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制作スタッフによる現場日誌

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作り方がインターフェイス

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こんにちは、「かたち」のコーナーを担当している細金卓矢です。
番組でまだご覧になったことがない方のために簡単に説明すると、あらゆるものにサーフェイサーというグレーのスプレーを吹き付け、色や質感を均一にしたものをライティングを変えながら撮影することで物の形だけをよく見てみよう、というコーナーです。

子供のころプラモデルを作っていて、塗装する際に下地としてサーフェイサーというものを塗るという知識を得ました。
しかし、その当時から「本番の塗装がされた状態より下地のグレーのさらさらした感じのほうがかっこいいよなぁ」と思っていました。
現実の車などはツルツル、テカテカしているものがほとんどなので、そこから光沢を奪われた姿が異様で印象に残ったのだと思います。

その後、3DCGソフトを触るようになると、テクスチャという質感を決めるデータを指定するまえの状態がサーフェイサーを吹いたプラモデルにそっくりということに気づきました。ソフト上で形を作っていく上で最も形を把握しやすく、「質感がまだないことを表す質感」として灰色のマットな質感が適切だと多くのCGソフトの設計者に考えられているのだと思います。
こうした発見からいろんな物をサーフェイサーを吹いてひたすら撮る、というミュージックビデオを考え、制作しました。そのミュージックビデオを作っている間に物たちの形についての発見がたくさんあったため、

「これは『デザインあ』でもアプローチを変えれば、物を観察する上でよい手法になる」と考えて、「かたち」のコーナーが生まれました。
そのミュージックビデオはいろんな物を一度に登場させ、配置の仕方や光の当て方で構図の美しさを見せていく、というコンセプトでした。カメラも固定で動きません。
一方で「かたち」のコーナーは被写体となる物はひとつに絞り、カメラも動いていきます。いろんな角度からひとつの物を徹底的に観察するというアプローチです。ものの形によりフォーカスするために色も基本的に排しています。

この手法を説明をせずに見た人からは「CGじゃないの?」と、実写であることに気づかない人がたくさんいます。CGではない、ということを教えたうえで「CGでいいんじゃないの?」という意見もありました。

確かに「CGの見た目のように現実の物体を撮る」という目的からすると理屈の上ではCGでも同じものを作ることは可能だと思います。CGであれば塗料の塗りムラやホコリ、ライトを置けない位置(カメラから映ってしまうため)に悩まされることもありません。
しかし、個人的には現実世界で撮ることが一番良いものが(現段階では)できると考えています。

最も大きな理由は、現実世界ほど使いやすい操作方法、干渉方法(インターフェイス)がまだCGソフトにはないからです。
コンピューターでの調整は光の強さや角度、物の置き方、それぞれを同時に調整することは基本的に出来ません。
現実世界であれば、複数人の手で同時に調整することも出来ますし、それによって膨大なパラメーターの組み合わせをリアルタイムに試しているとも言えます。
また、それぞれのパラメーターの専門家が同時に良いパラメーターを探るというプロセスが良いフィードバックを与え、あたらしい見方を与えてくれると感じました。
実写で撮ることは様々な制約に悩まされることでもありますが、ある側面においては「未来のCGソフト」を触っている感覚があって、とても楽しいものです。

 

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