷:野田さんだったらどんな3つの音を組み合わせますか?)ドラムとボーカルとベース(笑)。3つの音がもっと違ってる方が、今煙がこうなんだ、って分かるかも。今みたいな方がリラックスはできそうだけど、もっと音が面白い方がいいなって気がしました。

私もデジタルなものばかりに囲まれているから、アナログとデジタルの組み合わせというものにすごい惹かれるし、デジタルの良さとアナログの面白さを結びつけてこういう作品を作っていくのは素晴らしいと思います」

▼中谷日出

「煙はカタチがない。空気とカタチのない物体との絡み合いに魅力を感じる。そのせつない姿が美しい。その煙が音に変わるということだけでも素敵。この幻想的な音もイメージを増幅させてる感じがするし、これいいね。この暗い雰囲気といい、線香の煙といい、この音といい、何とも言えない雰囲気(笑)。

この解析する画像だけでも不思議できれい。ちょっとゆるい感じがたまらなくセクシーな感じもしますし。ずっと見ていたくなっちゃう。

ハジメさんの言われる‘音像’っていうのはまさに新しい響きがある。最初は音楽と煙がちょっと乖離してる感じがしてたんだけど、だんだん慣れてくると、煙の音に聞こえてくるのは不思議。(野田:確かに煙から聞こえてくるような錯覚に陥ってきますよね)

デジタルってどうしても西洋的なものになっていくけど、これは東洋的な雰囲気。外国の方がこれを見てインスパイアされたり、この和的な雰囲気に画像を変えて、音楽もこういうムードのあるものに持ってきてることにも興味を持つでしょうし・・・日常の中にこういうヒントがたくさんあると思うと、これからいろんなものを見る目が変わってくる気がします」

▼相沢礼子

「煙ってこんなにきれいで魅力的なんだって気づかされました。お線香の煙って、1本の線だけだと思ってたら、太い2本の線から出来てて、それが分かれてるような感じ。(中谷:火の厚みで煙がダブルになって出てるんじゃないかな。出所がちょっとしか違わなくても、先行くとぱーっと広がっていって、それが何本にも見える。その絡み合いがいいよね)」
  
   
ノミネート4  
作品写真
作品写真
作品写真
 
ReVision (リ・ヴィジョン)
David Schwarz (デビッド・シュワルツ)
作品ノート
今年ロサンゼルスの美術大学を卒業した26歳のアメリカ人男性。現在は自分のスタジオを作り、モーション・グラフィックスやミュージック・ビデオを制作している。

★見ることに過激な検眼医と、盲目の老人が偶然出会うことから始まる物語。この現実の世界での出会いから、検眼医は突如、盲目の老人にだけ見える不思議な世界に迷い込んでしまい、そこで思いがけない目に遭ってしまう。 
コメント

▼立花ハジメ

「CGを含めた大道具小道具、地面から検眼鏡まで、全部デザインされてる。それが全部溶け込んでる感じが、すごく気が利いてる。

次の作品ではもう少し台詞とかストーリーがあるものとか、それこそミュージック・クリップみたいな、音楽も今回とは違うようなものも是非見てみたいですね」

▼野田凪

「内容はちょっとよく分からなかったんですけど(笑)、この揺れがけっこうアナログ的な揺れだったりするから、どこまでがCGか、差が分からないところもあって、実写とCGの組み合わせが自然に出来てる。だからストーリーはいらないのかもしれない。もうちょっと音楽が楽しければ、最後までもっと見れるかな。

あの男の人はすごいいいですよね。かなり役者さん。フランス映画とかに出てそう。キャスティングいいですよね。演技力もありますよね(笑)。

色使いがすごく素敵。紫のあのシャツとかね。ライトとか小道具もほんと可愛い。顔の赤いライティングがすごい面白いし、全体にカメラワークとか編集がすごい上手いし面白い。力のある人だなあ。

ほんとにすごいすごい、レベルが高いし、ほんとに面白い。ほんとによくできてる。見てて一つ一つがすごく絵になってる。違う音楽使ったり、ちょっとストーリーがあったらどうなるのかな。ミュージックビデオもカッコいいのを作りそう。いろんな可能性を持ってそうな人だから、もっと見たい。もっと作ってほしいなって思います」

▼中谷日出

「キャスティングの妙。それだけでも惹きつけられる。カリフォルニアの方では、プロの役者さんをアマチュアの作品にも実際に使えたりするシステムがあるので、クオリティがぐっと上るんですよ。子供の表情だって、アマチュアの子供の表情じゃない。うまいですもんね。日本でもそういうシステムが出来るといいなと思います。

カタチが日本の欄間みたいな雰囲気がしたり、和っぽい感じもするのが不思議。色は全然和っぽくないんだけど。デジスタに送ってくる人だから日本にも興味ある人だと思うんですけど、この不思議な折衷感は魅力のひとつ。

世界観として何をしてもいいから、そこが自由だけど難しい世界。かなりグラフィックセンス問われるんじゃないですかね。この人もモーション・グラフィックスをやってるってことで、たぶんグラフィック的な思考を持ってる人。映像新時代的というか、野田さんが映像作ってらっしゃるように、映像表現にどんどん入っていくグラフィックの人達が多いのかなと思います。

デジタル処理だからできるとこもあるし、CGもうまく使ってる。本物のダンボールとか、そういう素材の使い方も気が利いてますし、総合的にすごくうまく、全体のトーンが分かってる人。ある意味、実験的なことを重ねていかないと、こういうものは出来てこない気がするから、かなり経験は豊かだと思う。8分という何とも言えないサイズの映像だけど、もっと長くてもいけるかな。これだけ画が作れれば、もっと違うジャンルでもいいかなって感じもします」

▼相沢礼子

「実際に見てるのは、本当は存在しないものですか?(立花:そういうことはあんま考えなくていいんじゃないかな(笑)。ストーリーを含めて、変に具象してないところが、気が利いてる)

地面も背景と同じようにデザインされていて、すごい変わった世界を醸し出してる。ダンボールだと思っていたのが、近くに行ってみると普通の壁になっちゃったり、現実の世界と映像の世界を分からなくするような効果をどういうふうに表現していくのか、もうちょっと詳しく知りたいなと思いました」
  
   
 
前へ 次へ
   
  Copyright 2004 NHK (Japan Broadcasting Corporation) All rights reserved.許可なく転載を禁じます