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土佐信道&市川実日子
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今週のキュレーターは、アートユニット明和電機社長・土佐信道氏。創業10周年を祝して、今回特別に「土佐信道『ロマンス』を語る」コーナーを企画しました!現在開催中の10周年キャンペーン「ロマンス・エンジニアリング展」のレポートを始め、明和電機・土佐信道のクリエイティブの原点を追求します。
さらにクリエイターズ・カフェでは明和電機新商品もご紹介!まさに明和づくしの30分でお届けします。

放送風景
映画「Blue」より

ゲストにお招きしたのは、土佐さんも大ファンという女優の市川実日子さん。以前NHKロシア語講座にも出演されていた市川さんですが、先頃第24回モスクワ国際映画祭最優秀女優賞を受賞という快挙!主人公桐島カヤコを演じた受賞作「Blue」(監督・安藤尋)は来年2月公開予定です。さらに11月には及川中監督の「ラヴァーズ・キス」のクランクインを控え、独特の存在感溢れる本格派女優として今後の活躍に期待大です。

さて今回土佐さんのセレクトテーマは、ずばり青春!中谷ナビゲータの心にきゅんと響いた財津さんの曲、市川さんの心を掴んだ'星柄パンツ'。石井アナ爆笑の全編ロケ路上前まわり。各世代(?)意見が分かれる中、僅差でベストセレクションに輝いたのは、<たま>の曲にのせた近藤聡乃さん作<電車かもしれない>でした。どうぞお楽しみに!


 
 
キュレーターによるセレクション
作品#1   作品#2   作品#3   作品#4
作品画像   作品画像   作品画像   作品画像
ブルースカイ
平野 玄
 

哀愁、星柄/945LOVE
田中見和

  電車かもしれない
近藤聡乃
  ローリングマン
富山博文/鈴木克恭
/神谷直助

 
 

作品#1 ブルースカイ
平野 玄(ヒラノ ゲン
)



作者ノート
 

24歳、フリー。一見ともだちビデオだが、無邪気な日本の若者たちの危うさを秘めている一品。屈託ない笑顔の映像だけになり過ぎないよう写真を選んだ。きっかけは修学旅行の写真を友人から借りたこと。自分は旅行に参加しなかったので、客観的な立場で友人たちの写真を眺めているうちに作品化を思い立った。

  土佐信道コメント
 

「漫画で言うなら、<生徒諸君!>といった青春群像モノですね。僕、高校時代フォークソング部にいて、先輩もこのブルースカイを歌っているのを聞いて、あーいい歌だな、と思っていたという、そういう刷り込みがあるのですが、まず、曲がいいこと。素材はその辺にあるもので、つなぐ技術もそんなに大したことないんですが、当たり前を当たり前に出すことの強さというのを、こねくりまわさない良さというのがありますね。曲に助けられてるというところもあるのですが、しかし何ともうらやましい。(石井:私もー)
最初に見た時は結婚式の二次会で見せられるようなスライドショーという感じがしたんですが、段々見ているうちに、アイタタタ、と・・・きゅーんと来るモノがありましたね。出てくる子たちが結構おしゃれ、というか、アーバンな匂いがある。」

 

市川実日子コメント

 

「作者の方とたぶん同年代だと思うのですが、何か友達の卒業アルバムを見せてもらってるみたいな感覚になりましたね。初めて聴いた曲ですが、頭振りたくなるような感じで、好きです。最初のロバが出てくるところから入って、ロバの視点になるところも好きですし、試合の始まる前のシーンなんかは、私もバスケット部だったので、あの試合直前の緊張感はわかるなー、と。」

  中谷日出コメント
 

「いやー、いーねー若いってねー、財津さんの歌ってる姿が目に浮かんできて・・・もう僕らの世代にきゅんとくるね。(土佐:中谷さん、何だか目がウルウルと・・・?)
こういう風に集合写真撮ってワイワイやっていたような、誰でもそれぞれにこういう体験ってあると思うよね。僕なんか男子校だったから、この作品のように女性と一緒にグループで行動してたりすると、うらやましかったり・・・。

スチール写真が次々にリズミカルに送られてる様というのは、いいもんですよね。(石井:見てて気持ちいいですよね。)曲とすごくシンクロしているところが、何かヒントになるかもしれない。あの・・ツチノコもそうなんですが、誰もができる、自分のセンスに気づいている人もいない人も、一度チャレンジしてみると何かきゅんと来るモノ人の心を動かすものが作れるのはないか、と。デジタルクリエイティブの裾野をぐーっと広げるきっかけとなる作品だと思います。」

  石井麻由子コメント
  「プライベートな写真の全然知らない人の顔を見ているだけで、きゅんとくるものがある。素直に出したものがストレートに響いてきたんでしょうね。」

 
 
作品#2 哀愁、星柄/945LOVE
田中見和(タナカ・ミワ)



作者ノート
  22歳、フリー。他人に頼むのは、ちょっと面倒なので、主人公はすべて自分で演じている。ストーリーは自分の体験や人の話などを膨らませて考えた。見た人がほっこり和んでくれれば、これ幸い。自分自身はすごく普通の人間だと思っており、点数で言うと、65点位。
  土佐信道コメント
 

「ユーモアセンスありますね。アップになった時の、あのおでこのニキビがたまりません!そのまま使ってますからね。等身大の自分を描く・・・そして見た瞬間、あ、地方の美大生だな、とわかってしまうこの漂うローカル感。いいですね。青春にはつきものですが、自分が見えていない、というところがオイシイ。自意識過剰な時期でもあり、見えていないというのも青春。恥ずかしいと思ったらこれは撮れない、と思いますね。

作品中にも出てきますが、「劇的な日々を夢見ながら毎日生きてる・・」その通り!(石井:土佐さんもそうなんですか?)いえ、僕は劇的な日々を生きてますが(笑)彼女は劇的な日々を夢見ながら、毎日小さな世界をしっかり見据えてそこで生きてる感じが、いいなーと思いますね。もし原稿用紙とペンがあったらそれだけでも彼女は作ると思うのですが、この時代にデジタルなものがあり、それをツールとして当たり前に使っている、もうこのままで、おばあちゃんになっても作って欲しいですね。」

  市川実日子コメント
  「掴まれましたね、この温度。ひたひたひたひた・・・という喋り方、それに音も好きです。(土佐:音は結構凝ってますね。)テレビのアナウンサーが出てきますが、中谷さんもテレビを見てる人に恋されてるかもしれませんね。(土佐:すっごいツッコミ。笑)八百屋お七でしたっけ、(好きな人に)会えるためならっ、っていう、あの感じ結構好きなんですよ。自分は正しいと思っているんだけど、ちょっと違うことをしてしまう・・・この作品はそれがもう少しカワイイ感じで、いいなと思いました。(土佐:それは映像がなければ、田中さんは犯罪に走ってしまう、ということですか?)違う違う(笑)。」
 

中谷日出コメント

 

「この田中見和さん、いいですねー。最後女優ですからね。本人が仰るように、普通さという部分はよく伝わってきましたね。この年代のちょっとユーモアを持った子だったら誰しもやってみたいなと思うようなことを現実的に表現しているところなど、共感するところ多いかもしれませんね。そういった映像の作り方のよい見本になるのでは。やはり一本目と同じように、クリエイターの裾野を広げる作品ですね。」

  石井麻由子コメント
 

「すごいユーモアセンスにびっくりです。とにかく構成も、セリフもすごくこなれていて、一人でよく作ったなーと驚きました。絵コンテもさらーと描いてありますね。パンツのシーンに×が付いてますが、自分がはかなきゃいけないのでやめたのかな。(中谷:確かにこの映像の流れだと、なくても良いシーンですね。土佐:絵コンテも、ちゃんとコマ割りしてありますね。この、レポート用紙ちぎって作ってるのが何とも・・・笑)


 
 
作品#3 電車かもしれない 
近藤聡乃(コンドウ・アキノ)


作者ノート
 

21歳の美大生。小学校4年生から<たま>の大ファン。その中でも大好きな一曲にアニメーションをつけた。この作品は動く漫画。
メールアドレス:akinobox@hotmail.com

  土佐信道コメント
 

「ガラッとかわって、耽美派パタリロ系漫画、摩夜峰央さんの、様式美を感じましたね。
手の動きも細やかで、神経が行き届いているのがいい。こういう青春もあるわけです。友だちとかあまりいなくって(ご本人にはいらっしゃると思いますが)独りこもってカリカリカリカリってやっている、という感じ。」

  市川実日子コメント
 

「これも掴まれますね。<たま>は知ってましたが、この曲ははじめて聴きました。古本屋さんで見つけて、こっそり見るような、ちょっとコワイ絵本のような・・・。作者の方が気になりますね。(土佐:普段どんな漫画見てるんですか?)私は、くらもちふさこさん、とか・・・。でもこういう感じも惹かれますね。(中谷:僕はある時期漫画描いてた。背景とか・・すごい大変だった。)キャンディ・キャンディとかベルサイユのばらとか。(土佐:僕は小学校4年生の時<キャンディ・キャンディ>のファンクラブ入ってましたから・・・あははは。石井:えースゴーイ。)

  中谷日出
  「不思議なムード、舞台を見ているような感覚も持ちましたね。曲のイメージからインスパイされた世界観がすごくわかりますね。設定もそうだし動きもそうですが、女の子らしい視点を持つ表現ですね、男の僕から言うと、とても描けないような・・・。作品中のキャラクターは、本人に似てるんじゃないかな、この雰囲気のこだわりというのは、自分を見つめているところから出てきた感じがします。」
  石井麻由子
 

「すごーく綺麗に描かれた絵コンテで、この段階でもう高い完成度がありますね。イラストは雑誌にも時々掲載されてるそうです。(市川:あ、見たことあります。)若い感性による独特の世界観が全体から感じられますね。」


 
 
作品#4 ローリングマン
富山博文(トミヤマ・ヒロフミ)/鈴木克恭(スズキ・ヨシノリ)/神谷直助(カミヤ・ナオスケ)



作者ノート
  出演は全員24歳。メインで転がっているのは、演劇を志す友人。しかしあまりにも大変でブーイングが激しく、「一緒に転がるから頑張ろうよ。」とみんなで転がった。背中にウレタンやタオルを入れたがしのげず、かなり腫らしてしまった。編集で落としたものを含め素材は全部で2時間近く、計4日間まわった。ゲリラ的にあちこち転がって周りの人を驚かせたかったのだが、意外とリアクションが無く、皆普通だった。不思議だ。
  土佐信道コメント
 

「4作品中でも、"一番、若さを無駄遣いするなーオマエたち"というギャグマンガ系作品ですね。ネタ一発の不条理というのは、昔で言えばモンティ・パイソンなどがありましたが、これは何か若者の、あっけらかーんとしているのが、ボクはすごくいいなぁと思ったんですね。やはり、若者は転がるしかない、ということなんでしょうねー。(市川・石井:あ、そーなんですかー?笑)だって、もっといろいろ考えるじゃないですかー。今のニッポンどーしよーとかー。彼らは・・・転がろう、と。結構長い作品なんですが、飽きずに見られるというのは、実は、コマ割りとかテンポ感とかいいんですね。
コンテはやはり思った通りしっかり描いてありますね。この段階でもかなり可笑しいですよ、注意書きに"8回以上まわると、まず立つことは不可。"(笑)"リズムを乱さないで"などなど。(市川:きっと日に日に上手になっていったんでしょうね。)毎日まわっていると、静止している日常が逆に不自然に感じてきたりするかもしれませんね。「君たちはなぜまわらないんだ?! 」と思うようになったりして(笑)。」

  市川実日子コメント
 

「いいですね。何か、昔のモノクロの、懐かしの映像の早送りしてるみたいな・・・体操着もブルマーというイメージの頃の映像を思い出しましたね。それにしても踏切なんか絶対痛いですよね。(土佐:実はこれうちの近所の駅なんですよ。ちょっとウケましたね。ここかー、と。)(転がって最後に)着いた先には何が待っているんだろうと思いました。これは結局夢だったんですかね。(土佐:絵コンテにも「祝!夢オチ!」と書いてありますね。ただし、夢オチは、一番やっちゃいけないことなんですけれど・・・。)さっきのアニメーションの方も夢オチでしたね。最後寝てましたし。好きな人はすっごい好きで、一日中ずーっと見て笑ってられるのでは。」

  中谷日出コメント
 

「よいこのみなさん、決してマネをしないで下さいね♪ 編集後の尺も結構長いし、その時間は確実に前転しているわけですから・・・無駄なシーンを撮っているとカラダ持ちませんね。視聴者の方々は、この延長上で何かやろうとは思わないで頂きたい。過激にするしかないですから。(笑)しかしあの渋谷のスクランブル交差点のひきのシーンは、すごい。(土佐:ケータイ電話でやりとりしてたんでしょうか。昔ならできないですね。)通行人がみな知らんぷりして通りすぎるでしょう。(石井:東京らしいですねー。市川:そう、コワい!)びっくりしていたのは、電車の中の新聞読んでいたおじさんぐらいでしたからね。
この人たち、パワーもあるし、思いこみも激しいし、これからメジャーなアーティストとして有名になっていく人たちかもしれない。割とメジャーな人たちのデビュー作というのは、かなり過激だったりするから・・・そういう匂いがするね。過ぎ去った自分たちの青春を振り返った時に、<ローリングマン>があった、と。まさに今回のテーマそのものですね。」


 
 
今週のベストセレクション
 
電車かもしれない
近藤聡乃(KONDO, Akino)
 
選評(土佐信道)

「今回ものすごい悩んでいるんですよ。裾野を広げるとか明和電機のポジションで選ぶといった視点と、ボク個人の好きな感覚というのが両方あって、二つに絞られているんですがね。コインで決めましょうか、うーむ、どしょかなー。(悩んだ挙げ句に)<電車かもしれない>です!(一同:おーーーー!)

映像作品作るにあたって、若さとか、その時ぴりぴりしている気持ちとか、といった部分と、もう一方では、もうどうしようもなく、作るしかないというものとがあると思うのですが、明らかに<電車かもしれない>は、後者。最終的には田中さんの'パンツ'か近藤さんの'電車'かで迷ったわけですが、今回は、作家性とクォリティで、電車にしました。これも、時代とかニッポンが今そういう岐路に立ってるのではないかという気がしますね。今の若い人たちは、田中さんのような感覚で当たり前に面白く作れる世代だと思うのですが、それだけでいいのか、という疑問もボクは実は最近感じていたり、と同時にそれでいいんだという自分もいて、その辺の自分の中の葛藤でもありましたね。」

市川実日子コメント
片桐さん

「悩むのですが・・・星柄パンツ、見和さんの作品ですね。もう一つのでんぐり返し?(中谷:<ローリングマン>ですね、笑)はワタシも頑張ろうという気になる作品でしたが・・・でもそれより、自分に近く、八百屋お七的で面白かった。早口のあの喋り方とか、元気ないんだけれど、"あぁ今日は花も咲いてるし・・・"というあの感覚がわかる。なので、田中さんで、お願いします。

ベストセレクションの<電車かもしれない>はワタシもすごく好きな世界でした。年を重ねていってもきっと好きな世界なんだろうな、と。でも今日の気持ちは、'星柄です。

皆さんのお話など聞いていると、「愛」だなぁ、と、実感しましたね。デジスタは愛のある素敵な番組だと思います。作品は、面白かった。みなさんそれぞれ素敵でしたし、作者の方々の歳が近いのもあり、自分にぴたっと来る感じがありましたね。5000シャグマ*くらいよかったですね。

*シャグマ=社熊:明和電機10周年記念グッズのクマぬいぐるみ。大きさを表す単位としても使用される。

片桐さん
シャグマ
中谷コメント

「僕、ベストセレクションはほとんど当たらないのですが、今日は土佐さんと同じだと思いますよ。で、<ブルースカイ>(土佐:笑)デジスタの裾野を広げてくれているし、自然な若者の姿が描かれている。それに僕たちの世代に響いてくる。そうデジスタは、もっとね僕たちの世代を大切にしなくちゃいけないんですよね。若者たちだけじゃなくてね。(土佐:すごい引っかかってますねー笑。)余計なこと言ってますね。

<電車かもしれない>は近藤さんが小学校の頃からずっと好きだった<たま>の音楽を暖めてきて、それを自分なりに考えた映像作品に仕上げたという、年輪のようなものが感じられましたね。それ以外は今の青春を語っている作品という、その辺の違いが出たのかな。全体を振り返ってみると、やはり<電車・・・>は厚みがあったな、そこが勝因ではないでしょうか。」

石井麻由子コメント
「私は、やっぱり<ブルースカイ>ですね。(土佐:ぅわー。中谷:石井さんボクと年近いから。)近くないけど・・・。それにしてもこんなに悩まれてる土佐さんの姿は初めて見ましたね。」
 
【次回の土佐信道セレクション】
「前回が'ツチノコ'でおじさんの層、今回は若者、だったので、次は、'コドモ'ですね。小っちゃい子が無心に描いたもので、うわーんと(泣けるほど)感動する作品を!是非、お母様方にお尻をたたいて頂いて・・・お待ちしています。」