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on air review
 
第199回  
タイトル 2004年 10月 30日放送
イントロ 作品レビュー ベストセレクション ピックアップ クリエーターズカフェ
 
作品レビュー
 
ノミネートNo.1
作品写真
転送された距離
藤村憲之
ノミネートNo.2
作品写真
ケイタイをコップの中に落としたさ
MTSUKADA
ノミネートNo.3
作品写真
2.5CAMOUFLAGE
丸山紗綾香
ノミネートNo.4
作品写真
GLOBAL BEARING
平川紀道
   
ノミネート1  
作品写真
作品写真
作品写真
 
転送された距離 (テンソウサレタキョリ)
藤村憲之 (フジムラ・ノリユキ)
作品ノート
作者は人と人との繋がりをテーマに国内外で作品展示やワークショップなどを行っているメディア・アーティスト。
学生時代にインターネットや携帯電話などが急速に発展するのを目の当たりにして、この分野に興味を持った。それら電子メディアが、人と人との距離感を限りなくゼロに近づける方向に向かっていることに違和感を感じていて、実際に立ち話をする時の相手との間合い、何も喋っていない時でもそこにある身体の存在感などを、電子メディアの中にも取り入れていけないかと考えている。

★カメラでとらえた人物を、画面のから飛び出して見える映像にリアルタイムに変換。白く明るい部分が前に飛び出して見える。二人で同時に体験すると、体の一部が強調されたマンガチックな姿でコミュニケーションすることになり、何ともユーモラス。この作品をテレビ電話などに使い、新たなコミュニケーションの可能性を探ってみたいという。
コメント

▼八谷和彦

「今の段階ではある種の鏡。例えば自分が細くなったり太って映る鏡でもやっぱり遊んじゃうけど、それのデジタル版みたいなところもある。(中谷:鏡の場合はだいたい歪みが想像できるけど、これは想像できない。いきなりワーンと来ますからね)

この作品はコミュニケーションの用途に使うという想定なので、本当は向こう側に相手も同じセットがあるペアの作品。明るいところが飛び出すということを理解して、部分的にビヨーンと強調して相手の方に近寄って行ったりできる。自分が動いてるところを相手に見せつつコミュニケーションの一貫として加えていくという、例えば昔のアニメーションで、電話してると相手が受話器から出てきて(笑)ボンッて殴ったりする感じのことを、技術を使って可能にするタイプの作品だと思う。

僕はカポエィラやったけど、擬似対戦とか喧嘩にも応用できるなと(笑)。(中谷:ゲームだ)ある種の駆け引きみたいなのもコミュニケーションのゲームだと思うので、そういうのに応用できそうな感じがする」

▼トゥーサ・ノブミーチ

「これは『ストップ・メイキング・ザ・センス*』みたいですね。デヴィッド・バーンになった気分。何だか分からないけど(笑)、なんとなく面白い。
*ジョナサン・デミ監督(1984年公開)。当時絶頂期にあったトーキング・ヘッズの3夜連続ライヴを収録した歴史的名作!‘ビッグスーツ’を着込んだデヴィッド・バーンのステージ・アクションは必見!

フランシス・ベーコンの絵のようになってますね。

これは明るいところを抽出して前に出したけど、パラメータを変えて、例えば金が前に出るってやったら、金ピカの人がアピールするみたいな、そういう他の考え方も出来るなと思いましたね。

映った映像の中でいくら普通に動いても、それは単なる2Dの映像だけど、こういうアクション一つ入れるだけで、それが相手に動作を伝えるコミュニケーションになる。同じ映像でも意味が違うんだっていうのが面白い」

▼中谷日出

「(中谷さんと相沢さんの間に、真っ白の白衣を着た)トゥーサさんが入ると、僕らの関係が歪む(笑)。(トゥーサ:暗い2人はちゃんとした人物の形になるけど、明るい人が入ると歪む、笑)コミュニケーションの本質を見てるような気がしてくる。

(自分と)カメラとの距離感が、(自分と)相手との距離感にイコールになっていくような感じはしましたね。

画面が歪むということがコミュニケーションの第一歩っていうのが面白い。普段見てる自分達の姿は、いろんなものを背負った記号化された姿で、この画面の中で歪んでる僕の方が本質なのかなっていう気がして、不思議な気持ちになるね。それがアートだと思うんですが。さっき、フランシス・ベーコンの話が出たけど、これはアートのイメージを作り上げるツールにもなるような気がする。そういう意味で自分の感性とのコミュニケーション、という感じもテーマになってるのかな。深読みしちゃいますね。(トゥーサ:井戸の中を覗いたら自分の本性が見えた、みたいな感じですね。怖いねえ!)」

▼相沢礼子

「この作品で会話することによって、人と人との距離感、コミュニケーションがどんどん近づいていくような感じがしました」
   
ノミネート2  
作品写真
作品写真
作品写真
 
ケイタイをコップの中に落としたさ
(ケイタイヲコップノナカニオトシタサ)
MTSUKADA (エムツカダ)
作品ノート
フリーのCGクリエイターとして、CMやテレビ番組のオープニングCGなどを制作している。個人的にも短編CG作品を多数制作。自身のホームページなどで公開している。もともと学生時代には電子工学を専攻していて、現在はその経験を生かし、趣味で本作のようなインスタレーション作品も制作している。
朝ごはんを食べている時に、パジャマの胸ポケットに入れていた携帯電話をコップの中に落としてしまった経験があり、その時の衝撃が忘れられなくて、この作品を制作した。

★テーブルの上には水の入ったコップ。そこに携帯電話を入れると光を放ち、コップの回りの反射板が回転を始める。データが水に溶け始めて染み出しているように、携帯番号の数字や携帯メールのアドレスが周囲に映し出されて、泡とともに消えていく。

これはコップの載った台の下に液晶モニターが隠れていて、その映像を渦状の白いプラスチックの板が反射する仕組み。コップの外側には、スリット状の反射板が取り付けられていて、回転することで青い渦が綺麗に映し出される。 
コメント

▼八谷和彦

「(選んだポイントは)面白かったから(笑)。一発ネタ的なところはあるとは思うけど、みんな携帯を水没させちゃったことはあると思うし、そういう共通の悲しい思い出に繋がってるから(笑)、それを美しく、面白おかしく表現したっていうところに好感が持てた。悲しみも伝わってくるし、それを別のかたちで作品にしちゃうっていう、その根性も好き。僕も初めて一人でハンググライダーで飛んだ時着陸に失敗して、田んぼに突っ込んで・・・泥だらけになったからシャワーを浴びてたら、ポケットに携帯が入ってて(笑)、ダメにしちゃいましたから。

携帯供養でもいいのかもしれない。針供養みたいな感じに、お疲れさまって。でもデータが残るのはイヤだから、わざと水没させちゃうとかね」

▼トゥーサ・ノブミーチ

「僕も同じ経験あります。トイレに流しちゃいました。だから今、東京湾の底でやっぱりこういうふうになってると思いますね。

昔は失恋したら、コミュニケーションしていた手紙を橋から捨てる。今は携帯。“バカ〜!”って感じですね。これでリセットされるのもいい。これに漬けるときれいさっぱりなって出てくるみたいに。入れ歯洗う機械みたいですね(笑)。

タッチセンサーといい、モニターの使い方といい、メディア・アート・インスタレーションの王道行ってるけど、“小噺”っていうとこがいいですね(笑)。これはポエムですね。“クラムボンはプクプク笑ったよ”みたいなね、そういうポエムを感じますね。

この筒を回す機構が実は面白い。3つの輪っかでこの筒を支えて回してるんですけど、非常に簡単な仕組みで、置くと回るだけ。何気にこの輪っかを作るのは大変ですよ。切って曲げて繋げなきゃいけないから。(八谷:さすがトゥーサ先生、そういうところはすぐ気づくんですね)」

▼中谷日出

「昔からある、円になった伸びたような絵を、円筒のガラスに映すっていう原理ですよね。(八谷:原理的にはそれ。モーターでちっちゃな反射板を回して、そこに反射させてるんです)

僕、橋の上から下を見てた時、携帯にはクリップしてたんですけど、“あっ”て思った瞬間にクリップがプチッと外れて・・・。今、携帯は8千万人が使ってると言われてるし、みんな携帯無くしては生活ができないような状態、すごい愛着がある。実際水の中にぽとんと落とすと、データなんて即座になくなっちゃうんだけど、自分の恋人のように大事にしてるから、こうやって、供養するかのように、だんだん消えていく感じを表現するのは、すごく優しい人だなあと思いますね。ああ、せつないですねえ」

▼相沢礼子

「私も(携帯を)トイレに・・・。“待って〜”って感じでした。(中谷:その“待って”のせつなさが、まさに映像で出てましたね)

これは携帯番号が映し出されたけど、それをメールの絵とかにしたら・・・、メールとかの思い出があるじゃないですか!」
  
   
ノミネート3  
作品写真
作品写真
作品写真
 
2.5CAMOUFLAGE (ニイテンゴ・カムフラージュ)
丸山紗綾香 (マルヤマ・サヤカ)
作品ノート
作者は今年美術大学を卒業。この作品は大学の卒業制作。人をびっくりさせるような映像作品が作りたかったのだが、自分にはそんなに高い技術がなかったので、“技術がないのなら、アイディアで勝負だ!”と、この作品を思い立った。シンプルなカタチだけでも、人をびっくりさせることができる、ということが少しでも伝わればいいなとのこと。
  
コメント

▼八谷和彦

「目の錯覚、錯視を利用したアニメーション。脳のヘンな部分を使う感じがして(笑)、すごく面白い体験だなあ。ボールは実は自然な動きをしてるわけではなく、別の平面に動いていたりしてる。(トゥーサ:あっちこっち変な軌道を描いているわけですね)そういうところで確かに発見はいくつかあるんです。実際の立体を使ってもこういうアニメーションはできるけど、模型だと微妙な汚れとかちょっとした影で分かってしまう。これは3DCGなので完全に分からないように出来る。実物でやるよりも、より脳の変なところが(笑)くすぐられるような感覚が強いのかも。ここを掘っていけば、作品としては広がりがあるかもしれない。

見て感動するというのも、その映像作品の持つ強みだと思うけど、こういうタイプの映像作品は、パズルゲームを解いてる感じに近い。そういうことはデジタルの方がやりやすい部分もあるので、この手の作品ももっとエントリーがあるといいな。

人間のもともとの目と脳の機能に依存しているので、文化にあまり依存しない。だから外国の方が見た時にどんな反応があるのかも興味があります。

1980年代後半から90年代頃に実験映画が流行って、あり得ない動きをするとか、あり得ない世界を作る喜びみたいなのがあって、みんなフィルムでコマ撮りでやってた。この作品を初めて見た時にそれを思い出したんです。今はあまりやってる人がいないけど、本当は3DCGにとても向いている世界。でもゴリゴリ実験で行くよりは、今やるんだったら、ある種のエンタテイメントとして完成されたものを作っていくというのも面白いんじゃないかと。ゲームにするとかね」

▼トゥーサ・ノブミーチ

「僕もすごく面白いと思ったんですけど、音が・・・ちょっと映像と合ってないかなあ。最初にネタがバレてしまっているのが延々続くので、ビートのリズムに合わせて、平面と立体で当った時の音が変わるとか、そうすればもっと退屈せずに最後まで見れたかなと思いました。

中谷:この作品はエンタテイメントではなくて、いわば実験映像的な、アート的な要素が強いと思うんですが)逆にエンタテイメントに徹した方がいいと思いますね。リズムとビートを合わせていって、見るだけで心地よいとか、画面がグンと回った瞬間に、“ん、変わったね!”っていうぐらい、見てて面白い方に振った方が広がりがあると思います。

21世紀の福田繁雄を目指して欲しい(笑)」

▼中谷日出

「こういう錯視、イリュージョンな世界は普遍的なテーマで、いつの時代も進化すればするだけこういうのが出てくる・・・アーティストの本能みたいなもの。今もしエッシャーがいたら、映像でどう表現するかなとか、考えちゃいますね。映像が多様化してるがゆえに、こういう普遍的なジャンルをしっかり追及する人もいていいと思う。
アイディアで勝負と言っても、突き詰めていくと技術がついてきてるような気がする。やればやるほど知識が増えるから、当然面白い展開になってくる。学術的な視点も含めて本当にレベルの高いものになっていくのでは。そういう意味ではこれからのがんばりで今後さらに面白い展開を期待できると思います。

例えばボールが跳ねるだけじゃなくてキューブの間を転がったりしても錯視をうまく表現できるような気がするし、広がりのあるいいジャンル。デジスタに送られてくる作品は、言わば現代の実験映像的な部分も強いと思うんで、そういう意味では古くて新しいジャンルが加わってきたって感じかな」

▼相沢礼子

「どれが二次元でどれが三次元なんだか訳が分からなくなりました。(中谷:映像だから、場面によっていくらでも変えることができる。普通には考えられないような展開が出来るから余計面白い)

私は色がもうちょっと・・・可愛い色がよかった(笑)。(中谷:やんわり文句言ってますね)」
  
   
ノミネート4  
作品写真
作品写真
作品写真
 
GLOBAL BEARING (グローバル・ベアリング)
平川紀道 (ヒラカワ・ノリミチ)
作品ノート
美術大学でメディアアートを学ぶ22歳。
地球は球体だということを理屈では分かっていても、私達は実感できない。この作品を体験することで、自分が丸い地球の上に住んでいるということを感じてもらえれば、地球の裏側で起こっている戦争なども、自分のこととして受け止められるようになるのではと、この作品を制作した。今後はスクリーンをもっと大きくして、ダイナミックな臨場感を出したいとのこと。

★スクリーンには外から見た地球が映っている。コントローラに触れると、地球の中心から光の線が指し示した先を見上げる視点となるため、大陸の形が反転して見える。体験者はコントローラを使って地球の内部をかき混ぜるようにして、あちこちに移動できる。加速度センサーがついていて、動かす速さや角度を検出している仕組み。ポイントの先から伸びる緑の線は、近くの主要都市からの距離を表している。距離の変化で色の濃淡が変化する。後ろに流れる音は緯度や経度の変化を音に変換したもの。地球の内部から、地表の裏側を見上げながら、ダイナミックな世界旅行が楽しめる作品。
  
コメント

▼八谷和彦

「操作してて気持ちがいい。(中谷:早く動きすぎるくらいリアクションいいですね)センサーとコントロール・ユニットも自作だし、表示システムも自分で3Dのプログラムを書いてる。別にプログラムを書いたからいい作品ってわけじゃないけど(笑)、反応速度が速いことによって得られる気持ちよさはある。

そこに行くとデータが出るようなかたちで、住んでる人の映像や人口が映るとか、そこにいる人がどうなのかということを入れた方が、作者の意図は伝わるとは思う。ただこの作品自体はプラットフォームとして、これにいろんなデータを載せていっていいもの。これはこれで完成されていて、みんながいろいろ利用できたりする発展性があるというのもこの作品の良さ」

▼トゥーサ・ノブミーチ

「プラネタリウムというより地中を覗く望遠鏡。今は人工衛星の写真がバンバン入手できるから、リアルタイムで“地球の裏側のジェームスさん!”とか出来るかもしれない。

(コントローラは)やや甘い(笑)。ニコラ・テスラを思わせるアンテナ感がいいけど、棒の先にゴムを貼らなきゃいけないのが問題ですね。うまい逃げ方ですが、それを貼らずにグリングリンできるように強度が上がればいいかな。(八谷:この棒が普通のステンレスのパイプじゃない方がいいかな)(中谷:細かいアドバイスになるのは、全体的には素晴らしいってことですね)

世界は閉鎖系なんだ、という逆の発想で見れるところがいい。うちで出したゴミは隣の迷惑になるというのがよく分かる装置。

地球の裏側から世界を見るというのは、遠近感が逆になるってこと。東京にいて、近くの名古屋のことはよく分からないけど、アマゾンで森林破壊すんじゃねえよ、イラクで戦争すんじゃねえよ、というのが見えるわけで、もっと世界のことをよく考えると思う。逆に視点が変わるというのは面白いですね」

▼中谷日出

「緑の線で相対的に位置が感じられるのもいいし、音もいい。都市名の文字が浮き上がってる感じもいい。このデバイスは昔あった地球ゴマのイメージで、それがまたキュッと来ますね。絵も大好きだし、操作感もすごくいいし、かなり水準高い。システムとその映像の中は完璧。欲を言うと、せっかく地球をいじるんだから、入力装置がもっとゴツかったら、もっと地球をいじってる感じがする。

子供の教育から社会問題まで、いろんなことを想起させる。地球はそういうモチーフ。年齢も問わず、いろんな情報の盛り込み方が出来るし、広がりのある素晴らしい展開。(相沢:社会の勉強でこういうのがあると、生徒達は飛びついてくると思う)

人は宇宙に出ると意識が変わって、卓越した意識でものを見ることができるようになるという話をよく聞く。実際に地球の中へは入ることはできないのに、それを体験できるこのような作品は、普遍的なプロダクトとしてもすごくいい。これは残っていくものじゃないかな」

▼相沢礼子

「地球の中をグリグリ探れる感じが面白い。小さい頃、地球の反対側まで行っちゃうのかなって幼稚園の砂場を掘ったのを思い出しました。(八谷:僕もやりました。ブラジルに行けるかなと)やっぱみんな一度は思うんですかね。(トゥーサ:ボクは蝉が出てきましたけど)私はカブトムシ。

宇宙服とか着てやりたくなっちゃいますね。この作品を見て、何で地球が丸いんだろうって思っちゃいました(笑)。(トゥーサ:平らだったら落ちちゃうからだ!)」
  
   
 
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