世相を如実に映し、ときにファッションや流行語、あるいは時代のスターを生み出してきたテレビドラマ。今回はドラマの世界を創造する脚本家3人が主人公。業界で押しも押されもせぬ実力派の3人が一堂に会し、ヒットの要である女性視聴者をつかむ戦略と技術。「設定」「ストーリー」などの発想や情報収集の秘密、さらに予算やキャスティングなどテレビ局の無理難題と向き合う知恵まで、知られざる世界をディープに語り合う。
岡田惠和
中園ミホ
尾崎将也
開始早々、トークの雰囲気を一変させたのが自他共に認める毒舌家の中園。「岡田さんのドラマは視聴率が悪い」「尾崎さんはシャイで寡黙」と舌鋒鋭い中園に対し、岡田・尾崎は苦笑い。しかし、場の雰囲気は一気に和やかに。
そして話題は、脚本の発想術へ。「自腹で飲み会を開いて取材先から本音を引き出し、決めゼリフを発想する」というスタイルを確立させた中園。岡田は逆に、「自分の脳内で練り上げるのが好きで、取材が必要なドラマは書かない」と主張。尾崎は、自筆のドラマ『結婚できない男』を例に、テレビ局の制作スタッフの意見を存分に取り入れることを打ち明けた。こうして、冒頭から三者三様の個性が浮き彫りになった。
通常、脚本家は、制作スタッフと共にプロット(全体のあらすじ)を固めてから、脚本を書き始める。尾崎は、プロットのアイディアをB4サイズの紙に時系列に書くという、独特の執筆法を紹介した。対して岡田は、「プロットは書かない」と、驚きの告白。これに中園も、「プロットを作ると、執筆のスリルとエクスタシーが減る」と賛同した。執筆に詰まった際の対処法についても、詰まった部分を飛ばして先を書き進めるという尾崎と、あくまで詰まった部分の処置に集中する中園・岡田という、対照的な構図が鮮明に。ここで岡田が「ドラマの脚本は、文学的センスと数学的センスが必要だ」と強調。小説とは違い、放送時間という制約がある中で人間ドラマを描くことの難しさを吐露した。
終盤にさしかかり、“朝ドラ”執筆の裏話へ。「ちゅらさん」「おひさま」と2作品を執筆した岡田。一方、来年前期の「梅ちゃん先生」を執筆中という尾崎。両者の間で、“朝ドラ”の捉え方に微妙な違いが表れた。「1話15分、1週間換算では90分。1話90分のドラマと何が違うのか模索中」と、時間的・構造的に捉える尾崎。対して岡田は、「1話1話の積み重ねにより、1人の人間の人生を描くものだ」と、その連続性を主張。1話1話に全力を注ぐさまは、例えるならばダッシュ156本だと、執筆の辛さを打ち明けた。
トークバトルの締めくくりは、「キツいとかイヤだとか言っても、結局は連続ドラマの脚本家になってとても幸せ」という中園の晴れやかな言葉だった。執筆スタイルに違いはあれど、3人は同じ苦楽を味わう者として共感しあった。