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皆さま長らくお待たせいたしました。熱烈アンコールにより「じゅん&信也」の大親友コンビ復活です。「みうらじゅんが出ているだけで、忽ち怪しく、胡散臭いものに変容してしまう番組が多い中、ちゃんとコンセプトが守られて進行するのはデジスタだけですね・・・‘デジスタ主義’とは即ち、完成された作品への評価はもとより、これから何かいいものを作ってくれるんじゃないか、という可能性の部分をより評価し発掘していくという“これから感”重視の姿勢です。」と提唱者中島信也さんが真顔で切り出せば、「私がデジスタ主義を提唱しているワケはですね・・・」といきなりボケるみうらじゅんさん。‘親孝行’を信条に‘キープ・オン・ロケンロール’で‘グレート余生’を邁進・・・と常時マイブーム接続状態です。曰く「無駄なことの積み重ねで研磨されるセンス」を実感するには、GWに開催される「みうらじゅんキョーレツ! 3本立て!」をオススメしておきましょう。

さてCGに全く興味のない(!)みうら氏、「生首ロボット」「電柱に登る男」「カラーバーを剃るかみそり」「オフィスの大仏」等々が登場する強力ラインアップに、痛快コメントを連発!ところが、どれもネタとオチに苦労の跡がくっきり浮かび上がる力作を前に「昨年よりぐーんとクォリティが上がってますね。」の思いがけない一言も・・・。そして注目のベストセレクションは、「じゅん&信也」熱き40代の友情を揺るがした(かもしれない)‘デジスタ主義’作品でありました。


 
 

作品#1/soul men(ソウル・メン)
岡 義隆(オカ・ヨシタカ)+ 内田博史(ウチダ・ヒロシ)


作者ノート
 

ロボットに生首をのせてタイマンをはらせたら面白いだろうと思って作った。勢いで作ってしまったので、オチを考えるのが大変だった。

ロボットの顔は自分たち、100円ショップの化粧品を塗りたくって作ったのだが、徹夜続きでやつれた感じがかえって良かったかもしれない。

  中島信也コメント
  「最高傑作ですよ。どうですか、みうらさん! 最後のラーメンというものが、久々のワンパンチを見たな、と。 僕の選考基準として、ラーメンの登場は大きかった。ラーメンが食べられなかっただけで銃で撃ってしまうという、ヒドイことをしてしまうわけですが、食べられなくて悔しかった、そのシンプルな心情がベースにある表現、という・・
<みうら「ようそんな真剣に講評できるな、マジメな顔して・・」>
僕はマジメですよ・・で、食べたいものが食べられなかった、という誰でもわかるお話を、これだけ凝ってCG作品にしているのがスゴい。ラーメンが出てきて、生首というネタがあり、なかなか良いんじゃないかと。首だけのハメ込みは珍しいですね。たいへんだったと思います。そのラーメンも最初見た時はおいしそうじゃなかったんですが、今日見るとなかなか・・あの海苔が湿ってる具合が結構ポイント高いと思いますがね。
<みうら「今パッとテレビ付けた人、(中島さんを)井筒監督や思う人いるかもしれへんね。下にちゃんと書いとかな・・・」>

僕の方が髪の毛短いですよ。って、何の話かわからんようになってしもたやないか。

頑張って作ってるんですけれど、もう少し説得して欲しいポイントがある。ビンボーな「モンスターズ・インク」という感じがしてしまうわけです。何が違うかというと、(最後)ラーメンをなぜに落としたか、という必然性。まだコカそうとしてコケてるというストーリーの甘さが見えるんですね。例えば足にイボがあってそれが災いしてコケるとか・・なかなか難しいところですが、そこがもう一歩かたまってくると、これはちょっとしたものになるな、と。「モンスターズ・・」は、そういうところが完璧に組んであるわけです。しかし、こういった具体的なアドバイスができること自体、いいできだということなんですね。ここまで表現力持ってるんですから。みうらセンセイの原作を映像化したらいいんちゃいますか?

実際の制作前に、練りに練りを重ねてNGを沢山出していく、それくらい作り込むことで誰が見ても面白いぞというネタになってくるわけですね。技術が進歩してくればするほど、ネタというのは大事になってきます。ハリウッドでは、(話・ネタを)考える人と、作る人は手分けされていて、考える人だけでも4,5人はいますよね。今後は話自体にも共同作業があっても面白いと思います。」
 

みうらじゅんコメント

 

「面白いですね。昔のロジャー・コーマンの映画だったらこれだけで成立するくらいですが・・ただね、ラーメンはいかがなものかな、と。おいしそうに撮れてないのが、ちょっと気になりましたけどね。やはりおいしそーに撮るのが命ですから。ちょっと伸びてる感じがね、800円言われたら、ちょっと高いな、と。それならおいしーもん食べさせてもらわんとね。
コケる理由としてね。例えば「少林サッカー」という香港映画では、オープニングからいきなりバナナでコケるわけですよ。いまだにバナナでコケるというセンスに脱帽なんですね。そういうのでもいいわけ。
こういう映像は、'しょーもないことを考える人'と、'技術的なところをやる人'が合体すればいいね。アホなことばっかり考えてる人と組むといいような気がする。技術同士で組むと、やっぱカタい。僕の原作で映像化、いいですね。ラーメンゲームで、これゲーセンだったら1000円はつぎ込んでますね」

  中谷日出コメント
 

「デジスタ作品の中でもあるようでないと思えたのが、首だけハメこむという表現。CGの表現も出尽くしたように思いがちですが、ちょっとした工夫でかなり新しいものに生まれ変わることもできるわけですね。
アメリカのシーグラフでもそうなんですが、CGのクォリティというのはある程度までいっちゃってますから、お話の面白さが非常に大きなポイントになってくると思いますね。」


 
 

作品#2/続to be continued...(ゾク・トゥー・ビー・コンティニュード)
金子裕也(カネコ・ユウヤ)



作者ノート
 

芸術大学の卒業制作用作品。当初は10本作る予定だったのがネタに苦労し、6本に。そのうち3本はスベッてしまったので、最終的に3本になった。演技しているのは全て自分で、撮影したものをトレースしてアニメーションに仕上げた。「未確認飛行物体」は、カメラを高い位置に据え床の上を這って撮影したもので、決して電柱には登っていない!

  中島信也コメント
 

「“ショートなワンパンチの連打”作品。小ネタで集めていこうというのは、僕の好きなスタイルです。鼻毛の話でいうと、鼻毛を抜き終わるまで見せるのではなく、毛抜きでつまんだ、そのちょっとテンションがかかった瞬間に“つづく”、やったらいいと思ったんですね。3つめの“押すな”も、押した瞬間ヅラ(鬘)がほんの少し浮きますな、そこで“つづく”となるならば、次に感じさせるものがあると思いますが、このままだと、意外に結論が見えてしまってるんで、そこがちょっと弱いとこかな、と。“つづく”はいいポイントになっているので、「見せろー」という気持ちにさせるところまでいけばもっとよくなるのでは。これだけ語らせるのですから、あるクォリティあるに違いない。2個目の音楽はいいですね。切り方もいい。

線画のセンスありますし、見やすくて楽しいから何十本か作るといい。ネタの部分で苦労するのは、健全なことです。見る人に対してコミュニケーションしようとする姿勢が僕は好きです。ワンパンチから大サービスへ・・と。あとは面白いネタですね。

みうらセンセイの仰っていることを翻訳すれば、“もう一押し”ということなのですが、やはりそこにあるのは、センセイの鋭い観察力ですね。人が見るより10倍くらい深い目で見ている。これはすごく大事なことですよ。」

 

みうらじゅんコメント

 

「構図はすごいカッコいいですよ。 鼻毛・・・抜くと痛いのは、まぁわかりますから・・抜くとゼンブ髪の毛抜けてしまうとか・・・何か欲しいですね。最後のやつもズラですよね。ズラもいろいろありますからね。そっからもう一段階行くと、ズラの良さが出るような気がするんですけど、どーなんですかね。 この次にナニがあるんやーということを期待したんやけど、最後は4コマ漫画のオチになってる。4コマめまで行かずに、3コマ目でええんやね。

鼻毛を抜くときはね、実際ものすごい変な顔するんですよ、だから女の人でやって欲しかったね。恋人に見せると、もう100年の恋も冷めるような、顔がこうガーッ!となるような・・・僕も、これはもう人としてなってない、と思えるような顔して鼻毛抜いてますから・・。そう、自分のことを笑えるというのが、一番安くて楽しいことだと思いますね。他人のことを笑うのは、高いです。

サービス精神というのは、日頃のトレーニングが大事。例えばタクシーに乗った時にどんだけ運転手さんを笑かすか、と。まず見ず知らずの人にウケることですね。自分がホスト役にまわって、職業もその時々で色んな人間になりきる、そうやってトレーニングしていくと、結構いいネタ浮かぶんです。あとは、親孝行。親を喜ばせる人間こそ、最大のエンターテインメントだ、と。」

  中谷日出コメント
 

「画面に対する構図のセンスがいいですね。表現も結構一般受けする表現。CMも短い表現ではありますが、”抜くな”というタイトルなどはわざわざ出ないもの。この作品もタイトルなしでも十分伝わる表現だと思います。サービス精神の話が出ましたが、人に対する想いを見る人がどう受け止めるか、それをとらえていくことの大事さを感じさせる作品でした。」


 
 

作品#3/かみそりとハンマー
倉 圭宏(クラ・ヨシヒロ)




作者ノート
  なかなか生えてこないひげを半年ぶりに剃っていた時アイデアを思いついた。コンビニのアルバイト中でも常にネタを考えていて、思いついたアイデアはメモしている。
  中島信也コメント
  「僕らが普段見慣れているものを使った日用品のワンパンチ。なかなかの作品です。何を表現しているかは、僕もわかりませんが、感じとして新鮮でしたし、好きです。トンカチでかたちをゆがめていくのは、気持ちいいんですね。
あのしましまが、演芸場の幕に見えるか、テレビのカラーバーに見えるかは、まぁ昭和と平成の違いですね。

本能的にそうしているのでしょうが、よーく見ると構成がうまい。長さは若干問題ありですが、展開の仕方、例えば、レコードプレイヤーが出てきますが、結構処理の難しいものをつながりを持たせるために、徐々に後ろに隠していったり、最後の幕の幕引きもバランス良くうまいこと持っていった。映像を構成していく力があるんですね。尺が長いというような具体的なアドバイスが出るということは、完成度が高いということでもあります。頑張ってると思います。」

 

みうらじゅんコメント

 

「このしましまは演芸場にある幕で、その幕が上がって”かみそり”と”ハンマー”という人が漫才をやるんやと思たね。日常の場面で作品を作ろうとするのは面白い。けど、かみそりで剃るやつはね、平面だけやからあんまりグっとけぇへんかったね。アゴかワキかわかりませんが、やっぱ曲線をこう丁寧にいくもんやで・・。

尺がちょっと長いかな。(一般的に内容が)難しいというのは、面白うないことやね。難しくしない方がいいと思う。これはね、おかんとオヤジには受けへんかもしれんよ。」

  中谷日出コメント
 

「風船にかみそりをたてたような音で、面白かったですね。カラーバーというのは、言ってみれば映像の象徴、それをかみそりでけずったりハンマーで強度な圧迫をかけることで、メディア自体が何か変容していくような・・・アートのコンセプトのようなものを感じました。その変わっていく映像そのものが抽象的なので、もう少し具体的でもいいかな。」


 
 

作品#4/ひっくり返ったマウス
草平(ソウヘイ)+jb(ジェイビー)




作者ノート
  ストーリーと映像を作る草平さんは、占いが趣味。音楽を担当するjbさんは矢野顕子が趣味。
ひっくり返ったマウスというのは、忙しい会社の中のなごみ系的存在で、いろいろ会社について考えていたことを膨らませていった。

  中島信也コメント
  「僕はちょっと怖かったんですけどね。モデリングの問題で言うと、ちょっと粗いんですが、アニメーションはすごいセンスがあって上手いですよ。カメラワークも普通ですけれどちゃんとしてる。欠点の見えないだけの展開の良さがありましたね。

かなり盛り込まれているのですが、考え方が一貫していて、あるカオスのようなものを表現しようと、積み重ねている。それも意外に思いつきの積み重ねではなく、電子世界に潜む、目に見えぬオカルト的チカラみたいなものへの目のつけどころは面白いですよね。大きな意味でワンパンチ。女の人のワンパンツが見えたりしてましたが・・・・。

ちょっと前はCGのためのCGというのがあって、何でもCGにしていたんやけど、みうらセンセイの仰ったように、技術というものが、あるネタを表現するためにいよいよカタチになり始めてきたという感がありますね・・・(みうらさんに)オマエの言うことはホンマにまとめにくいわ。でも感覚的に正しいわ。たぶん生理的に技術はこれ止まりでネタの世界で見せるという・・・。」

 

みうらじゅんコメント

  「面白い!これ。これは面白かった。CGがバカに使ってあってすごいスキ。正しい使い方やと思う、うん。CGって前からギモンなんやけど・・映画の「タイタニック」で海作るやん。あれ意味ないやん。それやったら船作って海に出せばええやん。そこをCGにして海のように見せることに何の意味もない、とキャメロン監督に言いたいんやけども、「少林サッカー」のバカCGのテイストはこの作品に近くて、CGをオモチャに使ってる感じが、いいと思う。
CGはこのテイストで進めば面白いものができる。技術が進んでも、見て面白いか面白くないか、ですから、この世の中。CGを使わなくても違うこともできる人ですね。この作品ではそれを武器に使っているだけで、CG一本ではないとこが、ええ加減で余裕があっていい感じがしましたけどね。

仏像については、もちょっとヒネってもらって、十一面観音とか、もう少し凝って欲しいですね。これは単に、‘大仏’と呼ばれるもので深くないですね。雰囲気がいいですよ。やっぱり意味のないことがいい、こういうのは。意味があったらつまらなくなりますよ、突然。」

 

中谷日出コメント

 

「最初のスピード感など、情報化社会のオフィスのイメージがありましたね。途中からオカルトっぽくなってかなり色々言ってますよね。時々出てくる‘くじら’や‘仏像’もクォリティ高いと思います。僕はモデリング能力高いと思いましたけどね。この方は以前、「カルボナーラ草平」さんとして応募したことのある人なんですね。前の作品は写真をコラージュしたもので飛行機が回ってたり、灯籠が色んなところに出てきたり、やはりこの人らしさの感じられる表現が見られる作品でしたが、今回確実に面白さが増してますね、みうらさんが仰ったように、何でもできる懐の深い人のように思います。」


 
 
 
かみそりとハンマー  倉 圭宏
 
選評(中島信也)
「選考のポイントは、完成度だけじゃなくて、‘これから感’ですね。僕はみうらじゅんの大親友ですから。<みうら「それは裏切ることもあるちゅうことやね。」>草平さんの作品は、良かったんですけど、あのみうらじゅんがこれだけ誉めたら、もう十分やろと、おめでとーと。もう勲章ものですからね。
倉さんは未発見な新しいものを感じるので、期待票が大きいのですが、この作品は非常にいい出来だと思います。映像の持つ可能性をもう一回認識させてくれたということで決めました。」

みうらじゅんコメント

「ぼくはもう4番目の「ひっくり返ったマウス」です。今週のベストセレクションは、映像ならでは面白さありましたね。信也らしい選び方思うけどね、でもオレが来た意味が何にもなくなったってことやね。でもね、僕は僕やし、人は人やから。

去年来た時よりクォリティが高くなってると思います。CGって割と無機質な血の通ってないイメージがすごいありましたけど、今日見てみると、もうセンスモロだしという感じで、CGを使おうが何しようが、問われるのはセンス。技術はあるところまで来てますから、センス一発ですね。センスは、自分が面白い人間になろうと頑張ればなれるんやけど、頑張らななれません。だから無駄な努力の積み重ね、というのがセンスやと僕は思てるんですけど。
<中島「キツい話やな。センスないと、もうアカンもの。」>

また来年呼んでいただけると、またぐーんとセンスの良いものを見られるかな、と。」

中谷コメント

「今回はどの作品も適当に粗削り感があって、どれも入賞して欲しいくらい。ちょっと判断つかないね。みうらさんの仰ったセンスの問題は大きいと思います。技術的にはまだまだ未熟なんだけど、センスがあれば何とかなる、と。」
 
【次回の中島信也セレクション】
「今日はセンスという言葉がでてきましたけど。よそいきにならないで、自分のセンスをばりばりに滲み出した作品を出して欲しいなと思います。」