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on air review
 
第183回  
タイトル 2004年 06月 05日放送
イントロ 作品レビュー ベストセレクション ピックアップ クリエーターズカフェ
 
作品レビュー
 
ノミネートNo.1
作品写真
GENERATION AND METEMPSYCHOSIS 02
東 和博
ノミネートNo.2
作品写真
糸影法師
斉藤あずさ
ノミネートNo.3
作品写真
jam
横井秀和
ノミネートNo.4
作品写真
マチモジ
松本健一
   
ノミネート1  
作品写真
作品写真
作品写真
 
GENERATION AND METEMPSYCHOSIS 02
(ジェネレーション・アンド・メテンサイコシス・ゼロツー)
東 和博 (ヒガシ・カズヒロ)
作品ノート
Web関係の仕事をしている32歳。東京在住。
ずっと絵画などを制作していたが、2年前にWebの世界に触れたのがきっかけで、プログラミングを独学で学び、作品を作り続けている。

★音と幾何学模様をインタラクティブに生成していく作品。25個のマスの中から、一つを選んでクリックすると、音とともに模様が形作られていき、それぞれの模様はマウスの動きにあわせて描かれていく。さらにキャンバスの上でクリックすると、背景も変わり、もともとの模様にアレンジが加わり変化していく。
コメント

▼立花ハジメ

「 ‘This is 前衛芸術’みたいな、音も、ともすれば60sっぽい雰囲気で、今見るとむしろ懐かしい。そういう意味では完全に新しいというものではないが、作者の制作意識みたいなものがよく反映されていて、デザインとしてもまとまっている。

こういう抽象表現は、まぁ好みなんだけど、ずっと見てると、時としてすごく鬱陶しい場合がある。(笑)そういうわずらわしさがこの作品にはない。

音が鳴ってなくても音を想像させてくれる絵、デザイン。この絵自体で音が聞こえてくる。それぞれが勝手に聞こえてくる音を想像した方が面白いかもしれない。そういう意味で、欲を言えば音がもうちょっとミニマルでもいいかな。

まさに人間がプログラミングして、コンピュータがデザインする、基本みたいな作品ですね。(中谷:ハジメさんが当初から仰られてる、まさにその通りのものになってますよね)」

▼ 中村勇吾

「表現のためのロジックというか・・・自分の手で絵を描くのではなく、ロジックとかアルゴリズムの助けを借りて、ちょっと予想だにしない絵が作れる、そういうことをスタンダードに、すごくよくやられてますね。

昔、Webでいわゆるジェネレーティブ・アートとかアルゴリズミック・ビューティみたいなことをすごく先駆的にやっていた、デクストロ*っていうオーストリアのアーティストを思い出しました(笑)。懐かしいですよね。面白いと同時に懐かしい。
*デクストロ>>

ドットの単位は全部一緒で音の種類も全部一緒、色もモノトーンで、っていう中で、25種類、何が出来るんだろうっていうところに挑戦している。インターフェイスも、妙な不親切さがあって、成果品というより、自分のプロセスの足跡というイメージ。一個の美しいグラフィックを見せるというよりは、自分の中で発見するために作るという面白さがある」

▼ 中谷日出

「インターフェイス含め全体的にすごくシンプルで、ドーンとワン・メッセージいってるぞ、っていう感じが、わりと気楽に見ていられて好感が持てます。(立花:そう、楽に見てられる感じがね、さっき僕も言ったわずらわしくないっていう感じになってる)

いわばプログラムされたものが、勝手に絵を描き込んで行ってくれるわけだけど、そういう偶然の産物が人にある感性を思い抱かされる感じがあるので、画面に対して期待しちゃいますよね。

コンピュータやソフトに教えられるものがすごくあるという感じ」

▼ 相沢礼子

「なんか宇宙に行っちゃいそうな音ですね。たった2年で、こんな作品が出来ちゃうんですかね。(立花:できるできないは、制作意識と生活意識の問題だと思います。)」
   
   
ノミネート2  
作品写真
作品写真
作品写真
 
糸影法師 (イトカゲボウシ)
斉藤あずさ (サイトウ・アズサ)
作品ノート
新潟在住22歳。
美大を卒業後印刷会社で働いている。普段はこの作品に出てくるような線画を描いているが、インスタレーションもアニメーションも今回が初めて。

★オブジェにタッチセンサーが付いていて、そこに触れると、オブジェの影が映っている背後のスクリーンに、アニメーションがランダムに現れ出て動き出す。もちろんこれは、本当の影ではなく、プロジェクターで投影している映像。

コメント

▼ 立花ハジメ

「ついつい無機的でグラフィカルなものに惹かれてしまうんだけれど、この作品には僕なんかが持っていない感覚で、有機的な雰囲気がある。

一見(触っている手の)影が映っているように見えるけれど、そうじゃないというのが面白い。すごく色んなものが出てくるんだよね。

なんか、妙に和っぽい感じと、ダリの絵に出てくるような洋風のモチーフ、その辺のバランスが、すごくよかったですね」

▼ 中村勇吾

「こういうインスタレーションって、わりととんがったものが多いけど、これは自分なりに完璧に使いこなしてるという感じがいい。(オブジェの)模様も、ここで展開するアニメーションとシンクロしてるっていうのが楽しいですよね。

個人的にこういうアニメーション大好きです。自分で全く作れないというのもあるんですけれど。こういうタイプの根気には憧れますね。

今は謎の物体みたいな感じだけれど、あんまりインスタレーション、インスタレーションみたいな感じじゃなく、机の脇にぽんとある小物やインテリア・オブジェとして置いてみたり・・・そういう日常生活の中にあるような存在感というのもアリかな、と。」

▼ 中谷日出

「インスタレーションの全部の仕組みだけじゃなく、オブジェとしても造形力があるよね。文様は洋風なんだけれど、すごく和の雰囲気があって、きゅっとエキゾチックな感じがいい。

‘影が動く’というのは、誰しもドキドキするような、何とも言えない魅力がある。江戸のうつし絵とか、日本の文化にもこういう影を使ったいろんな芸術表現があるんだけど、そういうものをうまく現代版メディア・アートに結びつけてる感じ、その芸術のあり方みたいなところが新しいし、日本人でよかったねっていう感じがするんですよね。日本人らしい・・・。実は外国人だったりして。(笑)」

▼ 相沢礼子

「夢の世界と現実の世界の入り口なような感じ。こういうところでカフェみたいに、お茶でも飲みたいですね」
   
   
ノミネート3  
作品写真
作品写真
作品写真
 
jam (ジャム)
横井秀和 (ヨコイ・ヒデカズ)
作品ノート
★点と線、そして音をリアルタイムに自動生成していくプログラム。人が触って反応するなどのインタラクティブな機能はなく、点の位置によって、音が鳴るようにプログラムされている。それがただ延々とエンドレスに繰り返される。音は単音で70音くらい入っていて、不協和音のコードを弾いているように聞こえるのは、点が多くなって、音が重なり合っている証拠。線は最大で30本くらい入っている。

東京在住、フリーの20歳。
3,4年前にインターネットに触れ、自分でもWebページを作りたいと思い、18歳の頃から実際に自分でプログラミングを始めた。
コメント

▼ 立花ハジメ

「この作品には、絶対この音がついてないとダメですね。サンプリングされた断片的な音、ノイズミュージックでもないし、単なる不協和音でもなく・・・、普通に音楽として成り立っちゃうところが、興味深かった。まさに、インタラクションがあればいいってもんじゃない、というのがわかる。

家に絵を飾るとしたらどんな絵がいいかなって、作品選ぶ時に迷った時とかよく考えるんだけど、まさにこれなんか飾っておきたい感じ。この耽美な感じは、侘び寂びに通じるものがあると思います。

すごく個人的な感じ、別にみんなにわかってもらえなくてもいいやという、作者が個人的ってことにこだわって作ってるところ、サービス過剰じゃないところが(笑)好き。

音もわずらわしくなくて、ほんとにスクリーンセーバーにして、時々声で時間とか報せてくれたら楽しいかな。

この作品を含めて可能性を感じます。次の作品を見てみたい」

▼中村勇吾

「絵は粗削りで、作りっぱなしという感はあるけれど、動きがすごく面白い。だいたいこういうのって10分ぐらい見てたらすぐ飽きちゃうもんなんですが、例えば、ちょっと行き遅れた‘点’などが隠れて、大丈夫かーと思っていると、知らないうちに帰っていたり・・・そのバランスが巧いな、と。けっこうずーっと見ちゃうなあ。

ほんとうにわが道を行くというかなんというか、この人はこういうの好きなんだろうなあとは思うんですけど・・・僕はデザイナーなので、どちらかというと、こういう面白さを生かすようなちょっと特別のディテールがあるんじゃないかとか思います。

例えば極太の線が重なったりしてもっと荒々しい感じを出すとか、逆に繊細な方向にいくとか、その‘振り’を自分でいろいろやってみるとよいのでは(立花:勇吾クンはね、自分でプログラミングができるからね。きっといろいろ浮かんじゃうんだと思うよ)」

▼中谷日出

「いわば音と共に自動的に生成されてるアニメーションなんだけど、それがすごくシンプルでこれ以上削ぎ落としようがない線と点。それが動きによって我々がいろんなものが想像できるという基点になるというところが素晴らしいと思う。ハジメさんが仰るように、僕もこれ、うちにひとつ欲しい感じがする。(笑)テレビにずっと流しておきたい。

動きやシンプルさ加減はこれで十分だと思うけれど、もう少し線の太さの違いとか、メリハリが出てきてもよいかな。
人にいろんなイマジネーションを掻き立てる作品というのは素晴らしい作品だと思う。きっとこの作者もイメージフルなものをもっと作れるんじゃないかと、可能性を感じます」
   
   
ノミネート4  
作品写真
作品写真
作品写真
 
マチモジ
松本健一 (マツモト・ケンイチ)
作品ノート
東京在住24歳、広告制作会社勤務。
写真を撮るのが趣味で、ある時、街の風景が文字に見えたことをきっかけに、街の中に住む文字を炙り出したようなこの作品を作った。この3つの街を選んだ理由は、下町で歴史のある浅草、夜のネオンが光る繁華街新宿、そして典型的な東京の住宅街光ヶ丘、というそれぞれ異なる街の雰囲気が文字にも表現できると思ったから。ちなみに光ヶ丘は以前住んでいたことがある。
コメント

▼立花ハジメ

「まさに日本には‘見立ての心’というのがあると思うけど、この作品は、こう見立てよう!と思って、このトリミングで写真を撮る感覚が楽しそうだよね。写真を撮りながら文字に見立てているんだけれど、中には言われてみなければ、そう見えないほどの無理矢理な部分もあったりして、その無理矢理さ加減がたまらなく楽しい。

写真もきれいだし。大文字のアルファベット、小文字、数字、それに切り抜いてわかりやすく読みやすくしたプレゼンテーションの仕方も楽しかった」

▼中村勇吾

「デザインするというのは、自分で描くことでもあるけれど、要するに何をどう見るかっていうこと。その本質をすごい突いてる。

いわゆるグラフィックデザイナーとかフォトグラファーみたいな人が楽しむようなものでもなく、ほんとにその街を歩くのが好きな人に、こういう遊びを紹介してあげると面白いのかなあと。(立花:それを勇吾クンがWeb作品とかにしてくれたら、もうほんとに面白いんじゃないかなあ)ネットでこういう遊びを世界に広めてみんなが登録できるようにしたら、本当に面白いですよね。

例えば光が丘だったら、住民それぞれのタイプフェイスを作っていくと、ほんと人それぞれで、その集合で、みんなどう光ヶ丘を見てるんだっけみたいなのが見えてくるんじゃないかな。

あるいは、子どものデザイン教育というか、街に出て、いろんなカタチを発見しよう、といったような、様々な広がりを感じる。
いろんな街の『マチモジ』を見たいですね。(中谷:じゃ、この方、全国制覇だな)」

▼中谷日出

「中には、四角くトリミングすることによって、はじめてそれとわかる文字というのも入っていて、すごく面白い。
いろんな写真があることによって、例えば光が丘というところの状況さえも解るし、いろんな含みがありますよね。

自然や環境の中からかたちを発見することは、デザインのほんとに基本。デザイン教育にもバリバリ役立つし(笑)。それを見つけ出すセンスと喜び、発見する気持ちっていうのは、モノをつくる人のベースにすごく大事なこと。そういうの全てひっくるめて、ひとつの文字を作っていて、またそのデザイン行為が、デザインの気持ちの基本をちゃんと踏まえて応用展開されているこの感じは、ある意味完璧ですね。これは凄い!」
   
   
 
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