「つくる」人の性格
2016年07月01日
こんにちは。
「つくる」コーナーを担当している山中有です。
「つくる」は、もののつくられていく様子をおいかけていきますが、毎回人の顔を撮っています。つくっている人の顔っていいですよね。ひたむきに打ち込んでいる表情はみんなかっこいいんです。
昔、マタタビという植物でざるをつくっている職人さんとお話ししたことがありました。
ぼくが、
「一日中、こんな静かなところで作業していて、寂しくなりませんか? だれかと話したくなりませんか?」
とたずねたところ、
「いや寂しくなんかないよ。ずっとマタタビと話をしなくちゃいけないから。ラジオもテレビもつけてたら話ができなくなっちゃう」
と答えてくれました。
職人さんはマタタビの妖精と世間話しているわけじゃなくて、
「今日はワタシ乾いちゃってるわ。ちょっと折れやすいわよ」
とか
「うちの兄弟は頑固者ばかりじゃ。カッチカチじゃ」
といったマタタビの素性の話をしているわけです。
ところで、いろんなところに行っていろんなものをつくる人に出会うわけですが、いつも面白いと思うのは、多くの場合、そのつくるものとつくる人の性格が正反対であることです。
例えば、刃物。
これまで「はさみ」や「かま」などを取材してきました。
どれも硬くて冷たくて鋭くて。
それをつくっている職人さんもつくっているものに影響されて、きっと怖い感じの人かなと勝手に想像するのですが、会ってみると性格は正反対なんですね。
意外とほんわかしていて、やさしくて、ゆったりしている。
例えば、とうふ。
真っ白で、ふわふわやわらかい。
でもそのとうふ屋さんは頑固一徹。曲がったことは大嫌い。
不思議ですね。
人はとても環境に影響を受けやすい生物なので、もしかすると人のほうがものに対してバランスをとるために、性格を変えているのかもしれません。
クリエイターやデザイナーと呼ばれる人もそんなところがあるような気がします。
だから皆さん、身の回りのものをみたら、そのイメージとは反対の性格の人がつくっていると思ってください。けっこう当たりますよ。たまにはずれますが。