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制作スタッフによる現場日誌

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「かたち」撮影解説ミニレポート!

前回の細金さんの投稿ご覧になりましたか。驚きですよね。「かたち」のコーナーはCGではないのですよ。
え、「かたち」コーナーを見たことない?そんなあなたはぜひEテレの2/23とBSプレミアムで2/28放送される、
「かたち」一挙7本放送スペシャルをご覧くださいね。
(その後も「かたち」のコーナーは度々放送されますのでお楽しみに) 

私はいつも「かたち」コーナーの撮影をしている者でして、その他に、「解散!」や「ポスターフライト」等の撮影もしています。
ですので今回は、撮影スタッフの目線から、みなさまにこのブログだけのメイキング写真をご覧に入れつつ、
どのように「かたち」コーナーが撮影されているのかをご紹介します。

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上の①の写真は「ライト」の回のメイキング写真です。
ライトのまわりに照明機材がたくさんセッティングされていますね。そして、②が実際放送に使用される、カメラで撮影した写真です。
ライトスタンドだけど見方を変えると工事現場の巨大クレーンにもみえますよね。撮影するにあたって、まず細金さんと一緒に、面白い形を探します。
顔に見えたり、行ったこともない惑星の地形に見えたり・・・。日常で見慣れている、ありふれた物でも、見方を変えると今まで気づかなかった面白い表情を持っている事に気づきます。

カメラで撮影するアングルが決まったら、このオブジェにたくさんのライトを当てます。それもただあてるのではなく、
このコーナーの音楽にあうような光のあたり方を探すのです。たとえば、低音のドスっというような音だったら下から当てたり、バーンと、広がるような音なら広い範囲にあてたり、固そうなカリカリっとした音だったらモノの輪郭だけにあたる細かい光にしてみたり。多い時で9種類ものあたりかたを探さなければいけないのでアイディアが尽きて時々途方にくれますが、苦労した末、音にはまるカッコいい当て方を発見すると並々ならぬ達成感を得て興奮します。周りから見ると遊んでいるようにみえるかもしれませんが、とても真剣です。

 セッティングされた照明はアプリケーションのプログラムに従って音楽に合わせて光出したり消えたりするようにコントロールされます。③の写真を見てください。音ゲー(音楽ゲーム)のトラックのように、照明が光るべきタイミングがプログラムされています。画面上のグラデーションが照明の明るさを現しており、一つの区切れが1/30秒の絵になります。驚きだと思いますが、実はカメラの動きも照明も、1秒を30コマに分割し、コマ撮りアニメーションのように一コマずつ静止させて撮影しています。(もちろんカメラの動きもコマ撮りです。)いわゆるムービーとして撮影している動画ではないのですよ。30回精密に、だんだん明るくしたり調整することで音楽に連動してぴったり合うのですよ。

いかがでしたか?少し難しかったかもしれませんが、これを読んで「かたち」のコーナーを再び見ると、また見方が変わってくるかもしれませんね。このコーナーをみて一緒にワクワクしてくれる人がいたらとても嬉しいことです。

 

「解散!」コーナー 真俯瞰(まふかん)のはなし

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 「解散!」コーナーの最後に、物のすべてのパーツが整列しているカットがありますよね。撮影スタジオではそのカットを「整列カット」と呼んでいます。上の画像①は、「布団と枕」の整列のカットを撮影している場面で、②はその時撮れた画像です。
 真っすぐ上から見下ろしたアングルを真俯瞰(まふかん)と、撮影の仕事では呼びます。解散でいろんなものを真俯瞰で撮影したのですが、当然のことながら、物のサイズは大小様々なので、同じ俯瞰でもカメラを上げる高さが全然違うんですよ。「ふとん、まくら」は、スタジオの中で撮影した物のなかでは特に面積が広かった物のひとつです。だから、カメラもものすごく高く上がらなくてはいけません。それが①の画像です。比較のために逆にものすごく小さい方の画像を載せますと③がお茶漬けのもとです。撮影中の写真は見当たらなかったんですけど、このセッティングはモノにがっつり寄って撮影しています。

 実際にはサイズが全くかけ離れた物ばかりなのに、高い所でセッティングする場合の労力もかなり違うのに、撮影してしまえばTVモニターの四角の中に、同じサイズできちんと収まって、すべてが平等なモノのように見えてくるから不思議です。

 時には小さい物でも特徴や形の意味を観察していくと、とても存在感のある物体だと解ってきます。大きさというのは一つの要素であって、個性を比べる時にはそればかりに気を取られては行けない・・・という気がしてきます。

 

 実は明日、10/22土曜の「デザインあ」は、解散スペシャルの再放送です。「デザインあ」玄人のみな様には、最後の真俯瞰にも注目していただき、物によってどれくらい撮影する広さの差があるのか想像してみても面白いかもしれません。15分間ほぼ、ずっと解散。野外に出て、「布団とまくら」よりも広大な面積を写したあの回も出てきますよ。お楽しみに!

解散の裏側とフレームの外側のはなし

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私は「解散!」の撮影を担当していますので今日は撮影側からのお話。
「解散!」の撮影で一番に気に入っているのは#08の「くつ」です。
くつひもを通す穴がある箇所のパーツが外れて、下半身だけの生き物が登場します。(下段右写真)じたばた足踏みしている様子はなかなか愛嬌があって良いです。
 そして、私が作り手側としても気に入っているところがもう一つあります。
それはこの撮影が、ものすごく限られたスペースだったのにもかかわらず、とてもうまく日常の風景を写し撮ることが出来たというところです。
集団的自画自賛です。
上の写真をご覧ください。これ、実はブログ版だけの秘密、「くつ」撮影中の写真ですが、
玄関や廊下のセットがすごく小規模だということがお分かりになるかと思います。
玄関のセットはたったこれだけなのです。(当然、毎回作り込んだ大規模なセットは作れないし、撮影できる場所を探す時間はなかなかないのが理由です)
ただ、制限があるのは決して悪い訳ではありません。いかに工夫を凝らすかが私たちの腕の見せ所です。撮影担当の私たちはこの小規模セットから無理のないアングルを探し出して、そこで靴のアニメートが十分行えるか確認が取れると、今度は照明の番。照明さんがいかにも玄関らしくて、玄関をイメージさせる照明をセットします。
このセットには窓やドアの用意もないのですが、(上段の写真)何か四角に切り取られた光を地面に当てています。これが実際に撮影された写真(下段左下)をみると、何やら窓か、もしくは開いたドアから差し込んだような光が当たっている様に見えるのです。つまり写していない範囲にも玄関がある世界が広がっているように見せているのです。
「解散!」はスペシャル版以外すべて、いつも同じスタジオの中で撮影されています。
家の中やテーブルの上や、さわやかな朝、日が傾いてきた午後等のシチュエーションを作り出しています。うまく、いい角度から撮影出来たり、照明が狙い通りにセッティングできたりすると、カメラが写している範囲は狭いけど、写っていないところもイメージできるものです。見てくれる人の想像力もお借りして、映像の中の世界が出来上がっているとも言えます。うまく行く時は作り手の僕らだけでなく、見てくれる人もそう思ってくれるだろうと、何となく解ります。そういう時に僕は「やったぜ」と思いますし、なにもないスタジオから、一つの世界を創り出せることに魅力を感じているのです。