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Digista Special
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What is Siggraph? Report Computer Animation Festival 2001 Exhibition Emerging Technologies ArtGallery: N-Space
イマジネーションを刺激する作品の展示。先端技術をアートに展開した作品が集まっているスペース。「先端技術」を売り物にした作品もあるが、「アートという手法」で人間と技術の関わりを考えさせるような作品も少なくない。デジタル・アート番組を標榜するデジスタとしては、イチオシのコーナーといえる。


《シーグラフ公式ホームページより》
N-Spaceには、アイデアや表現がたいへん豊かな作品が展示されています。ここでは、何にも縛られない自由なアーティスティックな表現に出会うことができます。この自由で開放的な場所で展示される「宝物」は、私たちのアート感覚、冒険心、探究心をリッチにし、逆に私たちの理解しようとする心、そして批評しようとする心に挑みかかってくるでしょう。デジタルアーティストは決まりきった手法を捨て去り、デジタル表現のフロンティアを探し求めています。自分たちのアイデアを表現するのに適した新しいやりかたを探すためです。これがN-Spaceの求めている表現です。
ここで展示される作品は素晴らしい技術を使っていたり、目新しかったりするだけではありません。思想を表現するためのもの、つまり何かしらのメッセージを伝えるために新しい手法を使った作品といった側面も持っています。

>>>●コンタクト・ウォーター
 >>>●プロトルード・フロウ
  >>>●フローティング・ワード
   >>>●ももこレポート
シーグラフ初日、様々なイベントの先陣をきって始まったのが、アート・ギャラリー。開場時刻の4時数分前にしのび込もうとする人たちは、入り口のところで、会場スタッフの厳しい制止にあい、やむをえず、時計の長針がきっかりと12を指し示すのを待って入場する。薄暗い会場内はあっという間に人人人で埋め尽くされた。ほかのイベントが何もまだオープンしていないこともあって、どのブースもなかなかの盛況ぶり。
今年の出展者総数84名中、日本人は9名。その中でも、インスタレーションとして展示された数作品の展示ブースの前には常時列ができていたものもあり、インタラクティブな作品ほど、人々が立ち止まっている時間が長いともいえる。


■■コンタクト・ウォーター■■

まず、列に並んで体験させてもらった『コンタクト・ウォーター』という作品。真中に置かれたロープの固まりのようなものを4人で囲むように座らせられる。右手を出してセンサーがついたグローブをはめられ、水中メガネの出っぱったようなものを装着してもらう。準備が整うと、手のひらにCGの水面が現れ、そこに愛らしいイルカのような水生動物が顔を出す。手のひらを上に向けたまま、風船を軽く打ち返すように上下すると、メガネを通して見えるその水中動物は水面から顔を出したり、はねたりと、こちらの動きに合わせて行動開始。お隣の人を向いて、同様な動作をすると、自分のところにいた水生動物はお隣の水面めがけてジャンプ。その代わりにやってきたお隣さんの水生動物。あまりの可愛らしさにわれを忘れて、ムキになって一歩前に踏み出して「そーれ、飛んでけー」なんてやっておりましたら、「こらこら危ないですよ。ムキになって前に出てくる必要もなければ、上にほうり投げる必要もない」と係りの人に注意されてしまった。

 

  そもそものこの作品は、MRエンターティンメント・ソフトのアイデアやシナリオを公募するコンテストMREC2000の輝かしい第1回グランプリ受賞者である若きアーティスト村上泰介氏のアイデアを具現化したもの。「メガネを通して仮想と現実の世界を融合させてみたかった。自分の手の中で映像を結ぶことにより、体験が実感できる。投げあいのコミュニケーションができるようにするというのが、技術的にもひとつのハードルではあったが、投げあうことができないと他の人と一緒に場を共有できないと思ったので、その点にはこだわりました。なぜに水生動物であったかといういと、犬や猫といった普通に飼える生き物ではなく、絶対に自分の手の中で飼うことのできない生き物を飼ってみたかったのと、水面を自分の内的なものと外的なものの接する象徴的なものとして捉えた」と村上氏は語る。大学で建築を学んだ後、自動車メーカーにデザイナーとして勤務。その後、「やるべきことが他にあるのでは」と感じてIAMASに入学。在学中にこのアイディアが具現化されるきっかけを得、メディア・アーティストとしての1歩を踏み出している。そして今、彼の次なるターゲットは『人間型ロボット』に向けられている。









   
■■プロトルード・フロウ■■

アート・ギャラリーの展示スペースに時折、奇声とどよめきが起こる。どこから聞こえてくるのかと、声のする方に向かうと、黒い幕に囲まれた一番の奥のスペースに人だかりがしている。人だかりは中央に置かれたテーブルを囲んでおり、そのテーブルの真中の四角い小さなスペースに黒い液体が入れられている。その黒い液体は回りの音に反応して、針ねずみのように形を変えて、上からつり下げられた円筒型の入れ物の中に吸い込まれていく。液体のはずなのに、それは明らかに先のとがった金属か何かの固形物のように思えてついつい手を出したくなる。実はこの自由自在に形を変える不思議な液体が『磁性流体』で、手に触りでもしたら、真っ黒になってなかなかとれないらしい。たくさんの人が真剣なまなざしで注視しているこの作品は『プロトルード・フロウ』という作品。

この作品は強い磁力を帯びた微粒子を水または油などの溶液に溶かしたとき、液状になっても強い磁力を保つという特性を利用したもので、それゆえに砂鉄よりも形を変形しやすく、複雑な3Dの有機パターンを創造しやすい点に着目して作られたもの。この磁性流体は周囲の音に反応して変形する。展示場での音は(作者や観客が出す音)天井からつり下げられたマイクに集められ、コンピューターがその音の振幅を電磁性の電圧に変える。そしてその電圧が磁界の強さを決定するというもの。同時にその結果として磁界が3Dパターンを変える。それぞれのパターンは周囲の音と同期して現れ、形の先端がそれに応じて動く。その結果、磁界が音に応じて波打つ。デジタル・カメラがこの動く磁性流体の映像を捉え、装置の前の壁一面にかけられた巨大なスクリーンに映し出しており、巨大化された磁性流体の動きをダイナミックに感じることができる。

作者の児玉幸子さんは現在電気通信大学コミュニケーション学科で助手をしている。
「磁性流体の特性に早くから着目しており、共同製作者の竹野みなこさんと1993年ごろから、これは実に面白いので何とか面白い作品に発展できないかと話をしていました。しかし、私は筑波大学の博士課程の大学院生で『メディア・アートはどのように発展してきたか』についての論文を書いておりましたし、竹野さんは重力や磁力を可視化するような作品に取り組んでいました。実現する機会を得ぬまま、しばらく時がすぎておりましたが、私が論文を終え、現在の職場に就職し、制作にあたっても職場環境がふさわしいものであったので、そこでやっと竹野さんに実現化の話をしたところ、彼女も二つ返事で引き受け、約1年前の4月から取り掛かったわけです。もちろん、これまでも”今、何をしたら面白いのか”を常に考えてきました。

現在のいわゆるデジタル・メディアはモニターの中のものであったり、プロジェクションに投影するものであったり、センサーであったりというものが多い中、この生々しいマテリアルの素材感を出すことができたら面白いのではないかと考えたのです。それで竹部さんが作っていた実験的な作品をインスタレーションにして、多くの人が参加できるものにしたらよいのではないかと考えました。特にシーグラフは派手目な作品が多いので、大型スクリーンを使うことによって、ダイナミックな演出をしようと思ったわけです。また、近くで見られない人にも見やすくする工夫もしたつもりです」彼女が着目した「生々しい素材感」は多くの人の目をくぎ付けにし、自分の声に反応して変幻自在に形を変える生物体のような流体の正体を突き止めようかとするように、観客は何十分もその場にとどまっていた。











 
■■フローティング・ワード■■

『プロトルード、フロウ』の手前の展示スペースには、子供のビニールプールのような大きさの入れ物が置かれ、水が張られている。そこに取り付けられた大きめのマイクに向かって「chocolate」と叫ぶと、隅の方から「chocolate」という文字が流れてくる。その文字を棒でかき混ぜることもできれば、ひしゃくですくうこともできる(と錯覚するらしい)

これは『フローティング・ワード』という作品。作者の師井聡子さんは日本電子専門学校でCGの講師をしている。1週間に20コマも教えながら、合間をぬってこの作品づくりに取り組んだ。プログラム関係は同校で同じく講師をしている笹田晋司さんが担当、アート関係担当の師井さんとのコラボレーション作品である。

この作品は「音声認識、人の声を認知してアルファベットに置きかえる」しくみと「物の位置を感知してそれをプロジェクターに連動させる」しくみの二つを利用して作られたもの。つまり、水に浮かぶ文字をひしゃくですくうと、あたかも自分がその文字をすくったように感じるのだけれど、実際はプールの真上にプロジェクターがぶら下がっていて、センサーが認知した文字を認知した場所に投影しているという仕組み。水に文字が浮かんでいるのではなく、反射性の高い白い布の上に透明なアクリル版を敷き、水を張っただけで、実際には白い布に投影している。

しかし、さらさらと水の中に流れてくるかのようなカラフルなアルファベットは見ていて、とても気持ちよく、ひしゃくにすくってもこぼれ落ちないアルファベットたちを、自分が捕まえたようなちょっといい気分になるのはなぜだろう。

作者の師井さんは言う。「音声認識システムというのは他の入力システムとはまったく違います。まったく何にも触らずに入力できるのですから。コンピューターのキーボードに入力するとき、実際には何か物をいれたわけではないのに、モニターにはその文字が表示されることを私たちは知っています。しかし、音声認識を通して文字を入力するとき、それはあたかも魔法のように感じます。
あなたの声が水滴のように水面に落ち、文字が水面に浮かんでくるとき、そして棒でかき混ぜられてしまうとき、現実の日常を忘れ、毎日が楽しく、時がゆっくりと流れていた子ども時代を思い出すでしょう。私はこの小さなプールがこの作品の中だけで永遠に存在するのではなく、たとえば、人々が憩う公園の噴水といった様々な場所や状況に調和していくことを願っています」






 
■■ももこレポート■■

<ギロチン体験>

アート・ギャラリーの中でひときわ目立って大掛かりなインスタレーションだったのが、アメリカはフロリダ出身のメディア・アーチストの作品『CASE STUDY 5510/CASE STUDY 5510-B』。

巨大な木製のギロチンとおぼしき装置が2台おかれていて、仰向けに寝てギロチン体験ができるというもの。もちろん実際に刃が落ちてくることはなく、首を通す穴の手前にちゃんと仕切りがあるのだけど、決して首が切り落とされることはないとわかっていても、やはり目の前にギロチンの刃が落ちてくる様子を冷静に直視することはできず、『キャー』とか『ヒー』とかという悲鳴とともに、顔は恐怖にゆがんでしまうのです。実はこの装置、ちょっと意地悪い仕掛けがしてあって、仰向けに寝転んでいるギロチン体験者の顔はビデオカメラにとられ、装置の横のモニターに映し出されて、道行く知らない人々の目にさらされてしまうのです・・・。

そんなこととは露知らず、おじさんの「やってみるかい?」という軽い言葉に誘われて何も知らずにギロチン台に寝転んでしまったももこでありました。ももこの恐怖に歪んだ顔もしっかりビデオカメラに収められていたわけです。
ちなみにこの体験、シーグラフの展示中、唯一お金をとる体験ものでありまして、25セントを入れないと、ギロチンのロープがはずれないのです。この作者いわく「この装置をフロリダから船で運んでくるだけで2000ドルもかかったのよ。25セントじゃ回収できないね・・・」と。
「なんでまた、こんな不思議な装置を思いついたの?」と聞くと「わからないわね。ただ突然思いついたのよ・・・。」という作者の答え。この方、相当ブラックユーモアがお好きな感じで、人の内的感情「怖れ」とか「怒り」とかを引き出すことに興味があるのだそうです・・・。




 
 

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