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モノの向こう側を想う

「おとなスペシャル」の「デザインの観察」では、使い終わったモノを、資源としてもう一度使う方法=リサイクルを取りあげました。コーナーの最後にOECD加盟国のリサイクル率を示しましたが、日本は25位と決して高くありません。

どうすれば、リサイクル率を向上させることができるのでしょうか?

そのアンサーの一つが、番組で放送した「捨てたあとを考える」デザインの数々。「環境配慮設計」という名前で呼ばれているものの一つです。
番組中で登場したした、素材を統一する・簡単分解できるといった視点で製造された商品のほか、環境に優しい素材を使ったり、だるまのようにリサイクル素材を用いてものづくりをする、などといった観点から商品を設計します。ゴミを捨てる段階ではなく、生産の段階からゴミになったときを想像してアプローチをすることで、リサイクル不可=焼却処理・埋立となるモノを減らす。モノの循環そのものをデザインすることの重要性を伝えたいと思い、構成に組み込みました。

recycle.jpg


製品の評価のしかたにもこれまでとは異なる視点が入ってきています。「性能」と同じぐらい高い水準で、「ライフサイクルアセスメント」が重要視されています。

一つの商品を、原材料の調達から、生産・流通・使用・廃棄に至るまで、モノのライフサイクルを、「どんな原料を使うか」「環境への影響はどうか」「労働力の搾取はないか」といった視点から評価をする手法です。製品がどのような経緯を辿って店頭に並んでいるのかを、大々的に公表している企業も出てきています。
ライフサイクルの視点を持って消費を行うことが、広くは社会貢献につながることを指し、最近は「エシカル(=倫理的な)消費」と言う言葉なんかもあったりします。

モノは、私達の手を離れたら、「資源」になります。私たちは、そのモノを所有する一時的な権利をお金を使って行使しているに過ぎません。
使い終えたモノは再び社会へと還元する必要があります。たとえば、家に眠っている昔の携帯などには、無数のレアメタルが眠っています。現在は母数があまりに少なく、採算が取れないためリサイクルの対象になっていませんが、一人ひとりが意識を変えることで、リサイクルの土俵に乗ります。レアメタルを自国で生産できるようになると、アフリカやインド、中国などで行われている、劣悪環境下での採掘や、基盤解体に割かれる児童労働を削減することにつながると考えられています。

生産者と消費者が、お互いにほんの少し、モノの向こう側を想像する。これだけで、リサイクル率はぐいっと上がると言われます。

取材を通じて、私は普段の生活態度がすっかり変わってしまいました。


ディレクター 池田拓郎

 「デザインあ おとなスペシャル」
再放送 2018年1月6日(土)前0:30~ *5(金)深夜
Eテレ