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on air review
 
第175回  
タイトル 2004年 04月 10日放送
イントロ 作品レビュー ベストセレクション ピックアップ クリエーターズカフェ
 
作品レビュー
 
ノミネートNo.1
作品写真
ノトリガエシ
エア・ブレーキ
ノミネートNo.2
作品写真
眼力2
−見ることは消費すること−
多田沼構像
ノミネートNo.3
作品写真
巣くう
莇 貴彦
ノミネートNo.4
作品写真
What is TRUTH?
酒井 聡+高橋哲平
   
ノミネート1  
作品写真
作品写真
作品写真
 
ノトリガエシ
エア・ブレーキ
江川大+中 一郎 他(エガワ・ダイ+ナカ・イチロウ)
作品ノート
<エア・ブレーキ>は、江川、中両氏(いずれも28歳)を中心とした6人のクリエイター集団。和歌山県を活動の拠点としている。本作は妖怪をモチーフにした作品シリーズの2作品め。

★<ノトリガエシ>とは、オリジナル妖怪の名。この妖怪に取り憑かれると、喋ることが困難になってしまう、という設定。
体験者自身の声が小型マイクで収録され、耳を覆ったスピーカーから僅かに遅れて本人に聞こえる仕組み。
コメント

▼ 八谷和彦

「デジスタで扱う作品には、映像や眼で味わうビジュアルアートが多いと思うのですが、これは、音と人間の認知・認識を利用した作品。感覚的に一番話しにくくなるディレイのポイントに合わせてある。実際に体感してみないとわからないのだが、だからこそ、自分でもすごくやってみたくなった。

お互いに見えているものを入れ替えてしまう『視聴覚交換マシン』という僕の作品は、人間がもともと持っている認知や認識の仕組みをちょっとズラすことで、今まで体験したことのない世界を味わわせるものだが、それにちょっと似たセンスを感じた。

マイクにヘッドフォン、ディレイの装置という仕組みを、ただむき出しにして実験道具のようにするのではなく、妖怪をモチーフにして、体験者が微妙にマヌケで微妙に可愛く見えるように工夫されている、そのおもてなしが上手だと思った。(中谷:八谷さんも、機械部を隠すように天使の羽をつけたりしてらっしゃる。ある意味デコレートするチカラというのは必要なんですね。)
デコレートする目的もあるけれど、(体験者に向けての)誘いなんですね。機能的には意味ないと思うけれど、“何だろう、コレ?”と思わせるのは、実はとても大切なこと。

いろんな人が体験しているのを見たのですが、皆すごく楽しそうだった。
今後も色んなところで発表されるでしょうから、見かけたら是非体験してみて欲しい。」

▼ 桃生亜希子

「私は、あまり(ディレイを)気にしないで話せましたけれど、(中谷:女優さんというのは、外の声に惑わされないで演じなければならないこともある。そういう意味で、このような作品にも強いのかな。)

アソビがあって面白いと思う。トリップ感があるので、1日着けて見てみたいという気がしました。(八谷:僕はもう数分で、嫌な感じになりましたけど。) まさに<ノリエガエシ>という妖怪に取り憑かれていたわけですね。(八谷:ちょっと重かったりしてね)」

▼ 中谷日出

「自分が聴覚に関してこれほど弱いのか、と。半ば自閉的なまでにホントに喋りたくなくなったし・・・人間の微妙な生理を思い知らされましたね。(八谷:外から自分の声をコントロールされて、やめろーと言いたくなる、そのやめろと言ってるのも自分だったりするから。)

水木しげるさんのように、妖怪シリーズを続けていくと、結構面白い作品がまた生まれると思う。是非やって欲しいですね。」
 
   
ノミネート2  
作品写真
作品写真
作品写真
 
眼力2−見ることは消費すること− (メヂカラ・ツー)
多田沼構像 (タダヌマ・コウゾウ)
作品ノート
39歳、会社員。
インパクトの強い美術作品を見た時に、初めて見た印象と2度目の印象が違うと感じたところから、最初に見た瞬間にその作品を‘消費’していると考えたのが制作のきっかけ。
八谷氏の『見ることは信じること』という作品に非常に感銘を受け、そのタイトルをモチーフとして、「見ることは消費すること」という副題をつけている。(画面には、八谷氏の作品画像が映っている)

★ モニターに映っている画像の見た部分が黒く塗りつぶされるオリジナルのデバイス。ゴーグルに取り付けられたCCDカメラが目の動きを撮影、それをパソコンで解析し、モニターに取り付けられた(製図などに使われる)プロッターを操作する仕組み。

多田沼さんは目下、応募作品全てがノミネートされるという無敗記録更新中!

眼力(メヂカラ)』(立花ハジメセレクション)
Happy Donkey 2』(中谷日出セレクション)
Logos-Machine(ロゴス・マシン)』(DAF東京2003/ガジェット特集)




コメント

▼ 八谷和彦

「アイデアは面白いですね。今は(視線で)プロッターを動かしているけれど、ロボットアームや極端に大きいモノを動かすと結構楽しいのかもしれない。

アドバイスは、精度かな? 見た部分と黒く塗りつぶされる部分がもっとシンクロできるとよいですね。視線デバイスでも視覚障害者用に使われているものなど、今はかなり精度の高いのでそういうものを使うと改善できるかもしれない。でも、機械に“がんばれ!”と応援したくなる気持ちになるのも良かったですけど。」

▼ 桃生亜希子

「見たいのに、見えない!すごく面白いアイデアですね。思った通りの場所にペンが動いてくれると、もっと楽しいと思いました。」

▼ 中谷日出

「見たいところがどんどん見えなくなる、悲しい宿命にある作品。見ることは消費すること、というテーマにぴったりですね。

作者の多田沼さんは、詰めの甘いところを常に次の作品でちゃんと改善してくるチャレンジ精神の持ち主。今回、なかなか思ったところに視線が動いてくれなかった問題があるけれど、次回はきっとまたその辺を詰めてくると思います。そういう真摯な気持ちで突き進む、ある種発明家のような人ですね。(相沢:タダヌマヂカラで、次回頑張って欲しいと思います)」
  
   
ノミネート3  
作品写真
作品写真
作品写真
 
巣くう (スクウ)
莇 貴彦 (アザミ・タカヒコ)
作品ノート
この春大学を卒業。
生物の動きにとても興味があり、これまでも、生命力を持った動きをテーマにインスタレーション作品を制作。本作は、未知の生物の巣に人間が迷い込み、その生物が人間を警戒しているという空間を表現した。

体験した子供が泣いてしまうほどの空間を作り出すのが目標。実際に泣いた子供はいなかったが、得たいの知れない生き物の動きで驚きや恐怖を実感できる空間を作り出せた。

すべて手作り。一番苦労したのは、軽くすること。アルミ、ステンレス、鉄、銅などあらゆる素材を組み合わせて、8ヶ月をかけた。
コメント

▼ 八谷和彦

「まず、作品の中に入っていけるのが良いと思う。またモーターが一個しかないわりには、揺れがあるために複雑な動きを見せ、それが妙に生き物っぽいのが気に入った。造形的にも綺麗。

ただ、モーター音が聞こえると、やはり電気で動いているという感じがしてしまうので、例えばコンプレッサーを使って、圧縮空気とバルブのスウィッチにすると、シュシュッというような音になって動いたりする。そうすると、より生き物っぽい感じになるのでは。

また照明の感じによっても随分印象が変わるだろうし、繋がっているパイプが見えている部分を何かでカバーするのも一案、より生き物の感じが強まると思う。

新作を作るのもいいけれど、この作品をどんどん改良していくということも楽しみなので、是非やって欲しい。余り怖い方向にいくというよりも、食虫植物のような怖い中にも可愛さが感じられるものにするのもよいのでは。」

▼ 桃生亜希子

「確かに、(人という侵入者を)警戒している動きに見えますね。
もう少し(背の)低いものもあって、(しゃがんで)くぐれる感じがあると、もっと盛り上がってくるかもしれない。カタチがすごく綺麗ですね。」

▼ 中谷日出

「作者の意図である ‘未知の生物’というのはすごく伝わってくる。さらに迷い込んだ感じがもっと出ると、体験者に不安感を与えられるのではないか。

怖さの演出としては、音はやはり大きなポイントですね。(動くたびに生じるモーターの)機械音にかぶさる何かがあってもよかったかもしれない。

時間をかけて作品を重ねていくと、精度も高まり洗練されていく。今後自分のイメージがすぐ具現化されるようになってくると、すごいメディアアートが出来上がるのでは。

僕はメディアアート作品の大きさというのが、結構ポイントだと思っているけれど、これも、スタジオを埋め尽くすくらいあるとすごいなーと思う。(八谷:数が違うと異なる印象になるだろうし、体験者の感想を聞いて、それをフィードバックしていくとまた違ったものが出来てくる。そこがインスタレーションの良さだと思う。)」
  
   
ノミネート4  
作品写真
作品写真
作品写真
 
What is TRUTH? (ワット・イズ・トゥルース?)
酒井 聡+高橋哲平 (サカイ・ソウ+タカハシ・テッペイ)
作品ノート
山形県在住。
大学の卒業制作で、音によって空間を作れないかと研究していた酒井さんと、音に反応して動くキューブを制作していた高橋さんの二人のアイデアが合体して完成。
白黒の模様と鏡張りを組み合わせることで、うごめくような不思議な空間を作り出すことができた。

★白黒のストライプで覆われた空間で、鏡張りのキューブが音に反応して動く作品。
コメント

▼ 八谷和彦

「四角い物体が、まず大きい音に反応して動き、2回目の音で移動、3回目で停止する。一個ずつはそういった単純な動きしかしないし、カタチも全然生き物っぽくないけれど、全体としてその動きが生き物っぽく見える。擬態している感じもあり。仕上げが綺麗なのも良い。ストライプと鏡を利用したのは、かなり正解だと思う。

音楽が鳴っている時に動くので、モーターの音も気にならない。
かなり完成されていると思う。
希に、ぶつかって動かなくなってしまう状況が生まれるので、たぶんもっと広い場所で展開すると良いのでは。(桃生:でも、くっついてぴくっとしながらまた動いていくのも可愛かったですね。)」

▼ 桃生亜希子

「すごくキレイ。幻想的な感じもあるし結構好きですね。音楽も良かった。

カフェとかにこういう空間があると良いかも。水玉にしたり、音楽も変えたりすると、また違った空間や雰囲気ができそう。いろいろ想像が膨らみますね。」

▼ 中谷日出

「鏡を使うことによって実体が弱まり、すごく不思議な感じを与える。またそれにストライプが絡んでくるのでカタチが生き物のように変わる、マジックですね。それにおしゃれ。

音に反応して動く作品は今までもあったけれど、設定がすごく良いので、全然違うものに見える。

視覚的に不思議な感じを出すオプチカルアートという作品があるが、それが立体版になって、不思議感が倍増している。

今後、(キューブの)一個一個に音に対する感受性の違いを設定すると、より生き物感が出てくるような気もする。
これだけ完成度があると人の心を巧く掴んでいけるし、メディアアートとして音楽にシンクロして展開するというのも良いアイデア。将来性を感じますね。」
 
   
 
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