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制作スタッフによる現場日誌

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信楽焼のたぬきの置物について

 こんにちは。
「デザインあ」制作スタッフの茂泉です。
「デッサンあ」で描くモチーフ(絵のモデル)の準備などを担当しています。

突然ですが、皆さんは店の軒先にたぬきの置物が置かれているのを見たことはあるでしょうか。

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 たぬきは「他を抜く」という言葉から商売繁盛の縁起物と考えられていて、
玄関や店の軒先に置く習慣があります。
「デザインあ展 in SHIGA」では、このたぬきの置物を「デッサンあ」のモチーフとして展示しています。

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「デザインあ展」では、開催地ごとにデッサンモチーフをご当地のものに替えています。
富山ではかつてブリ漁に使われていた木造の漁船、山梨では武田信玄の甲冑、熊本では熊本城の模型などなど
地元の方にも親しんでいただけるよう、
そして他県の方には、その土地まで足を運んだ思い出になるよう工夫を凝らしています。


今回展示しているたぬきの置物は、現在放映中の朝ドラ「スカーレット」でも注目を集めている滋賀県の信楽が発祥の地です。
信楽で作られる焼き物は「信楽焼(しがらきやき)」と呼ばれ、日本六古窯(にほんろっこよう)の一つに数えられます。

今回は、この「信楽焼のたぬきの置物」にスポットライトを当て、
意外と知られていない制作背景をご紹介したいと思います。


この信楽焼のたぬきの置物、
始まりは、明治から昭和にかけて生きた、ある男性の不思議な体験からきていると言われています。
京都清水焼の窯元出身の藤原銕造(ふじわらてつぞう)は、ある月夜の晩、ぽこぽこと腹鼓に興じるたぬきを見ました。
その珍しい姿に魅せられた銕造は、なんとかその姿を焼き物で再現しようと、自分で小狸を飼って観察し、置物を作り始めました。 
その後、大きな焼き物を得意とする信楽に移り住み、信楽の特性を活かした等身大のタヌキを次々と作ったそうです。
あまりに夢のような話のため、作り話ではとも言われていますが、
信楽焼を扱う方々にとっては身近なエピソードとして語り継がれています。

たぬきの置物の愛らしい姿は評判を呼び、次第に信楽の名物として定着していきました。
いつの頃からか定番になったその姿には、
縁起の良い8つの特徴があると言われています。

笠     悪事災難から、身を守る準備を
顔     お互いに愛想よく
目     周囲を見渡し正しい判断を
お腹    冷静さと大胆さを持ち合わせよう
通い帳   世渡り上手は信用が第一
徳利    仁徳をみにつけよう
金袋    金運を身に着けよう
しっぽ   終わり良ければすべてよし

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 縁起をかつぐその姿には一つ一つ意味があったんですね。

今回の展示にあたって滋賀県について調べ、
私も「信楽焼のたぬきの置物」について改めて知ることができました。
銕造ほどではないかもしれませんが、調べるほどに私もたぬきの魅力に取りつかれてしまい、
道で見かけると「あ、たぬきだ。」とつい言ってしまうほどになりました。
「デザインあ」に携わっていると、こういった身の回りにあるものについて考え直す機会が多く、
知っているものなのに、
こんな意味があったんだ!
こんな風に作られていたんだ!
と日々新しい発見があります。

デッサンモチーフの「信楽焼のたぬきの置物」は会期終了の2月11日まで展示予定です。
とても愛らしいたぬきの置物が皆さんをお待ちしていますので、
ぜひ実物を目で見て、描いてみてください。

デザインあ展 in SHIGA
会場  佐川美術館(滋賀県守山市)
会期  2019年12月14日 –  2020年2月11日
https://www.design-ah-exhibition.jp/