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あブログ

制作スタッフによる現場日誌

5分版のテーマって?

平日の朝7時25分から放送されている、「デザインあ5分版」。
オープニングでは、みなさんの身の回りにある色や形をテーマをかかげて、そのテーマに沿った4つのモノを見せています。 

このオープニング制作では、まずテーマになる「みんなの身のまわりある色や形」について、どのようなものがあるのかを考えます。
次にテーマに沿った4つのアイテム探し。
たとえば、「あか」。
赤いモノってなにがあるんだろう?
赤ってなにに使われているんだろう?
どういう意味があって、赤なんだろう? 

そんな風に考えて、実際に放送に出したものがこちらの4つ。

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赤の食べ物といえば多くの人が思い出す「りんご」。
一瞬で目を引く色として赤が使われている「止まれ」の交通標識。
人間にとって大切な血の色で、血色がよく見えるようにと使われる「赤い口紅」。
昔から赤は魔除けに使われていたことから、「赤べこ」は赤になったのだとか。(諸説あり) 

「赤いもの・・赤いもの・・」と探せばたくさんあるけれど、1つ1つその色や形の意味を調べると、知っているようで知らないものばかり。
「どうして赤いの?」と子供の頃に疑問に思っていたことを、いつの間にか “そういうものだから” で済ませてしまうようになっていた今の自分に、はっとすることがあります。
当たり前に思っているものでも、そこには意味があります。
全ての意味を知るのは大変ですが、ふと気になったことは調べてみると、ちょっぴり成長した気になるものです。

 

 

思ってたんとちがう

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思ってたんとちがう、が今年から再開しました。
久しぶりにこのコーナーのことを考えていると、ふと昔のことを思い出しました。 

子供のころ、三人兄弟の末っ子だった僕は、兄たちにしばしば冗談でウソを教え込まれていたことがありました。
そのウソの内容は別段大したことではないのですが、小さかった僕はすっかり信じ込んでしまい、しばらく経ってそれがウソだったと知らされるようなことが何度かありました。

 昔の人が、水平線の向こうは崖になっていて海が滝のように流れ落ちていると、太陽が地球の周りを回っていると信じ込んでいたように、兄のついたウソは僕にとってしばらくのあいだ真実でした。そして新しく知った真実は、以前の自分にとっては“思ってたんとちがう”ものでした。
夜空に浮かぶ月はどこまでも自分の後を付いてくると思っていたし、星たちは空の中で輝いていると思っていました。

知識や経験が増えてくるに従って、今この瞬間、自分の目で見て、耳で聞いて、直接体で感じた情報に対して、無意識に頭の中で色々な意味を結び付けるようになってしまいます。純粋無垢な子供のように、感じたことを素直にそのまま受け取るのが難しくなってしまいます。

「思ってたんとちがう」では、一般的に想像されるであろう因果を裏切るようなことが、しばしば起こります。子供を対象にしつつも、こう来ればこういう結果を期待するだろう、という観る側の知識と経験を前提としています。

僕がこのコーナーのアイデアを練るときも、闇雲に直感や閃きを頼りにするのではなく、知識や経験をもとに僕の中である程度体系化したルールやプロセスに習って考えますが、そんな手法に頼るよりも、兄のウソを信じていたころの無垢な眼差しで再びこの世界を見ることができたらなぁ、、とそんなことを思う今日この頃です。

 

 

どうにか間に合わせること

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最近の世の中はとても便利になりました。
あっちもこっちもコンビニ、100均。
しかし!
どんなに便利な世の中でも、やっぱり出てくる困った状況…。
みなさんも経験ありませんか? 

例えば
あなたはピクニックにでかけました。
レジャーシートを敷いてさあ楽しいお弁当、というまさにその時に突風が!
あなたならシートが飛ばされないように何を置きますか?
くつ?
ペットボトル?
それとも自分が端っこ座っちゃう? 

最近の私の場合は
打ち合わせに行く時間ギリギリにノートパソコンのカバーが見当たらず、とても困りました。 

日常生活する中で、私たちはよくそういった困った状況に見舞われます。
ところが、意外と私たちはその場をどうにかこうにかうまく切り抜けています。
どうやって切り抜けているかというと、
うまく間に合う形、重さ、大きさなど、必要十分な機能をフル回転で吟味して、実行してるんですよね。
(そしてそれが成功したとき、ちょっとした喜びにもなります。私は超嬉しいです。) 

そう思うと、私たちはものの機能やデザインについて、わりとちょくちょく考えながら生きているようです。普段何気なくやっている、どうにかこうにか切り抜けることは、デザインを知る上で実はとても重要なのですね。

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さて
間に合わせる、というコーナーでは
キャストに照英さんをお迎えし、
さまざまな困った状況から、間に合わせでうまく切り抜けていただきました。 


間に合わせるための機能をよりわかりやすく見せるために、
成功アイテムと失敗アイテムを用意しています。
「しおり」の回では、成功アイテムはペンやレシートなど 失敗アイテムはりんごでした。
失敗アイテムは一瞬で無理そうだなと思えるものが多いです。

 多分照英さんも、これはどうよ?と思いながらやってくださっていたのでしょう。
失敗シーンは自然と「だよな。。」と言葉が漏れていました。
でもそれがとても自然でよく、成功したときの喜び方も非常に気持ちよく
日常の一コマという自然な設定と、不自然な状況を明るくきれいにつなげてくださいました。 

そんな照英さんが奮闘するこのコーナー、
普段の自分の困った、を思いうかべながら見ていただけると面白いですよ。


さて、先ほどの私の困った体験で
ノートパソコンのカバーが見当たらず困った私はどうしたかというと
急いでいたので枕カバー(洗濯済み)に入れていこうとしたら相方に見つかり止められました。
これは、場にそぐわないということで失敗例ですね。難しい。

 

祝! もんスペシャル放送に寄せて

「もん」コーナーを演出している荒木です。

毎回このコーナーは、
“にっぽんに古くから伝わる、もん。“というナレーションで始まります。 

もん。
わたしはこの言葉の響きが気にいっています。
“紋”ではなく“もん”。
平仮名にして読んだ方がリズムを感じるんです。
それに、漢字より可憐で愛らしい感じがしませんか?
そう思って、ナレーターの渡辺篤史さんに読んでいただく原稿には、
必ず“もん”と表記してお渡ししています。
渡辺さんの声は、なんとも魅惑的なバリトンです。
紋という気品溢れるデザインに寄り添いながら、
愛着も感じられるように“もん”と読んで頂いています。 

さてきょうは、番組ではお伝えできない紋の美しさをご紹介します。
作図途中の姿です。

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これは 今制作中のある紋(ヒントは 鳥)の作図ですが、
円が幾何学的に、リズミカルに交わっている様子はそれだけで美しい作品です。
番組では、どの円のどの部分が使われて紋になっているのか“細部”を紹介しているので、
作図の全容までは中々お見せできないんです。
こちらも、ある紋を描く途中の様子です。

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わたしには 紋 が楽しく遊んでいるようにも見えてきます。

円と線で、どんなものでも描き出す紋。
描き方に一定の基準はありますが、
ディテールは絵師のセンスと力量に委ねられています。
菊なら菊、鶴なら鶴、でも全部同じカタチではないんです。
番組でお世話になっている絵師・波戸場承龍さんは、
ときどきこんな風に呟きます。
「それは、俺のカタチじゃない…」
紋帳(たくさん紋が掲載された事典)の中から選んで図案を決めていますが、
そこに描かれているのは標準的な目安に過ぎません。
葉や花びらの可憐さ、鳥の目の優しさ、広げた翼の躍動感…
円の大きさや重ね方を調整してニュアンスを出し、
“承龍菊”、“承龍鶴”を描いているんです。
「俺のカタチじゃない…」という言葉を初めて聞いたとき、
正直とても驚きました。
だって、わたしの周りにある「俺の…」は、家とか、嫁とか、ハンバーグとか…
いや失礼しました。
もちろん分かるんですよ。
作家に自分の文体があるように、
サッカー選手に自分のプレースタイルがあるように、
紋の絵師という名のアーティストに自分のカタチがあるのは当然です。 

にっぽんの至る所にある紋は、
そういう人たちが作っているんです。 

もんスペシャル放送予定
5月13日(土)/5月27日(土) 午前7:00~  NHK Eテレ

5月18日(木)/6月 1日 (木) 午前11:15~ BSプレミアム

15分の番組の内、大半を“もん”で埋め尽くすというスペシャル回です。
ぜひご覧ください。

 

 

 

ぽっかぽかロケ

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今回のデザインの見学は銭湯♨
東京下町に多い宮造りの銭湯を探して“見学”させていただきました。 

下町はさすが人情の街、銭湯の外観などを撮影していると色んな人が話しかけてくる。
「寒いのに大変だね〜」
「俺を映してくれ〜」
「昔の銭湯はな、あーでこーでこーだったんだぞ〜」
などなど。
とても皆さんあたたかい。
あとなぜかドリンクをよくくれる。2日間で5本も頂いたこともあった… 

銭湯の見学はお風呂に入らずとも心がぽっかぽかになる楽しい撮影でした!

 

ちなみに写真の「ぬ」の板は、
「ぬ」+板→「ぬいた」→栓を抜いた→閉店、の意味。
反対は、
「わ」+板→「わいた」→湯が沸いた→開店、です。

 

「デザインの見学 銭湯」 放送予定
2017年5月6日、20日(土) 7:00~7:15 Eテレ
2017年5月11日、25日(木) 11:15~11:30 BSプレミアム 

 

展覧会のお知らせ

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「解散!」コーナー 真俯瞰(まふかん)のはなし

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 「解散!」コーナーの最後に、物のすべてのパーツが整列しているカットがありますよね。撮影スタジオではそのカットを「整列カット」と呼んでいます。上の画像①は、「布団と枕」の整列のカットを撮影している場面で、②はその時撮れた画像です。
 真っすぐ上から見下ろしたアングルを真俯瞰(まふかん)と、撮影の仕事では呼びます。解散でいろんなものを真俯瞰で撮影したのですが、当然のことながら、物のサイズは大小様々なので、同じ俯瞰でもカメラを上げる高さが全然違うんですよ。「ふとん、まくら」は、スタジオの中で撮影した物のなかでは特に面積が広かった物のひとつです。だから、カメラもものすごく高く上がらなくてはいけません。それが①の画像です。比較のために逆にものすごく小さい方の画像を載せますと③がお茶漬けのもとです。撮影中の写真は見当たらなかったんですけど、このセッティングはモノにがっつり寄って撮影しています。

 実際にはサイズが全くかけ離れた物ばかりなのに、高い所でセッティングする場合の労力もかなり違うのに、撮影してしまえばTVモニターの四角の中に、同じサイズできちんと収まって、すべてが平等なモノのように見えてくるから不思議です。

 時には小さい物でも特徴や形の意味を観察していくと、とても存在感のある物体だと解ってきます。大きさというのは一つの要素であって、個性を比べる時にはそればかりに気を取られては行けない・・・という気がしてきます。

 

 実は明日、10/22土曜の「デザインあ」は、解散スペシャルの再放送です。「デザインあ」玄人のみな様には、最後の真俯瞰にも注目していただき、物によってどれくらい撮影する広さの差があるのか想像してみても面白いかもしれません。15分間ほぼ、ずっと解散。野外に出て、「布団とまくら」よりも広大な面積を写したあの回も出てきますよ。お楽しみに!

 

あなたの知らない信号機

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今回の「デザインの見学」は、テーマが信号機。
深いのか浅いのかよくわからないテーマである…。

実際に信号機を製造している会社に取材に行ってみると、実物の大きさや性能に感動。
例えば、普段よくみる車両用信号灯機は最新のもので消費電力わずか10w以下。豆電球と同じくらいという脅威の性能。しかも、12~13年以上LEDが切れない…。

また、街中の信号機をよく見てみると、とても計算された場所、角度で設置されている。
信号を見誤って事故がないようにひさしを長くしたり、ルーバーと呼ばれる正面からしか見えないようにする檻のようなものを取り付けたり、可能な限り事故を防ぐ努力がされていて、なんというか、完成度が高いのだ。
他にも雪がつもらないようにだったり、風で倒れないようにだったり、全国の信号機はとても考えられて設置されている。

全国に20万台以上ある信号機は、年間3000台ほどしか交換されていない。
だけど、1台1台完璧に設置されている。
そしてこれからも。

日本は信号大国だ。

〜青信号 感謝せずには 渡れない〜

 

「みんなのあ」のきもち

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みなさんこんにちは。
今日は毎日番組に届く、「みんなのあ」についてお話したいと思います。 

お送り頂いた「みんなのあ」は毎月佐藤卓さんと中村勇吾さんがすべてに目を通し、選んだ作品をHPに載せています。その中からさらに「これはおもしろい!」とディレクターが取り上げた作品がテレビで放送されるんですね。

毎月平均250~300作品送られてくるのですが、どれもとても素敵な作品ばかり。
それも日本国内だけでなく、海外からも届くことがあります。
ひとつひとつ「時間をかけて描いてくれたんだな~」とか、「このコーナーがお気に入りなのね!」とか。作品から思いが伝わってきます。

中には、お手紙を書いてくださる方もいて、本当に番組制作チームの励みになっています。(作品も手紙も大切に保管しています!)

 こんなに沢山の作品があるのに、同じものはひとつもない。
色鉛筆でかいたり、クレヨンでかいたり、絵の具でかいたり・・。
同じものを見て描いていても、絵に描いたものは全然ちがう雰囲気をもっています。
不思議ですよね、描いている人の味があるんです。
そんな作品を見ていると、「こんな風に見たことなかった!」なんて思うことが沢山あります。
「あ」自体が踊っている人の様に見えたり、自転車のハンドルとタイヤに見えたり・・。
文字や物をしっかり観察しているから、形が似ていることに気がつくのかもしれません。 

「あ」だけではなく、身の回りのものをよーく観察していると、なにか別のものとの共通点を見つけることができるかもしれませんね。
これからもぜひ「あ」が何かに見えたら作品にして、番組に送ってください。
楽しみにお待ちしております!

 

 

 

ぎりぎり

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「ガマンぎりぎりライン」というコーナーについてお話します。
このコーナーは「しきい値」を切り口にして、値の変化によって物事が遷移していくさまをとらえています。

「しきい値」を英語で書くと「threshold」で、スレッショルドと発音します。日常でスレッショルドなんて言葉を発する機会はまず無いと思いますが、僕はこの言葉の音やスペル、そしてこの言葉の持つ意味がなぜかとても好きです。そういう背景もあり、いつの日からか「しきい値」を切り口にした映像を作ってみたいなぁとぼんやり思っていました。

そんなことはさておき、「しきい値」とは、連続する二つの異なる状態Aと状態Bがあって、そのAとBの境目となる値のことです。その値を越えると状態がAからBに変化したり、逆にそれ以下だと効果や反応が現れないようなことを言います。

 例え話ですが、住宅街を歩いていると外をブラブラしていたり、昼寝している猫がいますよね。ちょっと近づくとこっちを凝視して構え、さらに近づきすぎると、そそくさと逃げてしまいます。そういった猫は自分の中に相手を脅威かどうか判断する、自分と他者との距離のパラメータ(値)を持っており、こちらが不用意に近づいてしまってその「しきい値」を越えてしまうと、危険→逃げる、という結果が待っています。

逆に、そんなギリギリのラインを攻めずに「ちょうどいい」パラメータを探れば、変化を抑え安定を維持できる、という見かたもできますね。

そういった視点で日常のいろいろ物事の変化するさまを観察してみると、その変化のきっかけとなる「しきい値」が存在していることに改めて気付くはずです。
みんなも自分オリジナルのスレッショルド、探してみてね!