※NHKサイトを離れます。

あブログ

制作スタッフによる現場日誌

赤い人について私が知っている二、三の事柄

今回の「うごきのデザイン」は「自動改札」です。

台本をつくるにあたり、早朝の駅の風景を思い浮かべていたら「牛乳とあんぱん」で、
頭の中がいっぱいになりました。

右手に「牛乳」。
左手に「あんぱん」。
向かうは世間という名の大海原。

進め赤い人。
負けるな赤い人。
閃きまでもう一息だ。

 

 

FONT BAR

例えばウイスキーバーでウイスキーを注文する時、スコッチ、アイリッシュ、ジャパニーズなど、ざっくりとしたジャンル分けは何となく分かりますが、仔細に見ていくと、素人にはなかなか違いが分かりません。
フォントの場合、明朝体、ゴシック体など、ざっくりとした書体のジャンルは理解していても、さらに似たようなフォントの微差の領域に話が及ぶと、どれも同じに見えてしまいます。

お酒の場合、「マスター」がいることで、お酒がよりいっそうおいしくなることがあります。
卓越した知識と話術で、繊細な味の違いを解説し、頼んだ客が、自分のイメージにぴったりのお酒だと感じることができるからです。
フォントはお酒ではありませんが、微差を楽しむ、という点では共通しています。どこか嗜好品に近い、マニア心をくすぐる何かがあるのかも知れません。日常の仕事や友達にメールを送るような場面で、自分の気分や伝えたい気持ち、内容に応じてフォントを使い分けられたら、とても粋だし、素敵ですよね。

もしも、バーで提供するのがお酒でなくフォントだったら。マスターが超フォントに詳しかったら。そんな妄想の果てに実現したのが「FONT BAR」の世界観です。抽象的なSF空間は、アニメを作ったミズヒロさんの素晴らしいアイデアによるものです。

また、フォントの取材にあたっては、両見英世さんはじめ、タイプフェイスデザイナーの方々に大変お世話になりました。実ははじめ、「初恋の味」を明朝体で表現する、というお題を設定していたのですが、「游明朝は学級委員長」「筑紫明朝は芸術肌」「石井オールド明朝はタートルネックがよく似合う」などなど、私の想像をはるかに超える濃密なフォントークを繰り広げていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。

最後に、NHKには、「NHK明朝」と「NHKゴシック」なるものが存在します。あまり私も使用したことがありませんが、もし見つけたら密かに萌えていただければと思います。
 

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ディレクター 池田拓郎

Eテレ「デザインあ おとなスペシャル」
再放送 2018年1月6日(土)前0:30~*5日深夜 

 

モノの向こう側を想う

「おとなスペシャル」の「デザインの観察」では、使い終わったモノを、資源としてもう一度使う方法=リサイクルを取りあげました。コーナーの最後にOECD加盟国のリサイクル率を示しましたが、日本は25位と決して高くありません。

どうすれば、リサイクル率を向上させることができるのでしょうか?

そのアンサーの一つが、番組で放送した「捨てたあとを考える」デザインの数々。「環境配慮設計」という名前で呼ばれているものの一つです。
番組中で登場したした、素材を統一する・簡単分解できるといった視点で製造された商品のほか、環境に優しい素材を使ったり、だるまのようにリサイクル素材を用いてものづくりをする、などといった観点から商品を設計します。ゴミを捨てる段階ではなく、生産の段階からゴミになったときを想像してアプローチをすることで、リサイクル不可=焼却処理・埋立となるモノを減らす。モノの循環そのものをデザインすることの重要性を伝えたいと思い、構成に組み込みました。

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製品の評価のしかたにもこれまでとは異なる視点が入ってきています。「性能」と同じぐらい高い水準で、「ライフサイクルアセスメント」が重要視されています。

一つの商品を、原材料の調達から、生産・流通・使用・廃棄に至るまで、モノのライフサイクルを、「どんな原料を使うか」「環境への影響はどうか」「労働力の搾取はないか」といった視点から評価をする手法です。製品がどのような経緯を辿って店頭に並んでいるのかを、大々的に公表している企業も出てきています。
ライフサイクルの視点を持って消費を行うことが、広くは社会貢献につながることを指し、最近は「エシカル(=倫理的な)消費」と言う言葉なんかもあったりします。

モノは、私達の手を離れたら、「資源」になります。私たちは、そのモノを所有する一時的な権利をお金を使って行使しているに過ぎません。
使い終えたモノは再び社会へと還元する必要があります。たとえば、家に眠っている昔の携帯などには、無数のレアメタルが眠っています。現在は母数があまりに少なく、採算が取れないためリサイクルの対象になっていませんが、一人ひとりが意識を変えることで、リサイクルの土俵に乗ります。レアメタルを自国で生産できるようになると、アフリカやインド、中国などで行われている、劣悪環境下での採掘や、基盤解体に割かれる児童労働を削減することにつながると考えられています。

生産者と消費者が、お互いにほんの少し、モノの向こう側を想像する。これだけで、リサイクル率はぐいっと上がると言われます。

取材を通じて、私は普段の生活態度がすっかり変わってしまいました。


ディレクター 池田拓郎

 「デザインあ おとなスペシャル」
再放送 2018年1月6日(土)前0:30~ *5(金)深夜
Eテレ

 

おとなスペシャル放送に寄せて

《君は見ているが、観察していない》

ご存知の方も多いかもしれませんが,
シャーロックホームズがワトソンに放つ有名なセリフです(「ボヘミアの醜聞」)。
幼い頃に読んだ本ですが、
大人になったいまも、このセリフをよく思い出します。
当然ながら“見ること”と“観察すること”では、得られる情報量と、
考察の深さが全く違いますよね。

ディレクターを担当した荒木です。
今回のおとなスペシャルは、
朝 起きてから眠りにつくまで、おとなの日常にある“当たり前”を
深く“観察”し直すことからスタートしました。

 例えば、文字(フォント)。
今 こうして入力しているパソコンの1文字1文字は、
デザイナーが100分の1mmまで考え抜いたデザインです。
“美しさ”と“読みやすさ”のせめぎ合いを繰り返しながら、
日々 新フォントの開発が続けられています。
写真はその文字を扱ったコーナー「FONT BAR」。
3つの「清」、どこがどう違うか分かりますか?(構成:池田拓郎 / Animator:ミズヒロ)

 

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続いては消費税について。
店で支払いを済ませた後、いつもはすぐに捨ててしまうレシートを、
“観察”してみると、思わぬ発見が…。

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この“消費税 等”の“等”ってなんでしょう?番組では、
この“等”を視覚化したコーナー「解散!」も放送されます。(Creator:岡崎智弘)

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アプローチの1つとして、勝手知ったる街を他者の目線(になったつもり)で
観察し直してみました。例えば、赤ちゃん連れ、外国人観光客、救急患者…
すると、知っているはずの街の、知らなかった姿が浮かび上がります。
下記の写真はそのコーナー「都市のレイヤー」の1シーンで、主に観光客が利用する
あるものの分布です。場所は新宿。この黄緑のアイコン、何を表していると思いますか?
念のため「ホテル」ではありません…。(Creator:大西景太)

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ひょっとすると、
世の中を観察する興味は、
子供の頃の方が強かったという方が多いかもしれません。
わたしもそうなんですが、毎日が新しい事の連続で、好奇心も強く、
センス オブ ワンダー(不思議な感動)に満ちていました。
大人になった今、あの特別な感覚を取り戻すのはとても難しいことですが、
この番組の制作中は、確かに、
あの頃と同じような ワクワクする日々を過ごしていました。

「観察って面白い(そして果てしない)!」

 皆さまにも“大人の日常に潜むワクワク”を楽しんで頂けたら幸いです。

 

デザインあ おとなスペシャル
1月3日 午後9:25~9:45(再)
1月6日 午前0:30~0:50(再)※5日深夜

ご紹介した以外に、レギュラー版でも活躍しているクリエーター、
平本宗一郎、柴田大平、Plaplax、山中有 等のいつも以上に個性的で、
オトナな作品がお楽しみ頂けます。

 

 

不思議な写真。

 

imura1.jpgのサムネイル画像

街はもう冬の装い、あっという間に年末を迎えます。
「今年も早かったなぁ」、「まだ、やることがあったのに」など思っている方もいることでしょう。
そんなことはちょっと忘れて、このような不思議な写真を撮ってみませんか?
特に、今の時期はクリスマスに向けてきれいなイルミネーションが街中に広がっています。 

「この写真、なんだこれ~」と思って方に教えましょう。
まず、マニュアル機能(Mのマーク)がついているデジタルカメラを用意しましょう。
スマートフォンをお持ちの方は長時間露光ができるアプリがありますので、そちらを利用するのも良いでしょう。
シャッタースピードを2秒、3秒と設定してください。
絞りはf8、f11などと絞り目に設定します。
なぜかというと、イルミネーションのようなあかりの光源は明るく映ってしまします。
白っぽく映り、色が出てこない。
準備が出来たら、いよいよ撮影です。もちろん夜です。
シャッターボタンを押しながら、ここが大切。
くるくる回しながら、自分が思った写真になるように設定を変えながら撮影しましょう。

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信号機、自動車、街灯、ビルのあかり、または、デジタル時計やテレビの赤や緑の小さなランプ、周りを探せばいろいろな“あかり”を“観察”することができます。

さあ、カメラを持って思うように“デザイン”してはいかが。(笑)

 

ポストの中は企業秘密

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今回の「デザインの見学」はテーマが郵便。
東京都内の郵便局をたくさん見学して、ポストも30種類以上探して回りました。

1号丸型と呼ばれる懐かしい丸型ポストからカラフルなポストや巨大なポスト、日本一高い位置にあるポストまで。

 いろんなポストを見ているうちに、ハガキを投函したくなり、郵便局でハガキを買いました。年賀状以外のハガキを買うのはとても久しぶり。10年以上買った記憶がない。

 「官製ハガキ」下さい。と言ったら「通常ハガキですね」と言われた。

 「あ、官製ではないのか…」

 

くりかえし

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こんにちは、「くりかえし」のコーナーを担当しています、
plaplaxです。


突然ですが、わたしが子供のころ、
「あなたは、だんだん眠くなーる」
と言いながら、紐を通した5円玉を相手の目の前で右・左・右・左・・と振って、、
という催眠術まがいのあそびが流行りました。
当時の私は、紐を振るスピードを段階的に試したり、紐の色を変えてみたり、
「だんだん眠くなーる」の言い方をアレンジしてみたり、
とにかく、この術をマスターするべく躍起になっていました。


コーナー「くりかえし」では、その名の通り、
同じ動きのくりかえしで出来ているモノのカタチを紹介しています。
これまでに、放送したのは、フェンス、瓦、ザルなど。
くりかえす<カタチ>をシンプルなアニメーションでお見せしながら、
ナレーションでは、基本の動作を平坦な口調で呪文のようにくりかえす、
「あなたは、だんだん見えてくーる」というコーナーです。


同じ文字を何度も書いているうちに、自分が何をかいているのかよくわからなくなる、
いわゆる「ゲシュタルト崩壊」。
ひとまとまりに見えていたものが、繋がりを失って、それぞれバラバラに見えてくるというものですが、
このコーナーは、全体がいったん崩壊した状態で、スタートします。

一旦バラバラにした、くりかえしの単位を
もう一度ゆっくり組み立て直しながら、モノの形を改めてじっくり見ていきます。

例えば、くりかえし方の工夫。
組み方、ずらし方、重ね方、繋げ方、間隔の取り方、
色の組み合わせや、くりかえすための形、などなど、、
くりかえしが増えていく過程で、
単純な最初のひとつの動きからは想像できなかったような、全体が立ち上がってきます。

普段見慣れていた、表面の様子や模様などの印象、手触り、使い心地だったり、機能そのものだったりが、
くりかえしのリズムとして、聞こえてくるようです。


そんなことを、考えながら、
アニメーションの動きや、背景の色を調整したり、
ナレーションの間合いを決めて。。
ああ、五円玉催眠に夢中になっていた、あの頃と同じ試行錯誤だなぁと思いながら、
目下、次回作を制作中です。

 

5分版のテーマって?

平日の朝7時25分から放送されている、「デザインあ5分版」。
オープニングでは、みなさんの身の回りにある色や形をテーマをかかげて、そのテーマに沿った4つのモノを見せています。 

このオープニング制作では、まずテーマになる「みんなの身のまわりある色や形」について、どのようなものがあるのかを考えます。
次にテーマに沿った4つのアイテム探し。
たとえば、「あか」。
赤いモノってなにがあるんだろう?
赤ってなにに使われているんだろう?
どういう意味があって、赤なんだろう? 

そんな風に考えて、実際に放送に出したものがこちらの4つ。

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赤の食べ物といえば多くの人が思い出す「りんご」。
一瞬で目を引く色として赤が使われている「止まれ」の交通標識。
人間にとって大切な血の色で、血色がよく見えるようにと使われる「赤い口紅」。
昔から赤は魔除けに使われていたことから、「赤べこ」は赤になったのだとか。(諸説あり) 

「赤いもの・・赤いもの・・」と探せばたくさんあるけれど、1つ1つその色や形の意味を調べると、知っているようで知らないものばかり。
「どうして赤いの?」と子供の頃に疑問に思っていたことを、いつの間にか “そういうものだから” で済ませてしまうようになっていた今の自分に、はっとすることがあります。
当たり前に思っているものでも、そこには意味があります。
全ての意味を知るのは大変ですが、ふと気になったことは調べてみると、ちょっぴり成長した気になるものです。

 

 

思ってたんとちがう

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思ってたんとちがう、が今年から再開しました。
久しぶりにこのコーナーのことを考えていると、ふと昔のことを思い出しました。 

子供のころ、三人兄弟の末っ子だった僕は、兄たちにしばしば冗談でウソを教え込まれていたことがありました。
そのウソの内容は別段大したことではないのですが、小さかった僕はすっかり信じ込んでしまい、しばらく経ってそれがウソだったと知らされるようなことが何度かありました。

 昔の人が、水平線の向こうは崖になっていて海が滝のように流れ落ちていると、太陽が地球の周りを回っていると信じ込んでいたように、兄のついたウソは僕にとってしばらくのあいだ真実でした。そして新しく知った真実は、以前の自分にとっては“思ってたんとちがう”ものでした。
夜空に浮かぶ月はどこまでも自分の後を付いてくると思っていたし、星たちは空の中で輝いていると思っていました。

知識や経験が増えてくるに従って、今この瞬間、自分の目で見て、耳で聞いて、直接体で感じた情報に対して、無意識に頭の中で色々な意味を結び付けるようになってしまいます。純粋無垢な子供のように、感じたことを素直にそのまま受け取るのが難しくなってしまいます。

「思ってたんとちがう」では、一般的に想像されるであろう因果を裏切るようなことが、しばしば起こります。子供を対象にしつつも、こう来ればこういう結果を期待するだろう、という観る側の知識と経験を前提としています。

僕がこのコーナーのアイデアを練るときも、闇雲に直感や閃きを頼りにするのではなく、知識や経験をもとに僕の中である程度体系化したルールやプロセスに習って考えますが、そんな手法に頼るよりも、兄のウソを信じていたころの無垢な眼差しで再びこの世界を見ることができたらなぁ、、とそんなことを思う今日この頃です。

 

 

どうにか間に合わせること

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最近の世の中はとても便利になりました。
あっちもこっちもコンビニ、100均。
しかし!
どんなに便利な世の中でも、やっぱり出てくる困った状況…。
みなさんも経験ありませんか? 

例えば
あなたはピクニックにでかけました。
レジャーシートを敷いてさあ楽しいお弁当、というまさにその時に突風が!
あなたならシートが飛ばされないように何を置きますか?
くつ?
ペットボトル?
それとも自分が端っこ座っちゃう? 

最近の私の場合は
打ち合わせに行く時間ギリギリにノートパソコンのカバーが見当たらず、とても困りました。 

日常生活する中で、私たちはよくそういった困った状況に見舞われます。
ところが、意外と私たちはその場をどうにかこうにかうまく切り抜けています。
どうやって切り抜けているかというと、
うまく間に合う形、重さ、大きさなど、必要十分な機能をフル回転で吟味して、実行してるんですよね。
(そしてそれが成功したとき、ちょっとした喜びにもなります。私は超嬉しいです。) 

そう思うと、私たちはものの機能やデザインについて、わりとちょくちょく考えながら生きているようです。普段何気なくやっている、どうにかこうにか切り抜けることは、デザインを知る上で実はとても重要なのですね。

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さて
間に合わせる、というコーナーでは
キャストに照英さんをお迎えし、
さまざまな困った状況から、間に合わせでうまく切り抜けていただきました。 


間に合わせるための機能をよりわかりやすく見せるために、
成功アイテムと失敗アイテムを用意しています。
「しおり」の回では、成功アイテムはペンやレシートなど 失敗アイテムはりんごでした。
失敗アイテムは一瞬で無理そうだなと思えるものが多いです。

 多分照英さんも、これはどうよ?と思いながらやってくださっていたのでしょう。
失敗シーンは自然と「だよな。。」と言葉が漏れていました。
でもそれがとても自然でよく、成功したときの喜び方も非常に気持ちよく
日常の一コマという自然な設定と、不自然な状況を明るくきれいにつなげてくださいました。 

そんな照英さんが奮闘するこのコーナー、
普段の自分の困った、を思いうかべながら見ていただけると面白いですよ。


さて、先ほどの私の困った体験で
ノートパソコンのカバーが見当たらず困った私はどうしたかというと
急いでいたので枕カバー(洗濯済み)に入れていこうとしたら相方に見つかり止められました。
これは、場にそぐわないということで失敗例ですね。難しい。