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on air review
 
第200回  
タイトル 2004年 11月 06日放送
イントロ 作品レビュー ベストセレクション ピックアップ クリエーターズカフェ
 
作品レビュー
 
ノミネートNo.1
作品写真
Touch the Sound
早瀬将一
ノミネートNo.2
作品写真
Bipolar Base
江口たくと+菊地 誠
ノミネートNo.3
作品写真
空間新素材・m@terials
間瀬実郎
ノミネートNo.4
作品写真
ラブリー
新海岳人
   
ノミネート1  
作品写真
作品写真
作品写真
 
Touch the Sound (タッチ・ザ・サウンド)
早瀬将一 (ハヤセ・マサカズ)
作品ノート
大学院で音や音楽を楽しむためのユーザ・インターフェースの研究をしている。
子供からお年寄りまで、誰でも無理なく音楽の演奏を楽しめる作品が作りたいと思い制作。この作品に取り組む以前は、特に音楽の勉強をしたことがなかったそうだが、そんな自分でもこの作品を使えば音楽を演奏できる、楽器ができないからこそ生み出せた作品ではないかと思っているとのこと。

★白い台の上でたくさんの色付きのゴムボールを転がして音楽が奏でられるというシステム。上に設置してあるカメラがボールの色を判別してその位置を特定し、コンピュータへ送る仕組みで、位置によって音の種類が変わる。ボールは、メロディ、ベース、リズムなど、色の違いによって機能が様々。一つだけ大きなボールがあって、それは全体の曲調を変える。現代的なテクノ風、沖縄民謡風など、いろいろな曲調が楽しめる。真ん中に置くと、リズム・セクションの音が動物の声に変わるという裏技も。
  
コメント

▼竹中直純

「音を奏でるツールはいっぱいあるけど、これは、このリングで(ボールを)固定できて、自分がやりたいことを非常に精密に制御できる。そこが他の作品と全然違う。自分の好きな音楽を再現できるんです。そういう意味では単なる遊びではなく、完全に一つの楽器になってるし、ボールのある状態が音符を置いていることに等しいので、ある意味楽譜でもある。まだちょっと荒削りですが、これを発展させていけば、新しい音楽のあり方、演奏の仕方ができますよね。

ピアノは分からない人が弾いても音楽にならないけど、これは誰がやっても最低限のところは保たれる。これをバラバラに分割できるような作りになると、やりたいことを完全に再現できるようなものになるかも。

まだテンポが制御できないし、音階も変わっちゃう。その変わり目が全体の感じを壊す場合があるので、うまくできないか、僕が作りたいなと思いました(笑)。(中谷:音楽家の目になってますよ)いやいや(笑)。自分で手を加えたいと思うような作品だったので、皆さんにもお見せしたかった」

▼金田美香

「音楽の機械というと、なんだか難しくて触っちゃいけないみたいな印象なんだけど、これはまず触ってみたくなる。あまり分かってないけど、これで遊んでるだけでもすごく楽しい。魔法使いになったような! こんな身近なゴムボールで音が発生して、音楽が自分でも作れて、みんなも楽しく乗れる。食いついてしまいました(笑)。

おシャレですよね。ポップな感じがします。(竹中:ポップですね。色で見てるんで、ボールの持ち込みができますね。カエルでもいい(笑)。闇鍋みたいにね)」

▼中谷日出

「誰でも簡単にさわれて、使いたいというモチベーションがついて、なおかつ出来上がってくる音楽のレベルが高い。これ以上に素敵なものはないわけで、子供からおじいちゃんおばあちゃんまで、みんな楽しめる。一家に一台。それによって、子供達は音楽の感覚がよくなって、僕みたいに、昔もっと音楽を聴いて自由に何かできてたらもっと違う人生を歩んでたんじゃないか、という人を作らないで済みますね(笑)。

楽器は‘だいたいこの辺’っていう感じを的確に覚えるものが多い。それに匹敵するもの。いろんな色によって積層化された楽譜が、分かる人には分かって、いろいろやれる。(竹中:全然分からなくても、ボールを転がせば音が出るから、感覚的にいいものができちゃったり)それじゃ、これは僕の味方かも(笑)。

(白い台の)作りがもっとハイテクで魅力的な表現になれば完璧。ナチュラルで素朴な感じも好きだけど、音楽性から言うと、デザイン的にもっとシャープでもいいかな。(竹中:ビー玉とかいいんじゃないですか)こういうベーシックなシステムに対して僕らからもいろんなアイディアが出る。作者の人もいっぱいアイディア持ってると思うから、すごく可能性を感じる。(竹中:実用になると思います)頑張ってください。欲しいです」

▼相沢礼子

「クラブとかで、これが白く浮かび上がって、ゴムボールがポンポーンってなったら、離れたところから見てる人も、なんかハネてる、なんか音がするって、周りから見ても面白いですよね。(竹中:今は音を抑え目にしてあるけど、もうちょっとリズムを強く出すと、クラブとかでも使えるはず)」
 
   
ノミネート2  
作品写真
作品写真
作品写真
 
Bipolar Base (バイポーラ・ベース)
江口たくと+菊地 誠 (エグチ・タクト+キクチ・マコト)
作品ノート
大学で現代美術を専攻していて出会ったという2人組。
二人とも無類の野球好きで、草野球のチームまで組んでいる。その名も「日本パム・ファイターズ」。これまで野球をモチーフにしたアートは見たことがなかったので、意外と狙い目なのではないかと思っており、今後も制作を続けていくつもりだとか。

★首にかけるペンダント形のデバイス的作品。体験者は、自分の今の心理状態を野球のカウントになぞらえて表示させる。例えば‘ノーアウト満塁、絶体絶命のピンチ’など。仕組みは、トグル・スイッチを至ってアナログに操作するだけ。10個のLEDが点灯/消灯することで表示できるというシンプルな作り。ホームベースの向きによって、ピッチャー・バージョンとバッター・バージョンがあり、それぞれの立場の心理状態に沿って設定する。
 
コメント

▼竹中直純

「大げさに言えば野球に人生をなぞらえていて、自分のあらゆる感情や状況を、野球というゲームのルールに基づきつつこの10個のLEDで表せてしまうと、作者の二人はかなり強く信じてる、そこが面白い。スポーツはやっぱりドラマがあるから、日常に比べると異世界。そこに自分の全てを縮めて入れることはやりやすいのかも。

工作の技術レベルが難しくなるけど、自分のスイッチを入れると相手に反映される、という方が適切なコミュニケーションができるかも。相手はそれを見て、その微妙さを考えると。(金田:告白に使えそうじゃないですか! 夜とか、イルミネーション的にキラキラしたら、女の子はグッと来ちゃいますよねえ)ほんとですか(笑)?

意味を知るのにしばらくかかるのが、すごくいい。直接的な‘怒ってる’‘笑ってる’じゃなくて、受け取る側に考える余地があり、それが道具としての深さを醸し出してる。

もうちょっと小さくなるといいかも。(相沢:小っちゃくなったら‘たまごっち’みたいな感じで流行っちゃうかも)」

▼金田美香

「おいしいもの食べた時に“これホームラン!”とか“これヒット!”とか言いたくなりますもん。

自分の気持ちを“言葉にしなくても読み取ってよ”っていう時ってたまにありますよね。喋るのが億劫な時とか、もう触れずにいてっていう時に、スイッチだけ入れて、首から下げておけば・・・。(中谷:優しい友達はそれを読み取ってくれるし、優しくない友達はガンガン来ると。友達の見極めもつきますよね)ま、読み取り間違いされちゃうと困りますけど(笑)。(竹中:普通に顔とか喋り方とか見てても誤解は生じるわけだから、それがその10個のLEDで表現されてしまうというのが面白い)」

▼中谷日出

「“俺ピンチでさあ。ピンチヒッターが・・・”とか、野球になぞらえる言葉って多いですよね。それを考えると、これはけっこうイケるような気がする。(竹中:ストライクとかアウトとか、日常会話でそんな違和感ないですもん)

今の情報機器はけっこう操作が難しかったりする。(竹中:抽象的なんですよね。直接的じゃない)これは‘つく/つかない’というすごく簡単な操作が素敵。お子様からお年寄りまで、誰でも楽しめる。

野球がなぜあんなに盛り上がってるかというと、ピッチャーとバッターの心理や状況の読み合いだと思う。それがこれで鍛錬される。プロのピッチャーやバッターも、これでイメージトレーニング出来るかも(笑)。

野球に対する愛情がこういう作品を生んでいる。何でもいいっていうわけじゃなくて“野球だから!”というところがポイントかも。自分の好きなもの。競馬なら競馬、パチンコならパチンコ(笑)。‘モノ’も、よく考えるとそこにはアートがあるって感じがします」

▼相沢礼子

「ベースの形を逆にして欲しい。(金田:自分から見るのと他人から見るのが逆になっちゃいますもんね)あと、ランナーの色が、赤・黄・緑で、ちょっとわかりにくいので、これを統一して、ただ明かりが点滅するだけの方がもっと分かりやすいかな。

中継の人がいたら面白いですよね。“おおっと中谷選手! これはどんな心理状況!?”みたいな。」
  
   
ノミネート3  
作品写真
作品写真
作品写真
 
空間新素材・m@terials (クウカンシンソザイ・マテリアルズ)
間瀬実郎 (マセ・ジツロウ)
作品ノート
広島の高等専門学校で建築デザインを教えている。
自動車のスピードメーターなどで、反射を利用して情報を表示するものがある。それと同じ原理で反射板を何枚も重ねたら、奥行きのある映像が見せられるのではないかと思い、この装置を考案。この装置に映すための映像を制作するノウハウはそんなに難しくないので、映像の専門の方と一緒にコラボレーションできれば、もっと面白いものが見せられるのではないかと思っている。

★通常のプロジェクタで下から投影された平面の映像が、立体のように奥行きを持って見えるインスタレーション作品。立体に見える秘密は、斜め45°の角度で並べられた透明なプラスチックの板。映像自体は横に細長く分割されており、そのように作られた映像を、奥行きを持って並べられた板に反射させると、映像が立ち上がって見え、立体感のある、まるで劇場のような空間が出来上がるという仕組み。
 
コメント

▼竹中直純

「普通の平面を横に分割することで、奥と手前で別々の出来事を起こし、本当に実際の舞台を見ているような効果を、コロンブスの卵みたいな発想で作ってしまった。それが普通のプロジェクタで出来てしまうというのが本当にすごいですね。見る角度によって関係が微妙に変わったりするので、劇場にいるような臨場感を感じる。奥が小さく見えるのが自然に出来るのが素晴らしい。素材も特殊なものじゃないし。

今、いろんなクリエイターが‘テレビ画面でどんな表現ができるか’を試みてると思う。その中でこれはちょっと異色だしセンスもいい。こういう簡単なデバイスひとつで、今までのテレビでの単純な画面分割ではなく、ここで人が死んで、こっちで人が生まれてみたいなことができるわけで、それは空間・時間的な区分けとしてこの板が有効に機能するということ。他にも分割できるものはいっぱいあると思うので、そういうことを一生懸命考えれば考えるほど、面白い作品ができるんじゃないですかね。

今はマットな映像だが、これを大型化して、光量を増やして、普通の人の顔や立像で、表情などのディテールがもうちょっと分かるような映像を作って、どうすればうまくできるかを追究していただきたいなと。このプラスチックの板の反射率とかで、おそらく限界になっちゃうだろうから、反射率の調節の部分を吟味した素材を使うことでギリギリまで追い込めるのではないか。ハイビジョンとか映画のフィルムを使えば解像度も上げられるので、一つの板に映るものの精密さも上げられると思う。そういう意味では本当に可能性のあるものだと思います。」

▼金田美香

「3Dのメガネをかけて見るやつもけっこう好きなんですけれど、これは簡単な板でこの空間を作り出してしまっているから、素晴らしいなあと。もっと身近な映像とかを、これで見てみたいな。

やっぱり建築をやってる方だから、空間を作るセンスが良くて素敵ですね。感動しました」

▼中谷日出

「プロジェクタから投影される一枚の画を何層にも分けて、奥行きが見えるように作っている。これは綿密な計算をして表現しないと出来ないもの。45°に映像を映してそれを見るというのは、テレビ局で使うプロンプタも同じ原理だが、それを応用したこの方のセンス・企画力は素晴らしい。

光の柱や、幻想的に降ってる雪、その中の人の存在の表現というグラフィックの演出も非常にセンスがいい。天井が低いスリット状の空間の中に人がいるという、都会のビルのワンフロアのような雰囲気がまたいい感じ。もっといろんな表現をここから先に進めていくんだろうな。

パーソナルな劇場空間ですよね。テレビのように人の顔に寄ったりはできないけど、劇場空間を見ているように席に座って楽しめる。すごくドキドキする空間が生まれていて全然飽きない。すごく画期的なシステムだから、このシステム用にいろんなコンテンツが生まれてくる時代になるかも。

下のプロジェクタが見えているので、それをうまくカモフラージュが出来たら、また全然魅力感が違うと思う。どうしても‘映してる’っていう感じがするので。(竹中:上から打てばいいんですね)さすが・・・(笑)」

▼相沢礼子

「ただ空間でやるだけじゃなくて、距離感まで出るというのがすごい」
 
   
ノミネート4  
作品写真
作品写真
作品写真
 
ラブリー (ラブリー)
新海岳人 (シンカイ・タケト)
作品ノート
美術大学の4年生。
お笑いが大好きで、普段から笑えるネタを考えているのだが、面倒くさがりで絵を描くのが大嫌い。だけど、自分の思いついた面白い話を人に聞かせたい、と思ってこの手法を思いついた。作品の制作も、課題の〆切などで追い込まれないとやらないほどの面倒くさがり屋。この作品のオチに関しても、時間に追われた状態で、無理矢理考えたとか。

』で今 敏セレクションノミネート。
コメント

▼竹中直純

「これは作品としては短くてシンプルなもの。『トータル・リコール』という映画があったけど、それは人間の記憶がいかに作られたものか、思い込みで全然違うようになるか、といったテーマを、壮大な映像作品にしてる。この作品はそれを、ソファに座って、ビールを間においてかけあい漫才みたいな状態で展開しているものですね(笑)。で、わざと謎を残したままにしてます。“バカと言った者がバカ、と言った者がバカ”みたいなことをずっと重ねていって、最終的には結論が出てるような演出になってるけど、それがまるごと『作られた記憶』かもしれませんよね。

今回のテーマは‘芯がある’ですが、新海さんは作品を作る時のポイントを全部分かっていると思う。その上で自分が何を表現したいか、その時その時の作品に反映できるような技量をすでに持ってる。芯’というのは、新海さんの確固たる技法・作り方ですね。その部分がちゃんとしてるから、テーマをいろいろ乗っけていくことで今後もいろんな作品が出来るというのを予感できる。

口しか動いてないから、首が動くのがすごいドラマチックに思える。すごいことが起こったような感じがします(笑)。映像って、どんどん何か起こらなきゃいけないみたいな感じで作られてるのが多いと思うけど、これはもう全然・・・。侘び寂びの世界ですかね。短編小説の読後感に似てる。それを映像にするとこうなるっていうお手本を見せられた感じがして、すごく面白い。気持ちがいいですね」

▼金田美香

「えっ? えっ? (笑)・・・一言では感想言いづらいですけど(笑)。すごく淡々としてて最後にオチが来るという、4コマ漫画を見てるような感覚。でも内容は複雑で深い。すごいテーマでしたよね。惹きこまれるこの魅力が、なんとも言えなく、面白いですね」

▼中谷日出

「すごくおかしくて、何とも言えないヒネッたユーモアがポイントの人。最後のオチで“うっ・・・”っていう感じが、ほんとにここで笑っていいのか笑わなくていいのか、微妙(笑)。金田さんの“えっ? えっ?”っていう反応がすごくよくわかった(笑)。(竹中:オチがちょっと残念ですよね。)そんな気がしました。(竹中:今‘オチはどうか’という話になりましたが、作品の間(ま)とか、完成度とかを全部すっ飛ばして、オチの話ができるというところも素晴らしい。)
あとはセンスね。自宅にいて、くつろいでいてビールを飲む前なのに、旦那さんネクタイにスーツ(笑)。なんじゃこりゃっていう、そういうナンセンスとユーモアの兼ね合い。

引き算しまくって、これしか残ってないよっていう感じ。一枚の画の中で、口しか動いてないのに、それでこれだけの長い時間アニメーションが成立するのはすごい力量。一コマ一コマたくさん動かす人にとっては、冗談じゃないっていうような表現なんだけど(笑)。この動かなさ加減は4コマ漫画よりも動いてない。4コマ漫画は4コマ動いてますからね(笑)。こういう表現でも、オリジナリティをもって、内容・構成がしっかりしていれば見せることができる、人を惹くことが出来る。そのいい見本を見せてくれてる気がします。(竹中:でも絵を見ると、けっこう余計な線入ってるんですよ、奥さんの胸元とか(笑)。それが面白い)」

▼相沢礼子

「ソファと奥さんの服が一緒の色なのも、面倒くさいから同じ色になっちゃったんですかね(笑)」
  
   
 
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