ももこレポート
「寺井弘典さんのこと」
〜ビデオアート一直線〜
こちらからどうぞ

今週のデジスタは、お待ちかね「寺井弘典セレクション」をお届けします。寺井さんと言えばミュージックビデオ、音楽と映像が気持ちよーくシンクロするMTVを日々元気の素にしている皆さんも少なくないことでしょう。本日のゲストとしてお迎えした女優の中江有里さんもそんな一人かも("兼本さん"が気になって仕方がないらしい。)ご本人もホームページをお持ちだそうで、映像クリエーターとしてのデジスタデビューもぜひ期待したいところです。また恒例の海外おすすめミュージック・クリップご紹介コーナーも必見。DJカルチャーから出現した人気グループの傑作2本を、冴えわたる寺井チェーック!と共にじっくりとどーぞ。 さて今日のラインアップは、か・な・り面白い作品が揃いました。キーワードは、「打倒!腰麦」「ビリビリする皮膚科病院の地下室」「フランス人のタ・ン・ポ・ポ♪」「大柄小ギャルとぷるんぷるん」とワケわかりませんが、見ればナットクの見逃せない今週号です。音と映像のスリリングな出会いを、どうぞお楽しみにね! 


寺井弘典コメント:
「作品づくりで、何故<WHY>作るか、何を(WHAT)作るか、どうやって(HOW)作るか、と色々あるわけですが、今までは比較的<HOW>の話題が多かったかと思います。デジスタも3年目に入りクオリティも上がってきたところ、これからは、<WHY>、何故作るか、この人はどうしてこれを作ったのかにということが重要なポイントになっていくのでは。見る人もその辺に注目してみるとまた違った面白さを発見できると思います。」
中江有里コメント:
「デジタルアートと言葉だけを聞くと、ちょっと難しそうに思えてしまうのですが、(映像などは)よくMTVなどで見ています。あの(兼本さんの)留守番電話が気になっていて・・・まさに、これは何のために作ったんだろう<WHY>と思っていたところ。寺井さんのお話を聞いて、なるほどなーと納得です。自分でホームページを持っていて、FLASH5を使った映像作品にも挑戦していますが、デジタル絵本というすごく子供っぽいものだし、今日の作品と比べるとまだまだ・・・。作品はどれも楽しかったです。みんな努力してるんだなーと。人の世界観というのは、カタチにしてなかなか見られないものですし、こういう技術を使って見せて頂くのは非常に面白いと思いました。次回はほのぼの系の楽しい作品も楽しみにしています。」
中谷日出コメント:
「<WHY>に注目するという寺井さんの言葉、作品づくりの原点に立ち返る感じですね。デジスタはジャンルも作る人も、広範囲であることが信条のひとつですから、是非中江さんにも作品を応募して頂きたい、期待してます。」


“各作品とその講評は、下からお選び下さい”

『日本全国重金属化計画』/
にほんぜんこくへう゛ぃめたるかけいかく
糸数昌史(イトカズ・マサフミ)
『W』/ワット 前宮英和(マエミヤ・ヒデカズ)
  『Add Boiling Water』/アッド・ボイリング・ウォーター
中村元道(ナカムラ・モトミチ)
『お空でデート 恥ずかしがりとやりたがり』
内田健介(ウチダ・ケンスケ)





『日本全国重金属化計画』
糸数昌史(イトカズ・マサフミ)
選評
「1番と4番ですごい悩んだんですが。(糸数さんの作品の)和音階でヘビメタをやるというのはちょっと思いつかないし、ヘビメタの通常のイメージを変えようとしている情熱が伝わってきたんですね。あまりいいイメージを持っていなかった僕自身のヘビメタに対する既成概念も崩れたほどでした。最初に言った<WHY><WHAT>・・という 問題に帰るのですが、何故この作品を作るのかという点が、これからのデジスタの作品の中では非常に重要なポイントになると思いそこをポイントに選びました。
内田さんは、非常に惜しかったですね。最後の最後まで作り尽くしたという点で糸数さんに決まったという気がします。」
 
中江コメント
「個人的には、ほのぼのキャラクターが好きなので、今回の4作品はちょっと難しいのですけれど(笑)、でも、カッコいいなーと思ったのは、一番の『日本全国重金属化計画』でした。それにしても、作品を拝見していて、人の頭の中ってすごいなーと、痛感しました。世界観の幅が人によってこれほどまでに広いんだな、と。」
 
中谷コメント
「僕は断然4番。すごい可能性を感じるし、ベーシックな力がある。あとはストーリー展開が若干問題といったところで、明日が見える作家だと思います。今回の作品はどれもこだわりはプロ級だと思うのですが、寺井さんの仰るように、いかにオリジナルな新しいものを創造していくかというところがポイントとなって、この作品が抜きんでたと言う気がします。オリジナリティと完成度の点で、納得ですね。」

世界のミュージックビデオクリップ、寺井チェーック!
ケミカル・ブラザーズ
<The Chemical Brothers>
Star Guitar(スター・ギター)


音楽と映像のシンクではあるんですが、パッと見、世界の車窓かなーと思っちゃったりして(笑)。みんな電車に乗って車窓をぼーっと見てたりして、こんなことが起こると面白いのになーということがそのままミュージックビデオの中で起こっているような面白さがありますね。ところが中身は結構緻密にできていて、例えば音のリフと一緒に何度も「橋」が出てきたりもするんですが、いわゆるリフレインという感じがしない。ケミカル・ブラザーズはDJカルチャーの中から出てきたグループ。音楽をお勉強して作るのではなくありとあらゆる音楽を聴いて、エンジョイから入った人たちの音楽が今人気を博してきているんですね。自分の中に様々な名曲が入っていて、言わば、自分の中の複数性といいましょうか、一人で作るのではなく、色々なソースから DJ 的な立場で音楽作りをしている感じです。映像も音楽も新しい「編集」の時代に入っているような気がしています。そういった同じ感受性を持つ人が映像をも作っているので、とても気持ちのいい音像効果が出ていると思います。また音楽の人たちとヴィジュアルの人たちの交流がやりやすくなってきているとも言える。ミシェル・ゴンドレーやスパイク・ジョーンズが出てきて、彼らが映画を作る時代になってきたわけで、そういう DJ 的な耳や目を持ったクリエーターたちが、日本でいうなら田中秀幸さんのように、活躍してきていますよね
アバランチーズ
<The Avalanches>
Frontier Psychiatrist
(フロンティア・サイカィアトリスト)

グループ名は<雪崩>、曲名は直訳すると<開拓地の精神分析医>。「息子が学校に行かなくて困る」と訴えるお母さん、「この学生はとんでもない、精神科にかかった方がいい。」と応える校長先生、といった物語仕立てになっていて、一つの映画のサウンドトラックのような音楽作りをしているわけですが、やはり音のコラージュでもあり、まさにDJカルチャーが生み出したチームと言えます。音楽自体がストーリー性のある展開になっているので、そのまま絵を合わせてしまえばできちゃうくらい。今まで聴いた音のすばらしさをコラージュしてゆけば出来る音楽では、そこで何を選ぶかというところで感性が問われてくる。今編集する時代であることを示唆する作品です。


「僕たちがやってきたのは、音と映像を同価値に扱おうということが中心だったと思うけれど、これからは僕自身も DJ 的な聴く耳を持った人たちに映像と音楽を提供していきたい。オリジナルミュージックビデオ、オリジナルアニメーション、なども作っていきたいと思っています。おいしいものなり、良い音楽なりをよく知っている人間には、そこから出てくるモノの共通言語があるのではないかな。たぶんこれからデジスタも、こういう感覚がもっと出てくると思います。(オフレコで、)それはそうとマイケル・ジャクソンの新しいミュージックビデオがあるのですが、顔には寄らないんですねー・・・(Why not?)。」
次回の作品に向けて
寺井コメント
「何回も言ってますが、WHY, WHAT, HOW, 中でも何故その作品を作るのかというところが、2002年デジスタのこれからのポイントではないかと思っています。自分の衝動だけで作りたいものを作るというのもそれはそれでいいとは思うのですが、これだけ全国で放送されみんなが見てくれるということをもう少し考えてもらって、みんなが喜ぶような、みんなが驚くような作品を想像してみること、そうやって絵コンテもよく考えて作ると、作品が俄然よくなっていくと思います。」