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on air review
 
第195回  
タイトル 2004年 10月 02日放送
イントロ 作品レビュー ベストセレクション ピックアップ クリエーターズカフェ
 
作品レビュー
 
ノミネートNo.1
作品写真
Dragons Awake
大村敦史
ノミネートNo.2
作品写真
とをあまりひとつ(11)
萩原恭子
ノミネートNo.3
作品写真
愛され戦士少女
真珠子
ノミネートNo.4
作品写真
バーチャル風!アバケ!
ジンゾウニンゲン!
重田佑介+今村 浩
   
ノミネート1  
作品写真
作品写真
作品写真
 
Dragons Awake (ドラゴンズ・アウェイク)
大村敦史 (オオムラ・アツシ)
作品ノート
24歳、フリー。
本作は大学の卒業制作。あまり時間がなく、1ヶ月で制作。学校が遠かったため、通学の手間を惜しみ、自宅で1人で完成させた。完成度に最も気を使い、その時持っていた技術力をフル活用。怪物のキャラクターの動きに注目してもらえると嬉しい。また、雑誌に入賞するなどマンガの世界でも活躍中。
コメント

▼ 佐藤可士和

「すごく丁寧に作られているし、完成度高いですよね。次の作品も楽しみ。日本のアニメは今世界的にもトップレベルだけど、いい意味でそれらの影響をいっぱい受けながら、ちゃんと自分のものに消化出来てる。(中谷:宮崎監督のキャラクターの走りなど、学生さんが一生懸命いろんなものを観察しながら、本当にうまく作ってると思います)これで更に独自の新しい発展の仕方をするといいんじゃないですかね。

おなかの中に入ってからの表現が、急にグラフィック・デザイン的な感じになったりしてすごく面白い。ただのアニメ・カルチャーだけの中に入ってないというか、ちょっとそこの枠を出そうな感じがいいんじゃないのかな。
こういうものを次から次へと作れたら素晴らしいと思いますね。」

▼ ソニア パーク

「音楽がすごく印象的。グラフィックの動きも音楽に合わせたり、音楽ビデオを観ているような感じもありました。ポップでもあるんだけど、ちょっとノスタルジックな感じも。

(スタイリングは)子供がみんな子供らしい格好をしていて、あまり色のない地味な服を着てるんですけど、最終的にバーッと口の中に入ると色がある。最初に一人目を口の中に入れちゃった時“えっ!?”と思うけど、最終的に食べられることって怖いことじゃないという・・・そういう意味では、ハマッてるんじゃないですかね(中谷:じゃ、スタイリストのお墨付きを得て(笑)。こういうシーンの中でもスタイリングってすごく大事。映画監督だったらかなり気をつけてやるでしょうし)アニメーションのためのスタイリストを頼んで、それから書き下ろすという話も聞いたことがあります。(佐藤:それでキャラクター設定とか決まっちゃうもんね)」

▼ 中谷日出

「内容は、子供を1人食べちゃう(笑)という・・・包含することによって大きくなるという怖いものなんだけど、そういう怖さを感じない。子供たちも食べられても全然辛そうじゃない(笑)。その辺の見せ方のうまさがありますね。口の中入ったシーンはすごくきれいだし、ちょっと見たことがない。グラフィック的なアート・ディレクションとして見てもかなりイイ線いってる感じがします。そういう意味では新しい人材っていう感じがしますね。

見え方はプロの人がたくさん集まって大きなバジェット(制作予算)でやる作品とそんなに変わらない。卒業制作でここまで作れる時代になったんですね。(佐藤:僕が美大にいた頃は、コンピュータはあったけれど、もっと特別なものでした。自分の家でやれるような、こんなの出来なかった)だから努力すればこういうものが作れる環境が出来たっていうこと。

ジャパニメーションのテイストをすごく含んでるけど、こういうものが学生の段階で作れていっぱい増えると、日本から海外へ展開した時に、日本のアニメーションの潜在能力が強くなるような気がする。ですから‘似てる’というのはそんなに悪いことじゃないですよね」

▼ 相沢礼子

「見入ってしまいました。女の子がおなかの中に入っていくと、どんどん万華鏡みたいになるのが、すごくきれいだなと思った」
 
   
ノミネート2  
作品写真
作品写真
作品写真
 
とをあまりひとつ(11)
萩原恭子 (ハギワラ・キョウコ)
作品ノート
白と黒、生きると死ぬなど、相対するキーワードをちりばめたアニメーション。11月生まれの人は対(つい)になる言葉が好きだという話を聞き、まさしく自分があてはまると感じたのがきっかけ。イメージに近い雰囲気を出すために、墨のにじみを何種類も作って、フィルタのように画面にかぶせたりした。
ざらっとした手触り感のある映像が好き。実写のエレベータのシーンは、実際によく見る夢で、夢のもやもやした不思議な感じを表現した。作品の中では、現実が手描きのアニメーション、夢の部分が実写の映像と、わざと反対のメディアを使ってみた。
コメント

▼ 佐藤可士和

「アニメーションと実写を組み合わせてるけど、これはけっこう難しい。スタイリングで言ったら、ものすごく合わない素材をミックスする感じだから、センスや技術がないとまとまらない。(パーク:取ってつけたみたいになっちゃうからね)自分の好きな感じがはっきりしていて、自分がやりたい世界が見えてるからこそまとめられるのかなと思う。

みんな新しいものが見たいから何かやるんだと思うけど、それってすごい大変なこと。何かいつも実験的な気持ちがないと、絶対に新しいものは出来ないから、この人も必死にやろうとしてる感じは見えますよね。デジスタらしい作品という感じ。別に前にこういうものがあったわけじゃないんだけど、デジスタらしいって僕は思いました」

▼ ソニア パーク

「単純にかわいいなぁと。スタイリストとしては女の子の足の細いところとか(笑)、非常に可愛い。アニメーションと実写がうまい具合に混じり合って、今っぽいと言えば今っぽい作品なのかな。(佐藤:足が棒なんだね。だぼっとしたタートルでさ) 髪型も可愛いんですよ。スタイリングが可愛い。だから若い女の子が作ったということが、絵を見てわかるんですよね。そういう意味では日本のアニメーションって、ファッションもいつもおしゃれだなって、いつも思います」

▼ 中谷日出

「これ、ストーリー見える? よーく考えてみたんだけど、ちょっとまだ作者の意図が読みきれないっていうとこは、どうなのかな。(佐藤:なんか夢の中みたいだよね。自分のこういう感覚的な世界を表現したいというのはハッキリしてるんだけど、あまりストーリーというふうには考えてないんじゃないのかな。パーク:ストーリーはなくても、何か見て感じられるものがあれば、それで成り立つとは思うんですけど)題名にしても中に出てくる言葉にしても、哲学っぽいですよね。

作者自身も整理がついていないもやもやした雰囲気を、この画面にぶつけてる感じがするので、それが魅力と言えば魅力だし、僕らの気持ちの中でもやもやする感じが、またいいのかもしれないね。

デジスタ的という表現もありましたけど、実写との出会いにしろ、いろんなことを駆使して表現してる。コンピュータが出来たことによって、かなりいろんな実験をしやすくなってるのは確か。そういう意味ではこの人も、ギャラリーにお勤めしながら、これからどんどん、いっぱい作ってほしいと思いますね」

▼ 相沢礼子

「画面が常に揺れてる感じがしたんですけど、ああいうのはどういう効果が? (中谷:必然的に揺れるってことかな。描いては取り込んで、それでまたちょっと揺らすように描くっていうのかな。アニメーションやる人には、そういう意味では多いかもしれないね)」
 
   
ノミネート3  
作品写真
作品写真
作品写真
 
愛され戦士少女 (アイサレ・センシ・ショウジョ)
真珠子 (シンジュコ)
作品ノート
28歳のイラストレーター。
以前高校で美術を教えていたことがあり、それ以来女の子をモチーフに創作活動を始めた。竹久夢二やバルテュスなど、少女を描き続けた作家の姿勢に共感している。少女にこだわるのは、彼女達の持つ無知でパワフルなところに共感するから。ありのまま、自然に生きている少女達に、生命力とエロスを感じる。そういう価値観を世の中に残したいという使命感を持ってこの作品を表現した。

パピヨンよし子』で田中秀幸ベストセレクション受賞。
コメント

▼ 佐藤可士和

「これはすごいですね。かっこいいですよ。独自の世界もあるし、一画面ずつ見ても、グラフィックとしてもすごい。完成度とかじゃないと思うけど。(パーク:完成度は低いですよね、笑)もうセンスですよね。このまま海外に出しても、けっこうイケるんじゃないかな。技術的なことじゃなく、ほんとに自分がやりたい世界が強烈にハッキリしてるから、誰が見てもメッセージが伝わっちゃうっていう、そこだと思う。

僕、今までデジスタやった中で、けっこういろいろ見たけど、個性的には一番かもしれない(一同どよめく)。相当すごい。だってもう、どうしたらいいかとか、ないもん。もういいんじゃないスかっていうかさ(笑)。(中谷:手に負えん)だからもう、どんどんやってください」

▼ ソニア パーク

「これは、すごいなあ。個人的にすごく好きなんですけど・・・一瞬、この人大丈夫かなぁ(笑)とも思ったり。この絵とか女の子たち、ある意味ちょっと怖いですよね。女の子が描いてて良かったな(笑)。これ男の人の作品だったらどうだろう。

日本アニメとは違って、ちょっと東京っぽい。昔‘ガーリー’とかが流行った時代のポップさとノスタルジックな感じと、いろんなものが混ざってて、不気味だし(笑)、でもなんか可愛いし、なんかかっこいいし。文化人形の顔っぽかったり、レトロな感じもありつつ、でも、見たことない感じがして、新しいなと。音楽も、この映像にこの音楽をはめたっていうのもすごく気になる。

狙ってこういうふうに見せるって、けっこう難しいと思う。(佐藤:パンクだね、笑)非常に興味深いっていうか、どういう人なんだろう(笑)? 

セーラー服を着てますよね。裸でも、女の子のバランスがすごく可愛い。髪の毛がすごく長くて怖いんですけど、でも怖くないというか、うまく表現されていて、好きでしたけどね、この感じ」

▼ 中谷日出

「文字の扱いが非常に面白い。(佐藤:そうそう、タイポグラフィーも独自なものがある)こんな風に、信じられないような文字をバーンと入れて、人間をバンバンバンと入れて、実写を重ねたりすると、普通はバランス取れないんですけど、それを何気なくやってしまうのは、美術的素養はかなりあるんですよ。そうじゃないとこんなにうまくいかないと思う。(佐藤:ありえないよね。ダメなこと全部やってみた、みたいな、笑)

時代性と‘見たこともない新しさ’、という現代美術のすごく大きなテーマとか、その背景にある歴史とか、そういういろんな要素を踏まえているような感じ。‘真珠子さん様式’という新しい様式が生まれちゃったのかもしれない、と思うほど、観る人を引きずり込みます。最後のシーンなんてマティスしちゃってるしね(笑)

今はイラストレーターという商業美術の方ですが、もう美術の方へ行かれて、巨大なものにこういうものがドーンと入るとかね。バルテュスのような展開が出来るんじゃないかって気はしますけど。(佐藤:これを5m×5mくらいのキャンバスに描いてほしいですよね、笑。かっこいいと思うよ)」

▼ 相沢礼子

「自分の身の回りのふとしたところに、この真珠子さんのキャラクターの女の人が現れ出そうでちょっと怖くなったけど、すごいおしゃれな感じだと思いました。
小さい子が描いたような感じがしなくもない、のに、なぜか惹かれてしまうのは、何がそうさせるんですかね。(パーク:ちょっとエロいところですかね。なんか、非常に不思議)真珠子さんの作品って、強烈に感情に響いてくる。家に帰っても忘れられないのが多いですね」
 
   
ノミネート4  
作品写真
作品写真
作品写真
 
バーチャル風!アバケ!ジンゾウニンゲン!
重田佑介+今村 浩
(シゲタ・ユウスケ+イマムラ・ヒロシ)
作品ノート
同じ大学のゼミ出身の2人。現在は卒業し、重田さんが映像、今村さんが広告の会社に勤務している。

本作は、人造人間をテーマにした展示会用に制作。会場のお客さんに好評を博し、人気投票で1位になったのが嬉しかったとのこと。科学技術を駆使して作られた人造人間が、扇風機の風で煽られて、簡単にめくれてしまうという設定。人造人間なのにクレイアニメだったり、インスタレーションなのに手動でスイッチを入れたり、妙にアナログなところが一番のポイント。“真剣にバカなことをやりきってみました。”

★畳の上に、向かい合わせで置いてあるレトロなテレビと扇風機。スイッチを入れると、テレビに映し出されるブラウン管の中の人造人間の顔が、目の前の首フリ扇風機の風に煽られて、めくれていくという作品。短いクレイアニメのループで延々と続く。

重田さんは『かがくサイエンス』でベストセレクション受賞
コメント

▼ 佐藤可士和

「すごくうまく出来てるんだけど、実はものすごいアナログで、タイミングは僕がスイッチを入れる時に合わせたんですよ(笑)。そこがまた面白い。この時代だからプログラムされてるのかなと思うけれど、普通にただタイミングを見てビデオを押す、というだけ。でもアナログでやってもズレないし。すごい楽しんで作ってる感じがするよね。

アイデアのつかみ方はすごくうまいなと思いました。ひとつの単純なアニメーションのループだけど、ずっと観てられる感じも面白い。ものを作る時に、みんながパッと共感できるようなところをつかむのはすごい大事。映画やアートは一生懸命観てもらえるけど、コマーシャルや広告は、基本的には関心のない人がパッと関心を示すために、そのつかみというか、別に最初のところっていうことじゃなく、何で共感を取るかというところをうまく捕まえてないと全然ヒットしない。この作品はすごくシンプルなアイデアで、たぶん国籍も年齢も問わずにみんながパッと見て楽しめる。ものすごいイイとこついてる(笑)」

▼ ソニア パーク

「楽しいですね。私はけっこうアナログ派なんで、こういうインスタレーション大好きなんです。この扇風機とかこのテレビを選んだその人の感性も面白い。

扇風機だけじゃなくて、もっと違うものとのいろんな関係を見てみたいですね。
中谷:ソニアさんは、真剣にバカなことをやられたことは?)毎回。人生そのもの(笑)。だからこの作者の気持ちはよくわかります(笑)。もっともっとバカなことをずっとやってほしいな」

▼ 中谷日出

「映像が手描きのアニメーションやCGじゃなくて、クレイで作ってるっていうところがミソですね。実際、物質感がないと、めくれて飛んでいってもあんまりドキドキしないじゃないですか。

この作品を見ていろんな人がいろんなことを考えたくなるっていう、基点になるような気がしますね。この番組やってると、必ずコンピュータっていうのが介在していて、どこにそれをかましてるんだろうっていうふうに気にしてしまう、そんな僕の方がちょっと違うのかな、と思ってしまうくらい圧倒的。(佐藤:‘デジタル’・スタジアムでさ、デジタルじゃないんですけどね、笑。パーク:私も今日はデジタルしかないのかと思って来たので、こういう作品見ると……、どこがデジタルなんですか?)デジスタはすごく懐が広いんで(笑)、いろんなものを許容できるんですね。でも、時代やメディアというのもこの番組のテーマでもあるので、この作品はメディアの存在自体もすごく感じますよね。映像メディアと、ノスタルジックなこの物理的な風を送る装置。考えさせられたなあ。びっくり」

▼ 相沢礼子

「扇風機がここにあることによって、こっちの世界とテレビの中が一体化して面白いですね。

歯並びが微妙に・・・悪い(笑)。

これ、髪の毛とかがついてて、その人がカツラで、飛んでいっちゃったとかだったらどうなんですかね。(佐藤:それもいいんじゃないスか? アイデアどんどん言ってますね、笑)」
  
   
 
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